- Amazon.co.jp ・本 (264ページ)
- / ISBN・EAN: 9784296107117
作品紹介・あらすじ
危機のときに必ず業績が飛躍的に伸びるのはなぜか?
「15の選択」で会社は根本から変わる
■新製品の売り上げ比率は50%以上
■設備稼働率は70%以下にとどめる
■「選択と集中」「選択と分散」をバランス
感想・レビュー・書評
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巣ごもり消費は定着する。
集中戦略は、目先は効率化するが外部環境の変化には弱い。
経営理念の第一は、いかなる時代環境でも利益を出せる仕組みヲ確立する。顧客第一や社会貢献よりこれが先。
アイリスは仕組み至上主義。
プロダクトアウト、マーケットイン、よりユーザーイン。
ユーザーのニーズをとらえる。
内製化率を高める=価格競争と商品開発力がつく。効率は悪い。
儲からない市場にはとどまらない。
新商品比率を50%以上にする。
新規事業を成長市場ではないところに求める。
経常利益の50%を投資に回す。
変化を見越して、手を打つ。楽な事業にしがみつかない。
新製品の研究開発費も売り上げの4%を使う。
KPI(重要業績評価指標)に、新陳代謝を表す指標にする。新製品蒜生っと経常利益率。
製品開発をリレー型でやらない。プロジェクトチーム制。
毎週月曜の全部門参加のプレゼン会議で即決する。根回し禁止。
自社の強みを絞らない=なんでもやる。メーカーベンダーは問屋機能ももつ。マーケティング機能をもつため。
メーカーベンダーは、メーカー直販とは違う。
内製化したほうが、新商品をすぐに出せる。
メーカーベンダーは非効率。
手離れがいい仕事、とは目先の効率を考えたこと。手離れが悪い仕事を指向したほうがユーザーインに近づける。
ユニクロは小売からメーカーに発展した。アイリスはメーカーから小売に発展した。
同業者の集まりには極力出席しない。
プレゼン会議で全員でユーザーインのアイデアを形にする。
稼働率は7割に抑える。超えたら新しいラインを作る。
内製化は効率は悪いがサプライチェーンが延びない。
汎用機を改造して使う。
一定の金額をロボット購入に充てる。
過度の集中は、逆効果。商品を分散する戦略。
効率×効果。効率と効果を分散させる。
社員教育は、手取り足取り育てて目線を上げさせる。ギャップがあるからこそ育成が可能。情をかける。懇親会、花見など。
社長にとって、ではなく社員にとって、いい会社を作る。
幹部が育たないのは、情報量の差によるもの。社長の目線が高いのは、社内の情報がすべてわかっているから。育てるには、それらを共有すること。幹部研修会で泊りがけ研修。
プレゼン会議欠席は厳禁。もっとも優先度が高いのは会議、朝礼などの出席。情報共有の仕組みだから。
情報共有ツールとしてのICジャーナル。日報。全員が記入、全員のものを見られる。新商品のアイデアの元になる。
特定の仕事に精通しているヌシを作らない。頻繁に人事異動する。園芸部門のプロにはならない。ヌシ化を防ぐ。
決算賞与でアイリスの株を買える。
商品ごとの正確な損益管理。確実な計画実行。開発した社員が3年間損益管理する。
ホームソリューションではなくジャパンソリューション。
日本の問題を解決する。
海外の教育に力を入れる。
中国には、ホームセンターのような業態がない。そのためSPA製造小売業を始めた。その後それがインターネット販売へ移行。
開発はすべて日本で。
各国の情報をICジャーナルで共有。
海外が製造拠点だけだったら、深い情報は入らない。
インターネット通販は、1億くらいでは赤字。3億売らないとペイしない。
アイテム数が多いとネット通販と相性がいい。
業界の垣根を超える=クローゼット機能を持ったクリーニング店など。
地方の時代が始まる。
コロナショックの影響。
地方は需要創造型の企業を作りやすい。
キャッチアップ型の場合は、首都圏の人口ボリュームが頼りになる。
地方は市場が小さいので、個々の消費者のことを考え他製品でないと商売にならない。だからこそ市場を造れる。ユニクロは宇部市、ニトリは札幌市、アイリスは仙台。下請けに甘んじず、自社製品を作る。
選択と集中は、ニューノーマル時代には合わない。
そもそも企業とは何か=企業理念を共有している組織。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
経営者として結果を出されている秘訣が多く語られていて、とても参考になりました。
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強烈な個性のある会社。やらない人にとって居心地の悪いところというのは言い得て妙。
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真似したくなるような仕組みがいっぱい。
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・P31:経営の3つの型
プロダクトアウト:自社独自の強みで勝負する戦略
マーケットイン:業界や市場の要望に応える戦略
ユーザイン:使う人が「これは役に立つ」「これは安くて使い勝手が良い」などと満足するかどうかを考える戦略
・P40:KPIの目的は「業績向上」か「新陳代謝」か
・P54:開発は「リレー型」か「伴走型」か
・P114:上げたいのは「稼働率」か「瞬発力」か
・P124:瞬発力があるのは「身軽な外注」か「柔軟な内製」か
・P125:社長にとって「良い会社」か社員にとって「良い会社」か
・P209:6章 仕組みの横展開 -
この本は大山会長からコロナ禍で閉塞感漂う日本企業へのエールである。
町工場を19歳で引き継いでから年商8100億円の大企業に成長させた大山会長の経営学が詰まった一冊。
目先の効率や売上を追うのでは無く常に本質、お客様目線を考えていたからこそここまで会社を大きく出来て、ニューノマルをチャンスに変える経営が出来るのだと思う。
ここまでかというくらい社内の情報が書かれていて大変参考になるが、あえて共有する事で大山会長は日本の会社を元気にしたいのかな?とさえ思ってしまった。 -
いかなる時代環境でも利益を出す仕組み
360度評価と自己評価、上司評価の連動
主任以上の約700人には、年初に課題論文を書いてもらい、それが評価の対象になります。論文のテーマは毎年変えており、ある年は「自部門における現状分析、課題解決、会社成長貢献のためのアクションプラン」
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・ユーザーイン:需要と供給のバランスで動く市場経済と一線を画すために、自ら需要を生み出す市場創造型の製品を生み出すアプローチ。実現のためにはRetailと直接取引を狙い問屋機能を持ったメーカーベンダーになることが必要
・ユーザーインの値付け(LED電球の例):原価から考えるのではなく、電気代を考えて、顧客が元を取れるラインから値付けする。そのうえでそれを実現するように開発する
・価格競争を続けることは不毛。ユーザーのニーズを掘り起こした新製品であれば、100円が相場のところ120円で販売しても売れる。そのため、新製品比率を高く保つ
・会社の新陳代謝を最もよく表す指標をKPIに据える。アイリスの場合は、それが新製品比率と経常利益率。
・ヒットしたら担当者の手柄、失敗したら議長の責任。こうしておくと社員はチャレンジします。
・根回し禁止。情報の偏在は開発力を減退させる
・流通経路が複雑であればあるほど、ユーザーのニーズが流通の都合でゆがむ。それをできるだけ少なくするには、上流化下流に手を広げ、ユーザーのニーズをダイレクトに広い、開発に生かす仕組みを作る。さらに、これまでの自社の強み以外のところにも進出し、ユーザー目線でリスクを取って製品展開をする。そうすれば、流通における主導力がますます高まり、外的環境に左右されにくい会社になります。
・生活者目線で「この値段なら買う」という価格を先に決め、そこから原価を積めるアイリスにとってユーザが期待する価格を実現するためのコストダウンは至上命題です。それを実現するには内製化が欠かせません。
・選択と分散。場所を分散させることでリスクを分散させ、また、情報を共有する(ICジャーナル)ことで分散した場所でもリカバリーが可能になる
・評価は自分ではなく、他人がする。価値観をそのように転換できると、社員は自らを客観視し、そこからぐっと成長を始めます。
・幹部が育たないのは単に情報量の差
・ICジャーナルは、日々の仕事の中で得た情報をもとに、各社員が自らの意思を伝えるように書く。知りえた情報をもとに何を考えたか、そこにはどのような意味があるのか。そこまで主体的に社員が考えて入力するから、集まった情報がいきる
・ホームソリューションからジャパンソリューションへ。生活者の不満・不便の解決に加えて、日本の課題解決へと事業の幅を広げる
・店舗は、売れ筋を棚に並べる経営から、長く滞在してもらうための楽しさなどをこれまで以上に追求するようになるでしょう。店で買う意味が問われてくる。ユーザインのイノベーションの多くは、業界の枠を超えるもの
・起業家精神の4つの資質
1) 構想力:どんな会社を作るか、何を目的に、どのような事業で世の中に貢献するのかを考える力
2) 説得力:事業の構想を社員と共有し、巻き込むために必要な力
3) 実践力
4) 結果責任:責任を取り切る覚悟 -
【めちゃくちゃ素晴らしい本】
今までも経営を如何に上手くするか?という問いについては人並みにアンテナを張って来たつもりではあったが、こんなに本質的かつ明確な経営のエッセンスを沢山詰め込んだ本は記憶にない、異次元、安過ぎる。なんでもっと話題になっていないのかが分からない。
表紙の赤は派手だがなんとなくメーカーだとかアイリスオーヤマには地味なイメージでも付いているのだろうか。
もしかしたらある程度会計の理解や経営課題に相対する経験を積んでないと伝わらない部分があるのかも知れない。
さて内容はというと、
僅か19歳で会社を背負う立場になりオイルショックによる大きな挫折、曰く「死ぬような思い」を経験し、その後経営の姿勢を改めタイトルの「いかなる時代環境でも利益を出す」事を理念に掲げ、バブル崩壊やリーマンショック、更にはコロナ禍の中で確実に成長と利益創出を続けてきた経営者。
その経営の中で何をどう考え実行して来たのか余す事なく語られているような本である。
或いはまだその全貌は示していないのかも知れない。しかし本当にそう思わせる程、ただただ淡々と経営の要諦を実際のエピソード、事実と数値根拠を交えて立て続けに解説されている。
よくあるビジネス本と違って、これだけの実績を上げながら自分語りや会社自慢で余分な贅肉のついたものとは一線を画する。
あとがきにも、あくまで筆者のやり方であって、最適な経営手法は時代や企業それぞれに異なるものだとしており、個人的には今なお謙虚に探求者の姿勢で物事を考えているような印象を受けた。
これまでの経営理論で説明できる部分も少なくないのだが、実際に長期に渡って日本企業がそれをやってのけていて、非常に具体的な説明を伴っているので説得力が違う。
衝撃的だったのは、自分は読書して良い本だと思ったら、吉田松陰に習い紗録をするようにしているのだが、丁寧に読んでいくと重要な示唆が多過ぎてもはやメモが取れるような量ではないという事実である。
完全に主観情報なので参考にならないが、恐らく経営の難しさに思いを寄せた経験のある方には少しは分かってもらえるのではないかと思う。
具体的にどこが良かったかと言われると上述の通り選べるような本ではない。
あえて僅かに切り出すと逆にありきたりに感じてしまうだろう。
ただ少なくとも自分は全部吸収したと納得するまで何回も読み返そうと思った。
以上です。