- Amazon.co.jp ・本 (356ページ)
- / ISBN・EAN: 9784296070558
作品紹介・あらすじ
ソフトウェアエンジニアが、マネジャーやCTOといったマネジメント職に進むのではなく、技術力を武器にテクニカルリーダーシップを発揮して、エンジニアリング職のキャリアパスを登っていくための「指針」と「あり方」を示します。
「スタッフエンジニア(超上級エンジニア)」になるには
どんなスキルを身につければいいのだろうか?
技術的な能力さえあればいいのだろうか?
なった人は、具体的に何をしたのだろう?
その仕事を楽しむには、どうしたらいいのだろうか?
これらの疑問に答えるのが本書の目的だ。
■「解説」から
本書は2部構成になっており、第1部でスタッフエンジニアの役割とあり方を解説。第2部(おもに第5章)で現役のスタッフエンジニアのインタビューを通してその実像を掘り下げています。
私のおすすめの読み方は、まず第5章のインタビューを2~3人分読んでから、第1部を読み進めることです。とくにある程度経験を積まれたエンジニアの方は、第5章に登場するスタッフエンジニアの具体的なエピソードに大いに共感されることと思います。その共感を胸に第1部を読むことで、スタッフエンジニアに求められる役割が自然と腑に落ちるのではないでしょうか。
原書では14人のスタッフエンジニアのインタビューが掲載されています。いずれも個人的な経験にもとづいた具体的な内容で、これからスタッフエンジニアを目指す人にとって大いに参考になるでしょう。ただし、これらは米国での話であり、日本周辺での現状も気になるところです。そこで日本語版では、原著のインタビューに加えて、日本人のスタッフエンジニア4人に新たにインタビューし、貴重な経験とそれを支える志を明かしてもらいました。
感想・レビュー・書評
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シニアエンジニアの先の、エンジニアリングマネージャーではないエンジニアとしてのキャリアをstaff engineerと呼ぶ。
スタッフエンジニアというキャリアの役割や目指し方について書かれた本だが、構成にまとまりがないため、あまり本題に関する理解は深まらなかった。
・snacking を避けること
仕事を労力とインパクトの二軸で分類した時、労力=小、インパクト=小の仕事をsnackingと呼ぶ。スタッフエンジニアが簡単な仕事から学べることは少なく、機会費用が無駄になる。そして、そのような仕事を通じて大きく成長する人もいるはず。
・エンジニアリングマネジメントとの比較
チームを育てたい、成功に導きたいと思えるのなら、マネジメントを経験してみるとよい。自分のためだけにマネジメントを経験してみようとするのは、やめた方が良い。
上司のスケジュール表を見て、それが自分にとって楽しめる予定かを考えてみるとよい。また、業績評価や面接を楽しめるかを考えるとよい。楽しめなければ、優秀なマネージャーになることはできない。
Staff engineer にもたくさんのマネジメントスキルが必要である。マネジメントの書籍がとても役に立つ。
スタッフエンジニアよりもマネジメント路線の方が役割や昇進の仕組みがわかりやすく、手本も多いが、それを第一の動機にすべきではない。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
まずインタビューを読んでから頭から読む。自分はもうエンジニアではないが2章と3章は結構刺さる内容。
ストーリーの人たちの言語化力に驚く。ここまで言語化できるように意識しないといけないと感じる。
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スタッフエンジニアの役割のアーキタイプ(典型)や、あるべき姿・考え方・行動指針・キャリアステップなどについて語られている。第1部では筆者によるスタッフエンジニアの定義が書かれていて、第2部では18名のスタッフエンジニアへのインタビューが書かれている。
スタッフ(重要/参謀)エンジニアとは、シニア(上級)エンジニアからテクニカルリーダーシップへ進む場合(つまりマネージャーへ進まない場合)の最初のキャリアである。また、スタッフエンジニア以降のキャリアをスタッフプラスと呼ぶ。
本書の想定読者はスタッフエンジニアを目指しているエンジニア、キャリアプランに悩んでいるエンジニア、エンジニアを部下に持つマネージャーや経営者など幅広く、エンジニアの世界観を養うのに役に立つだろう。マネージャーへ進まずにスペシャリストを極める場合のキャリアについて書かれた本は珍しいため、多くの人にとって学びがあるだろう。
私はスピード重視で目次・見出し・太字を中心に流し読みした。スタッフエンジニアについては知らない概念が多く、仮に精読すると時間がかかりすぎてしまうため。キーワードを拾いながら興味のある部分を読むだけでも十分な学びを得られたと満足している。
後半のインタビューにおける各人の仕事内容・立場・経緯はケースが限定的すぎるので目的を持たずに読むとかえって迷子になってしまうかもしれない。しかしキャリアで悩んでいる人にとっては参考にできるものがあるかもしれない。また、インタビューの多くでは最後に学習方法について語られており,この部分は広く参考になり、真似のしがいがあると思う。
また、インタビュアーの質問やインタビュイーの回答・説明が非常に洗練されている。私は仕事でインタビューをされたり、面接をしたりする機会があるのだが、物事を整理して話すことに難しさを感じているため、この点でも本書のレベルの高さに敬意を持っている。
18ページ
多くの人にとって、スタッフエンジニアとして積む最初の経験がテックリードとしての役割だ。
→本書を読む前にはこのイメージができていなかったが、言われてみればそれが良い気はする。
22ページ
ほかのスタッフレベルの役割では組織とのすり合わせに多くの労力を割かなければならないのに対し、ソルバーは組織が優先事項と認めた問題にかかわるため、上層部の説得などを行う必要は少ない。
→この役割定義の分け方はわかりやすくて参考になる。あくまでも問題の解決に対して責任を持つのであり、問題に直接的に関係していない経営層や関係者の考慮はスコープ外にするという考え方。
286ページ
自分の考えを理解するのは半分に過ぎず、それを理解しやすい形で表現するのが本当に難しくて、価値のあることなのだ、という考えです。
→非常に同意できる。難しい概念を難しい表現のままで話すのは簡単だし、聞き手の理解度に頼って説明を省略しすぎるのも健全ではなく再現性がない。会社組織で働くからには、あるいはヒトと働くからには、理解しやすく表現する能力は重要である。 -
[ITエンジニア本大賞] 2024年技術書部門ベスト10入り
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「スタッフエンジニア」という単語が分からなかったが副題の「マネジメントを超えるリーダーシップ」という言葉に惹かれて読んでみました。「スタッフエンジニア」が意味するものは、本書の最後に記されている監修・解説者による「解説」に詳しく書いてあり、まずはこの「解説」を読むと良いのかなと思いました。この「解説」を読まずに読み進めると「スタッフエンジニア」の言葉がわからないまま話がどんどん先に進むのでちょっと置いてきぼりの印象を持つかもしれません。
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実際に現場で活躍しているスタッフプラスエンジニアのインタビューが多く掲載されている。エンジニアとしてキャリアアップしていきたい気持ちが今あり、スタッフプラスエンジニアに必要なスキルや資質等、参考になる。自身のキャリアがもう少しリーダー寄りに進んだら、この本を読み返したい。
今の自分に響いたのは、ミシェル・ブー氏の以下。
"自分の技術力に隙間があること、携わっているプロジェクトでその隙間を埋める努力をすること、そして今の自分の能力よりも少し高いレベルを要求するプロジェクトに果敢に挑むことの3点をふだんから意識していれば、私は自分の技術スキルを高め、活用することができると信じています。" -
スタッフプラスの道を進むためのアドバイス集。そちらの方向に進むときには、再読すれば役立ちそう。当然ながら、ポジションが上がっていくほど、人との関わりが増えていく。
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生涯一エンジニアのキャリアプラン。
シニアやISは聞いたことがあるが、スタッフプラスというカテゴリで括られた肩書を知れた。
インタビュー記事でEMについての回答がおもしろい。
やりたくない向いてないやったこともあるなど。
なかでも、インパクト大労力大の仕事を達成するのは、エンジニアリングだという本質が大事と取る考えの人の話がよかった。
マネージメントだけではインパクトを世の中に与えることはできない。
そのつもりでマネージメントとしての役割の大事さを考えておきたい。
それでもコードを書くと言える人に向けたキャリアの話が盛りだくさん。 -
5章と2章がよかった。5章の実際のスタッフエンジニアへのインタビューでスタッフエンジニアとはどのような役職なのか具体的にイメージできる。2章で役割を抽象的な言葉に落とし込まれている。