詰むや、詰まざるや 森・西武 vs 野村・ヤクルトの2年間

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  • Amazon.co.jp ・本 (384ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784295010364

作品紹介・あらすじ

1992年、93年と2年間にわたって激闘が繰り広げられた、西武ライオンズとヤクルトスワローズの日本シリーズ。現役時代は互いに名捕手として鳴らし、監督としても名采配を振るっていた西武・森祇晶監督とヤクルト・野村克也監督が、「キツネとタヌキの化かし合い」と称される頭脳戦を展開した。また、西武には秋山幸二、清原和博、石毛宏典、工藤公康、ヤクルトには古田敦也、池山隆寛、広沢克己、高津臣吾らが揃い、球界最高峰の対決を見せた。プロ野球史に輝く2年間の激闘を、総勢50名の証言で振り返るノンフィクション。

感想・レビュー・書評

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  • 球史に残る名勝負となった、92年、93年の日本シリーズについて、当時の関係者の方々への緻密な取材を元にまとめられたノンフィクション

    知らないことだらけで面白すぎました
    圧倒的な取材力、そしてプロ野球愛溢れる内容は圧巻です

    当時監督だった森さんと野村さんの采配の裏側、当時現役として凌ぎを削りあった選手の皆さんが、それぞれの場面で、どういう心境でどういう考え方で、その場面に臨み、プレーしていたか。なぜ、あのような結果になったのか。全てが凝縮されています

    全てが印象的な場面の連続だったシリーズでしたが、各場面でのヤクルト、西武それぞれの立場から、それぞれの心境、作戦、裏側が、プロ野球ファンそしてヤクルトファンである著者が見事にまとめて下さってます

    歴史的なシリーズということもあって、YouTubeに動画もたくさんアップされてるので、それを見ながら読み進めるのも、また面白いと思います

  • 往年の野球ファンでないと伝わりきらない内容ですが、だからこそよりすばらしいと感じました。
    92年、93年ともに、私自身は実際の試合を観ていないのに、すべての試合を体験できたように思えるほど、克明な試合の再現。
    かつての選手、監督の最近のインタビューも、良かったです。秋山は天才。石毛のど根性に脱帽。荒木は強心臓。クールな森監督。イヤらしいノムさん。センス抜群飯田…
    職人辻。このひとがいたから!のキャッチャー伊東。
    …ああ、全員語りたい…
    プロってすごい。実力の世界で生きる人たち、すごい。
    感動で涙してしまうこと、しばしば。
    すばらしい1冊でした。

  • 小説は自分の相性がなんとなく分かっているので、面白そうな本に対する嗅覚もそれなりに効く。しかし、それ以外のジャンルの本、例えばスポーツノンフィクションなんヵは、当たり外れが大きいので、時々とんでもないスカ本を掴んでしまったりする。

    この本は大当たりの方だった。ただし、すごい野球選手の活躍や、見た目がカッコいい選手の物語、ホームラン王や大投手などの活躍を読みたい人にはつまらない本かも知れない。そういう意味では好みが分かれる本だとは思う。
    主人公は監督、それもタヌキの化かし合いと言われた2年間の日本シリーズを追ったドキュメント。ヤクルトと西武という、今では…いや当時ですら人気という意味では超一流とは言えない2球団のそれも、もう30年も前の14試合とその前後の記録。面白いと思うだろうか?

    これが、実に面白いのである。智謀の限りを尽くす監督。打者と対峙するバッテリーの配給の組立、打者との心理合戦、守備陣の気持ち、コーチの心労…人間のやることだからはまることもあれば、外れることもある。外れ代を考慮することも計算のうち、その計算すら超越する神がかった偶然。読む野球にこれだけの面白さを感じるのは久々である。ドカベン以来か…そんなこともないか(笑

    野球の神さまは実在するだろうし、その神様はきっと人間臭い神様なんだろうなぁ。

    個人的な話だが、数年前に阪神ファンをやめ、それ以来あえて特定の球団のファンにはならないことにしている。気になる選手は数人いるものの、基本的にはできるだけ水平な位置でたまに野球を観るくらいの嗜み方をしているが、そうすると野球の面白さが今までとは全然違って見えてくる。
    特定球団の勝敗で一喜一憂するのも良いが、水平位置で野球を観ればそんな一喜一憂で余計なストレスを貯めなくても、アスリートたちの素晴らしいプレイをしっかり味わい、戦術の駆け引きを見守れば、本来の野球の面白さが分かってくるように思うのだ。

  • 2年連続第7戦までもつれた、全盛期の西武ライオンズ対ヤクルトスワローズの日本シリーズを、森、野村克也両監督のキツネとタヌキのばかし合いと言われた心理戦を中心に克明に一戦づつ描いたノンフィクション。日本では野球がずーと人気NO1スポーツだったので、映像も豊富にあるし、記憶に残るシーンも多いため、ノンフィクションの深さがスゴいと思う。
     巨人v9川上監督、広岡達朗監督、森監督、野村監督が勝つ事で、メジャーリーグとは異なる、野球文化が熟成されていった。

  • 92年、93年と2年にわたりヤクルト(野村監督)と西武(森監督)が繰り広げた日本シリーズの全14試合を、当時の関係者のインタビューから描きなおすノンフィクション。
    今から30年近く前の日本シリーズをなぜ敢えて取り上げるのかと言えば、このシリーズが1)野村監督vs森監督(ともに捕手出身)、2)古田敦也氏vs伊東勤氏(両チーム捕手)、3)黄金期の西武に、若いヤクルトが挑む構図 等々、様々な対立軸があってシリーズ前から話題豊富だった上に、何よりもその一試合一試合がまるで詰将棋を戦うかのような緻密な戦略と、高度な戦術を駆使しした密度の高い試合であったこと、92年は4勝3敗で西武が、93年は4勝3敗でヤクルトが制するという、ほぼ互角の戦いであったことなど、理由を挙げるときりがありません。
    当時私は大学生。日本シリーズはデーゲーム開催で、ほとんどの試合をテレビ中継で観た記憶があります。本書で触れられているいくつものプレーも「ああ、そうだったなぁ」と懐かしく読みました。
    著者は2年にわたる14試合の全ての試合を球場で観戦したほどの野球熱の持ち主。そして私と同い年。私自身に近い感覚で当時の試合を観ていた著者の野球にかける熱量と、緻密な取材が織りなす400ページ弱の大作に一気に引き込まれました。
    最終章が昨年の野村監督のご逝去に触れていることで、より一層厚みを感じる1冊となっている気がします。
    当時の試合を私自身も私なりに熱心に観ていたからこそ、本書でその試合を追体験できるという醍醐味を味わえるのですが、近ごろ私自身がこれほど熱心にスポーツを観戦していないなと感じます。だとするとこの様なノンフィクションの対象となる試合やシーンが減ってきているという事でもあり、少しさびしさも感じたりします。ただ、当時のプロ野球と今のプロ野球のどちらが面白いのかという事はさておき、とにかく野球好きで、少しでも90年代にプロ野球を観ていた人には、お勧めできる1冊です。

  • 当時夢中になってTV観戦していた2年にわたる歴史的な熱戦を、当事者たちへの丁寧な取材を通して、臨場感いっぱいに記載されていると思う。

  • 名捕手監督同士が知力を尽くした至高の全14戦。総勢50名の証言で紐解く、1992、93年、史上最高の日本シリーズ。

    92年の第一戦、代打杉浦のホームランは、忘れられない鮮やかさ。

  • 新卒の一年目、藤田監督のジャイアンツが、あの斎藤雅樹、桑田真澄、槇原寛己の三本柱がいたジャイアンツが為すすべなく四タテ喰らった2年後3年後、その西武の黄金時代に立ち向かったヤクルト。両チームのファンじゃないから、ヤクルトにはセリーグ代表として、でも西武にはジャイアンツ以外のチームに負けて欲しくなくて、複雑なシリーズだったのを覚えてる。
    野村克也氏が生前、シリーズヲ経験した捕手は上手くなると言った言葉、来年の大城にはどこまで生かされるのか楽しみだ。
    にしてもこの捕手監督対決、それも野村と森だからこそのこの二年間の激闘だったんだな。もっとこういうスリリングなシリーズ、来年以降は見せて欲しいな。

  • 日本シリーズ史上に残る名勝負。
    森監督率いる常勝軍団と、野村監督率いる若手たち。
    圧倒的な取材力と、14試合全て生観戦したという筆者がグラウンドにいた張本人たちによって再び世紀に残る熱戦を立体的に立ち上がらせていく様は見事の一言。

  • 野球は筋書きの無いドラマと言われるが、
    日本シリーズに日本中が熱狂していたのは、
    いつのことまでだろうか。
    二年にわたる西武とヤクルトの戦いは、
    まさにプロ野球が話題の中心だった時代だ。
    正直、93年の第5戦の日にドーハの悲劇があった
    ことに気が付かなかった。
    つまり、それぞれが特別に記憶させているので、
    同日性がないからだろう。
    そんな特別な瞬間を、当事者の一人(いや最重要人物)の野村克也氏が死去された年に、こうして語り継がれることに、筆者を始め同書に携わった全ての方に深く感謝します。

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著者プロフィール

1970年5月13日東京生まれ。早稲田大学商学部卒業後、出版社勤務を経てノンフィクションライターに。05年より中野ブロードウェイに在住。『最弱球団 高橋ユニオンズ青春記』(白夜書房)、『私がアイドルだった頃』(草思社)、『ギャルと僕らの20年史 女子高生雑誌「Cawaii!」の誕生と終焉』(亜紀書房)、『いつも気づけば神宮に 東京ヤクルトスワローズ「9つの系譜」』(集英社)、『詰むや、詰まざるや 森・西武VS野村・ヤクルトの2年間』(インプレス)、『生と性が交錯する街 新宿二丁目』(角川新書)他、著書多数。

「2022年 『中野ブロードウェイ物語』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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