バンクーバー朝日 日系人野球チームの奇跡 (文芸社文庫)

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  • Amazon.co.jp ・本 (366ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784286154398

作品紹介・あらすじ

100年前のカナダに、伝説の日系人野球チームがあった。その名は「バンクーバー朝日」。過酷な労働と貧困、苛烈な人種差別に苦しむ日系人にとって、彼らは唯一の希望の光だった。日系人排斥暴動をのりこえて力をつけ、あくまでもフェアープレーを貫きとおす選手たちの情熱は、徐々に白人たちの心も動かしてゆくのだが…。カナダNo.1になるまでの実話を描く感動のストーリー。

感想・レビュー・書評

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  • 野球は全く分からないけれども、映画は以前観たので懐かしくて読んでみる事にした。日本にいる日本人よりも日本人としての誇りを持ちフェアに戦う姿に野球を知らなくても引き寄せられる。
    続きのテディーズアワ−も是非読んでみたい。

  • 100年前にカナダに存在した日系人野球チーム、
    伝説として語り継がれてきたその存在は、2002年に甦りました。

    伝説の始まりは1907年、日系人排斥の暴動から、
    その後、1914年にチームが立ち上がり、、

    1926年には、カナダ・リーグで優勝するまでになります。

    あくまでフェアプレーを突き通すチームカラーは、
    日系人のみならず、白人社会にも影響を与えながら。

    著者はテッド・Y・フルモトさん、
    チーム初期を牽引したテディ古本さんの息子さん(日本在住)。

    文章は粗削りながら、非常に読み応えがあり、
    息をのむようなプレーの描写は、グッと迫ってきました。

    そんなチームも、先の大戦の影響でばらばらとなります、
    カナダ政府による、日系人の強制収容所送りによって。

    この行為に対し、カナダ政府が正式に謝罪したのは、1988年、
    そして、カナダ野球界で「バンクーバー朝日」が殿堂入りしたのが、2002年。

    寡聞にして、知りませんでした、、1988年も、2002年の出来事も。
    まだまだ知られざる物語はあるのだなと、あらためて。

    そうそう、『KANO』は台湾における差別の超克でした、
    時期的には被っており、先の大戦が影を落としたのも同じ。

    どちらも映画にもなっているようで、
    機会があれば是非、見比べてみたいところです。

  • 旦那の仕事の関係で1年半ほどカナダ・バンクーバーに住んでいた。
    昼間は暇なのでバンクーバーのあっちこっちを、ひとりでうろうろして
    いることが多かった。

    私の散歩コースのひとつになっていたトレーディングのお店で、ホッケー
    カードを物色していたら見知らぬ男性から声をかけられた。「中国人か?
    日本人か?」。英語で聞かれた。

    日本人であると答えると男性はたどたどしい日本語で質問を重ねて来た。
    「バンクーバーに日本人の野球チームがあったのを知っているか?」。

    その昔、アメリカ同様にカナダにも日本から移り住んだ日本人が多く暮らし
    ていた。その日系人たちがいくつもの野球チームを作っていた。

    趣味でカナダの野球の歴史を調べているというカナダ人男性の話で初め
    て知った。本書はそんな日系人の野球チームのひとつであり、最強であっ
    た「バンクーバー朝日」の活躍を描いた小説である。

    著者はバンクーバー朝日の初代エースピッチャーであったテディ古本の
    ご子息であり、ノンフィクションではなく小説という表現方法なので実際
    よりも美化された部分もあるのではないかと思う。

    それでも、日系人に対する差別や排日運動という過酷な境遇に晒され
    ながら、カナダのトップリーグで優勝を果たすまでには途轍もない苦労
    があったであろう。

    白人のスポーツである野球で、日本人が白人に勝てるはずがない。当初
    は見世物であり、日系人が白人チームにコテンパンにやっつけられるの
    を楽しみにしていたカナダの観客たちだったが、バンクーバー朝日の徹底
    したフェアプレーと頭脳的な戦略に魅了される。

    決して経済的に豊かではなかった日系人たち。人種差別や偏見に晒され
    ながらも日本人としての矜持を保ち続けるのは、よほど強い気持ちがなけ
    ればならなかったろう。

    ただし、本書は読みようによっては危険性をはらんでいる。いわゆる「日本
    スゴイ」のようなプロパガンダに利用される危険性だ。

    ただ、著者の自身の父親や日本人移民に対しての深い愛情は伝わって
    来る。だからこそ、太平洋戦争勃発で解散を余儀なくされ、歴史の波に
    消えて行った野球チームのことを書き残しておきたいと思ったのだろうな。

    カナダでの日系人への差別についても、歴史としてきちんと書かれた作品を
    読んでおかなければと思った。

    尚、本書には引退後のテディ古本の「その後」を描いた続編小説があり、そ
    の作品も私の手元にある、。次はこの作品だな。

  • ゲームを一打でひっくり返すホームランはとってもスリリングで劇的だけれど、ヒットを一打も浴びていないのに点を積み重ねる攻撃は精神的に大きなダメージを受ける。恵まれない環境の中、体格や腕力に勝る相手に対し、同じPOWERという土俵対抗するのではなく、戦術や技を駆使したスモールベースボールで柔よく剛を制したバンクーバー朝日はの戦い方に共感を覚える。押してもダメなら引いてみな。壁の大きさに臆することなく挑戦を諦めない心をいつまでも大切にしないといけないね。もう歳だし・・・なんて言っていられない。(o^^o)

  • 一昨年ぐらいか、テレビでバンクーバーに「朝日」って野球チームがあった事を紹介していた。
    その後、映画にもなったようで。

    で、映画は「バンクーバーの朝日」って間に、「の」が入るが、この本は「バンクーバー朝日」で「の」は入らない。
    本屋さんでは、映画の元になった「バンクーバーの朝日」ってのも有り、買う時にどちらか迷ったが、パラ読みしてみて、こっちの方がより史実に基づいているようだったので、こっちを読んでみた。

    こっちの本も脚色はしてあると思うけど、なかなか面白かった。

    およそ100年前、大正時代、日本は貧富の差が激しく、世界の各地へ移民に出た。
    中国、ハワイ、ブラジル、アメリカ、そしてカナダ。
    それぞれ、どの地域も大変な苦労が有っただろう。
    この本の舞台はカナダ。
    そもそも、バンクーバーに日本街が有った事さえ知らなかった。
    一次、二次の世界大戦を控え、大変な迫害を受けたようだ。
    そんな中、日本人だけの野球チームを作り、武士道精神を貫き、カナダリーグで優勝までする物語。
    実際に有った事だから、凄い先輩方が居たもんだと感心してしまうし、誇りに思う。

    山崎豊子の「二つの祖国」「大地の子」は是非、読んでもらいたいし、ブラジル移民を題材にした、垣根涼介の「ワイルド・ソウル」も良い。
    どれだけ我々の先輩方が苦労して来られたか。
    そして今でも日系一世、二世の方々の苦労を知るべきだと思う。

  • 誰が買ったのかわからないけれど家にあった本を読もうシリーズ。

    想像以上に色んな所に気持ちがつながって、複雑な重いと一緒に感動した。

    映画化されているようなので、レンタルしに行かなくては。
    ピッタリくるかなぁ?

  • 1907年、バンクーバーの日本人街にある広場で野球を「遊ぶ」日系の子供達。カナダの白人たちから理不尽な差別を受ける中で、野球で白人たちを見返してやろうと、日系人のみのチーム「バンクーバー朝日」が結成されます。武士道、大和魂を胸に、フェアプレイをモットーとして頑張った彼らが、カナダ社会に与えた影響は大きいと思う。

  • 第一次世界大戦の前後、日本を遠く離れたバンクーバーで日本人の矜持を体現するような野球チームがあった。本書は、その記録のような物語である。端的に言えば熱血野球小説だけど当時のアメリカ大陸における日系一世、二世の苦難とそのような状況下においてもジェントルマンシップを見事に体現して、しかも勝つ事で「キル、ジヤップ」と叫んでいた白人からも尊敬を勝ち得たバンクーバー朝日というチームとそのメンバーが如何に素晴らしいかを記している小説を単純にスポーツ小説にはカテゴライズするのは正しくないのかもしれない。

  • 20世紀初頭のカナダの日系人による野球チームを題材にした小説。サラリーマン作家による人物描写は素人くさいが、さっくり読める。2014年末に東宝が映画化。

  • 1900年 カナダに移住した日本人が差別、迫害を受ける中、野球を通してカナダの白人に武士道精神に則ったフェアプレーで支持される

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