原発に頼らない社会へ こうすれば電力問題も温暖化も解決できる

著者 :
  • 武田ランダムハウスジャパン
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  • Amazon.co.jp ・本 (160ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784270006450

作品紹介・あらすじ

福島第一原発事故は予想されていた。柏崎も活断層を心配した住民の反対を押し切って建設され、事故を起こした。なぜ東京電力は原子力発電所を造りたがるのか?造れば儲かるからだ。国民の安全と引き換えに生み出された原発は、いったい誰のためのものなのか?田中優が問題点に鋭く切り込み、画期的かつ現実的な代替案を投げかける!もう電力会社には任せられない。日本経済が破綻する前に考えるべき、これからのエネルギーのあり方。

感想・レビュー・書評

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  • 「電気は必要なんだから原発やめるってわけにはいかんだろう」などと言っているダンナ様へ読ませてあげて。日本て遅れてるんだなぁと思うよ。

  • すでにfacebookなどで田中優氏は自家発電(太陽光)とエネルギーの蓄電で電力会社に依存しない生活を実施されている。
    原子力に頼らない自然エネルギーと日本の各地で出来る地産地消による日本の復活。そんな風に感じました。
    危険な原発に頼らなければどうにもならないと騙されている日本人。本気で何が真実で何が出来るかをこの本でまずは知って欲しい。
    これはその第一歩を踏み出す事の背中を押してくれる一冊だと思います。

  • 2012年69冊目。


    タイトルとは裏腹に、原発に特化した話は少ない。
    あとがきにも、元々「ヤマダ電機で電気自動車(クルマ)を買おう」というタイトルで出版予定だったものを改定したと書いてあるように、
    広くエネルギー問題や地域でのカネの循環の話題が大部分を占めている。

    そういう広い話題の中で原発問題を捉えたい人にはおすすめだが、
    原発に特化して詳しく知りたいと思う方には少し物足りないかもしれない。

    とはいえ、「みんなが得する仕組み」を次々と創りだし、
    きちんとデータに基づいていかに地域内でのカネの循環や自然エネルギーへのシフトが重要且つ可能かを示している点では良書。

  • この本は、全ての人に読んで欲しいと思う一冊。去年読んだんだけど、おそらく最近読んだ中では一番太った(いいと思って折り曲げたページが多かった)本だと思います。時間のない人は、引用転記したこのレビューの引用だけでも目を通してみて欲しいです。まだまだできることってあるなぁと、社会を、こういう方向に進めてってみたいなぁと思うことの多い一冊でした。

  • 2010年に出版された「ヤマダ電気で電気自動車(クルマ)を買おう」という本の加筆・再編集したものです。

    すでに田中優さんの本を読んでいる方は、重複する内容もあります。

    喧伝される原子力産業の仕組みの偽りや、自然エネルギーへの転換の指針などが書かれています。

    原子力発電に興味を持った方に良いと思います。

  • 同窓会ゼミ

  • 読書会の課題本

    全面的に賛成できるか否かは別にしても、
    「自然エネルギーでやっていけるかも!?」
    と思わせられる本。

    震災後の「原発ブーム」に乗って、
    もともとあった別の本に少し原発の話を足したものなので、原発メインだと思って読むと期待はずれかも…

  • 勉強会の課題図書でした。
    しかし個人的にはあまり好きになれません。
    非常に立派な事が書かれてはいますが、私には理想論としか思えませんでした。
    こちらに書いてある事を実践するには多大な時間やコスト、マンパワーを要するのではないでしょうか?

  • 今ならではの過激なタイトルですが、内容はエネルギーや経済を地域で回していくことがこれから日本の生き残る道、ということをわかりやすく解説。震災によって、世の中が大きく変わったことを今一度気づいて、一人ひとりが実践していかないと、本当にこれからの日本はない、とつくづく思う。
    巨大企業のトップ達は、いつ、気づいて変えていけるのか。もう気づいている、はずだよね。

  • 最近何冊か田中氏が書かれた本を読んだのですが、彼の主張である、自然エネルギーを利用して原発には頼らない生活、現在のお金の使い方を見直すお金との付き合い方等、特徴的なものがあると思います。

    以前に日本にあるすべての原発を点検と称して止めた時も停電が起きなかったそうなので、原発は無くても我々が少しの工夫をすれば大丈夫ということも書かれています。

    今年の春ごろ、「計画停電」と言ってあれほど騒いでいましたが、火力発電所がダウンしていた初期はともかく、1年のうちでピークに達するのが10時間あるかどうかという状況で、事実をわざと無視したような報道が多かったような気もします。

    この本では、田中氏が、具体的にどのようにすれば、電力問題や温暖化(二酸化炭素の排出抑制)ができるかが記されていて興味が持てました。

    特に、地域通貨が現時点でのデフレではなぜ流通しないか(それよりも代替通貨がお奨め)というポイント(p146)は長年の疑問を解決してくれました。

    以下は気になったポイントです。

    ・太平洋岸に並んでいた火力発電所は、ほとんど壊されてしまった上に、海のそばに積み上げてあった石炭が津波をかぶって使えなくなったこと、更には、津波が起きた時期(3月)はピーク消費が出ていなくて火力発電所は休止されていて、復活に1~2か月必要だったことが問題であった(p4)

    ・放射能については、風向き(風下側が高くなる)と雨に注意すること(p10)

    ・風向きの視点(日本は偏西風地帯に位置する)で考えると、日本の西側にある原発はとりわけ危険(p11)

    ・妊娠中の胎児は、常に細胞分裂をしているので、遺伝子異常のような被害が大きくなる可能性がある(p18)

    ・0.05ミリシーベルトの放射能を1時間あびてもX線検診と同レベルと言われるが、同量を1年間浴びると438ミリシーベルトになり、原発作業員が浴びてよいとされる250ミリシーベルト(以前は100)を超える(p22)

    ・2010年10月に、東京電力は掛け金が高すぎるという結論から、原発保険を更新しなかったという報道がAFP通信からされた、真偽は不明(p28)

    ・サブプライムローンは、家屋は資産価値が失われないものとして扱われてきたからこそ可能になった仕組みで日本ではありえない(p47)

    ・銀行でなくても信用創造の類似効果を持ちたいということで発達したのが「デリバティブ」である、証拠金は5~10%で良いので実際には資金の10~20倍の取引が可能となる(p48)

    ・地域経済の活性化は、「地域内の資金量x回転数」であるので、地域内に可能な限りの資金が残っていて、かつその回転数を高くすることがポイント(p60)

    ・かつでアメリカにあった鉄道は、自動車メーカーと石油会社によって買収され、放漫経営の上で破たんさせられて現在のモータリゼーションを実現した、「エンド・オブ・サバーピア」という映画で紹介(p77)

    ・バイオエタノールでは、貧しい人たちの食料になるものを奪って走ることになる、食料と車の燃料と、どちらかカネを多く出した者が入手できるかで結果は決まる(p79)

    ・太陽光発電の電気が、送電線からの電圧に負けて送られないので、大量の自然エネルギーを送電線に流せなかったが、スマートグリッドでは可能になる(p84)

    ・NAS(NaとS)電池と呼ばれるバッテリーを開発したのが「日本ガイシ」 、NAS電池は鉛電池比較で、電力貯蔵密度が3倍、80%を使用可能、期待寿命は15年(通常の3倍)(p85)

    ・東芝が開発した「SCiB」というリチウムイオンバッテリーは、キャパシタ並みの性能を持っている、爆発性を解決したうえで、15年以上使える長寿命、1.5分で急速充電可能(p89)

    ・元東芝の岡崎氏が開発したスーパーキャパシタに使われる素材は安価な材料ばかりで将来が期待されたが伸びなかった、理由として、1)石油メーカと自動車メーカが敵視した、2)電力会社にとってメリットがない、である(p92)

    ・山手線を走らせている電気は、新潟の信濃川発電所からの電気を使っているが、不正な水泥棒(平成14~20年で3.1億立方メートル)によりJR東日本が取水権利を取り消された発電所(p94)

    ・ピーク電力を抑えるには、事業向けの「使えば使うほど安くなる電気料金の仕組み」を変えること(p103)

    ・ピーク時では90%が事業系消費なので、その3割は17%(全体では76%の3割:22.8%)、原発の設備容量は全体の21%なので、それだけで原発を止めるのは可能、電力がCO2発生の3割を占めるので、その22.8%を減らせば、6.84%のCO2の削減が可能になる(p105)

    ・1年の中でピークが出るのは、年間10時間にも満たない、全体平均は60%程度、ピークとなる具体的条件は、「夏場、平日、日中午後2~3時、気温が31度を超えた時」(p107)

    ・電気のコストは資源エネルギー庁の公表値では、5.9円/kwhだが、原子力発電所の設置許可申請書には、27基の原子力発電所の平均で14.13円/kwh(初年度)、耐用年数全体で見ると、31基全体で13.9円である(p118)

    ・家庭内の電力消費の4天王は、冷蔵庫(16%)、照明器具(13%)、テレビ(9%)、エアコン(7%)で、合計で461万kwh/yearである(p124)

    ・銀色になったカップに入れられた電球では、9割以上も反射させて(通常は35%)下に光を当てることができる(p128)

    ・日本の標準家庭の電気消費量は、アメリカ世帯比較で3分の1、ヨーロッパ比較でも2分の1である、なので自給に必要な太陽光発電パネルも8畳程度で済む(p136)

    ・1987年の乳成分取引基準の引き上げにより、輸入の配合飼料でないと飼育できなくなった(p145)

    ・地域通貨に現時点では懐疑的なのは、インフレ時にはモノの価値と一緒に変動する地域通貨は流通するが、デフレ時では、物の価値と運命を共にする地域通貨はかえって損をする、実物と代えることができる代替通貨が良い(p146)

    ・町をダメにする人は「その町を見て何がないかを考える人」、街を復活させるためには、必ずその地域に「あるもの」を見つけることができる人が必要(p148)

    2011/8/21作成

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著者プロフィール

1957東京都生まれ。地域での脱原発やリサイクルの運動を出発点に、環境、経済、平和のさまざまなNGO活動に関わる。現在「未来バンク事業組合」理事長、「日本国際ボランティアセンター」理事、「apbank」監事、「一般社団 天然住宅」共同代表を務める。現在、立教大学大学院、和光大学大学院、横浜市立大学の非常勤講師。著書(共著を含む)に『環境破壊のメカニズム』『日本の電気料金はなぜ高い』『どうして貯蓄が行けないの』(以上 北斗出版)、『非戦』(幻冬舎)、『Eco・エコ省エネゲーム』『戦争をやめさせ環境破壊をくいとめる新しい社会のつくり方』『戦争をしなくてすむ世界をつくる30の方法』『世界から貧しさをなくす30の方法』(以上 合同出版)、『戦争って、環境問題と関係ないと思ってた』(岩波書店)、『地球温暖化/人類滅亡のシナリオ』(扶桑社)、『おカネで世界を変える30の方法』『天然住宅から社会を変える30の方法』(合同出版)、『いますぐ考えよう!未来につなぐ資源・環境・エネルギー 1~3 』『いますぐ考えよう地球温暖化 1~3 』(岩波書店)、『おカネが変われば世界が変わる』(コモンズ)、『環境教育の落とし穴』(大月書店)、『原発に頼らない社会へ こうすれば電力問題も温暖化も解決できる』(武田ランダムハウスジャパン)、『地方論』(子どもの未来社)など。著者ホームページ「田中 優の“持続する志”」 http://www.tanakayu.com

「2013年 『子どもたちの未来を創るエネルギー』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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