- Amazon.co.jp ・本 (102ページ)
- / ISBN・EAN: 9784270000663
感想・レビュー・書評
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しばらく内向きな本ばかり読んでいたので、社会性の強いものが読みたいと思った。
てことで、ノンフィクションが読みたい、ノンフィクションと言えばマイケル・ルイス! となぜか急に思って、図書館へ行った。
でも、借りるつもりだったものはどれも貸出中で驚いた。人気あるんだなぁ。いや、いいことだ。
で、なんとか見つけて借りてきたのがこの本ですが、私は、スポ根も、熱血先生も、体育会系も、全部苦手で、できるだけそういうものと関わりなく暮らしていきたいと思う方なので、今回はも一つ乗れませんでした・・・
でも、さすがマイケル・ルイス。
この人の描く人物像って、一味違う。
どこがどう違うのかうまく言えないんだけど・・・
序盤の次の文章は笑ってしまった。
「四十三歳になったいま振り返ると、十二歳というのは "年齢" より "病気" に近いような気がする。」
まさに、日本にも中二病という言葉がありますよーと教えてあげたくなった。アメリカ人の方が2年早くかかる病気なんですかね。
この本で描かれている「コーチ」は、かなり気性の激しい怖い人物なんだけど、マイケル・ルイスが本にしたとか関係なく、コーチの真意はちゃんと多くの子供たちに伝わっているところがすごい、と思った。
やっぱり、人間って、ある種の真実や誠実さや偽りのない思いみたいなものは、目に見えなくてもちゃんと感じることができるのかなぁ。たとえ子供でも。
過保護の傾向が年々、急速に高まっている、と校長の言葉が引用されていたけれど、日本だけじゃないんだと驚いた。
世界的な傾向なのかな。
どうしてなんだろう。不思議。
昨今の私たちの価値観を方向づける何かに、そういう傾向を強めるものがあるんだろうか。
それとも、個人主義が進むとそうなるのかしら。
いずれにせよ、すごく興味深いと思った。
以前読んだ、英語学習書に引用されていたニューヨークタイムズの記事「成功する子供に育てるには」(Raising Successful children)が思い出される。
探したらネットにまだあった。英文だけど。
https://www.nytimes.com/2012/08/05/opinion/sunday/raising-successful-children.html
親の手助けは、どこまでが必要なもので、どこからが「過保護」になるのか?ということを論じている文章。
タイトルの「成功する子供」という言葉の定義は人それぞれだと思うのでいったんおいておくとして、「過保護」と、いきすぎではない「普通の保護」との線引きが私にはずっとあいまいだったけど、それがこの文章を読んで割とすっきり腑に落ちた気がして、非常に印象に残っている。
このコラム中に、「親が、子供の大学進学について、”私たちは” コロンビア大学に願書を出したんです、というような言い方をしている時は、かなり顕著な過保護の兆候」と書いてあってちょっと笑ってしまった。
いますよね、提出物とか申請書とか全部書いてあげちゃう親。
でも、自分のこととなるとなかなか客観的になるのは難しいのも事実。
私がもしこの本のコーチの指導法を直接見ていたら、やっぱり「やり過ぎ」って思って、口出しちゃうかもしれないな。
そもそも根性論大嫌いだし・・・・
私は、この本の多くの子供たちみたいに、先生の真意をちゃんと理解できる人間なんだろうか。そこがすでに怪しい。
そういうシゴかれた経験がないから、私は嫌なことがあるとすぐ逃げ出したくなっちゃうのかもしれない、と思うと、ぐうの音も出ない。 -
野球という競技を通して、人間性を育てたフィッツの物語。
疑問に残るのは、フィッツ自身は時代の流れに応じて、自身のスタイルを変えているのかということ。
本書にもあったように、鬼コーチが自身の雰囲気や口調、態度で子供たちを制するのは簡単なことかもしれないが、それは今の時代に果たして合っているのだろうか?
もしそれが合ってないのだとしたら、人間性というものはどのようにして育てていくべきなのだろうか?
コーチという仕事、立場に関して改めて考えさせられる一冊でした。
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エディー
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こういう本を読んだときは、わたしは自分を〈コーチを賞賛する側の人間〉だと思いたい。実際こんな人生の師に出会いたかった。けれどきっと言及されている現代の生徒側に近い。何かを理不尽なカタチで押し付けられるとき、納得するには多くのことを必要とする。その「多くのこと」、がコーチの「人間」におさまるなら、この物語のようになるだろう。
ーーーーーメモメモーーーーー
人生で勝てない二つの難敵、不安と失敗、それらに相対したときどう行動するか。一人前になるためには、逃げずに戦うこと。 -
前作の「マネーボール」のヒットなどでも知られる、ベストセラー作家のマイケル・ルイスが、雑誌編集者の方に「もし、なんでも自由に書いてかまわないと言われたら、何を書く?」と聞かれたことから生まれた作品であります。そこで思いついたのが、高校時代に野球を教えてくれたコーチ(ビリー・フィッツジェランド)通称フィッツの事を書こうと。著者に人生を変えてくれたとまで言われたこのコーチ(フィッツ)を通して、指導者として本当に大事なこととは?そして、昨今の教育現場において教育の根源にかかわるような問題が起きているということ。色々と、気づかされました。
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フィッツは野球のコーチという職業を通して、子供を人間にしていく情熱的なコーチです。
ただひとりで信用を勝ち得て社会で生きていくためには、一人前になる必要がある。
すべての子供に、その一人前のスイッチがあり、オンにする方法は違う。フィッツの言葉、理念、情熱がほとばしってきて、つらい逆境に置かれても逃げ出すものか、と心に決めることができる。 -
短編であったせいもあり、あっさりと読めました。「勝つことよりも大事なことがある。」僕の人生を変えてくれた大事な人。そんな人生のコーチに出会えることは幸せですね。
人生の難敵ーーー大きな敵2つにどう立派に戦ったかにかかっている。この二つには絶対に勝てないのだから。
やはり本は読んでいくべきだと思わされた本でした。半年ぶりに本プロにおじゃまします。 -
(2005/5/26)
コメント遅ればせながらで恐縮ですが、Raising Successful Childrenの記事がとても納得感があったのでお...
コメント遅ればせながらで恐縮ですが、Raising Successful Childrenの記事がとても納得感があったのでお礼をしたくコメントしました。
幼馴染が親との関係に悩んでいるので母娘関係の本を少し当たっていたのですがあまりぴったりくるものを見つけられていませんでした。overparentingの説明を読んでこれだ…となりました。
お言葉、とても嬉しくありがたいです。(自分では他の方のコメントの読み...
お言葉、とても嬉しくありがたいです。(自分では他の方のコメントの読み逃げしかしてないだけに恐れ多く・・・)
私もあの記事には非常に納得感があったのですが、でも子育てなどの正解って人によって違うので、難しいですよね。(私とshokojalanさんはその点に関しては近い価値観なのは確かですね)
幼馴染さんの心が軽くなるといいですね。
いずれにせよ、悩みを自分のことのように一緒に考えてくれるshokojalanさんのようなお友達がいる幼馴染さんは本当に幸せ者です。