マララ 教育のために立ち上がり、世界を変えた少女

  • 岩崎書店
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感想 : 27
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  • Amazon.co.jp ・本 (292ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784265860135

作品紹介・あらすじ

女の子が学校に通う権利を訴え、タリバンに襲撃され重症を負ったマララ・ユスフザイさん。
いまイギリスで暮らす彼女が若い読者に語りかけます。
幼いころの思い出、家族のこと、タリバンの侵攻、命をかけて訴えてきた「女の子が学校に通う権利」、襲撃を受けた「あの日」のこと、そして故郷から遠く離れて暮らす現在。
信念を持ち続けるマララさんにだれもが心を揺さぶられます。

感想・レビュー・書評

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  • ノーベル平和賞をもらってから、だいぶ経ちますが、今更ながら読んでみました。
    イスラムの世界が疎遠なこともあり、マララが当時、話題に上がったときも、世界には大変な中で生きている子もいるのだななんて、自分には縁のない遠い世界のこととして捉えていたと思います。
    しかし、この本を読むと、こんな壮絶な世界の中で毎日を生きている人たちがいるのだということを改めて実感しました。タリバンの支配下の中で女性が生きていくことの厳しさは、なんともいえないです。
    17歳でノーベル賞を受賞するだけあって、こんな本を出せるマララという子は本当にただ者ではないと思います。

  • 読書感想文全国コンクール高校の部課題図書。
    ページを開いてびっくり。
    字が大きい。ふり仮名つき。
    これ小学生でも読めるじゃん。

    読んで納得。
    小学生でも読めますが、高校生にも読んでほしいと思います。

    マララが生まれたパキスタンでは、男の子が生まれると盛大にお祝いしますが、女の子が生まれても誰も祝福してくれないのだそうです。
    そんな中、マララのお父さんは心からマララの誕生を悦び、過去300年にわたって女性の名前が記されたことのない家系図に、マララの名前を書き入れました。

    マララの、信念に基づいた行動力の元は、父に愛されている自信なのだと思いました。

    けれど彼女の周りの女性たちは、男性の家族の付き添いがなければ外に出ることができなかったり、小学校を終えると結婚させられたりと、男性とは全然違う人生を送ることを強いられます。
    優しくて賢いマララのお母さんも、字を読むことは出来ません。

    “クシャル学校の塀のなかでは、知識の翼に乗って飛べた。女の人がひとりで外を歩いてはいけないといわれる国で、わたしたちは、本のページの中で広く世界じゅうを旅していた。多くの女の人が市場で値札を読むのにも苦労している土地で、わたしたちはかけ算もできた。女の子がティーンエイジャーになったとたんに顔をかくし、遊び仲間だった男の子たちの前から姿を消さなくてはいけない国で、わたしたちは風のように自由だった。”

    敬虔なイスラム教徒であったとしても、それでも女性だって勉強がしたい。
    そのマララ達の声を踏みにじったのがタリバンです。

    それはアフガニスタンに跋扈する一部のイスラム原理主義者たちであったはずなのに、いつのまにか自分たちの周辺が、タリバン達のテロによって息苦しいものになってきます。

    アフガン大地震の影響でパキスタンも甚大な被害を受けた時、真っ先に駆けつけ支援したのがタリバンたちだったのです。
    アメリカ軍や国連の人たちがやってくれなかったきめ細やかな支援に、パキスタンの人たちは救われた想いだったのでした。

    だから、マララ達の主張の方を悪であると思う人たちも大勢いました。
    それでも勉強したいという彼女たちの心からの思いは少しずつ広がっていきます。
    だから彼女は狙われました。

    “どうしてタリバンは、学校をそんなにおそれるの?”

    人々を従わせるためには、余計な知識を持たせないに限ると思っている人は確かにいます。
    けれどマララは、学ぶことは楽しいというだけではなく、教育を受けられない人は結局貧困から脱出するすべをもてないと言います。

    タリバンに殺される人が多数出る中、マララは自らの声を世界に発信することを決めます。
    父は「タリバンといえども子どもを殺すことはないだろう」と信じていました。
    母は「嘘はほろびなくてはならない」「真理をかくしてはならない」と娘を応援します。

    しかし、学校帰りにマララは襲撃されます。
    瀕死の重傷を負ったマララ。

    “タリバンは、私をだまらせようとして襲撃した。ところが、どうだろう?今、全世界がわたしの声に耳をかたむけている。”

    気持ちの強い子です。
    アメリカでオバマ大統領に会ったとき
    “大統領への敬意は忘れなかったと思うけれど、パキスタンでの無人爆撃機を使った軍事作戦には反対だと伝えた。悪い人をひとり殺すために、罪のない人が何人もまきぞえになり、かえってテロリズムを広げてしまうから。もし、アメリカが兵器や戦争に使うお金を減らして、教育にもっとお金をつぎこめば、世界はもっとよくなる、とも話した。”

    でも弟と喧嘩をしたりもして
    “わたしは、世界の言論の自由と人権のために活動しているけれど、弟といっしょにいるときには、正直いって、独裁者も悪くないと思う!”
    ごくごく普通の女の子なのです。

    この本を読んで、当たり前の生活ができることに感謝しろとは言いません。
    でも、こういう生活、こういう生き方があるってことも、知ってもらいたいと思いました。

  • 今さら読んだ本。
    当時とても話題になったのでニュースでは知っていたけれど、本では初めて読んだ。

  • マララさんがどのような人でどのような活動をしてきたのか知りたくて読みました。
    女子が教育を受けられないことが当たり前で、学校に通うと脅されるような環境の中、強い意志を持って自身の考え(誰でも教育を受ける権利がある)を貫いており、素晴らしいと思った。また、とても勇気のある女の子だと思った。
    マララさんのように現状を諦め適応するのではなく、おかしいことに声を上げられるようになりたいと思った。また、そういう人が増えれば世界はより良くなるのだろうと感じた。

  • 5時間で読破!

    マララさんは素晴らしい考え方と行動力を持っている。自分に危険が及ぼうとも、信念を貫く姿に感動した。

    こんな風に生きれたら、自分の人生を無駄にしないなって思った。

    勇敢だけど、謙虚。
    勇気いただく本ですね。自分も、今自分がおかれているフィールドで頑張ろう。

    そして、お父さま、お母さまが素晴らしすぎる。家族愛にも感動。

  • マララは賢くて本当に本当にbrave!!!!そんな人格を形成した教育や読書、そして親の愛の力に感動する。

  • ノーベル平和賞を受賞したマララさんの自伝。まさに彼女の言葉で書かれたシンプルな文章の力強さに圧倒されました。
     この本の前にマララさんの国連での演説とジャーナリスト石井さんの文章からなる絵本を読んだけれど、今一つ響かなかったのです。その理由がこの本を読んでわかったような気がします・・それは、私が平和な日本のものさしで見ていたから。

     マララさんは教育が必要だと訴えます。なぜなら、日本では考えられないような思想がはびこっているから。映画をみてはいけない、ダンスもいけない、女の子は家にいないといけない、でなれけば神が我々を懲らしめるためにまた地震を起こすだろう・・。
     そんなバカな、ということが現実に起きている。そのためにも教育が必要だと。女の子であるというだけで勉強の機会を失われるなんておかしい、と声をあげたのです。
     はっとさせられるのは、マララさんは「ネットが普及し外国の情勢を知った上で比較し、判断しているのではない」ということ。自分のまわりで起こっていることに対して自分で判断していたということ。
     実際、タリバンに襲撃されて治療のため渡ったイギリスで初めて、外の世界からみた自分を認識しているのです・・私たちはその随分前から彼女の行動を知っていたはずだけれど。
     どうしたらこんな信念の強い子どもが育つのかしらん・・と思っていたけど、やはりご両親あってのことだと納得。弟たちとのやり取りをみていると本当に普通の女の子なんだとホッとしました。あまりに大きなものを背負いすぎているような気がしていたから。

     命をかけて教育の機会が欲しいと訴えたマララさん。訳者の道傳愛子さんは「日本に住んでいる私たちには何ができるでしょうか」と問いかけています。読み書きができる私たちにこそ、よりよい世界をつくるために力を貸してほしいと思っているに違いありません、と。
     小5の娘が先にこの本を読み、図工の読書感想画の題材に選びました。残念ながら私たちの世代では解決できそうにないこの問題。これからの世界を担う子どもたちに、こういう視点をもって日本を、そして世界をみて欲しいと思います。

  • 2020年4月30日
    イスラムの教えを曲解しているタリバン。
    神様が悲しむと思う。
    学校や町を破壊することがなんで教えを守ることになるのだろう。
    それを信念を持ってやるなんて考えられない。
    このがんじがらめの中、立ち上がるマララさんの勇気はとてつもない。
    長いものにはまかれろ のこの世界の中で危険を顧みず声を上げる勇気はすごい。
    頭のかたい女の子かと思っていたが、ユーモアを忘れない文章に驚いた。弟たちとのこどもっぽい兄弟喧嘩も普通の子ども、普通のおうちだった。
    普通のことが通るパキスタンになって欲しいと、応援したいです。

  • ほんと、マララってすごい女の子。
    でも、ご両親もすごい。

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著者プロフィール

女性人権活動家。「女の子にも教育を、学校に通う権利を」と訴える。タリバンによる狙撃被害から一命をとりとめ、その後も教育のための活動を続けている。14 年ノーベル平和賞受賞。

「2020年 『マララが見た世界 わたしが出会った難民の少女たち』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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