オープンダイアローグ 私たちはこうしている

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  • Amazon.co.jp ・本 (196ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784260048033

作品紹介・あらすじ

はじめの一歩を踏み出すために。オープンダイアローグは面白そう、でもどこから始めたらいいのか分からない――そんな疑問にまっすぐに答えたのが本書です。具体的な声のかけ方・応答例から、対話セッションの進め方や臨場感あふれる実事例まで、著者と仲間たちがいま実際に日本の臨床現場で行っていることを包み隠さず紹介しました。対話を開く「工夫」や「アイデア」に満ちた本書を頼りに、オープンダイアローグの「はじめの一歩」を踏み出しましょう!

感想・レビュー・書評

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  • やわらかく、わかりやすい言葉で、具体的に紹介されていて、とても読みやすかったです。

    実際の場を経験して学ぶのが一番なのだろうけれど、そういう場が持てない私には、とても助けになりました。

    「本人は誰か」
    という観点が新鮮で、はっとしました。

    読み進めていくうちに、思い込みや垣根が、やわらかく払われていくような感じがしました。

    読みやすく、読み返しやすい、いつでも手に届く場所に置いておきたい本です。



  • 実践的な例を挙げて、とても分かりやすく書かれている。
    けれど、このやり方が定着するには、個人の努力だけではどうしようもないと思う。
    森川すいめいさんが100人以上いないと!
    日本がフィンランドに近づける日は来るのだろうか。

    読みながら思ったのは、精神疾患の有無にかかわらず「対話」はとてもとても大切だということ。
    自分自身を振り返っても対話が足りていないなあ、と実感。
    かなり前に書かれた平田オリザさんの「対話のレッスン」からも、その必要性を感じ取れるが、オープンダイアログでその重要性が指摘されているのは、新鮮なようだが、みんなそろって「ボーっと生きてる」ようでもあり。

  • 【配架場所、貸出状況はこちらから確認できます】
    https://libipu.iwate-pu.ac.jp/opac/volume/566395

  • 『感じるオープンダイアログ』に続いて読んでみた。
    手法の解説というよりは、その中で感じることについての記録。

    7章「対話的な組織になるために」が大事。これをあちこちのさまざまな分野の実践者たちが書き足していくのがいいのだろう。

  • すごく勉強になった。

    以下引用

    人を人として尊重した、ただの対話でした

    診断や治療だけでは、困難に直面した人たちを助けられないことを知っている

    精神医療の現場には、人の話をじっくり聞く時間はほとんどない

    その人たちのことを理解するためだけに、その人たちが話したいと思うことを聴く、そして話す

    ケロプダス病院では、いくつもの選択をしてきた。助けを求める側に、病院の仕組みに合わせてもらうのをやめて、多様な困難な状況に応じて、病院側が変化し続ける


    ★自分の人生を決めるような大事なことが、自分のいないところで決まり、その決まったことに対して従うのか、従わないのかが問われ、従わないといえば、強制的に従わされる。

    ★当人のいないところで、治療方針を決めない

    その人や家族が何に困っていて、どうしてほしいのかというニーズを聴く

    ★その人のいるところで、話をして方針を決める

    困難を抱えた本人や家族の気持ちをシェアするという点において

    脱施設化

    診断と治療方針を立てるために、話を聴くのではなく、その人のニーズを明らかにするために聞くもの

    need adapted approachは、困難に直面した人たちのニーズを明らかにして、いろいろアイデアを出しつつ、選択肢を広げ、そうしていきたいかを専門家と一緒に探す試み、ODは、困難に直面した人たちと専門家を交えた対話をする試み

    ODのゴールは、対話そのもの

    専門家が聞きたいことや、診断や治療のために役立つ情報ではなく、患者が何に困り、何を相談したいかをきく

    その人のいないところで専門家だけで話をすると、専門家の頭の中だけで解釈がすすんでしまう

    支援する人、される人と言う関係があると、つい支援する人がより知っていて、より正しいとか、従わないのは悪いことだと思ってしまいがち

    支援側が思うゴールと、当人が望むゴールは異なって当然

    両親が話しているのは、両親から見えている子どもにすぎない

    こどものことをずっと話す家族は、自分の気持ちを話すことを忘れている

    同じ意見ならいないのと同じ

    患者の話を聴いていると、それはこういうことではないか、ならばこうしたほうがいいのではないかと思うことはある、でも何か良いアイデアが浮かんでしまった時は、その場にとどまっていなかったときでもある。

    私の思ったことは間違っているかもしれません、違ったときは、教えてください。ひとつの見え方を話しているという意識を持って伝える

    チェックインの大切さ

    自己紹介を2回くらいするくらいの丁寧さでい
    。それをしないと大けがのもと

    願ったけれど、そうなるようにコントロールはしない

    話すことと聴くことを分ける

    順番を決めない

    話されたことに対していくつかピックアップして、そこにジャッジメントを加えることはだめ
    →それはだめ、よくない考えだ、そんな話は甘えだ、社会はもっと厳しい、、、


    話されたことは、こういう理解であっていますでしょうか?という質問が大事

    リフレクティングでやってはいけないこと
    分析、客観事実っぽい話、批判、ジャッジメント

  • オープンダイアローグとはゴールや目的を決めた対話ではなく「ただ対話すること」。
    だからこそお互いの言葉にジャッジせず無条件に寄り添わないと成立しない対話なんでしょうね。

  • 現場でオープンダイアログの実践を行っている著者の実践的な本である。オープンダイアログは対話実践であるが、単純なモノこそ奥は深い。著者が日本の現場で工夫していることを具体的に述べられており役に立つ。著者の人柄がほっこり感じられる読後感で、これもこの著書が対話にあふれているからかもしれない。

  • オープンダイアローグを行ううえで大切にされていることは、臨床現場だけで通用するものではなく、むしろ、日常に取り入れていくことで、身近な人との関わりをなるべく心地よいものにするものもあるように感じた。

  • オープンダイアローグの本はたくさんある中でも、実際に実践している著者の「実際のところ」がていねいに書かれた本。戸惑いながら実践していく中で、ひとつひとつ思い出したいことがたくさんあった。

    実際のところ、なので実際的な内容が多いが、それでも感情的にぐっとくるところがいくつかあった。ひとつは著者がビルギッタ氏に質問して食い下がり、「NATとは全く違う。オープンダイアローグでなければならなかった!」と言われるシーン。そしてもうひとつ、私たちの勉強会でも語り合ったことのある「Tolerance of Uncertainty」が題された小節に「あきらめない」という語が付されていたところ。ケロプダス病院の人々がたくさんのことに悩み、つまずき、それでもあきらめなかったから今があることに、日本にいる私が感銘を受けている。私の実践は、これからどうなっていくだろうか。

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著者プロフィール

精神科医

「2021年 『オープンダイアローグ 私たちはこうしている』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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