ケアする人も楽になる マインドフルネス&スキーマ療法 BOOK2

著者 :
  • 医学書院
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  • Amazon.co.jp ・本 (200ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784260028417

作品紹介・あらすじ

慢性的な“生きづらさ”に悩む看護師のマミコさんが、カウンセリングルームにやってきた――認知行動療法を超えて効果がある2つのアプローチ、「マインドフルネス」と「スキーマ療法」を、マミコさんと一緒にカウンセリング体験できるのが本書です。BOOK1はマインドフルネス中心、BOOK2はスキーマ療法中心。読み進めていけば、これらの技法が自然に理解できるようになっています。

感想・レビュー・書評

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  • BOOK1とBOOK2の2冊にわけて「マインドフルネス」と「スキーマ療法」について解説した本。
    どちらも読了したので、BOOK2に感想を書くことにします。

     本書は架空のクライアントである”マユミさん”と著者のカウンセリングを想定して作られた、「実際にやるならこんな感じですよ」を読める一冊です。
     BOOK1の冒頭にそれぞれの療法について、ざっくりとした(しかし分かりやすい)解説があり、BOOK1は主にマインドフルネスについて、BOOK2でスキーマ療法について解説されています。

     スキーマ療法という言葉だけは(何故か)聞いたことがありましたが、実際にどういうことをするのかまでは知らなかったので、とても勉強になりました。
     専門用語も出てくるのですが、想定されている読者がセラピストだけでなく、当事者も含まれているからか、平易な言葉で解説されていたり、「実際に一人で取り組むとしたらどうしたらいいか」ということまで書いてくれていて(椅子を使った対話のワークなど)、とても良心的に感じました。

     本書で言われているとおり、感情やスキーマ(今までその人が生きてきて獲得した価値観のようなもの)が膨れ上がってどうしようもなくなる前に対処するのが良いと思いますし、その点で言えば「今本当に困っていてどうしたらいいか」と悩んでいる方は勿論のこと、「なんだか生きづらい」「どうも人間関係において同じことでつまづく気がする」という方にも、ひとつの考え方・対処法として、読んでみられるといいのではないかな? と思います。

     横書きでカラフルなイラストも多く、「学びの書籍」という感じをゴリゴリに押し出していないところがとてもいいですね。
     同著者の『自分でできるスキーマ療法ワークブック』も機会があれば読んでみたいです。

  • スキーマ療法の具体的な方法について。

    読み終えて感じるのは、実際にスキーマ療法を行うと決めた場合、1人でこれを達成するのは非常に難しいと思うが、それよりも、自分の中に「このようなスキーマが存在する」と認識するだけでも大きな進歩になるように感じた。

    自動思考よりも深いところに存在するスキーマを把握することで、自らの行動や考え方のパターンが、「自分のせい」ではなく「自分が持つスキーマのせい」として切り分けて考えることができる。これは非常に重要で大きな違いだ。

    私たちは何歳からでも自分を変えることができるし、少しでも生きやすい自分自身のスタイルを、自分の手で作っていくことができる。そんなふうに背中を押してもらえたり、新たな発見をくれる本。

  • BOOK1に続いて本書で事例を通じたスキーマ療法を学ぶ。まずはストーリーとして読んだ。
    後は一つずつ流れを確認していきたい。

  • いよいよ核心であるスキーマとの対峙。

    マキコさんの育ってきた環境は壮絶で、いただけないものだとしても、こうしたスキーマを作り出すことで、なんとか自身を保ってきたというのは本当なのだろう。

    生兵法はケガのもとと恐れつつも、こうしてスキーマをリセットして入れ替えることが、能動的にできるなら、なりたい自分になるための、アクチュアルな方法にできるのだろう。

    建築に関心のある私は、椅子が、スキーマを自我から独立した存在として切り分けるための道具として使われている点が興味深かった。

  • わたしはイマイチ内なるチャイルドにぴんと来なかったので、認知療法のコラムに集中的に取り組んでいこうと思った。

  • いよいよ知りたかったスキーマ療法。

    以前リズ・ブルボーさんの「五つの傷」という本を読んだけれど、それとよく似ていた。
    人は幼少期から関わる大人たちの影響を受けて育つが、その時に受けた傷が大人になってもひきづってしまっているという話で、
    このスキーマ療法では、「中核的感情欲求」を満たしてもらえないまま育つことで18この早期不適応スキーマが形成されるとされている。
    そして、そのスキーマが反応することで行動としては4つのモードに現れる。

    このスキーマとモードの関係が、五つの傷の傷と仮面の関係に似ていた。

    ただ、スキーマ療法と五つの傷の違いは治療法。
    五つの傷は、過去の自分を振り返って、傷つけた相手も苦しんでいたんだと共感的になり、相手も自分も許すことで傷が癒せると主張している一方、
    スキーマ療法では、傷つけてきた相手を別に許す必要はない。過去の辛い体験を思い出すのではなく、その時にタイムスリップして、当時の自分を現在の大人な自分の立場から癒してあげることで、辛い記憶を塗り替える作業を行うことがメインとしていた。
    それ以外にも様々な方法で早期不適応スキーマを癒すのだけれど、この傷つけられた相手を許す必要がないという点が、個人的にはとても腑に落ちた。
    傷つけられて、しんどくて、苦しくなっているのに、相手を許せってなかなかできない。軽い傷であればできるかもしれないけれど、社会生活に影響するほどの大きな傷ならなおさら受け入れられないもの。だから、相手を許す必要のないこの方法は自分としても受け入れやすかった。

    これから、自分自身の傷を癒して実践してみよう。
    ちなみに18こある早期不適応スキーマの中で自分の中でかなり高い割合を示していたのは以下。意外と多いなぁ…

    見捨てられスキーマ
    欠陥スキーマ
    孤立スキーマ
    服従スキーマ
    自己犠牲スキーマ
    褒められたい、評価されたいスキーマ
    否定悲観スキーマ
    感情抑制スキーマ

  • 人の生きづらさを考える上で必読の書。一般的な認知行動療法と,その中でのマインドフルネス,スキーマ療法の相互関係が分かりやすく書かれています。

  • 一巻に引き続き事例がわかりやすく学べてよい。参考図書の提示もあり役立つ。
    二冊とも、いっぺんに読んで理解する類いのものではなく、実践のそばに置いておき何度も伴走させ身に付けていくような本。

  • BOOK1で始まったケースの具体的な対応についての紹介。
    展開の進め方が理解できる内容でした。

    スキーマ療法について、もっと知りたくなりました。

  • マインドフルネスを学ぶと等身大の自分の姿が見えてくる。生きづらい等身大の自分を乗り越えるためにスキーマ療法に取り組む。2巻では1巻の事例がスキーマ療法を進めいていく実際が見れる。スキーマ療法に取り組むことで人は変わっていけるということをドラマティックに紹介されている。そのためのスキルが用意されている。あらためてわかりやすく、これから更にスキーマ療法を学んでみたいと思わせてくれる本であった。著者の本当の意味での健康さとバランスの良さを感じた一冊であった。巻末に引き続き勉強を進めていくための簡潔な書籍紹介があるのも好意的に感じた。

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著者プロフィール

公認心理師、臨床心理士、精神保健福祉士。洗足ストレスコーピング・サポートオフィス所長。専門は臨床心理学、ストレス心理学、認知行動療法、スキーマ療法。2004年より認知行動療法に基づくカウンセリングを提供する専門機関を開設。

「2023年 『攻略!きみのストレスを発見せよ!』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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