- Amazon.co.jp ・本 (336ページ)
- / ISBN・EAN: 9784260013345
感想・レビュー・書評
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春日武彦は神経症や人格障害の感情や気分を言語的に表現するのが本当に上手い.
おそらく自分にもその心性があることを十分に理解していることと、豊富な臨床経験、文学についての膨大な知識があるためであろうと思う.
ところどころに見られる臨床のtipsの様な、考え方のようなものには大いに参考になるものが多い.詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
医療従事者が文学をも生業とすることは結構あって、なんとなくその理由がわかるような気がする本。患者を理解するのに、合理的な、検証済みの研究成果を当てはめるだけでは十分ではなく、それを超えた領域でないと理解しがたいことがあるんだろう、ということ、そして自身の救済のためなんだろう、と思った。そこに芸術の本質的な意義があるんだろうな。
精神科というのは本当に過酷で、色んな事例を読むと割と苦しくなる。そこに詩が、出てくることで、急にそこから視点がずれて逃れられる感じ。
それにしても、結構口が悪く、先生も人間なんだな、と改めて思う。
で、この本は前から本棚で見かけるたびになぜか目に入るなあ、と思ってたんだけど、最近私が気に入って読んでる穂村弘さんとの対談集を出してた。なんか、琴線に触れる部分があるんだな。 -
春日武彦氏のエッセイというか文章を読むと言葉で疲れが癒えるとはあるのだなと思う。声を出して笑う。また、やるか。と思える。
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この人はいつも読ませる文章を書く。前半は統合失調症者の言動を詩になぞらえて表現、後半はパーソナリティ障害者の表現し辛い心理をうまく表現している。このように表現できればと思うが、真似が出来ないところが辛いところである。一般の人や初学者にも読みやすい本だろう。
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春日先生の著書はいずれも大変おもしろい。本書では、以前よりも温かいエピソードが多かったような気がする。「やさしい心」「不意の言葉」の章が印象に残った。
どちらかと言えば露悪的な語り口が絶妙なのだが、それだけにふとこうした慈しみがにじむような筆致は味わい深い。 -
資料ID:21100839
請求記号: -
前半は看護学雑誌の連載もので自由なエッセイ、後半は論考集という二部構成。前半のエッセイが特によい。混沌とした患者の世界の描写と、ほんのり温かい薄明かりのような言葉の数々。混沌の世界に付き合いつつ、ちらちらと覗かせる著者の現実主義的な面も魅力的。そうして創り出された言葉が、患者にどんな変化をもたらしたのかについて、「わからない」と言い切ってしまう著者の態度が、むしろ潔くておもしろい。
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未読。同僚の心理士からオススメされたので読んでみようと思う。
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11/06/10。精神科の医師になってよかったなぁと思わせてくれる作品。