タネの未来: 僕が15歳でタネの会社を起業したわけ

著者 :
  • 家の光協会
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感想・レビュー・書評

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  • まず、タイトルに「15歳で起業」とあり、その若さに驚いた。同時に、著者がどうして起業しようと思ったのか、どんな会社なのか興味がわいた。

    小林宙さんは、伝統野菜を守り未来に残していくために起業した。ふぅ〜ん、伝統野菜ね〜って思ったけれど、本文を読んでみて、彼はもっともっと深い思いがあって起業したんだと感心した。

    彼は、タネを集めるのも、野菜を育てるのも大好きだ。大好きだから、タネに関することや、野菜作りに関することについて、すごく勉強している。自分で土作りからこだわり野菜を育てているし、関連する書籍を読んだり、種苗屋さんなど大人に話を聞いたり…。
    とにかく彼の知識欲や行動力は15歳とは思えない。

    私は、この本を読んで初めて、タネの大切さを知った。私たちの食を守っているタネが、いま危機的な状況に向かっていることも知った。
    食の安全というと、国産か輸入品かにはこだわっていたけれど、野菜になる前のタネを守ることが大事だとは考えもしなかった。

    タネについて、たくさんの人に知ってほしいと思った。

  • タネの未来
     僕が15歳でタネの会社を起業したわけ

    2019年9月20日 第1版発行

    著者:小林宙(こばやし そら)

    発行所:一般社団法人 家の光協会

    カバー袖より
    いつか消えてしまうかもしれない、タネの話


    978-4-259-54771-4.C0095.
    4-259-54771-4

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    ---------------
    目次
    はじめに

    1 タネについてかんがえてみる
    もしもこの世界からタネがなくなったら
    食べ物のタネは普通のタネと全然違う
    じつは僕は尾尻なるのトマトを栽培している
    メンデルの法則が、F1というハイブリッド品種を生んだ
    僕は遺伝子組み換え作物を倫理観では語らない
    GM作物が起こしうる棍らあんいっちて想定しよう
    タネをとってはいけないという法律がある
    タネを作る人の権利とタネをとる人の権利
    パッケージ販売というGM作物の儲けの構造
    こうして地球からタネが減っていく

     2 伝統野菜を守るために
    世界にはまだ知らないタネがある
    伝統野菜のタネを未来に残したい!
    タネは一体どうやってつくられるのか?
    タネを巡る旅はやめられない
    僕の放浪癖の原点は夜逃げのような家族旅行
    多様性を守ることは僕たちの生存戦略だ
    タネがなくなれば、食文化もなくなる
    仕入れたタネをそのまま売るという信念
    苦い水菜が教えてくれた僕の本分

     3 事業を立ち上げる
    念願の開業届を提出するまでの日々
    屋号「鶴頸種苗流通プロモーション」の意味
    オリジナルのタネ袋に込めた思い
    タネは、あえておいてなさそうな店で売る
    直接タネや野菜を売るときの僕の流儀
    鶴頸種苗流通プロモーションのこれから

     4 タネとの出会い
    2年目のアサガオがうまく育たなかった
    忘れていたドングリが、いつの間にか目を出した
    花から野菜へ、そして裏庭から屋上へ
    昔の農業書は学びと笑いで満ちている
    屋上を飛び出し、ついに畑に進出
    世界が大きく広がった専門家との出会い
    農業界はたぶん、いいほうへ変わっていく

    コラム
    ①僕の学校生活
    ②家族が語る僕の事
    付録:おすすめの伝統野菜
    終わりに
    寄稿:小林宙の宇宙 藤原辰史
    ----------


    表紙をめくると、学生服の少年の写真
    屋上の農園での一枚で、「この本に2時間だけ貸してください!」とある。
    読むのも理解するのも遅いせいか、2時間では読み終わらなかったけど、読んでよかったなと感じました。

    普段食べている野菜が、日本の国では守られなくなっている、コロナだったり、戦争だったりで日本の食は危ないのだとひしひしと感じることが多くなった。
    添加物の規制の緩さ、農薬、肥料の規制の緩さ、霞が関の偉い人たちは農民も国民も守る気はないようだ…。

    自分は何一つできそうもないが、こういうことをしている日本人がいることを、知るのは悪くない。

    自分がしたいこと、そのために自分が何をすれば有効であるかという考え方ができるとは、名前の通りスケールの違うものの見方をするんだな。

    日常的に、自分のやりたいことや、考えていることを言葉にして周りに話している。大人も子どもも家族も友人、知人・・。夢は口にする方が実現するという。話せる環境と真摯な態度が、協力者を増やす。他人様に知ってもらい、気にかけてもらい、応援してもらうと大きな力になる。

    私もぜひ応援したい。

  • 星は、高校生として、だったら5つでもいいと思う。
    15歳で企業し、17歳で本を出す、という経歴だとスーパー高校生という感じだし、実際頭もかなり良いのだとは思うが、彼のやっていることはプログラミングが得意な高校生がクラウドファンディングで出資者を募ってIT企業を起こすっていうのとはやはり違う。
    まず、企業理由が、自分の能力を試したいとか、利益を上げたいというのではなく、ほっとくとこの世からひっそりと消えていく種を残したい、というところ。今は地球温暖化が言われているが、彼は次の氷河期まで見据えている。温暖化で、暑さに強い野菜の種が重要視されているが、いずれ寒くなった時、寒さに強い品種がなければ大変なことになる。企業は当面の利益しか考えず、ことにGM作物を握っている、農薬を売りたい巨大企業(モンサント、デュポン、バイエルなど)が真剣に地球の未来を考えているとは思えない。
    彼のやっていることは蟷螂の斧かもしれないが、それでも、何もやらずに嘆いているよりずっといいのだし、協力者も増えていくだろう。
    彼がいいのは、GMとかF1とか、環境保護を訴える人たちが槍玉にあげたくなるようなことも、はなから否定はせず、良い面、悪い面を冷静に見ているところ。それから、本当に立派な人はそうであるように、謙虚であること。
    まだ高校生だし、将来は全く違うことを仕事にするかもしれないが、それはそれでいいと思う。この若さで高い理想と地道な努力で行ったことは、きっと違う仕事でも役に立つ。大人が道を決めないでほしい。彼が、コミュニケーション能力の高い世渡り上手タイプではなく、人見知りはしないものの、朴訥とした研究者タイプなのも好感がもてる。
    日本にこんな少年がいることが誇らしい。人間としてそんじょそこらの大人よりずっと立派だ。明るい気持ちなった。

  • 「13歳からの差がつく読書術」で紹介されていた本

  • 純粋な好奇心から始まり社会的なミッションに繋げていくというプロセスが生き生きと伝わってきて、胸を打たれた。本人にも感心したけど、子供の興味感心に寄り添い、支える両親の姿勢もすごくいいなと思った。そういう育てられ方を経験しなかった分、自分が親になった時はそうしたい。

  • 15歳で起業した著者が、高校2年生で書いた本。
    彼は、日本古来の伝統野菜のタネを集め売っている。
    それは、利益を求めているわけではなく、大切な古来からのタネを絶やさず、保存することを目的としている。
    今、私たちが食べている野菜のほとんどは、F1種というもので、次世代を育てようとしても、そのタネからは同じようなものが育たない。
    そのため、農家は次世代を育てることはせず、毎年新しいタネを購入している。
    つまり、農家がタネを自分たちで取るということはほとんどない。
    種苗会社が独占的にタネを扱っているという状況なのである。
    そのような状況は憂うべきである。
    種苗法についてなど、複雑な話しもあるが、とても分かりやすい。
    内容はもちろん、著者の高校生らしからぬ文章や語彙力にも関心した。

  • 伝統野菜のタネを流通させ、守るために中学三年生で起業した現在高校二年生の著書。タネは専業農家がいて、他の首都高号しないように山間で行われることが多いが、その数は少なくなっており、一方大手が農薬とセットで種子を売ろうとしており固有種が少なくなっている。また種子法と、種苗法があり、種苗法では、タネの製造者が守られる仕組みになっており、後者が強まるにつれてより多様性が失われる可能性が高いとする。

  • 15歳の興味の可能性ってすごいなぁーと思った。
    タネにまつわる色々もとてもわかりやすく、起業までの本人の興味や努力、小林宙くんの周りの助けとそれに対する感謝、読んでいて勉強にもなるし、優しい気持ちになれた。

    ちょこちょこの余談もおもしろい。
    昔の農業書の話とこの、古い教科書の絵の話とか。
    この本、子どもたちにもおすすめしよっと。

  • 「種子法」という言葉がさかんに聞かれた数年前、本書の存在を知り、気にはなっていたのですが、今ごろやっと読みました。子どもの頃から種が好き。公園で拾ってきては植え育て、ホームセンターでは種や苗を買ってとせがんだという著者。やがて興味は、地域の伝統野菜へ。放っておけば失われる伝統野菜の種を引き継ぎ、広めることを思い立ちます。中学3年生で起業、高校生でタネを流通・販売する実業家に。とにかく勉強家・読書家で驚かされる。そして、その柔和な笑顔から、周りの人を味方につける魅力があるんだろうなぁと。遺伝子組み換えやゲノム作物に対する問題意識の持ち方、冷静な見方は、大人より冷静だと思います。文中の、多様性こそが人間の生存戦略という言葉が印象的でした。おすすめです。

  • 再読。GM種子、種子法、種苗法についてわかりやすく書かれていた。すっかり忘れていました。筆者が卵、小麦、牛乳アレルギーなことも頭からすっぽり抜けてしまっていた。

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著者プロフィール

◎小林 宙(こばやし・そら)東京都大田区在住の高校生。祖父母、両親と妹2人の7人家族。全国各地をみずから旅し、種苗店を巡って集めた伝統野菜の種を販売する「鶴頸種苗流通プロモーション」を中学生のときに立ち上げる。現在、東京学芸大学附属高校の2年生。全国規模の「タネ交換会」のプラットフォームづくりに力を入れる。

「2019年 『タネの未来 僕が15歳でタネの会社を起業したわけ』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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