新版 農業がわかると社会のしくみが見えてくる 高校生からの食と農の経済学入門

著者 :
  • 家の光協会
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感想 : 11
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  • Amazon.co.jp ・本 (208ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784259518660

作品紹介・あらすじ

12刷を誇るロングセラーの改訂版!
これ一冊で、世界の食料、日本の農業、
毎日の食生活のつながりがよくわかる。
学校の授業形式で解説するので、
予備知識があまりなくてもわかりやすい!

感想・レビュー・書評

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  • 日本は食料自給率が低いとよく聞くが、それがどういう問題なのかなんとなく知れる本。

    農業と一言でいっても何を作るかで違いがあって、穀物、野菜、果樹、畜産のような区分けがある。カロリーベースの食料自給率を考えると、穀物をたくさん作ることが望まれるわけだが、実際には穀物よりも儲かる野菜や果樹、畜産が農家に選ばれている。そして、野菜や果樹のカロリーは穀物と比べると圧倒的に低いため、カロリーベースで食料自給率を測ると低くなるわけである。
    そのあたりの事情や、日本の農業の外観をざっくり知れる本だと思った。

  • ひと通りまとまっている。タイトルにもあるが、まさに高校生向け。
    新しい視点はない。
    読了25分

  • 611-S
    小論文・進路コーナー

  • この分野に興味を持つ身としては、かなり学問の導入に良いのではないか、と思った。
    専門用語やその概念を咀嚼しながら解説してくれている。

  • 読みやすい。しかも内容は農業経済学の教科書をカバーしている。

  • 農業経済について学んでみようと思い、最初の一冊として手に取った。
    「高校生からの」とある通り、誰にでも理解できるように説明がなされ非常にわかりやすい。
    説明を読み「なるほど、でもこれはどういうこと?」と疑問を持つと、その疑問点もすぐ説明されていることが多々あり頭の中が読まれているようだった笑
    メディアの情報を鵜呑みにして日本の食料自給率4割以下って大変!とぼんやり思っていた過去の私とは違う。
    食料危機、世界の食料事情、自給率、日本の農業、外国産農作物、日本の農業の未来に興味が興味があるかたにオススメ。

  • 著者もあとがきで述べていますが、中盤までは農業高校の生徒や農業に関心があり農学部への進学を考えている高校生などの主に若者に対する農業経済学入門の入門といった内容で農業の役割は食糧生産だけでなく、農業コミュニティや生物多様性の維持にこそ価値があるんだろうなと心の中で反論していると5章の「お金に換算できないところに価値がある」と著者の心境について述べているのを見て先走ったかなと思いました。ここでは農業を市場経済で測ることの限界や都市部で失われた農村コミュニティについて言及もありました。

    前半に農業安保への言及とと農業経済を取り巻く今、後半にではこの現状どうしていくか、これから農業について深めていきたい若者に対する農業経済学入門書として極めていい形だと思いました。

    個人的にも農家の生まれとして、また地域に根ざした活動をもっと行いたいと願う若者(だんだん若者でもなくなってきていますが・・・・)として本書の内容は大変に参考になりました。特に環境保全型農業が行う情報発信は本書でも言及があり、その必要性は強く認識しました。

  • ▼福島大学附属図書館の貸出状況
    https://www.lib.fukushima-u.ac.jp/opac/opac_link/bibid/TB90335061

    世界の食料事情、農業事情がこの一冊で理解できる食農学類生必読の書籍

    (2022年度推薦者:食農学類 高山太輔 先生)

  • 情報技術で農家と消費者の距離が縮まった。消費者は品質だけでなく、生産工程の健全性や賢い使い方にと関心がある。農家が積極的に情報発信することで、新たなチャンスが生まれるだろう。興味を持った人が現地に訪れ、就農したいと思ってくれるかもしれない。

  • 読了日 2018/10/29

    本屋で読みたくなって、そのまま図書館で予約した本。
    農業と経済のかかわり方。

    目次疑問化をやったせいで読み進むのが遅かったし終わらなかった。
    が、やるのとやらないのでは理解度に本当に差が出ると思う。どんな教養書でもやるべきだと切に思う。思いながらやらないんだけど。


    目次

    ホームルームの時間 授業を始める前に

    一限目 食料危機は本当にやってくるのか?

    ・食料事情を左右する三大穀物と大豆 はどうして重要?
    ┗穀物(小麦、トウモロコシ、米)は人間の大切なカロリー源であるとともに、家畜のエサ。大豆は食用油を搾り取るため。

    ・「食料」と「食糧」 の違いは?
    ┗基礎的な食料(穀物、大豆、イモ類)には「食糧」が使われ、すべての食べ物を包括する言葉として「食料」がある。

    ・何が食料価格高騰の原因か ?
    ┗3つの要因。
    (1)投機資金が食料市場に大量に流れ込んだこと
    (2)農産物(トウモロコシ等)がエネルギー資源として使われるようになったこと→エサ用トウモロコシの不足を別の作物で補う動きの発生、トウモロコシ畑の宴席増加により他作物の作付面積が減少
    (3)一〇を超える国が小麦やコメの輸出を禁止する措置をとったこと★後程解説

    ・楽観論が衰退した食料の見通し はどんなもの?
    ┗①不安定性が増す:投機資金の流入・食料輸出の規制
     ②バイオ燃料:見通し不安定。食用食物を燃料に使うのが好ましくないという議論/各国の政策が多様な思惑を起こす
     ③不安定な気象:地球温暖化
    中長期的には①価格は徐々に高騰化②需要引き締まる

    ・伸び悩んでいた穀物の収穫量 はどうして伸び悩んだ?
    ┗①人口の増加率の低下、②穀物生産量の増加率の低下、③収穫面積の減少
     ★総生産量の変化=単収の変化率+収穫面積の変化率

    ・豊かになると穀物を食べなくなる
    ┗所得が増えると、毎日食べる穀物の量が減り、肉・卵・牛乳・乳製品の消費が増える。
    牛肉一キロ生産:トウモロコシ一一キロ
    豚肉一キロ生産:トウモロコシ七キロ
    鶏肉一キロ生産:トウモロコシ四キロ
    鶏卵一キロ生産:トウモロコシ三キロ
    ★肉・卵等の消費で大量の穀物を間接的に消費。

    ・食糧は単純な予測の問題ではない
    ┗合成の誤謬(経済用語)ひとりひとりにとっては望ましい行動であっても、多くの人々の行動の効果が足し合わせることで、かえって望ましくない結果が引き起こされること。
     貧困地域(発展途上国)の所得水準の向上→食料需要の増加→食料の価格上昇 所得上昇と食生活の改善が広範囲で起こるほど食料価格上昇は高まる。


    二限目 「先進国=工業国、途上国=農業国」は本当か?
    八億人が栄養不足 になったのはなぜ?
    ┗理由はふたつ
     ①世界経済の深刻な不況(リーマンブラザーズ経営破綻)
     ②食料価格の高騰(高価な水準で安定したため貧困地域に打撃)
    地域:サハラ以南のアフリカ大陸途上国、南アジア

    ・「先進国=工業国、途上国=農業国」は正しいか ?
    ┗確かに先進国は脱農業化し工業が発達する。
     しかし、食糧に限り上記の認識は不正確。
     先進国の国内産業に占める農業の割合は大きくないが、余剰穀物を生み出すことが可能。国内消費以外の小さな部分が貿易に向かい、途上国はその薄い市場から穀物を購入する。

    ・食料を大量に輸入する日本は特異な国か ?
    ┗ヨーロッパ・北米・オセアニア先進国の一員としてみるならば特異的、東アジアの第二先進国としては特異ではない(モデルになる)

    ・広がる先進国と途上国の農業力の差 はどうして広がる?
    ┗労働生産性、土地生産性、土地装備率の差が広がったままだから。下記はその理由。
    ①労働生産性:面積当たりの収量が低い。
    ②土地生産性:
    ③土地装備率:
    ・低賃金でも優位に立てない途上国農業
    ・「緑の革命」にノーベル平和賞
    ・食料不足のアフリカに必要なのは「虹色の革命」
    ・農業保護で対立したアメリカとヨーロッパ
    ・農産物貿易をめぐる新たなルール作り
    ・先進国の農業保護を途上国が批判するわけ

    三限目 自給率で食糧事情は本当にわかるのか?
    ・食料自給率はひとつではない
    ・時代によって違う自給率低下の原因
    ・自給率一〇五%なのに栄養不足?
    ・大切なのは自給率より自給力
    ・安定した社会に欠かせない食料安全保障
    ・万能ではない市場経済と自由貿易
    ・問題は行き過ぎた農業保護
    ・自給率に現れた日本農業の特徴

    四限目 土地に恵まれない日本の農業は本当に弱いのか?
    ・土地が限られた日本にも元気な農業がある
    ・気がかりなのは飼料や燃料の価格
    ・世代交代が進まない土地利用型農業
    ・日本農業のシンボル=水田が消える?
    ・一〇ヘクタールは大規模か
    ・土地利用型農業の活路となる三つの工夫
    ・多彩なメンバーが支える農村コミュニティ

    五限目 食料は安価な外国産に任せて本当に良いのか?
    ・外国産が国産より安いのはなぜか
    ・日本に農業が必要なわけ
    ・お金に換金できないところに農業の価値がある
    ・いのちと向き合う面白さとむずかしさ
    ・もうひとつの宝は農村コミュニティの共同力
    ・遠くなった農業の現場
    ・真に豊かな食生活とは
    ・距離の拡大で見抜きにくくなったインチキ
    ・広がる農家の情報発信
    ・農業・農村との接点を取り戻す
    ・君自身が始める食と農の旅

    授業を終えて 少々長めのあとがき

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著者プロフィール

1951年愛知県生まれ。
東京大学農学部卒。
農事試験場研究員、北海道農業試験場研究員を経て、1987年東京大学農学部助教授、1996年同教授、2011年から名古屋大学農学部教授。
現在、食料・農業・農村政策審議会会長。

「2017年 『農業と農政の視野/完』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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