音声学者、娘とことばの不思議に飛び込む 〜プリチュワからカピチュウ、おっけーぐるぐるまで〜

著者 :
  • 朝日出版社
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感想 : 40
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  • Amazon.co.jp ・本 (280ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784255012759

作品紹介・あらすじ

人はどうやって声を出しているの? 赤ちゃんはどうやって言葉を身につけるの?子どもの「言い間違い」はどうして起こる? ヒトの進化の過程において、言語はどのように生まれてきたの?

言葉マニアであり、子育て真っ最中である音声学者が解き明かす、最も身近で不思議な音とことばの世界。

かつて子どもだった人、子どもにかかわる人なら誰もが楽しめる、言語に関する素朴なナゾが解ける一冊。実際の「#我が子のかわいい言い間違い」の音声学的な分析も!

***
この本は“ちべじょんばん”(むちゃオモローwな意)である!!
てんてんがり(カンカン照りの)日に
しゅわしゅわをぐぴっと飲み干し
ひっくり返って読みゃハマっちゃうんだから、もう。
ちゃんお薦め!げっちゅぷり。

子育て本としてもウナズキポイント満載で非常に勉強になります。
                         一青窈

***
川原先生は、音声学・音韻論の両分野において、多くの論文を出版しつづけ、学界への影響力も大きい研究者である。
この本では、そんな著者が、日本語の音の仕組みを解説しながら、読者を今までになかった楽しい知的な旅へと招待する。
筆者の娘たちがどのように言語を修得していくかを切り口として、本書は学問的正確性を損ねることなく、読みものとしても本当に楽しいものに仕上がっている。
音声学・音韻論の入門授業の教科書及び副読本などにも使えるであろう。
                         伊藤順子(カリフォルニア大学サンタクルーズ校言語学科名誉教授)

感想・レビュー・書評

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  • 根っからの理系で音声学は一度も学んだことはないが、入門としても丁度いい一冊だった。
    必要な用語は噛み砕いて説明されており、一冊通して意味を理解できた。
    両唇音はかわいい、破裂音などは強い、など確かに考えてみればそうかもと感じる例(ポケモンやプリキュア、メイドなど)から説明されていてわかりやすい。
    子供の言い間違いは発音が未熟なわけではなく理由があるとわかり、例にあがっているその間違い方もなんとも可愛く感じた。
    忘れたころに読み返して知識を定着させたい。

  • 楽しかったー!
    育つ子自身や関心事と絡めて語られる音声学。
    声を出す、というのは非常に身近なことなのに、近すぎてスルーしてしまっているのだなぁ。
    音を発する時の口を読みながらやってみて、なるほどー!と一歩世界が鮮やかになった気分。
    巻末のゴスペラーズ北山さんとの対談がもう圧巻で、互いに豪速球を投げて打ち返してホームラン、みたいなやり取りがたまらなかった。

  • 面白かったけど、
    こんなに川原先生がデコってくれないと
    楽しい味付けにならない
    言語学って、ほんとに味がしないんだろーなー。
    砂噛んでる味なんかなー、という感想です。
    とーちゃんが妻も娘も大好きなのが
    よく伝わりました。

  • 私は旧姓が好きじゃなかった。
    濁点が入っていたから、音の響きが好きじゃなかった。それは長くずっと思っていたこと。
    結婚した相手がたまたま、
    濁点の入らない、
    割合、音の流れの綺麗な苗字で心底、
    喜んだ。

    そんなことを思い出して、そして、
    どうしてそんなふうに濁点の入った旧姓が
    好きではなかったのか?
    私だけの感覚なのか?という
    長く持ち続けていた疑問をこの本が解決してくれた。

    正直、学者さんのお話、
    前半部分の学術的な説明は、
    さらっと目を通したけど、暗記しなくて良い!と
    筆者がおっしゃる通り、うまく頭に入らなかった。

    でも、後半、だんだんと読むスピードが上がる。
    私の知りたい真理に近づいてきたあたりから…

    阻害音=とげとげ、ツン、男性的
    共鳴音=丸い、優しい、女性的
    両唇音=可愛い
    濁音=大きい、強い、悪役

    音声学的に「濁音=大きい」
    発音の際に口腔は閉じるが、空気が肺に流れるために口腔が風船のように膨らむから。

    ポケモンの進化後の名前には、
    圧倒的に濁音がつくものが多いこと、
    ポケモン研究で一躍、世界に注目されたようだが、
    この事実には、驚かされる。
    英語、ポルトガル語、ロシア語、全て
    同じような実験を行い、似たような傾向が判明
    していること。

    ポケモンに限らず、
    冒頭のプリキュアやメイド喫茶のメイドさんの
    お名前など、興味をそそるフィールドから
    データを取ることで、
    広く言語学、音声学という学問を読みやすい、
    親しみやすいものにしてくれました。

    お子さん達の言い間違いのエピソードも
    そう言えば、うちの子供達もこんな間違い
    してたなあ〜なんて、ほっこり懐かしい気持ちに
    させてくれました。

    次回作も読んでみたいと思う1冊でした。

  • 教職科目で言語学あるいは日本語額を学習している人は、その実践及び例示のために読むと知識の整理に役立つであろう。実験もありあるいは研究者としてのエピソードも書かれているので面白い。
     写真についていくつかあるが、イラストの方がわかりやすい気がする。

  • 高橋源一郎の飛ぶ教室で手に取る。

    言葉をおぼえたてのお子さんがいれば、この本は更に面白く参考になるだろう。私はすっかり息子の発語からその先も忘れてる(笑)

    こちらとしては、ポケモンの音声学がとても興味深く、遡って怪獣の名前も、そうそうと頷ける。
    すっかり子供のことは忘れてると思っていたけれど、ポケモン図鑑をトイレに張って、トイレトレーニングしたことを思い出す。うーん、懐かしく感慨深い。

  • 冒頭から繰り広げられるプリキュアの話に共感できないのが残念。子供たちが幼い頃に読めていれば、実例を目の当たりにできた分、もっと面白かっただろうに。子供たちの舌足らずの話し方は、もうほとんど思い出せないが、「蚊がいた」を「かががいた」と言っていたことはよく覚えている。本書によれば、これはよくある話だそうで、その背後には、「1文字分の長さで発音される単語」は、助詞などを除けば日本語に存在しないという意外な事実があるらしい(130ページ)。現代の日本語で[n]で終わる語幹を持つ動詞は、「死ぬ」しかないそうだ(133ページ)。ナ行変格活用動詞が「死ぬ」と「去ぬ」の二語しかなかったことと、何か関係があるのだろうか。両唇音はともかく、歯茎音とか硬口蓋音とか軟口蓋音とか、なぜそう呼ばれるのかよく分かっていなかったが、子音を発音する口の形で息を吸い込み、冷たく感じる部分が調音点という説明(65ページ以降)を読んで納得した。本筋とは関係がないが、コラム6「私と言語学者かーちゃんの物語」で言及されている「妻の仕事のために旦那が引っ越さない問題」には、ちょっと心が重くなる。2022年9月18日付け読売新聞書評欄。

  • 時間切れで後半は流し読み。
    実際に子どもが言っていたり(「かがに刺された」とか)、ハマっているシリーズ(「へんしんシリーズ」とか)登場して、とても楽しく読んだ。
    あんまり深く考えていなかったのだけど、話し始めた頃、もっときちんとメモしておけばよかったな、と通り過ぎてしまってから思う。

  • 結構、専門的に音声学のことを
    書いてあるっぽいのですが
    専門外の言語オタクが読んでも楽しかった。

    小さい子の「言い間違い」の法則と
    発声の仕組みの話とかね。
    だから「赤ちゃん言葉」というキャラ言語は
    どこの国の言葉にも少なからず
    存在するわのよ( ^∀^)

    あと、語感で判断するキャラのイメージや
    略語が四文字になるわけ…などなど。

    奥様も言語学者さんだそうで
    ふたりで子供の成長にともなう
    言葉の発達を楽しんで記録しているのが
    親心と学術的好奇心の両方を満足させてて
    いいなぁ〜と思いました。

  • 図書館新刊コーナーから。
    学生のころ、言語学の講義で音韻にも触れた記憶がある。教授がクセの強い爺ちゃん先生だったから、あまり熱心に勉強しなかったけれど。

    「両唇音=可愛い」をプリキュアの名前で証明しようとするところから興味を持てた。
    学問って、身の回りの世界を明らかにするためのものだから、その対象はプリキュアだってポケモンだっていい。
    そこから赤ちゃんの発音を解説し、両唇音=可愛いにちゃんと持って行っている。納得。

    文字が入れ替わっちゃったり繰り返されたりという、子どもの可愛い言い間違いについて、こうも納得のいく考察がなされることに驚いた。
    子音や母音の入れ替わりや、際立たせるための繰り返しなど、確かに、「発話が未熟だから」では説明がつかない。
    言いやすさ&伝わりやすさに向けて一直線に爆走している感じなんだろうな。
    未熟どころか、進化すら垣間見える。

    まさに「彼ら彼女らなりの理屈をもって音声を発している」。
    可愛いだけじゃなく、学術的な好奇心も刺激してくる。
    子どもって素敵な存在だ。

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著者プロフィール

1980年生まれ慶応義塾大学言語文化研究所教授/専門は、音声学、音韻論、一般言語学。著書に『言語学者、外の世界へ羽ばたく:ラッパー・声優・歌手とのコラボからプリキュら・ポケモン名の分析まで』(教養検定会議 2022、4月28日発売)、『「あ」は「い」より大きい!?:音象徴で学ぶ音声学入門』(ひつじ書房 2017)他。

「2022年 『談 no.124』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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