Weの市民革命

  • 朝日出版社
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  • Amazon.co.jp ・本 (232ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784255012032

作品紹介・あらすじ

アメリカ社会の今、これから。

感想・レビュー・書評

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  • 一つひとつの消費行動が主義主張になりうる
    その製品がどのようにつくられているかに関心を持ち、正しいものに投資する

  • アメリカで起きていることがよく分かる一冊。

  • ブレイディみかこさんがイギリスの現代社会や労働者階級から見たイギリスを描いているなら、佐久間裕美子さんはそのアメリカ版。アメリカの社会や経済と、特に人権問題と環境問題についてが中心。佐久間さんは二十年以上ニューヨークに暮らしているフリーライター。

    第一章は、オバマ時代からトランプ時代にかけてのアメリカ(で、社会変革を求める力が消費文化や企業にどんな影響を及ぼしたのか)を、マクロな視点で振り返る。
    第二章は、ニューヨークに暮らす消費者としての視点から、パンデミック前の著者の周辺コミュニティの様子を振り返る。
    第三章は、引き続きミクロな視点から、パンデミックが引き起こした文化のシフトを振り返る。
    第四章は、著者が「自分はどんな消費者でありたいか」考え導きだした結論。生活に小さな革命を起こしたい人に向けたメッセージ。

    コロナウイルスをきっかけに、好きだったお店やブランドが潰れ、今まで何気なくしていた消費行為が、そのお店を支援する行為だったことに気づいた人も多い。

    アメリカでは消費を通じて、時分の意志を表明することが普通に行われている。
    自分が反対する政治家と繋がりのある企業やブランドは買わない「ボイコット」と自分が応援したい企業やブランドにお金を払う「バイコット」という消費アクティビズムがある。こうしたアクティビズムを牽引するのは、世代別に見てぶっちぎりの財力と消費力のあるミレニアム世代(1981〜1996年生まれ)だ。

    ミレニアム世代の後に続くのがジェネレーションZ世代(1997〜2000年代)。人権を大切にし、環境問題に関心があり、政治や政府に対する不信感が強い。彼らもまた、自分のお金は社会的責任を果たす企業に使うべきだと信じており、企業の雇用・環境対策などに失望すれば、その企業から物を購入するのをやめ、意見や不満を雄弁に表明する。

    消費アクティビズムという武器を手にした彼らが怒っている背景には、アメリカの富裕層と一般市民との所得格差がどんどん大きくなっていること、大学の学費が高騰し続けていること、大人たちが環境問題の深刻さを無視して、これまで通りに利益優先主義で社会を運営し続けているからだ。そして最も危惧しているのは環境問題だ。今のペースで地球温暖化が進めば、早ければ2030年にも世界の平均気温が産業革命前と比べて1.5度高くなる可能性が高いという「1.5℃特別報告書」を国連が報告したところ、若者を中心に環境運動が一気に加速した。

    では若者たちは、どのように行動を起こしているのか。まず身近なところにあるファッションから変えていく。
    アメリカでは毎年、消費者1人あたり40キロ相当の衣類が捨てられるという。ファストファッションは服の寿命を短くし、いとも簡単に消費される。洗濯したり処分したりする衣類が原因で、年間50万トン以上ものマイクロファイバーが海水へと流れ出ていく。なので、リサイクル素材や土に還すこととできる天然素材を使って「エシカル」な商品を探して買う。ファストファッションはまた、途上国の過酷な労働を犠牲に成り立ってもいる。素材はどこでどのように調達され、それを誰がどのような環境で作っているのか。ものを買うということが、人権を尊重しているかどうかを表明する手段になってきている。「グッドオンユー」というアプリでは、ファッション企業やブランドの「エシカル度」が分かる。

    タイトルにもある「We」の時代の若者は、環境問題も、差別も、移民問題も、すべて人権問題と地続きだと考える。

    BLMというアフリカ系アメリカ人の人権差別抗議運動が盛んになったのを、ニュースで見た人も多いかもしれない。この運動は、アメリカで黒人が無抵抗のまま白人警察によって殺される動画が拡散されたことにより一気に広がった。そもそもアメリカの警察は、1865年の奴隷制度廃止以降も黒人の労働力を確保するために、黒人を監視し、微罪でも収監して労働させる意図で作られた組織だった。今も黒人はあらゆる社会生活の局面で差別を受けており、黒人の中でも特にトランスジェンダーは暴力の対象になりやすい。佐久間さん曰く、そのBLMの社会運動に参加する白人がコロナ後は増えたという。

    黒人、労働者、LGBTQ+などの運動はすべてつながっている。自分の権利を求めるのであれば、他人の権利のためにも闘わなければならないという精神があるからだ。

    マイノリティの権利平等、企業の環境対策の施行など、アメリカの社会運動を知ることで、日本はどうなのか、と考えてみた。日本はようやくSDGsが認知され、学校で学ばれたり新聞社のホームページに特設サイトが作られたりしている。しかし企業は温暖化対策をどのくらい実行しているだろうか?そして、わたしは環境問題をどの程度深刻に考えているだろうか?人権や環境に配慮する企業がつくる商品を選んで買っているだろうか?

    本書には、具体的な企業名も挙がっているので、今後はそれらの情報をもとに消費活動をしたい。もし、人権や環境に配慮していない企業のものを買っていると気づいたら、買わないという選択肢以外にもできることがある。企業に改善を促すよう声を上げることだ。これからは、どうせ同じお金を使うのなら、自分の価値観に近い企業や社会の前進に投資する企業に使いたいと思う。

    再生可能エネルギーへの代替、生態系の保護、人類が生産する物質を最終的には主に還す「循環型」のシステム、そしてその過程で社会に行き渡るだけの雇用と資本を生み出すことを目指す。今回のコロナウイルス感染症の拡大により、離れた場所で同じ苦しみを味わったわたしたち人類は、ひとつの生き物なのだと感じた。白人も黒人も移民もLGBTQ+も途上国の人々も、地球という同じ船に乗った仲間なのだ。わたしもミレニアム世代ということもあり、アメリカの若者を見習って今後の消費活動に活かそうと思った。

    podcastでweの市民革命と検索したら、内容について話し合っていたり著者が対談しているものもある。それを聞いて思ったのは、日本の企業は環境問題に対して腰が重いこと、消費活動を変えることができることは裕福な人、少なくとも明日の生活に困っていないという恵まれた人だけだということ。沁みた。


    p25
    自分が反対する政治家とつながりのある企業やブランドには不買の姿勢を表明する「ボイコット」と、自分が信じる大義や価値にコミットする企業やブランドには喜んでお金を使う「バイコット」の二本柱からなる、「消費アクティビズム」の時代が到来したのだ。

    こうした消費アクティビズムを牽引するのは、「ミレニアル」である。1981年から1996年のあいだに生まれたミレニアル

    モチベーションが高く独立精神も強いが、同時に自我も強いため、皮肉を込めて「ミー(Me)世代」と呼ばれ、個人主義でコミュニティ精神が欠如し、政治的関心が低いのだと思われてきた。世紀の変わり目、コンピュータやスマートフォンが当たり前に存在する時代に育ち、ブランドよりも実質を、所有することよりも「シェアリング」を求める。ブランドへの忠誠心は前の世代よりも低い一方で、商品のクオリティやサービスの価値を重視し、社会責任政策などによって、自分がお金を使うブランドや企業を決定する。ちなみに、企業の価値観をベースに購買活動をするこうした消費者を「バリューベースド・コンシューマー」と呼ぶ。
    トランプ時代に入って、自分勝手だったはずのミレニアルたちが、消費を通じた社会運動を先導するようになった。ミレニアルの運動に効力があるのは、そこに財力と消費力があるからだ。アメリカのミレニアルたちはいま、世代別の購買力を見たときにぶっちぎりでトップを走っている。

    p26
    そのあとに続くのは「ジェネレーションZ(Z世代)」である。諸説あるが1997〜2000年以降に生まれたこの世代は、ミレニアル同様、社会意識や環境への関心は高く、ミレニアル以上に世界を変えたいというモチベーションと危機感が強い。企業で働くことよりも起業を望む。「ミー世代」呼ばれたミレニアルよりも、コラボレーションや団結に興味がある。

    このZ世代が共有するのは、圧倒的にリベラルかつプログレッシブな価値観だ。人権を大切にし、性のアイデンティティはより流動的で、また、所得格差の是正や健康保険、福祉や環境問題対策において、政府はより大きな役割を担うべきだと考え、新自由主義とは立場を異にしている。ただ一方で、彼らの描く長期的な将来像は明るくはない。学生ローンを抱え、自分の金銭的な将来と地球環境の未来に不安を感じている。政治や政府に対する不信感は強く、怒りを抱えている。前の世代より鬱や不安障害を経験する確率が高い。

    p28
    環境問題も、差別も、移民問題も、すべて地続きの人権問題だった。市民運動の「インターセクショナリティ(交差性)」が時代の合言葉になった。
    この現象は「ウィ(We)時代の到来」とも言われる。「ウィ」の運動を繰り広げる人たちは、個人の自由よりも世界全体の人権の拡大を重んじる。それまで説かれてきた、有色人種(ピープル・オブ・カラー)やLGBTQ+コミュニティを取り込む「ダイバーシティ(多様性)」や「インクルージョン(包括)」を目指すことだけではもはや十分ではない、白人支配層が圧倒的なパワーを持つシステムを改革し、過去に抑圧されてきた人々の真の社会的「イクオリティ(平等)」を追求することが自分たちの「共同責任」だと考える。

    p29
    ミレニアルとジェネレーションZの消費者たちは、企業に対する要求も大きい。自分のお金は社会的責任を果たす企業に使うべきだと信じ、逆に、企業の雇用・環境対策などに失望すれば、その企業から物を購入するのをあっさりとやめるし、意見や不満を雄弁に表明する。経済活動や消費行為を通じて、企業の透明性やサステナビリティ対策、社会的責任などを求める活動にコミットするのである。

    p32
    消費アクティビズムという武器を手にした若者たちが怒っている理由は、銃規制が進まないからだけではない。アメリカの富裕層と一般市民との所得格差がどんどん大きくなっていること、教育のコスト、特に大学の学費が高騰し続けていること、そして、大人たちが環境問題の深刻さを無視して、これまで通りに利益優先主義で社会を運営し続けていること-大人たちが残す負の遺産を将来自分たちが処理しなければならなくなることに対する若者たちの危機感は強い。
    なかでも彼らが最も危惧するのは、環境問題である。2018年に国連のIPCC(気候変動に関する政府間パネル)が発表したレポート「1.5度特別報告書(Global Warming of 1.5℃)」の中で、危機的状況を引き起こす水準とされる1.5度の温暖化が早ければ2030年にも起きるとの見通しを示したことが、若者たちの環境運動を一気に加速させる起爆剤となった。

    p46
    「コーズ(cause)」という言葉は日本語に訳しづらい。辞書には「目的」「大義」などと書いてあるが、ジェンダー平等、ある特定の人種や宗教に対する偏見の撲滅、環境問題についての啓蒙などといった具体的な社会変革を指すことが多い。
    いま企業が社会的責任を果たすための方法論には、大義のプロモーションや社会課題の解決を目指すチャリティーや非営利団体に寄付する、従業員が大義や運動に参加するのを支援する、環境問題や雇用の面で責任ある政策を取る、大義の発信や啓蒙を行い消費者の参加を促す、公益や社会環境の改善を目指す、といったことがある。
    なかでもトランプ時代に入って開花したのは、コーズ・マーケティングだ。過去の成功例としては、乳がんについて啓発する「ピンクリボン」や、多くの企業が参加してエイズの研究のための資金集めを行った「プロダクトレッド」など、啓蒙運動と資金調達の両面で成果を出したキャンペーンがあるが、政治が保守に傾いて消費者運動が盛り上がったことで、コーズ・マーケティングも加速した。

    p73
    売れ残った在庫が市場に流出してブランドの価値を下げるのを防ぐために、ファッション企業が商品を焼却するということは、それ以前にもファッション業界の「ダーティ・シークレット」として周知の事実ではあった

    p74
    そして、消費者が洗濯したり処分したりする衣類が原因で、年間50万トン以上ものマイクロファイバー(8マイクロメートル以下の極細の化学繊維)が海水へと流れ出ていく。私たち消費者の罪もなかなかのものだ。

    アメリカでは毎年、消費者1人あたり40キロ相当の衣類が捨てられるというが、天然素材だったとしても、その衣類が分解されて土に還るまでには少なくとも数十年はかかるし、化学繊維であればその過程でメタンガスを放出することもある。グリーンピースなどの環境団体がこうした悲惨な現状を次々と明らかにし、消費アクティビストたちを動員して激しい抗議運動を繰り広げたから、ファストファッション業界もついに動き始めざるをえなくなった。

    p76
    いま最も洗練された消費者たちは、環境への負荷のない、または少ない商品を求めている。リサイクル素材や、土に還すこととできる天然素材を使って、「エシカル」な方法で作られる商品を探している。が、残念ながらこうした努力はまだまだ足りない。2019年上半期でも、「サステイナブル」とタグ付けされる商品はオンライン市場全体のわずか1%にもなっていない。

    80
    どんな人間がデザインし、どこから調達したどんな素材を用いて、誰が手を動かしてどのように作っているのか、誰を雇用するのか、どんな包装材を使ってどうやって届けるのか、どんなモデルをどう見せるのか、そうした商行動にまつわる行為一つひとつが、そのブランドの価値観を構成する。そのブランドに対してお金を使うという行為は、社会変革を起こそうとする力に接続し、参加する行為でもある。

    p149
    そもそもアメリカの警察は、1865年の奴隷制度廃止以降も黒人を労働力として確保し続けるために彼らの行動を監視し、微罪であっても収監して労働させる、という意図のもとに作られた組織だった。1970年代から80年代にかけての都市部の人口減による治安の悪化と「クラック・エピデミック」(アメリカの都市部で「クラック」というドラッグが蔓延した現象)がレーガン政権の「方と秩序」政策を導き、その結果、警察によるアグレッシブな取り締まりにつながった。さらにクリントン時代の1994年に通過した犯罪法案によって、軽罪の再犯やドラッグ関係の犯罪にすべからく厳罰が課されるようになり、大量投獄が起きた。刑務所は民主化され、特にターゲットにされた黒人が出たり入ったりを繰り返すサイクルができた。そのため警察は、黒人が集中的に住む地域を重点的に取り締まる傾向が強く、黒人たちは日常的な嫌がらせや暴力にさらされている。

    p150
    黒人は全米人口のわずか12%なのに、警察による死者の25%を占めている。警察に殺される確率は白人に比べて3倍以上高く、さらには教育、雇用、サービス、不動産の賃貸や購入といった、あらゆる社会生活の局面で差別を受けていて、黒人の中でも特にトランスジェンダーは暴力の対象になりやすい-

    p157
    プラットフォームを動かそうとする運動がBLMと地続きなのと同じように、労働者の待遇改善や安全方策の向上を求める労働運動からはじまって、LGBTQ+の権利保護運、プロ・チョイス(中絶の権利擁護)運動まで、社会のプログレスを目指すアクティビズムはすべてつながっている。自分の権利を求めるのであれば、他人の権利のためにも闘わなければならない-「交差性」の理念は、トランプ時代に入って加速した多様な運動間の連帯とともに、さらに強固なものになっている。

    p174
    現代のサステイナビリティは、経済的・社会的・環境的という3つの柱が揃ってはじめて「持続できる」という状態になると考えられている。

    p175
    とても環境的持続性が高いとは言えない目下の状況を変えるには、輸送、製造業、建設、農業・林業などによって排出される二酸化炭素、メタンガス、亜鉛化窒素など、いわゆる温室効果ガスの排出を減らす必要があるが、そのためにはさらに、エネルギー消費を再生可能エネルギーに代替し、生態系の保護を追求しながら、人類が生産する物質を最終的には主に還す「循環型」のシステムに転換する必要がある。この過程で社会に行き渡るだけの雇用と資本を生み出すことができれば、経済的持続性も達成できるし、従来の搾取的システムから脱却し、ステイクホルダーを重視して顧客や従業員のニーズに応え、コミュニティをサポートすれば、社会的持続性も高められる。これが、いまプログレッシブたちが求めるグリーン・ニューディールの考え方だ。

    p185
    まずひとつに、元来のヴィーガニズム(絶対菜食主義)は哺乳類の肉や魚介だけでなく、蜂蜜や卵なども含めて動物性のものをいっさい食べない考え方だということ。一口にヴィーガニズムと言っても、アニマル・ライツの観点から、食生活においてだけでなく革製品など動物の商品化全般を拒絶する「エシカル・ヴィーガニズム」、食事に限って菜食を実践する「ダイエタリー・ヴィーガニズム」、そして環境上の理由で動物性のものを消費しない「エンバイオロメンタル・ヴィーガニズム」があるということ。ヴィーガニズムほど厳格ではないが、「プラントベース(植物性)」と呼ばれる菜食主義を実践する人たちがいるということ。

    p185
    国連食糧農業機関(FAO)によると、気候変動の原因の第一は自動車、鉄道、飛行機といった輸送にかかるエネルギー消費で、これが温室効果ガス排出全体の14%を占める。第二の原因が牛を中心とする畜産で、主に家畜の出すメタンガスが温室効果ガスの5%にあたる量を排出している。ところが、これには生産に伴う輸送などのエネルギー消費は入っていない。食肉の加工やその輸送までをも考慮すると、畜産業による温室効果ガスの排出は交通輸送によるエネルギー消費とほぼ同等のレベルに達する。
    裏を返せば、人間たちが肉を食べる行為を減らし、食肉の生産量を減らせば、急速に進む地球温暖化の緩和に大いに貢献できる、ということになる。環境破壊を理由に菜食やヴィーガニズムを実践する人たちが増える背景には、この現状や考え方がある。100%の菜食はハードルが高い、そう感じる人には、肉を食べる日を減らすという小さな実践が推奨されている。たとえばアメリカでは、月曜日には肉食をお休みする(ミートのMとマンデーのMをかけて)「ミートレス・マンデー」が推奨されている。

    p196
    「サステイナビリティ」と並行して企業のあり方を判断する基準として頻用される、「エシカル」というコンセプトがある。文脈によって意味する内容が変わる言葉ではあるが、いまの商習慣における「倫理的」を考えるのに鍵となるポイントを以下にまとめてみた。
    1|企業の傘下または下請けの工場や現場で働く人たちが置かれる労働環境:清潔かつ働きやすい環境が保たれているか、従業員たちの福祉は考慮されているか、労働時間は管理されているか、就業時間や残業に対して正当な賃金が支払われているか、未成年が労働に従事させられていないか
    2| 素材の生産過程:土壌や水、人体に有害な農薬あるいは化学染料が使われていないか。生産にどれだけ水を使用しているか。素材はバイオディクレーダブルか、つまり、埋立地の一部として存在し続けるのか、そうではなく土に還すことができるのか
    3|動物の使われ方:動物を殺していないか。どのように飼育しているか
    4|流通・販売などにかかる環境コスト:素材や商品をどのように輸送しているか。梱包・包装に使われる資材に無駄はないか。またはリサイクル資材が使われているか。ゴミの管理はどのようになされているか。廃材が再利用されているか
    5|雇用:女性、性的マイノリティ、人種的マイノリティを雇用し、多様性のある職環境を実現しているか。また、それを改善するために何が行われているか。労働時間や残業時間はリーズナブルか。育児休暇、健康保険などの福利厚生が整備されているか

  • WEーー!

  • アメリカ、特にニューヨークにおける社会の変化、ミレニアル世代の考え方などが理解できる本。

    ミレニアル世代は世代別購買力で年間6千億ドルと高い購買力を持つ。その後に続くZ世代と合わせ共通するのは圧倒的にリベラルでプログレッシブな価値観。人権尊重、姓のアイデンティティが流動的で、格差是正、福祉や環境問題において政府がより役割を担うべきと考えている。

    ギクワーク経済で恩恵を受けて所得を増やしたのは、副業タイプだった。独立の夢を買った人々は正社員並みの忙しさでまた保証なしの搾取される構図になった。

    BLMが大きく異なっていたのは、白人の活動参加率が非常に高かったこと、白人が黒人のために立ち上がった

    購買の仕方には力がある

  • かねてより佐久間さんのpodcastやその他SNSで発信されることをフォローしている自分にとっては、いつも色々なところで佐久間さんがおっしゃってる事の文字起こし化の内容でした。

    佐久間さんの他の著書を読んだ時にも同様に感じたのですが、アメリカで社会の、あるいは市民の意識方向性が変わった事を提示する時に、少しその具体例が乏しいかなと思う時と、これは完全に自分の勉強不足もあるのですが、書かれた背景事例が事実としてのアウトラインは分かっても、どのくらいのインパクト係数に相当することなのかアメリカの話だと、住んだことない自分には肌感覚で分からず、書かれた事実が文字として脳を滑っていくだけに終わってしまうことがあって、そこが少し読んでで残念です。

    本著で言うと3章まではそんな感じで、最後の「自分ごとのサステナビリティ」はどこで暮らそうが現代を生きてる限り共通行動での内容なので、一番距離感を感じず読めたし、自分も出来る限りにおいてゼロウェイスト、サーキュラーを目指したいと日常実践しています。

  • 世の中が、限られた少数の人々にとってどんどん便利になる中、その代償として賃金格差や環境破壊が急速に進んでいることを改めて思い知らされた。消費者の1人としてできること、「買うものを選ぶ」ということをすぐに実践するとともに、オーガニックやサステイナビリティという言葉が、単なるマーケティングのツールとして使われていないかまで、しっかりと見る必要があると感じた。パンデミックによって顕在化した問題に向き合い、人類が大事な学びを得るきっかけとなるパンデミック期間にできるように、ステークホルダーの1人として責任を持って行動したいと思わせてくれる本だった。

  • 自分がアメリカに住んでいる時は、
    学校生活のことばかりで、アメリカの政治や経済について
    全く何も「知ろう」としなかったことが今思えばすごく恥ずかしい。
    税金を支払って、住んでいるわけだから
    今自分が住んでいる国の最低限のことは知っておかないと。
    アメリカから見た日本、や
    おそらくきっとこれから日本も同じようなことが起きるんじゃないかって
    少し先に起こりそうなことを知ることができる。
    政治的なことや思想は人それぞれだから
    いろんなことを知った上で最終的に自分の意見を持っておけばいいんだと思う。

  • 佐久間裕美子氏の価値観や宣言に触れて、こんにちは未来で言ってた散り散りのはなしがまとまって理解できた感じで、非常に良かった。アメリカの事を知る、という目的も十分で、ただそれ以上に、どういう観点で物事を捉えているのか・気になったことをある程度ちゃんと調べて自分の中での位置付けを定めること、のような、生き方っぽいのが知れて良かった。
    当たり前だが、さすが文筆家という感じで、硬さと緩さが適度な文体で、一気読みできた。

  • 私たち思考で今日も何かやらなければと思った。

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著者プロフィール

ニューヨーク在住歴20年。政治経済や社会問題から、ファッション、ライフスタイルまで幅広いトピックスについて執筆する。著書に『ヒップな生活革命』(朝日出版社)、『ピンヒールははかない』(幻冬舎)、翻訳書に『テロリストの息子』(朝日出版社)。www.sakumag.com

「2018年 『My Little New York Times』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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