- Amazon.co.jp ・本 (256ページ)
- / ISBN・EAN: 9784255004808
感想・レビュー・書評
-
一見怖いものは何一つ
描かれてないのに、
居心地の悪さというか
薄ら寒いものを感じる
のは、
後世に生きる私たちが
そこに描かれたものの
背景に宿った異常性を
感知できる故。
例えば、陶器のような
白い肌で微笑む中世の
女性たち。
彼女たちが美白のため
全身の肌に水銀入りの
化粧品を塗りたくって
水銀中毒で亡くなって
いったことを知ると、
もうその美しさに目を
細めることはできない
ように。
思うに数百年後の人々
が現代の私たちの生活
を知ったとき、
同じように感じるもの
がそこかしこにあるん
でしょうね。
使い捨てプラスチック
容器を多用して環境を
破壊し自分たちの首を
絞めてる様子や、
一日中スマホに、その
掌に握った小さな画面
に没入して、
挙げ句車の運転中にも
気を取られ深刻な事故
を起こしてる様子など、
枚挙に暇がないかも・・・詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
なんか、エロくて怖いのがあってどういう感情を持って読めばいいか混乱した。
でも、書いてること自体はすごく面白かった! -
図書館に予約して約3ヶ月待って、やっと読むことができました。
さて、『怖い絵』と『怖い絵2』では、もし一つだけ見られるとしたら、ブリューゲルを見たいと書きました。
今回もブリューゲルの作品(ブリューゲルではないかも説あり)の
『イカロスの墜落』がありますが、こちらは三年前、上野国立西洋美術館の「ベルギー王立美術館展」で見ました。
この本を読んでから行きたかったですねー。
今回見たいのは『ヴィーナスの誕生』か、
『聖アンナと聖母子』かな。
さて、中野京子さんによる『怖い絵』を60作品読み終えて思うのですが、一目見て「怖い!」と思うものより
「え?何が怖いの?」と思って中野さんの説明を読む物が怖いかも。
たとえばホガース『グラハム家の子どもたち』とか
ゲインズバラ『アンドリューズ夫妻』アミゴーニ『ファリネッリと友人たち』などは、幸せを絵に描いたような作品なので
中野さんの解説に行くのが楽しみなのです。
そのギャップが激しいほど怖いかな~と思いました。
そういえば、今話題の『34歳女による結婚詐欺事件』
彼女はあんなに素敵な生活をして、ブログを書いて
相手の男の人をすっかりその気にさせて……
しかし…衝撃
というところが、上の三つの作品と重なります。
http://nagisa20080402.blog27.fc2.com/blog-entry-274.html -
怖い絵展がとても楽しみ。
近代以前の絵画鑑賞において「感性」以上に「知識」が必要だというのは確かにその通りだなぁと感じる。
その歴史、時代、文化、様々な社会的背景、画家の社会的立場やどのような状況の中で描かれたのか、一枚の絵は実に多弁に語るものだと実感しました。
芸術的には美しく捉えられる絵も、実に血生臭く残酷な背景があるもので、なかなかに怖いものです。 -
-
「「イカロスの墜落」かな!」
イカロスがオマケみたいな絵ですね。イカロスを何に喩えるかで面白さが色々になりそうで、私は結構好きです。
中野京...「「イカロスの墜落」かな!」
イカロスがオマケみたいな絵ですね。イカロスを何に喩えるかで面白さが色々になりそうで、私は結構好きです。
中野京子の「怖い絵」シリーズは、角川が文庫にした2のみ読みました。どーして2が別の出版社で文庫になるのか、、、謎である。。。2012/07/07
-
-
絵画の歴史的背景や人のつながりが分かり、多角的な見方ができて、面白い。
-
シリーズ全て面白かったです。
-
ホガースの『ジン横丁』の退廃とゲインズバラの『アンドリューズ夫妻』の美しき田園風景で当時の階級の差をまざまざと見せる方法はインパクト大!
詳しい解説で当時の状況を読み、絵画でそれを目に刻む。
あとがきにもある通り、絵画を見るには知識が必要だと深く感じました。 -
絵画に込められた意味や、制作された背景について書かれている。
見るからに怖そうな絵、見た目からは怖さが分からないが理解することで恐怖を感じる絵など様々あった。
ただ単に絵を見るだけではなく、知識を持って見ることで、理解が深まる上に、鑑賞するのが楽しくなるのではないかと思う。
この本では、絵画作品の内容だけでなく、当時の社会背景なども学べた。
-
私は小さい頃(おそらく年長~小学校低学年)、人間は大きな貝殻から生まれたのだと思っていた(なのでその後進化論を知ったときキリスト教徒並に驚いた)。どこで目にしたのだか今となっては覚えていないが、ボッティチェリの「ヴィーナスの誕生」が幼い私にいかにインパクトを与えたかはわかる。絵画は知識や解説がないととんでもない解釈をしてしまうことがあるけど、初見の印象というのは深く残るものなんだろうと思う。
そんな思い出深い「ヴィーナスの誕生」がこの本では怖い絵として紹介されている。このシリーズで言う「怖い」とは単純に視覚的に怖いというのと、描かれた時代的、社会的背景などを踏まえてみると怖いというのと二通りある。両方に当てはまるものもある。「ヴィーナスの誕生」は見た感じはきれいな絵。だけど美しい女神はけっして貝殻などというメルヘンチックなものから生まれたのではなかった。誕生の真相が「怖い」と中野京子さんは言っている。
視覚的に怖いのは圧倒的にルーベンスの「メドゥーサの首」。蛇嫌いの私には気持ち悪さと怖さの極致でとてもじゃないが直視できない。こんなのににらまれたら石になるというのもわかる。
「怖い絵」と「名画の謎」シリーズは一通り読んだが、「名画の謎」の方が一冊ごとにテーマがまとまっていて頭に入りやすい。「怖い絵」は時代もテーマもバラバラな作品が収録されていて、ギリシャ神話からロマノフ王朝、お次は中世イタリアと作品順に何の脈絡もないので続けて読んでいると脳みその切り替えが大変。