- Amazon.co.jp ・マンガ (243ページ)
- / ISBN・EAN: 9784253102568
感想・レビュー・書評
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聾唖教育の歴史が分かりやすく
まんがで書かれていると
手話の先生にお勧めされた。
音楽の道を閉ざされた青年(高橋先生)が、
聾唖学校の先生になり、生徒と触れ合いながら
聾唖教育に携わっていく話。
一作は生まれつき耳が聞こえない。
家族からも殴られて育つ。
大好きなおかあさんからも殴られる。
耳が聞こえない一作はなぜなのか全くわからず、
学校に入れられても暴れん坊でどうしようもない子の
レッテルをはられている。
高橋先生と出会って、少しずつ、心がほごれ
物に名前があることを知り、
話したい!知りたい!の強い思いが・・・
お母さんとのエピソードはじんとしてしまう。
聾唖教育の流れが口話法へと進んでいくが分かりやすく描かれている詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
手話、耳の聞こえない人々の世界を知る一歩にとても良い漫画。聾文化の歴史に基づき、過去の出来事に忠実に再現れているかと。わかりやすく勉強になる。
音楽の道に進めなかった高橋が先生になった学校、大阪市立盲唖学校。主人公、一作を預かる。気持ちを表現することを、世の中に言葉があることをしり、手話を通して互いの気持ちが通じあう、ことを知る。
盲唖学校を創始した古河太四郎は、教育の心を、
「満腔惻隠ノ心」と言う。同情心や理屈ではなく溺れる子どもを見過ごすことができないのと同じこころという意味。
明治維新、文明開花といわれた当時、ほぼ障害児は家庭に閉じ込められ、または、農作業の補助、手工の徒弟として働くぐらい、教育は誰も思いも寄らなかった。 -
ある高校生に勧められて読み始めた。
大正から昭和初期にかけての話。
生まれつき耳の聞こえない方々の世界と、彼らが直面する世間の風当たりの強さが絵を通して(コミックなので)迫ってきた。
一作と彼の母親の思いに心が痛む。泣いた。 -
生まれつき音のない世界にいる子ども達と、音のある世界しか知らない大人が思いを伝え合う難しさ。一作が可哀想で泣けて仕方なかった。彼のような子どもがもっとたくさんいたんだろう。高橋先生に会えてよかった。
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手話と教育にこのような多難な歴史がやったことははじめて知るところだ
熱意が大切だと感じた -
チビ1号、移動図書館にて
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聴覚障害がテーマ。教育に奔走した教師の伝記。手話が排斥されていた、という事実は知っていたが経緯は知らなかったので、とてもよく理解できた。大正から昭和という遠くない過去にこんなことがあったとは。理解を深められるとてもよい漫画。
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音楽の勉強を断念した青年が、盲唖学校の先生として聾唖教育に取り組む話。
タイトルが「わが指のオーケストラ」なので、聾学校の音楽教育の話なのかなと思ったら、聾唖教育全体の話だったので、自分が求めていた物とは違いがあったものの、とても勉強になる話だった。
大正2年から昭和33年の間、日本の聾唖教育の核になるところが大きく揺れ動こうとしていたなんて、この本を手にするまでは全く知らなかった。
主人公は必ずしもどちらの方法がいいとか悪いとかを主張するのではなく、自分が向かい合う子供達のことを思って教育について考えているのが、なんとも深い愛よなぁと思った。 -
『遥かなる甲子園』(双葉社)以降、現在の『どんぐりの家』(小学館)に 至るまで、一貫して聾唖者問題を主題に描き続けている山本おさむが現在の問 題ではなく聾唖教育の歴史に焦点を当てた作品。障害者問題を扱うとなると説 教臭いように思って敬遠される方もおられようが、作者のしっかりした問題意 識と堅実な「漫画力」によって、一本のドラマとして、読み物としてかなり高 水準なものに仕上がっており、そのような心配は無用である。奇しくも同じ秋 田書店出版の手塚治虫『ブラック・ジャック』が読むものに非常に重い「何か」 を訴えかけつつも、ドラマとして一流あるのと軌を一にしている。
第二巻の冒頭、主人公・高橋潔が生徒たちに「安寿と厨子王」の話を手話で 語るシーンは、何度読み返してもそのたびに涙があふれてくる。私はこのシー ンをもって『わが指のオーケストラ』を名作とよぶことを躊躇わない。
『遥かなる甲子園』『どんぐりの家』も優れた作品である(『どんぐりの家』 は1995年日本漫画家協会賞優秀賞を受賞している)が、現在を扱っている ので生々しい。軽い気持ちで読むにはテーマが重すぎるが、これらもぜひ読ん でいただきたい。
念のために言っておくと、『わが指のオーケストラ』の主人公・高橋潔は実 在の人物であり、実際に大阪市立盲唖学校の教員を経て、後に大阪市立聾唖学 校の校長に就任している。同校は現在、 大阪市立聾学校と名を変えつつも、よき伝統を受け継ぎ、インターネット を利用した情報発信などの新たな手法も積極的に取り入れ、精力的な活動を続 けている。 -
生まれた時から、音のない世界で生きてきた子供たちのことを、分かりやすく書いています。
また、今では手話についての認識は広まっていますが、つい最近まで、聾学校やろう教育の現場で手話を禁じていたことを知っていますか?
かつてろう学校に、手話を排除し口話法が広まっていく中で、手話を守ろうと戦った実在の教師、高橋先生をモデルにしています。
目が見えないことによる不便さは、健康な人なら目を閉じてみればそれが分かりやすいかと思いますが、生まれた時から聞こえないということは、想像することは難しいと思います。
私は、涙が止まりませんでした。
ろうあ者を理解するのに、ぜひこの本(コミック)を読んでみてください。