飛田で生きる: 遊郭経営10年、現在、スカウトマンの告白 (徳間文庫カレッジ)

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  • 徳間書店
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  • Amazon.co.jp ・本 (269ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784199070143

作品紹介・あらすじ

現在、160軒がひしめく大阪・飛田新地。そこで2軒を経営する人物が初めて当事者として内情を語る。ワケあり美女たちの素顔、涙なしに語れぬ常連客の悲哀、アットホームな小部屋の中、タレントばりの美貌の日本人美女たちはどこから来たのか、呼び込みの年配女性の素性、経営者の企業努力、街の自治会の厳格ルール、15分1万1000円のカラクリ、元遊郭の賃料と空き状況、新参経営者の参画等、人間ドラマから数字的なディテールまでを網羅する。

感想・レビュー・書評

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  • ただただ飛田で、いきたかった。

  • 飛田新地で親方(マスター)として新規開店した著者。開店に3ヶ月以上の期間を要して、水商売から引き抜きやスカウトに励む日々。電気会社のライト工事に7~8万円とか利益を出すためのコスト面が聞いたことないことばかり。勧誘おばちゃんの7割が飛田経験者だったり、キャストが飛ばないための工夫や人間関係がとても深かった。辞めたあの子は2軒先が当たり前の世界。暴力団禁止法の中でどうフェアに出し抜くか。

  • こういった性産業を
    すぐに是か非かを議論したがるが、
    内情を知らないなかでの議論は無意味。

    確かに必要としている人もいる
    でも、多くの人がそこで潰れているのも
    また事実。


    見ず知らずの男に今から抱かれるというのに
    それを誘うように、満面の笑みで笑え
    笑えるはずのないのに笑う
    人が持つ悩みや葛藤、黒い部分もみえた


    大阪の知っていたい一つ。

  • 飛田での店の経営は、人間の良い面も汚い面も含めて、人間を深く知ることが出来る仕事だと思った。
    著者が飛田で働いていた間、精神的に落ち着かない日々を過ごしたことが容易に想像出来た。

  • 著者の杉坂圭介氏は、30歳を少し過ぎた頃にリストラに遭い、深夜のファミレスでアルバイトをしながら就職活動。そんなとき、高校時代の不良先輩から何年かぶりに連絡があります。どこで聞きつけたのか、杉坂氏のお父様が亡くなって、保険金数千万円を杉坂氏が受け取ったことを先輩は知っていました。それを元手に遊郭のオーナーにならへんかと。

    オイシイ話には罠がある。そう警戒はしながらも、甘い言葉に乗ってオーナーに。2002年に店を持ち、10年続け、現在はスカウトマンとして関わる杉坂氏。飛田では、中のことを外の者が触るべきではないと、写真撮影はいっさい禁止、マスコミの取材に応じることもほぼ皆無だそうです。だけど、あべのハルカスなどもでき、消されてしまうかもしれない遊郭。実情を書くことで、この街がなぜ必要とされてきたのか、これからも必要であるということを杉坂氏は訴えています。

    ヤジウマで読みはじめ、読みおわった今もそのノリのままではありますが、ほぉぉぉぉ、へぇぇぇぇと思うことたくさん。飛田のトイレはすべて和式。そのほうが局部を洗いやすいから。飛田以外の新地にはシャワーのあるところもあれば、公衆便所しかないところも。

    いちばん目からウロコだったのは、遊郭を利用した客にはどの店でもペロペロキャンディーを渡すということ。キャンディーを舐めているお客さんはすでに「終了」しているので、おばちゃんたちも声をかけないそうです。そんな目安があったとは。

    新規開業に当たっての申請等、手順あれこれ。店を開けられると決まったら、今度は女の子のスカウトに奔走。できるだけたくさんの女の子を店に置いておくのだと思いきや、店が抱える女の子がみんなちゃんと稼げるように、数人だとか。飛田で働こうとやってくる女の子の諸事情。女の子同士のトラブルなどなど。親方稼業は楽じゃない。

    飛田を歩いて衝撃を受けた私としては、さまざまな事情を知りもせずに、治安がどうとか外聞がどうとか、そんな建前だけで消えてほしくはないなぁと思うのでした。

  • 中の人の、それも使用者側からのエッセイというだけで
    ちょっと希少価値はある。

    中身はそんなにセンセーショナルではないし、
    目を引くところはなかった。
    しかしそれは率直な記述であろうと
    著者が配慮した結果ではあるだろう。

    特にこの手の事業を立ち上げた人のエッセイには
    「自分はこの件に関して一通り見渡せている」という
    鼻持ちならない感じがプンプンする人もいるので、
    分をわきまえてる感じ好感が持てる。

    ぶっちゃけもうちょっと
    コミュニケーションとったほうがいいんじゃないの
    とか思うとこもあるけど、
    距離感を間違えると怖いので
    近寄れないとかもあるんだろうなぁ。

  • 「さいごの色街 飛田」とは違い、元親方の書いたもの。より真に迫った、本当のことが沢山書いてあったと思う。特に料亭の中での女の子の内情については、こちらの方が詳しかった。サラッと書いてあるけれど、親方もなかなか汚いことをしているなぁ。でもそれ以上に女の子は強い、したたか。最後のミズホの啖呵が切なかった。

  • 実際に親方として経営をしていた方が書いた本

    勝手な想像で親方業はほとんど何もしなくても儲かりそうと思っていたが、本書を読んだことで思った以上に精神的にしんどそうだなと思った。

    オバちゃんとお店の子が共謀してお店のお金を持ち逃げしたり
    オバちゃんが贔屓をしたせいで看板の稼ぎ頭が辞めてしまったり
    普通に経営者として働いた方が心身ともに安らかなのではと思ってしまった

    タワーマンションの件はそうなっていないけど、
    後から参入してきた人たちが、自分たちに都合いいように外観を綺麗にしていくのはどうなのかなーと思った
    外観を整えたとしても内に籠るだけで語弊があるが根本的な問題は消えないと思う

    買売春は一般的にみて悪いことという認識がまかり通っているが本当に悪いことなのか?
    本に出てきていた生活費と借金、兄弟の進学費用のために飛田で働いていた人は飛田がなければどうしていたのか
    性産業以外で稼げる仕事にすぐにつくことができる世の中ではないから選択肢がないのではないか
    兄弟に話して諦めてもらうのが一般的にみて普通なのかもしれないけど

    どうしてもの覚悟がある人にとってのセーフティネットなのかもしれないと思うと、働いたこともなくただ色眼鏡を通してみているだけの私のような人間がああだこうだいうのは違うなと思った

    その場所が誰かの生きる場所であるのなら強制的に排除してしまうのは果たして…

    関連書籍を読めば読むほど正解が全くわからなくなっていく

  • 自分が生きる世界とまったく違う世界で生きる人たちのことを知ることは大事。できることなら本でなく、実体験として。
    知らずに否定するなんてことはしてはいけない。


    飛田に救われ、この街を必要とする女の子たちも多くいるのだ。


    とにかく美人な子よりも、笑顔がかわいく愛嬌のある子が多くのお客さんを「上げる」。

  • 有り 384.9/ス/12 棚:10

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著者プロフィール

大阪府出身。繊維製品卸問屋勤務を経て、飛田新地の料亭経営者にへ。10年間店の経営に携わった後、名義を知人に譲り、現在女の子のスカウトマンとして活躍している。著書に『飛田で生きる』。

「2016年 『飛田をめざす者』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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