きみと暮らせば 〈新装版〉 (徳間文庫)

著者 :
  • 徳間書店
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  • Amazon.co.jp ・本 (320ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784198948542

作品紹介・あらすじ

だから今日も、
うちに帰ろう。

猫の肉球、ポトフ、あいまい弁当。
幸せのにおいがつまった、兄妹物語。

十年前、陽一の母とユカリの父が結婚し、
二人は兄妹になったが、
五年前に両親は他界。
中三のユカリは義母のレシピ帳を参考に料理し、
陽一は仕事で生活費を稼ぎ、
支えあいながらの二人暮らし。
ある日、庭先に猫が現れる。
二人は猫を飼い主らしき人へ
届けに行くのだが――。
のんびり屋の兄と、しっかり者の妹が織りなす、
陽の光差すような、
猫もまどろむほのぼのあったかストーリー。


その一 猫と兄妹
その二 あいまい弁当
その三 空色の傘
その四 夏のきらめき
その五 ポトフにご飯
その六 きみと暮らせば
解 説 藤田香織

感想・レビュー・書評

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  • あったかいお話でした。

    人と人との繋がり。家族でなくとも、年齢が違っていても大事に育てていきたいものですね。
    若い時には分からなかった縁や絆が、年齢を重ねてふと振り返った時、1番大事な宝物になっているような気がするのです。

  • 陽一とユカリは、11歳年の離れた兄妹。
    陽一の母とユカリの父が再婚し、家族になった。
    5年前に両親が他界し、今は2人で暮らしている。
    のんびり屋の兄と、しっかり者の妹と、うちの庭に突然現れた一匹の猫との何気ない日常に、心が温かくなります。

    兄が外に働きに出て、中三の妹が家事をするなんて、ほのぼのと楽しそうに書かれているけれど、実は事情を抱えた家族のお話なんですよね。

    思いやりに溢れた兄と妹に、胸が熱くなります。
    いつかお別れする日が来るかもしれないけれど、今の幸せを決して忘れないように。
    今日一日を大切にしたいと思える、とても素敵なお話です。

  • ☆4

    何気ない日常が、幸せなことなんだと気付かせてくれる…優しくて心温まる作品でした❁⃘*.゚

    浦上くん、長谷川さん、宇佐美のおじいさん、鹿野先生など、陽一とユカリの周りの人達が穏やかで素敵な人達ばかりなのも良かったです。

    陽一とユカリの兄妹の掛け合いが、読んでいてとても心地よくほっこり癒されました(*´˘`*)

  • 八木沢さんの作品でこれだけ読めてなかったので、新装版として発売してもらえ嬉しい。
    題名と表紙から、猫との暮らしを描いているのかと思い込んでいたが、血の繋がらない兄妹の暮らしがメインの話。
    少し抜けているところがあるが憎めない兄と、しっかりしているようでもやっぱり中3でオボコイ妹。二人の日常を見守る感覚で優しく読める。
    陽一が本音を漏らすシーン、
    ユカリを生きる目的にできた、いい加減な生き方から脱却できた。というようなことをシカちゃんに言うところと、
    最後、絶対に来る二人の別れに迫られる時まで一緒に暮らしたい、っていう場面には陽一とユカリとの生活を大切にしたい気持ちがガッツリ伝わってきた。
    頼りないと思っていた陽一の男を上げた名セリフだと思います。

    旧作も素晴らしいのだけど、八木沢さんの新作も読みたいな。

  • また素敵な本に出会ってしまった。
    のんびり屋の兄としっかり者の妹の兄妹の物語。
    読み心地がよくて、読後感もGood!
    作品から幸せが滲みでていて、自然と顔がほころぶ。いいなぁ、もっと読んでいたいなぁって思いながら読みました。

    親同士が再婚し兄妹になった陽一とユカリ。ところがわずか数年後、両親が揃って事故にあい兄妹が残されてしまう。大学を辞めて陽一が働き、ユカリが家事を担う。
    そんなかたちで始まった二人の暮らしですが、血が繋がらなくても紛れもない兄妹。
    “あるある”な日常なのに(だから?)、二人の暮らしぶりや会話にほっとします。
    日常のなかにも小さなドラマがあって、それが降り積もって人生になっていく。

    どの短編もじわりと味わい深くて良かった。ラストの「きみと暮らせば」では思わずウルウルしてしまった。
    これは是非シリーズ化して欲しい!
    八木沢さんの文章も、作品の優しい雰囲気も好き。ずっと追いかけたい作家さんになりました。

    こちら温かくてほっとする作品や、小野寺史宜さんの「ひと」シリーズが好きな人はきっと好きだと思います。

    『大した話をした覚えはない。だけど一緒にいると、お風呂につかっているときのような、じんわりと温かい気持ちになった。のどかで、ほのぼのとした時間がそこには流れていた』

    『ただいま、と言えて、おかえりと返してくれる人がいることの幸せ』

    『幸せな瞬間は、いつもこの家にちゃんとあった。この日々こそが、幸せそのものなのだ。そのことに、いままでただ気付いていないだけだったのだ』

  • 地元の田んぼ畑の景色を見ているような、のほほんとした小説だった。血縁関係のない兄妹の二人暮らしという禁断の愛が生まれそうな設定だが、いかがわしいこと一切なしに、ほっこりとした本物の家族の日常を描いたストーリー。2人の暮らしがもう少し続きますように。
    柔らかい言葉遣いや話の展開からして女流作家かと思って作者を検索したら、しっかり男性の写真が出てきて驚いた。純喫茶トルンカも読んでみたくなった。

  • いい家族ですねぇ、陽一もユカリも猫の種田さんも。亡くなったご両親も、きっと。相田家では、自分がやるべきだと思うことを自分から日々淡々と行ない、相手に自分の要求や家族像を押し付けない。ここが実に立派なのです。だから、いつか二人と一匹が別々に暮らす日が来ることも既に受け止めた上で、日々を大切にしていくでしょうね。

  • 血の繋がらない兄妹。支え合いながらの二人暮し。そこに猫も加わって。。
    ほのぼのとした家族のお話し。

    自分にとっての幸せとは何かを考えさせられる。

    私にはほのぼのとした家族の団欒とかなかったので読んでいて羨ましかった
    普通はこんな感じなんだなぁ~って。

  • 花を見て根を思う人になれ

    咲いた花見て喜ぶならば、
    咲かせた花根の恩を知れ

    花は枝によって支えられ
    枝は幹によって支えられ
    幹は根によって支えられている
    土にかくれる根は見えない
    外からは何も見えない
    咲いた花見て喜ぶならば
    咲かせた花根の恩を知れ

  • 温かい気持ちになるお話。
    表紙から猫メインのお話かと思いきや、全編しっかり兄妹の話です。
    初八木沢作品でしたが、読みやすく、情景がしっかり浮かぶ表現力にすっかりハマりました。
    妹と暮らすためにそこまでするかと兄の設定を疑問に思ったものの、読み進めると納得です。
    この兄妹、素敵だわ。

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著者プロフィール

1977年千葉県生まれ。日本大学芸術学部卒業。「森崎書店の日々」で第三回ちよだ文学賞大賞受賞。同作品は映画化された。著書に「続・森崎書店の日々」「純喫茶トルンカ」「純喫茶トルンカ しあわせの香り」がある。

「2023年 『きみと暮らせば 〈新装版〉』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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