海がきこえる 〈新装版〉 (徳間文庫)

著者 :
  • 徳間書店
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感想 : 33
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  • Amazon.co.jp ・本 (330ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784198947590

作品紹介・あらすじ

天才YA作家 氷室冴子 デビュー45周年
激しくも切ない「90’s青春グラフィティ」


「あたし、高知に行くまでは世間とうまくやってる
いい子だったのよ。あれからずっと世間とずれっぱ
なしの感じがする」大学進学で上京した杜崎拓は
「ある事件」で疎遠になった高校時代の転校生・武
藤里伽子が、地元大学への進学を蹴り東京やな舞い
戻った事を知る。気まぐれな美少女に翻弄されなが
ら、その孤独に耳を澄ました短い日々を回想する拓
に、思いもかけない再会の機会が訪れる。

スタジオジブリの長編アニメーション「海がきこえ
る」の原作。キャラクターデザイン近藤勝也氏のカ
ラーイラストを34点収録。

トクマの特選!

イラスト 近藤勝也

〈目次〉

第一章 フェアウェルがいっぱい
第二章 マン
第三章 里伽子
第四章 里伽子ふたたび
第五章 やさしい夜
第六章 海がきこえる

あとがき
解説 酒井若菜

感想・レビュー・書評

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  • 氷室冴子さん文学忌 1957.1.11〜2008.6.6
    藤花忌
    「小説ジュニア」愛読者だったあの頃は、コバルト四天王の一人、氷室冴子さんに 胸キュンの時間をいただいたと記憶しております。
    何をどのくらい読んだか忘れてしまったので、新しめの「海がきこえる」を。アニメ化されたようですね。
    高知の田舎に東京から転校してきた美少女。気が強くて、自由奔放な彼女に、地元の人の良い男子高性が振り回されながら惹かれていく、平成初期の青春小説。強気に隠した孤独が切ない女子です。
    令和のYAも時代反映してよろしいかと思いますが、この時代の健全な恋愛と友情の中間くらいのストーリーもまたよろし。
    振り返れば、「小説ジュニア」の発刊日を待ち焦がれるほどの気持ちは、それ以降なかったかもしれない。まあ、娯楽が少なかったからねえ。

    • おびのりさん
      ジャパネスクもコミックなったよね。
      ちょっとHなのは、富島武夫じゃなかった?
      aoiさん、実は、私は青春時代前だったかも、小説ジュニア。。。...
      ジャパネスクもコミックなったよね。
      ちょっとHなのは、富島武夫じゃなかった?
      aoiさん、実は、私は青春時代前だったかも、小説ジュニア。。。純文学と並行で読んでました。
      ٩( 'ω' )و
      2023/06/06
    • みんみんさん
      おびさん凄い!その人だ(*_*)
      おびさん凄い!その人だ(*_*)
      2023/06/06
    • aoi-soraさん
      小説ジュニアは知らないんだけど、雑誌なんですね
      富島さんのは多分読んでなくて、新井素子、久美沙織、赤川次郎とか読んでたかなぁ?
      懐かしー
      小説ジュニアは知らないんだけど、雑誌なんですね
      富島さんのは多分読んでなくて、新井素子、久美沙織、赤川次郎とか読んでたかなぁ?
      懐かしー
      2023/06/06
  • ベスト『海がきこえる』『海がきこえるⅡ アイがあるから』 | 教文館ナルニア国
    https://onl.sc/aYfQ9L1

    天才YA作家・氷室冴子デビュー45周年を記念して『海がきこえる』新装版発売! 7月8日(金)発売 復刊レーベル〈トクマの特選!〉|徳間書店のプレスリリース
    https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000446.000016935.html

    海がきこえる - 徳間書店
    https://www.tokuma.jp/book/b608463.html

  • 大学進学で高知から上京した青年。その一年と少し前に、東京から高知へ転校してきた少女は、とんでもなくわがままで気が強くて、でも…。高校時代の邂逅と東京での再会。
    若さ、恋愛、友情、成長…そんな青春要素がギュッと詰まった、世辞抜きの素敵なお話。この年だから言えるんですけどね(笑)

    ジブリのアニメ化時から知っていましたが、今回初読み。
    青春が、瑞々しく、かといって過度に美化することもなく、描かれています。
    読む年齢によって読後感が変わると思います。

  • ジブリのアニメで有名な作品だが、じつは原作もいい。いや、原作の方が好きかもしれない。まだ読んでいない方は、読まないと損だ。

    高知の高校を出て東京の大学に進学した杜崎拓は、地元の同級生からの電話で、武藤里伽子も東京にいることを知る。てっきり彼女は地元組だと思っていたのに。そこから拓は、里伽子と過ごした高校時代を回想する。
    里伽子は東京から高知にやってきた転校生で、ツンとしてわがままだが、とびきりの美人だった。父親の浮気が原因で両親が離婚し、母親の実家がある高知に連れられてきたのだ。たが、里伽子は本当は父親と暮らしたかった。バイトに精を出していた拓から金を借り、こっそり東京の父親のもとへ行く計画を立てていた。拓も成り行きでそれに同行することになる。
    ところが、父親のマンションを訪れると、父にはすでに新しい家族がいた。裏切られた里伽子は腹いせに元カレを呼び出すが、彼も親友とデキていた。高知にも東京にも、どこにも居場所がない里伽子。そんな痛々しい里伽子を、拓はどうすることもできない。
    拓には松野という親友がいた。松野はもともと里伽子に惚れていたが、二人が隠れて東京にお泊まりしたことが学校にバレ、噂になったあとも、拓との友情は変わらなかった。だが、里伽子をなぐさめる流れで告白した松野は玉砕し、そのことを拓に打ち明ける。心ない言葉で松野を傷つけた里伽子に、拓は平手打ちする。
    一方、松野は松野で、じつは拓も里伽子のことが好きなのだと、あるとき気づいてしまう。親友なのに、あるいは親友であるがゆえに、自分が気を遣われているとわかった彼は、拓を殴って絶交する。そんな気まずい三角関係のまま、彼らは卒業を迎える。
    そして舞台は現在に戻り、拓と里伽子は東京で偶然に再会する。物語が再び動き始める。里伽子で始まった物語は、もう一度里伽子に帰っていく──。

    この小説を一言で表すなら、「ほろ苦い青春」だ。もちろん、こんなドラマチックな展開は、自分の人生にはない。しかし、そうとわかっていても、あり得たかもしれない青春のひとコマをみんな想像してしまうのだ。そしてその味は、なぜか甘酸っぱい心地よいものではなくて、舌の奥でじんわりと苦味が広がるような、なんとも言えない特有の味なのだ。
    われわれは大人になってから「そうか、これが青春の味なのか」と気づく。いや、気づいてはいたけれど、気に入らなかったのだ。あんなもの、もうごめんだ。でも、大人になると、だんだんそれが変わってくる。はじめてビールの味を覚えたときのように、そのほろ苦さを味わえるようになったとき、われわれは青春と和解する。この小説は、そんな青春ソーダの味だ。

  • 待ちに待った新装版!!
    速攻で買いに行きました。
    カラーイラストが豊富で泣きそう。
    ありがとうございます。
    ありがとうございます、続編も新装版待ってます!!

    氷室冴子を読み直したいなあと思って、
    気づいた時にはほとんど手に入らなくなっていて。
    海がきこえる、は絶対欲しかったので本当にうれしい。



    以下、以前書いて登録してあった感想↓
    ちくちくしている青春の香りというか情景というか、あまりに尊すぎて何回か本を閉じた。
    田舎と都会の対比がキレイすぎる。
    高知弁がまた良いのである。

    リカコ、とっても嫌なやつなんだけど、同時にめちゃくちゃいい女で、だからやっぱりまわりは放っておけないんだよな。そうなんだよな。

  • この本がリアルタイムで出た頃自分はもう氷室冴子作品を読んでいなかったので今更ながら初めて読みました。

    もちろん時代的なものもあるけれども不自由だったからこそあった自由を懐かしく思ったりもしました。

    恋愛はもどかしいくらいが一番楽しくて、誰かを好きになった時の幸せな気分をこの作品を通して追体験できたような気がしました。

    自分は千と千尋しかジブリ映画見たことないのだけど「海がきこえる」も見てみたくなりました。

  • 先輩におすすめされたのがきっかけだったのですが、とても良い本で1日で一気に読んでしまいました。

    10代後半から20代始めにかけての時期の瑞々しさにあふれた物語です。懐かしい気持ちと、この年代の生きづらさや苦い思い出の両方がリアルに描かれています。
    里伽子が久しぶりに東京に戻ったら自分の居場所がなくなっていたシーンや、クラスメイトの女の子たちから「つるしあげ」されるシーンは、本心を隠して強がる里伽子を見ていて苦しかったです。でも、それらの情景が杜崎の視点を通じて語られるおかげで、しんどさが少し軽減されて目を背けたくなるはどではなくなっていたような気がします。

    杜崎も杜崎で、気を遣ったり見栄を張ったりで常に周りに振り回されていて可哀想なところがあって同情せずにはいられませんでした。でも誰からも好かれるところはめちゃくちゃ羨ましいなと思いました。

  • ノルタルジックな昭和の恋愛作品写真。思春期の繊細で脆い心理描写や現代からすれば不便にすら感じる社会での恋愛模様が爽やかに書かれていて、読後は後味の良さを味わえました。
    東京から訳アリで高知に来る里伽子は容姿端麗で頭脳明晰ながら、田舎を小馬鹿にし、協調性に欠ける態度をとるといった要するに面倒くさい人物ではありますが、実はかなり繊細で不安定であるという実に人間らしいキャラだと思います。そうした里伽子のことを心に留めておいてしまう杜崎拓の気持ちが少しながらわかってしまう人もいるのではないでしょうか。
    連絡に家の固定電話を使い、本屋で慣れない新天地の地図を買って、コミュニケーションは声でしか行えないやや面倒な時代に、互いに不器用さを隠しきれないながらも次第に心通わせていく面倒な恋愛模様が私は好きでした。

  • 耳をすませば、の映画を観て、ジブリの恋愛物ならこれもだよな、と実家に帰ってまで本を取り出す。
    学生時代の思い出は、瞬間は瞬間でしかなく、それぞれが尖っているから感じ方も一意なことが多い。
    角が取れてきたころに振り返ると、瞬間は線になってつながっていき、あの頃は、、と言える青春時代として、綺麗なものとして昇華されていくんだろうな。
    何度読んでも面白い!

  • 高校生のときに何度も読み返したくらい大好きな作品で、今回の新装版も迷わず購入しました。氷室冴子さんの文章も近藤勝也さんのイラストもすごく素敵で、出てくる小物や登場人物の髪型服装に時代も感じさせますが、それを超えた普遍的な魅力が詰まっています。
    この先どんなに年をとっても、この作品を読んだ当時の青春の淡くほろ苦い感情を忘れたくないし、だけど思い出しては赤面すると思います。
    ほかの皆さんも感想で書いていらっしゃるように、続編『海がきこえるⅡ アイがあるから』も非常に面白いのでぜひ新装版を出して欲しいです。お願いします徳間書店さん。

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著者プロフィール

氷室冴子(ひむろ・さえこ)
1957年、北海道岩見沢市生まれ。 1977年、「さようならアルルカン」で第10回小説ジュニア青春小説新人賞佳作を受賞し、デビュー。集英社コバルト文庫で人気を博した『クララ白書』『ざ・ちぇんじ!』『なんて素敵にジャパネスク』『銀の海 金の大地』シリーズや、『レディ・アンをさがして』『いもうと物語』、1993年にスタジオジブリによってアニメ化された『海がきこえる』など多数の小説作品がある。ほか、エッセイに『冴子の東京物語』『冴子の母娘草』『ホンの幸せ』など。 2008年、逝去。

「2021年 『新版 いっぱしの女』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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