神去なあなあ夜話 (徳間文庫)

著者 :
制作 : 三浦しをん 
  • 徳間書店
3.85
  • (182)
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本棚登録 : 3295
感想 : 248
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  • Amazon.co.jp ・本 (352ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784198941178

作品紹介・あらすじ

三重県の山奥、神去村に放りこまれて一年が経った。最初はいやでたまらなかった田舎暮らしにも慣れ、いつのまにか林業にも夢中になっちゃった平野勇気、二十歳。村の起源にまつわる言い伝えや、村人たちの生活、かつて起こった事件、そしてそして、気になる直紀さんとの恋の行方などを、勇気がぐいぐい書き綴る。人気作『神去なあなあ日常』の後日譚。みんなたち、待たせたな!

感想・レビュー・書評

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  • 神去なあなあ日常の続編
    今回は林業と言うより【命のバトン】的な
    スピンオフな感じでしたね

    村のはじまり
    好きな人と家庭を作る
    大事な人との別れ
    繁ばあちゃんの無駄な学習能力

    とても大事だけど…でも忘れてしまう
    自分と自然の繋がり、自分と他人との繋がり…
    皆 働いてる仕事だって全て他人に繋がってるし

    神去村は大変そうだけど、皆いい人達だ
    自分は比較的ヨキみたいな兄貴肌な人が身近にいたら言いなぁ…と昔から思う
    いそうでいない…

    自分は子供の頃からプロレス好きですが
    女房にも言われるが、【パパが推すレスラーって絶対、親分になるね!】
    確かに団体の大きい小さい関係なく、旗揚げしたり
    役職付くことになったり ほぼするな…

    あと…俺が最近 この女優さん魅力増したね…とか
    可愛い…綺麗と話題に出すと すぐ結婚が決まるような気もするなぁ…(すぐ結婚し…離婚し✕1になり…ナレーションなど上手くなりがち…)

    まぁこれから物価高や食糧なども大変になるだろうし…皆で乗り切りましょう!!

    ※だから結局俺が何が言いたいかって言うと
    【プロレスファンは普段交わらない団体抗争がはじまるとテンション上がりがちだけど、俺から見たら他団体同士で戦ってると言うのは、プロレス界が厳しい時に協力してお互いのファンを集め協力する…つまりYouTuberのコラボ企画みたいなモノだと思うし…勢い無くなってきてる団体は、鈴木みのるや大仁田厚を呼びがちだよね!】って事!!
    (プロレス興味無い人ごめんなさい)

    • workmaさん
      大仁田厚!コラボ見てみたいかも!
      大仁田厚!コラボ見てみたいかも!
      2023/01/23
  • 『文字が巨木を倒し、文字が森を鳴らし、文字が山を駆け降りる圧巻のオオヤマヅミさんの大祭(さてさて氏「神去なあなあ日常」のブクログ感想より引用)』の感動冷めやらぬ中、主人公・勇気の林業研修生としての任期は満了し『俺はたぶん、このまま神去村にいると思う』という不確定な言葉を残して、「神去なあなあ日常」は結末を迎えました。この作品で取り上げられていた林業研修生とは林野庁が2003年度から開始した『緑の雇用事業』によって林業分野の雇用改善を目指した制度です。関係される皆様の努力もあって、研修生の定着率は70%を超える実績(全産業平均(64%))を出しているようで、この結果、林業に従事している人の約三分の一がこの制度の出身者だそうです。そんな研修生の一人だった勇気。この作品はそんな勇気のそれからを描いていきます。

    『俺はつい最近、二十歳になった。今年の春からめでたく、中村林業株式会社の正社員になった』という作品の始まり。『神去村には、なにもない。最初は神去村での生活がいやでいやでたまらなかったのに、俺はいつのまにか、林業に夢中になっちゃったんだ』と勇気が林業に生きていくことを決意したことで、それからの物語が始まりました。そして、この作品は『それで思いついた。村の言い伝えとか、住人たちのこととか、見聞きした話を記録してみるのはどうかなって』というように勇気がパソコンに入力した『日記というか、覚え書き』を元にして、7章の連作短編集のようなイメージで展開していきます。

    雨で仕事が早じまいになったある日、ヨキの家の茶の間で羊羮を食べていた時でした。『むかーしむかし、神去村は水の底やったそうな』と突然語り出した繁ばあちゃん。『あの世からの電波でも受信しちゃったのかと心配になった』という勇気に、繁ばあちゃんは『神去村に言い伝えられとる、昔話をしたろと思うてな』と、かつて神去村が大きな池の底だった昔から、今の神去村ができるまでの物語を語ってくれます。この物語がとてもよくできた昔話でとても興味をそそられました。『どうしてこの村は「神去村」っていうの?』と尋ねる勇気に対して、『それは、さっきの話のつづきを聞けばわかるんや』と繁ばあちゃんは思わせぶりなそぶりを見せます。そして『あだると な話やけど、勇気ももう大人やからな。話したってもええ』と、語りはじめるところからこの作品が弾け出します。話を聞いた勇気が『なんなの、この性欲旺盛なひとたち』という『あだると』な昔話はここでは書きません、もとい書けませんが、この後も『でも抑えようがないのだ、この胸の高ぶりを!ついでに股間も暴れん坊将軍になりそうだが』などなど、散らばる下ネタ、お下品一歩手前な表現が頻出して、三浦さんのエッセイの世界観が顔を出します。

    でも、流石に小説とエッセイはきちんと意識されている三浦さん。勇気が愛する神去村の自然を『湿った木の葉のにおい。風にざわめく黒い山々。鋭く透明な空気のなかで、風鈴みたいに、すりこぎみたいに、さまざまな声で鳴くムシたち』というような表現で魅せてくれます。また、そこに暮らす人々を『挨拶すると、それだけで人間関係がうまくいくことが多いし、なんとなく気持ちが晴れやかになることだってある。その挨拶の範囲が、神去村では広いんやと思う』という挨拶に焦点を当てた表現で神去村の人々の人間関係を巧みに描写していきます。

    『村で生まれ、村で死んだひとは、みんな神去山の彼方へと魂が還っていくのだそうだ』という神去村。『この村のひとたちは、百年後を見据えて山に木を植えつづけ、先祖が植えた木を切りつづけて、生きてきた』というようにこの村に生まれ育った人々は昔から林業を生業として生きてきました。他の職業、例えば米作りであれば春に田植えをし、秋に刈り取ることで自分自身が半年かけて精魂かけて育てたものの成果を手にすることができます。でも林業はそうはいきません。苗を植え、伐採するまでに40年から50年。作品中でも出てくるような大木だと100年以上の月日に渡って親・子・孫にわたる手厚い面倒見が必要です。『自分が死んでも、あとを生きるひとが幸せでありますようにと祈って、神去村のひとたちは山の手入れをしつづける。その信頼こそが、愛ってやつじゃないのかなあ』と日記に綴る勇気。神去村での暮らしの中で、人々との関わりの中で、そこで生きていくために最も大切な心の有り様を体得していきます。

    文字が山を語り、文字が村を描き、文字が人を繋いでゆく、神去村の物語。『山のうつくしさや恐ろしさに、どんどん気持ちが惹かれていっちゃったんだよなあ』と語る勇気を魅了した山に囲まれた村の自然、そして人々の優しさに私もすっかり虜になりました。『緑の雇用事業』の効果もあって、50年来続いてきた林業労働者数の減少にようやく歯止めがかかったというこの国の林業。この作品との出会いを通して、その実態を垣間見ることもできました。「神去なあなあ日常」とともに、一人でも多くの方に是非読んでいただきたい作品。生気に溢れ、読んでいて心躍る一冊、人の生命力を感じるとても素晴らしい作品だと思いました。

  • 『神去なあなあ日常』の後日譚。
    神去村での暮らしや林業の仕事にすっかり馴染んできた勇気も二十歳に。
    村の起源、悲しい過去、直樹さんとの恋。勇気が読者に向けて書き綴るスタイルでテンポよく物語は進んでいく。
    豪快なヨキ、信頼の厚い清一さん、ピュアな山太くん、みんなの繁ばあちゃん。とにかく登場人物が魅力溢れていて、読み終える頃には神去村の人たちやその暮らしが愛おしくなる。
    神去村の仲間たちの優しさと、さまざまな経験を通して成長していく勇気の姿に元気をもらえた。

    • ひろさん
      1Qさーん
      そうそう♪まさに小説だけどマンガを読んでいるような感覚でした!
      ノリのよいDJラジオを聴いているみたいで楽しかったです(*^^*...
      1Qさーん
      そうそう♪まさに小説だけどマンガを読んでいるような感覚でした!
      ノリのよいDJラジオを聴いているみたいで楽しかったです(*^^*)
      1Qさんの~を語ろうぜのレビュー回を思い出しましたっ♪♪
      2024/03/02
    • 1Q84O1さん
      ひろさん
      ありがとうございます!
      またノリノリで語っていきますね〜♪w
      その前に語るネタを仕入れてこないと…
      ひろさん
      ありがとうございます!
      またノリノリで語っていきますね〜♪w
      その前に語るネタを仕入れてこないと…
      2024/03/02
    • ひろさん
      1Qさん!楽しみにしてますね~(∩´∀`∩)
      1Qさん!楽しみにしてますね~(∩´∀`∩)
      2024/03/02
  • 読後、ほっこり。
    秋の夜長のおすすめ本です。

    前作は奇想天外コメディ(私は勝手にそう思ってる)だったのに対し、この続編は、切なくも心温まるお話たくさん。
    そして面白くて全然気づかなかったけれど「古事記」や古来からの習俗がさらりと入っていたそうな(解説より)。

    神去村の歴史、前作で知ってる人達の切ない過去の出来事、勇気くんの恋の行方...。様々な「愛」が溢れてました。勇気くん、よかったね。

  • 続編読み終えました。
    主人公が林業、田舎での暮らしの中で大切にしたい事を見つけていきます。
    本当に必要な事は何か人との関わりで成長していく姿にあたたかい気持ちになります。
    大人にはなったけれどもまだそれを知らずに歳を取ってしまう人が大半だと思うので、それを見つけた主人公の暮しは眩しいです。

  • 三浦しをん(2012年11月単行本、2016年6月文庫本)。
    「神去なあなあ日常」の続編。主人公の平野勇気が前作で神去村に来てから1年半経った時からの物語。
    前作は勇気が無理やり神去村の中村林業株式会社に就職させられて、何とか逃げ出そうとするが徐々に仕事にも人間関係にも溶け込んでいき、そして失恋にもめげない姿を描いた物語だったが、今作では山仕事のチームの一員として成長した勇気が見れると同時に、村の成り立ちとか、16人の村人の事故死の話とか、チームの仲間のプライベートの話とか、興味深い話がいっぱい出て来る。勿論勇気の直紀への恋の行く末も。
    読み終えてほっこりと幸せな気分になる物語だ。
    勇気の目線で書かれているが、自分の目線は、時にはヨキの目線で、清一の目線で、繁ばあちゃんの目線で、みきの目線で、直紀の目線で、三郎爺さんの目線で、巌さんの目線で読んでしまうくらいに皆んないい仲間で、こんな仲間と人生を共に出来る勇気は本当に幸せ者だ。

    今作でも繁ばあちゃんが独特の存在感だ。勇気に神去村の成り立ちを話す内容は、皆んなが共有している神話だけに、つい本当のことと思ってしまうくらいに神去村には不思議なことが多いのも事実だ。その神話が事実だとすると親方の中村清一は蛇神ナガヒコと村の娘の子供の子孫ということになるのだが…。
    びっくりしたのは、繁ばあちゃんがパソコンの操作が出来るということだ。パソコンなんて全く縁がないと思っていた勇気は自分が小まめに日常の出来事や思っていることを小説風にパソコンに書き込んでいたのを繁ばあちゃんにちらっと見せた。パスワードも設定しているので誰も見れないと思っていたその日記小説を繁ばあちゃんが頻繁に覗いているとしか思えなかった。
    そして更にエスカレートしたことに勝手に書き込んでいた。勇気が直紀を納屋に誘ってことに及ぼうとする内容の創作だった。繁ばあちゃんはデイケアセンターのパソコン教室で操作を覚え、勇気のパスワードまで簡単に見つけてしまうほどのお茶目で進んだばあちゃんだった。

    2年目の10月に入ると勇気は運転免許証を取りに教習所に通う。久居にある教習所まではヨキの奥さんのみきさんに車で買物のついでに送迎して貰う。車の中で勇気はみきからヨキとの馴れ初めを聞く。
    幼い時からずっとヨキのことを好きだったみき、その事を告白してもはぐらかすヨキ、2歳年上のヨキとは小学校も中学校も一緒に通った仲、高校を卒業したヨキは中村林業で山仕事を始めた頃の花見の時、まだ高校生だったみきから強引に誘って結ばれたのにその後関係はそれっきりだったこと。
    松坂市の高校から大学に進み、卒業後津で働いて3年位経った時に一人暮らしのアパートにヨキがいきなり押しかけて来てお互いの気持ちを再確認して結婚したという経緯らしい。

    勇気は直紀から清一の両親、ヨキの両親が亡くなったことが気になるなら墓地へ行ってみろと言われる。行ってみて墓石の側面を見て大変な事実を知る。清一の両親もヨキの両親も同じ日、20年前の5月6日に亡くなっていた。しかも同じ日に16人も亡くなっていた。20年前と言えば清一はまだ高校生で、ヨキは小学5年生だった。何があったのか、ちゃんと知らなきゃいけないと思った。

    11月半ば、今年の「オオヤマヅミさんの祭り」は去年の大祭と違って普通の祭りで、丸太に乗って麓まで滑降して運ぶという儀式はない。ヘリで運ぶらしい。勇気はその様子を見ながら、横にいた山根のおっちゃんに20年前の事件について聞いた。そして奈良の大峰山へお参りの旅行にマイクロバスで行った村の16人が帰りに崖から谷へ転落して全員死亡した事故の話を聞いた。働き盛りの村人は皆んな死んだ。同じような年で生き残ったのは店をやっていたみきの両親とちょうど腹痛を起こして旅行をキャンセルした巌夫婦と母親の介護に追われていた山根ぐらいだということだった。

    祭りが終わって、2日後ヨキと勇気で高圧電線の鉄塔までの道を確認しに行くことになった。電線の保守点検に人が来るので事前に確認の必要があるということだった。南の山を越えてそのまた向こうの山の頂上まで片道2時間弱のコースだ。山頂に着いた時は夕方4時を回っていた。日のあるうちに林道まで下りなければと帰り道を急いで道のり半ばを過ぎた時、勇気は右足首を捻挫する。ヨキは担いで夜道になるのを避けて朝まで夜明かしすることを選択する。連絡を受けた清一が毛布とライターとビスケットと沢山の木の枝を持って来た。そして帰ってしまう。二人でなら勇気を担いで夜道と言えども山を下りれそうなものだと思うが…。

    夜明かしをしながら、勇気はヨキに20年前のバス事故のことを山根から聞いたことを告げるとヨキはその時のことを話し出す。
    ヨキは小学5年生で清一は高校生だった。ヨキと清一は単なる幼馴染みではなかった。両親を同時に亡くした悲しみを共有し、同じ一人息子という境遇で、互いに支え合ってこれからの人生を生きていかなけらばならない運命だった。
    清一は即座に顧問弁護士に動いて貰い、山と資産を守った。清一は生まれた時から親方になるために教育されてきた。
    中村家が所有する膨大な山や財産を相続して、みきの両親が後見人となって清一の親戚達からの防波堤になり、林業の仕事は清一が大学を卒業するまでは三郎さんが代理で山仕事を仕切った。
    小学生のヨキには繁ばあちゃんがいるが清一がヨキの精神的支えになっていた。ヨキの将来は清一と一緒に林業に従事することは既に既成路線だった。そしてヨキにはみきが必要だったと思う。幼くして家族を失ったヨキの全てを身近で知っているみきにしかヨキを支えられなかったのだ。

    三郎じいさんは75歳でも現役で山仕事をしているが、奥さんは亡くなり一人住まいだ。息子は名古屋で所帯を持って会社員をしており、娘は東京に嫁いでいる。時々名古屋に会いに行っているみたいだが、神去村を離れる気はないらしい。今も清一の相談相手だ。75歳でも100年後の林業を勇気に熱く語るのだった。

    巌さんは51〜52歳で農協に勤める奥さんと二人で暮らしだ。息子はいるが山仕事はする気がなく大阪で働いている。巌さんは勇気のことをよく気にかけて、ヨキとは違う山仕事の真面目な先生役だ。幼い時に神隠しにあった経験があるようで、そのためか今も昔も不思議と神様に守られているようなラッキーなことが多い。

    捻挫してから3日くらいでだいぶ良くなったので、勇気は直紀をドライブに誘おうと直紀の家に行くと直紀は元気なく、万年筆が見つからないと言う。就職祝いに清一から貰った万年筆だと聞いてかなりがっかりしたが、勇気は直紀を失せ物にご利益があると言われているお稲荷さんに連れていき、お願いするのだ。帰って来てからも直紀の無くした時の行動を親身に聞いた勇気は万年筆がある場所を推察して見事見つかる。万年筆の件で勇気が嫉妬して機嫌が悪かったのを知った直紀は、それでも親身になって万年筆を探してくれた勇気に心を許し、一瞬ではあったが軽いキスをする。付き合うという返事は貰えなかったが希望の火が灯った瞬間であった。

    12月のクリスマス、山太のために清一班は家族も総出でクリスマスツリーを飾り、料理を準備して山太初めてのクリスマスパーティを準備していた。勇気は直紀と二人だけのクリスマスを夢見ていたが、成り行きで仕方なく山太のためのクリスマスに直紀を誘った。それでも直紀へのクリスマスプレゼントを渡すタイミングを図っていたが、直紀は学校の残業で遅くなり、ほぼ終わりかけた頃にようやく着いた。山根のおっちゃんの奥さんに車で送って貰ったのだが、勇気は勝手にライバルだと思っている小学校の同僚の先生と思い込みまたもや嫉妬する。直紀は少なからず勇気に好意を寄せ始めていたはずだ。このクリスマスイヴも二人で過ごすつもりで勇気の誘いを待っている向きがあった。その期待を裏切り、嫉妬で直紀を信じていない勇気に怒り、落胆する。その様子を聞き耳立てて皆んなが静まり返っている。
    繁ばあちゃんが、みきさんが、勇気を責める。ヨキと巌夫婦は同情する。清一と祐子さんは沈黙を守り、三郎爺さんは愛を語る。
    黙って聞いていたみきさんが、「明日直紀に謝れ」と助言する。ヨキが「朝直紀を家まで送れ」と言い、清一に勇気の明日の仕事の遅刻を了解させる。

    そして翌朝、勇気はヨキの軽トラで昨夜のことを謝りながら、自分の気持ちを伝え、直紀を家まで送る。そして渡しそびれていたプレゼントの赤いマフラーをキスをしながら首に巻いてあげる。そして厚かましくもゴーインに『メドの権利』を使う許可まで取ろうとすると、直紀は時間を置いて「仕事が終わったら、電話して」と言ってバイクで走り去っていった。
    もう皆んなが知っているようだ。繁ばあちゃんが、ヨキが、みきさんがあれこれ言ってくる。皆んなに応援されて勇気と直紀はきっと幸せになることだろう。ハッピーエンドでほっこり。

  • 『神去なあなあ日常』の続編。再び主人公の勇気と神去村の人々に会えて嬉しかった。前編に続き、山奥の村での日常が描かれているのだが、雄大な自然、村の人たちの温かさや信心深さ、勇気や村で唯一の子供である山太の純粋さ、ノコ(犬)の可愛さに触れると自然と清々しい気持ちになる。神去村の人たちも頑張ってるのだから自分も頑張ろうという気にもなった。きっかけは横浜で親や担任に半ばそそのかされる形だったが、今ではすっかり村に溶け込み、受け入れらている勇気。更なる続編が出たら良いのになぁと思う!

  • "神去なあなあ日常"の続編。
    山仕事にも慣れてきた勇気が、神去村の起源にまつわる言い伝え、20年前に村を襲った悲劇のことなどを記録する形でストーリーは展開する。

    勇気が恋心を抱く直紀との関係は、周りの人たちがヤキモキするくらい、遅々として進展を見せないが、最後は無事付き合うことになった。

    また、普段の態度からは想像もできないような悲しい経験を学生時代にした清一とヨキのことを綴った章では涙が止まらなかったが、亡くなった人の気配を身近に感じられたり、山と密接に関わって暮らしている村人たちの神様を信仰する気持ちもなんとなく理解解できた。

    それにしても、清一の息子、山太がいい子過ぎる!

  • おもしろかった。『神去なあなあ日常』の後日譚。神去村の細かい信心とか、ヨキや清一の家に両親がいないことの理由など、神去の山で淡々と語られる。繁ばあちゃんのキャラが素晴らしい。山太のクリスマスは大爆笑した、赤松の和風の飾りのついたツリー、そして木彫りのロボはものすごく羨ましい。”木工と個別課題の部屋”という個人的愛読ブログがあるが、そちらの作品を思い出し、大量生産の超合金ロボ(それもまた嫌いではないが)にはない、山の恵みを感じる。すばらしく優しい気分になれる一冊。

  •  楽しいお話を読みたい方、元気をもらいたい方にお勧め。

     神去なあなあ日常の続編。二冊共、必ず再読したいと思える程面白かった。

     今回は、村の人々の愛に溢れるお話が盛りだくさんだった。大笑いできる描写も多く、楽しい読書時間を過ごすことができた。

     二十年前の事故は悲しすぎて泣いた。ヨキが繁ばあちゃんを背負っている場面があると、辛い時期を二人で乗り越えてきたんだ。と思え、感慨深い気持ちになった。

     三郎じいさんの「ほんまの愛話」は、声を出して笑ってしまった。


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著者プロフィール

1976年東京生まれ。2000年『格闘する者に○』で、デビュー。06年『まほろ駅前多田便利軒』で「直木賞」、12年『舟を編む』で「本屋大賞」、15年『あの家に暮らす四人の女』で「織田作之助賞」、18年『ののはな通信』で「島清恋愛文学賞」19年に「河合隼雄物語賞」、同年『愛なき世界』で「日本植物学会賞特別賞」を受賞する。その他小説に、『風が強く吹いている』『光』『神去なあなあ日常』『きみはポラリス』、エッセイ集に『乙女なげやり』『のっけから失礼します』『好きになってしまいました。』等がある。

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