ハルカの空: 南アルプス山岳救助隊K-9 (徳間文庫 ひ 24-4)

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  • 徳間書店
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  • Amazon.co.jp ・本 (395ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784198940157

作品紹介・あらすじ

清廉な山中で行われるトレイルランニング。没頭する彼は山に潜む危険をまだ知らなかった――「ランナーズハイ」。登山客の度重なるマナー違反に、山小屋で働く女子大生は愕然とする。しかしそこは命を預かる場でもあった――「ハルカの空」。個性溢れる山岳救助隊員と相棒の“犬たち”が登山客と向き合うとき、そこには人生の悲喜交々がある! 「ビバーク」は単行本未収録作品。――解説・馳星周

感想・レビュー・書評

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  • 第1作の『天空の犬』が、星野夏実を主人公にした長編だったのに対し、第2作は南アルプス山岳救助隊のメンバー(神崎静奈、関真輝雄等)が、それぞれ交代で主役となる連作短編。
    もちろん、星野夏実も各編でちょい出するが、『NO WAY OUT』では、主役として同僚の警察官の救出劇を演じる。
    表題作の『ハルカの空』は、山小屋でアルバイトする少女が主人公。正義感の強い彼女が、マナー違反をする登山客に憤然としながらも仕事をこなし、遭難救助の手伝いもする。
    彼女は、今後のシリーズにまた登場するような気がするが、果たして・・・

  • シリーズ第2弾。
    今回は山岳救助隊ではなく、山岳救助隊を取り巻く人たちの生き様を綴った短編集。
    山岳救助隊のメンバー達を描いた1作目も良かったが、人それぞれが山に登る理由を描いた今作も違う意味で良かった。
    山小屋でバイトをする女子大生目線で描かれた表題の「ハルカの空」は山で働く人だからこそ、見える問題点に触れていて、自分自身、山に登るので身に染みる部分も…
    次作ではどんな人間模様が描かれるのか、楽しみなシリーズ。

  • <南アルプス山岳救助隊K-9>シリーズの2冊目。
    ようやく巻頭の北岳周辺の地図も頭に入りだした。

    山岳救助隊員のそれぞれが主人公になる話が6つ。
    色んな要救助者があって、その救出に隊員と犬たちが活躍するというお話だが、季節・天候・登攀ルートその他諸々手を変え品を変え、山に登る人の背景や心情を映して、読み心地が良い話が続く。
    中でも、表題作は、これだけが隊員ではなく夏の山小屋のアルバイトを主人公にした話だが、救助隊員だけではない、山での仕事の苛烈さがさりげなく描かれている佳品。
    物語の中では、山を駆けて救助に向かったり自分よりも重い人を背負って歩く隊員の様子が何度も出てくるが、「NO WAY OUT」では、冬山の過酷さが詰め込まれていた中、それに負けないその日常の鍛錬の成果が凝縮されていた。
    「サードマン」も、ああいう現象があっても不思議ではないと思わすものがあった。

  • 天空の犬の続編。
    メイと夏美が救助隊をつとめる北岳での出来事が、短編集のように描かれている。
    本当にこんな救助犬がいたらなぁと、楽しく読める作品。

  • 北岳を舞台に天空の犬に登場する山岳救助隊と、登山者、山小屋の短編集。本当に最近の山は人が多いと感じるけど、老若男女いれば、技術体力考え方…マチマチだ。特にマナーと正義感の箇所は考えるところがあった…

    2018.8.14

  • 前作で山梨県警察南アルプス署地域課
    この特殊な警察署の役割と生活・山の
    厳しさを知りました
    今回は何人かがクローズアップされて
    主役となります
    アノ神崎が・・・

  • 清涼な山中で行うトレイルラン。人気のスポーツに没頭する青年は山に潜む危険をまだ知らなかった―「ランナーズハイ」。登山客の度重なるマナー違反に、山小屋で働く女子大生は愕然とする。しかしそこは命を預かる場でもあった―「ハルカの空」。南アルプスで活躍する個性溢れる山岳救助隊員と相棒の“犬たち”が、登山客の人生と向き合う!「ビバーク」は単行本未収録作品。

    この際だから、未読のシリーズ残りを読んでしまおう。

  • 南アルプスの主峰北岳で活動する南アルプス山岳救助隊K9の活動を描いた短編集。美しく厳しい自然、命を守る献身的な彼らや働く山荘のメンバー、そしてそこに思い出を持つ登山者たちの姿は感動的だ。素晴らしいシリーズ!

  • できれば長編ものが好みだがこの短編は読みやすくてよかったかも。

  • 南アルプス山岳救助隊K-9シリーズの短編集。
    全て日本第二位の標高を誇る山、北岳が舞台になっている。
    火山じゃない山としては、日本最高峰なんだって!
    *
    前に読んだ『火竜の山』から主人公は夏実なのかと思っていたら、この短編集は主人公がK-9の他のメンバーだったり、山小屋のアルバイトの子だったりと変わっていく。
    面白くて続きが気になって、あっという間に読み終わってしまった!
    救助犬たちも可愛いし。
    *
    夏実の相棒はボーダーコリーって何回も書いてあるのに、実はずっと頭の中でコーギーを思い浮かべてた…(^v^;)
    メイ、ごめんね!
    表紙にちゃんと絵まであるのに!
    ってか、『火竜の山』からずっと頭の中でコーギーだったわ…。
    今作の中盤で、突如として毛色がそんなコーギーっていたっけな…ハッ‼︎ってなった。
    思い込みって怖いわぁ。
    *
    それにしても山に登る人のマナー違反て、う〜んて思う。
    馳星周さんも解説の中で「山に登る人間が増えれば、山の上では下界と変わらない光景が繰り広げられることになってしまうのだ。」と書いてらっしゃったけど、本当にそうだなぁ…と。
    わざわざ山に登ってまで、そんなマナー違反をするなんて!って思うけど、人間は色んな人がいるからなぁ…。
    良い人も悪い人も。
    *
    *
    遭難の話が続くので、山が兎に角怖くなってしまって、私は登らないな!とか思ってたのに、最後の方には山に登ってみたくなってしまった。
    不思議。
    このシリーズ面白いので、他の作品も読んでみたい。

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著者プロフィール

1960年山口県生まれ。明治学院大学卒業。雑誌記者を経て、87年に小説家デビュー。2008年『約束の地』で、第27回日本冒険小説協会大賞、第12回大藪春彦賞をダブル受賞。2013年刊行には『ミッドナイト・ラン!』で第2回エキナカ大賞を受賞。山岳救助犬の活躍を描く「南アルプス山岳救助隊K-9」シリーズの他、『狼は瞑らない』『光の山脈』『酔いどれ犬』『還らざる聖地』、エッセイ『北岳山小屋物語』『田舎暮らし毒本』などの著作がある。有害鳥獣対策犬ハンドラー資格取得。山梨県自然監視員。

「2022年 『南アルプス山岳救助隊K-9 それぞれの山』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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