先生のお庭番 (徳間文庫)

著者 :
  • 徳間書店
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本棚登録 : 736
感想 : 61
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  • Amazon.co.jp ・本 (312ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784198938383

作品紹介・あらすじ

舞台は長崎の出島。15歳で修行中の庭師・熊吉はオランダ商館への奉公を命じられた。仕える相手はシーボルト。なんと更地に薬草園を作れという。熊吉はそれでも工夫を重ねて見事な薬草園を仕上げ、シーボルトと妻のお滝の信頼を得てゆく。四季折々の草花に魅入られたシーボルトは、熊吉に日本の自然の豊かさについて説き、どこの国でも同じだと思っていた熊吉は驚かされる。土と草花を通して人のぬくもりを描いた、感動の職人小説にして成長小説。

感想・レビュー・書評

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  • じっくりとシーボルトを読んだ訳じゃないけど、ここで知識入れてもいいかなと思うけど、一遍でも知るのもいいかと思う。あくまで熊吉の話だから。出島を舞台にする話も意外に読んでない、オランダ人が出て来るのでなく庭師を一心にやり遂げる熊吉が染みる。12冊ですね、やっぱり読み応えある

  • シーボルトに従事した、庭の管理人=御庭番•熊吉のお話。

    蘭語にどうしようもなく惹かれ、そこからシーボルトとの運命的な出会いを果たす冒頭、初っ端からぐっとくる。

    フィクションのような盛り上がりがあるのに、ノンフィクションの持つ客観性も持ち合わせていて、読んでいて不思議な気持ちになった。

    シーボルト先生が、私たちにとって馴染み深い「自然」という言葉を初めて定義付けるシーンも、ハッとさせられる。
    それなのに、日本人の「自然」観には触れきれないシーボルト先生の哀しみ。

    それでも、熊吉の彼を慕う姿が良い。
    どれだけの犠牲を払い、失い、過たれたとしても、熊吉の仕事は変わらない。
    ひたすら地味だけど、めちゃくちゃ格好良い!

    読んでいて、良い重みを感じた。

  • たくさんの植物が出て来きます。

    「あのお花が薬草だったの⁉︎」と驚きながら読んでいました。


    「でんでらりゅうば」の歌にもビックリ。
    子ども番組で流れていたのがずっと耳に残っていて、
    こんなところで再会するとは!
    意味深な歌だったんだ。

  • 詳細は、こちらをご覧ください
    あとりえ「パ・そ・ぼ」の本棚とノート
     → http://pasobo2010.blog.fc2.com/blog-entry-1301.html
    本書を読むまでは、 「熊吉」のことは 全然知らなかったので 実在の人と知ってびっくり。
    以前見に行った「シーボルト展」でも紹介されてたんですね。
    2016/11/6「日本の自然を世界に開いたシーボルト」展へ行く
    https://blog.goo.ne.jp/pasobo-arekore2005/e/8b1c44fa6aa9d09f9693b0509c71ab7b

  • 切なくて、美しい話だった。
    日本の良いところ、悪いところ、美しさがきれいに描かれていると思う。

    嵐に対して怒りを抱かない日本は、今もそうなのかも。
    怒りが全くないわけではないけれど、自然を受け入れ、共に生きること。日本人は昔から、そうしてきたんだなと思う。

  • 人物や土地や花木、あらゆる描写が写実的で、自分も出島にいるかのごとき錯覚に陥ってしまうほど。その中で主人公と先生、奥方との絆が生き生きと描かれている。「恋歌」も見事だったが、こちらも最後に深い感銘を受け、余韻の残る秀作であった。

  • 長崎の出島でのシーボルト先生のお庭番熊吉の物語。熊吉の気持ちを所々切なく思った。

    江戸時代の奉公の様子、当時の日本人とシーボルト先生の考えの違い等を知る事ができて、面白く読めた。

  • シーボルトの薬草園の庭師として雇われた熊吉とシーボルトの心の交流を描く物語。向学心旺盛な熊吉の成長、シーボルトの妻、滝の生活があの事件に依って大きく変わってしまう。

    シーボルト事件は歴史の勉強の時に出てきて知ってはいたが、この作品でシーボルトなる人物の一部を知ることが出来た。兎に角、面白い作品であった。この作者の作り出すフィクションの部分がさも事実であるが如く感じさせるのは作者の力量の表れだと思う。

  • シーボルトつながりの本は、これで何冊目だろうか?
    この作家さんの描く世界は丹念に積み上げた史実を、、素敵な物語に仕上げています。

    出島のシーボルトの植物園に出入りの植木屋から専属の職人をと依頼があった。
    そこで決められたのが一番年下の熊吉。
    先輩の職人たちは皆外国人のもとで働きたくはなかったのであった。

    熊吉、実は蘭語を習いたいと心のうちで密かに野望を持っていたのだった。
    熊吉はそのまじめな働きぶりと、工夫を重ねた植物園の造園方法で一目置かれる。

    熊吉、バタビア人のオルソン、シーボルトの日本人妻お滝は仲良くなり共に食事もするように。
    才能も機転も聞くシーボルトは、幕府の要人らの受けも良い。日本各地から教えを乞う人々が多数やってくる。

    物語は熊吉の工夫で1000品種に及ぶ植物をシーボルトが変える船で送るところまでが描かれ、終章では、お滝との娘と再会するところで終わる。

    他の作家により、この娘が苦労して女医になるまでのノンフィクションも存在。

  • 211019*読了

    朝井まかてさんの小説は初めて。
    時代小説だけれども、テーマが「庭」「植物・樹木」だけあって入り込みやすかったです。
    染み入るシーンあり、情景広がるシーンあり、そして、さらりと読めました。
    (もっと早くに感想を書けばよかったな…。内容を忘れてしまった。)

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著者プロフィール

作家

「2023年 『朝星夜星』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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