- Amazon.co.jp ・本 (361ページ)
- / ISBN・EAN: 9784198938055
作品紹介・あらすじ
平安末期、源氏方の十六歳の武者、草十郎(そうじゅうろう)は、野山でひとり笛を吹くことが好きな、孤独な若者だった。源氏の御曹司・義平を将として慕い、平治の乱でともに戦ったのもつかのま、義平の無残な死に絶望する草十郎。だが、義平のために魂鎮めの舞を舞う少女、糸世(いとせ)と出会い、彼女の舞に合わせて笛を吹くと、その場に不思議な力が生じ…? 特異な芸能の力を持つ二人の波乱万丈の恋を描く、荻原規子の話題作、初の文庫化。
感想・レビュー・書評
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清浄な空気と、美しい風景を感じられる物語。
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最初は歴史小説かと思うが徐々にファンタジー的な所も出てくる。日本の歴史好きな人には良いかも。
2018/5/1読了。 -
※後編まで読んだ感想
勾玉シリーズが大好きで、その流れを汲む作品として大変楽しみに読み始めたが、わりあいあっさりと読み終えてしまった。
面白いことは面白い。
評価を4にするかどうかは迷った。
けれども、これまでの作品に比べると、没入感に乏しかった。
それは単に私の感性が変わってしまったせいなのかもしれない。
主人公の二人について、ただただ……子供だなあ、という印象しか受けなかった。
行き当たりばったりで、基本的には自分の欲望だけを叶えていった二人だ。応援したい気持ちになりそこねてしまった感がある。
最後にたどり着く場所は草十郎の葛藤や迷いを超えたところにあり、納得というか「良かった」という思いはしたのだが。
この作品の魅力は、二人の作り出す世界、現世を超えたところにある未知の世界に入り込むときの陶酔感だ。
こればかりは表現の巧みさに感嘆した。
自分の知らない情景や感覚を、まるで見知ったかのように感じられるすばらしさ。
願わくば、この力をもっとましなことに使って欲しかったものだ。
この年齢じゃあ分別が足りないのも無理はないのかな……。愚かだったとまでは思わない。ある意味等身大の若者を描けていたといえば、その通りだ。 -
2016年10月3日購入。
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鳥彦王との掛け合いが面白いです。笛の音と舞が見てみたいです。言葉から想像できる景色が、そりゃぁもう美しいです。
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上巻ではあまり読み進められず、いつの間にか二人が心を通わせていて、置いてきぼりに。
不思議な空間を共にした事が二人を近づけたのかなと。
下巻ではもっと夢中になって読めたらいいなと思う。 -
小説を一気に読んだのは久しぶりです。ページをめくる手が止まりませんでした。
空色勾玉から読んできましたが、特別な笛を吹くことができる草十郎に、特別な舞を舞うことができる糸世という二人の登場人物は、今までとは違ったタイプの人物だなと感じました。
男女のどちらかが何の変哲もない人物であることが多い印象ですが、今回のこの二人は世界をも変えられる力をあらかじめ持っています。それとどう向き合っていくのかが、物語の中心になっています。
勾玉シリーズを読むのはだいぶ前のことなので、鳥彦王のことも忘れかけていましたが、この小説から読んでも十分に楽しめる内容だと思います。 -
糸世や鳥彦王やほかのキャラに、振り回されてるようで振り回してもいる草十郎がかわいいなあと思いました。
草十郎の青さと若さがかわいいです。