それでも世界は回っている 1 (文芸書)

著者 :
  • 徳間書店
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感想 : 44
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  • Amazon.co.jp ・本 (224ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784198652906

作品紹介・あらすじ

~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・
ロングセラー『月とコーヒー』に連なる
〈インク三部作〉開演!
~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・


いいか、よく見ろ。
終わりが来ても、
このとおり、
何度でもよみがえる。


「奇妙な惑星」博物館の保管室に
勤務する十四歳のオリオ。

師匠のベルダさんと二人、
世の中のあらゆるものを記録し保管すべく
作業に勤しんでいた。

そんなある日、ベルダさんが死んだ。
自殺か、病気か、事件か。

原因がわからぬまま、
オリオは保管室の責任者を
引き継ぐことになる。

ところが――。

ベルダさんが記録に使用していた
万年筆のインク、
〈六番目のブルー〉の在庫がない。
あれなくして記録作業はできない。

幻のインクを求めるオリオの旅が始まった。

感想・レビュー・書評

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  • 今まで読んだ吉田篤弘さんの物語は、ある街を中心にした、そこに住む人々の話が多かったように思うが、今回は〈六番目のブルー〉という青いインクを求めて旅に出る話。まだ旅は始まったばかり。
    どういう展開が待っているのか楽しみ♪

  • 3部作であることは頭の片隅で認識していた。
    本書を図書館で見かけたときも『2』が隣に鎮座していたので、きっと『3』は誰かが借りていて、でもきっと蔵書されているだろうから、きっとするっと最後まで辿り着けるだろうと何の気なしに借りた。

    しまった、まだこれ『3』出てないぞ。。。

    しかも『1』の終わりにしてすごく途中感たっぷりで、このまま『2』まで読み進めたところで訪れるであろう”おあずけ”に我慢できるだろうか。
    というか『3』が出るまでストーリーを憶えていられるだろうかw

    まぁとにかく吉田さんらしく、心地よくすらすら読んでいける物語なので、忘れたらまた読めばいいやということで『2』も予約しておこう。

    14歳の天才少年オリオ君は『奇妙な惑星』博物館の保管室で師匠のベルダさんとあらゆるものの記録を残している。
    この仕事を初めてはや4年(正確には4年と1ヵ月と28日)、突如訪れたベルダさんの死に戸惑いを隠せない。
    それでも、博物館の館長からの期待や継承者としての自覚から、ベルダさんの替わりを務めようと決意するオリオくん。
    そんな折に気が付いたベルダさん愛用の「6番目のブルー」のインクの欠損。
    仕入れ先のオスカー商會に掛け合うも、生産者が廃業したので在庫もないとのこと。
    オリオ君と心が通じ合ってしまう不思議な少女ココノツからの後押し(そそのかし!?)もあり、「6番目のブルー」の生産国「エクストラ」への旅が始まる。

    生前ベルダさんが語っていた、「それでも世界は回っている」。

    そのとおり。
    大事な誰かがいなくなっても、なくては困る何かが手に入らなくなっても、気持ちがついていかなくても。
    無情にも時間は流れ、ときに誰かが替わりを務めながら、ときに体と心を切り離すことを余儀なくされながら、これまでどおりの世界は継続していく。
    そんな真理を通底音にしながら進んでいく、どこか遠い世界遠い国の静かで穏やかな物語。

  • オトナ心くすぐる物語の一冊。

    インク、6番目のブルーを求めて旅するストーリーはオトナ心をくすぐる世界。

    言葉に癒され旅にわくわくさせられる時間を味わえた。

    オトナだからこそ響く言葉ってこんなにもあるんだな。

    きちんと自分が癒されたかった部分にぴたっと言葉がはりつく感じが良かった。

    どんな時でも、哀しみや孤独を抱え自分の時間が止まっているように感じても「それでも世界は回っている」。深い言葉だ。

    インクの色と同じくらい深い深い青さを伴って心の深い深い場所に沈んでくる。

    そして深い眠りに誘われる感じが好き。
    このサイズも好き。

  • 『月とコーヒー』のショートストーリーから生まれた長編小説。
    幻のインク〈六番目のブルー〉を求め彷徨う旅物語。

    博物館の保管室で働く14歳のオリオ。
    ある日、保管の記録に必要な万年筆のインク〈六番目のブルー〉がないことに気付く。

    〈六番目のブルー〉
    それはこの世でいちばん深い海の底の青色。
    奥深くて華やかで悲しくて麗しくて涙が出てきそうで…一言では言い表せないほどの美しい色。
    そして人生における師匠の魂が宿る色。
    一体どんな”青”なのだろう。
    読めば読むほど謎めいてくる。
    そんな大切なインクを失くしてしまったオリオのインク探しの旅は、人との出逢いの旅でもあった。
    次から次へと登場する個性的な人たちの導きによって〈六番目のブルー〉に無事辿り着けるのか、とても楽しみだ。

    〈インク三部作〉の第一部。
    この先、どんな出逢いが待っているのか、乞うご期待ということで。

  • 『月とコーヒー』に収録されていた“青いインクの話”に連なる物語との事。個人的に“青いインクの話”は気に入っていたので、期待を抱きながら読みました。

    博物館の保管室に勤務する少年・オリオ。亡くなってしまった彼の師匠・ベルダさんが愛用していたインク〈六番目のブルー〉が廃盤になってしまっていた事に気づきます。
    オリオは〈六番目のブルー〉を求めて旅に出る事に・・・。

    幻想的で優しい中にも哲学的なものが見え隠れする、独特の世界・・・他の方も書かれていましたが“大人の寓話”のような雰囲気のお話です。この世界の心地よさがクセになります。
    著者の吉田さんが描かれたイラストもいい味出ていますね。
    本書は「1」という事で、内容的にもまだ旅は始まったばかりなので、続きを読むのが楽しみです。
    因みに、巻末の著書紹介のページで『電球交換士の憂鬱』という作品が目に留まり、“え?これって、この物語に登場した、電球交換士・トビラさんのお話?”と、思わず二度見してしまいました。
    と、いう訳でこちら(「電球交換士・・」)も読んでみなきゃですね。

  • 「月とコーヒー」に出てきたミステリアスなインク〈六番目のブルー〉にまつわる物語です。会社が廃業って…、それじゃ…オリオと一緒に(ジャン叔父とココノツも)旅が始まったようでワクワクします。インク会社があった町エキストラに、いつたどり着けるのでしょう。道中に何が起こるのでしょう。謎の人物が現れたところで、「2」に続く!
    登場人物が多くて、覚えきれない! どの人も印象的で、物語の中で大事な位置を占めていそうなのですが。

  • なんか、最後までぼや〜っとした物語でした。
    伏線のようでそうでないのか?
    余韻が残り過ぎると言うか…
    それでも地球は回ってる…

    それでも地球は回ってる2を読んで、少し印象が変わりました

    やっぱり世界観が良いなぁ

  • 博物館で働くオリオは、師匠であるベルダさんの形見とも言える「いちばん深い海の底の色」のようなインク<6番目のブルー>を探す旅にでる。

    美しいとはどういうことか、素晴らしいとはどういうことかを、自分の言葉で語る登場人物たちはどうしようもなく魅力的だ

  •  つらいことがあっても、ただ回り続けてくれる世界。それは素敵な世界。一方で、自分の意志をもって自分の時間を生きなければ意識せぬうちにも世界は回り、時間が無くなっていく。これもまた世界。

     
    p24世界が回りつづける限り、次から次へと死がめぐってきて、次から次へと新しい命がめぐってくる。

    p40「いなくなるっていうのは、そういうことなんだな。毎日、繰り返してきたことが、急に消えてなくなるってことだ」

    p124「そうじゃなくて、時間はお前なんだ。いいか?お前がそこにいて、そうして生きているから、お前の時間が流れる」

  • ぜひ大事に少しずつ読んでもらいたい。
    一気に読んでしまったのでちょっと後悔、、。
    それくらい素晴らしい本。

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著者プロフィール

1962年、東京生まれ。小説を執筆しつつ、「クラフト・エヴィング商會」名義による著作、装丁の仕事を続けている。2001年講談社出版文化賞・ブックデザイン賞受賞。『つむじ風食堂とぼく』『雲と鉛筆』 (いずれもちくまプリマー新書)、『つむじ風食堂の夜』(ちくま文庫)、『それからはスープのことばかり考えて暮らした』『レインコートを着た犬』『モナリザの背中』(中公文庫)など著書多数。

「2022年 『物語のあるところ 月舟町ダイアローグ』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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