夜の塩 (文芸書)

著者 :
  • 徳間書店
3.47
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本棚登録 : 164
感想 : 19
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  • Amazon.co.jp ・本 (316ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784198647995

作品紹介・あらすじ

昭和30年、社会が大きく変化しつつある時代、心中とされた母の死には疑惑が…。美人英語教師の復讐と愛を描く書下し長篇小説。
十希子は、母が格式ある料亭「千代菊」の中居として働き、女子大を卒業。
私立の名門女子高で、英語教師として働き始めて1年。同僚との婚約も決まり、母は娘の花嫁姿を見るのを楽しみにしていた。心中死の真相を探るため、中居として渦中に入り、事件の背後を探ってゆく…。愛と復讐のせめぎあい!

感想・レビュー・書評

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  • 料亭を舞台にした政官と民間の癒着をサスペンス仕立てで「ザ・エンタメ」という印象で、楽しみました。

    突っ込みどころはあるけれど、山口さんの文章は嫌いじゃないんで。
    いかにもという人物造形だけれど、それもまた良い感じでした。

    • やまさん
      まんぷくさん、おはようございます。
      レビューを読みました。
      「夜の塩」タイトルがいいですね。
      山口恵以子さんの本は読みたいのですが、私...
      まんぷくさん、おはようございます。
      レビューを読みました。
      「夜の塩」タイトルがいいですね。
      山口恵以子さんの本は読みたいのですが、私には、字が小さくて無理なので、まんぷくさんのレビューを見て楽しんでいます。
      有難う御座います。
      やま
      2019/11/07
    • ごはんさん
      やまさん、いただいたコメント恐縮です。
      拡大版の作品はまだ限定的なのですね。Kindleもありますが、紙媒体はいいですね。
      やまさん、いただいたコメント恐縮です。
      拡大版の作品はまだ限定的なのですね。Kindleもありますが、紙媒体はいいですね。
      2019/11/07
  • 「食堂のおばちゃん」シリーズや婚活食堂等々、山口恵以子さんの美味しい小説を多数読んでおりますが、ほのぼのしながらも芯の強い女性が魅力的な他の小説とは、かなり異なる内容でした。
    でも、女性たちがグッと地を踏み締めるように力強く生きてるのは、やはり山口恵以子さんの書く女性だなぁと思います。
    舞台は昭和30年代、戦後間もなくの復興の勢い著しい日本。男尊女卑は強いけど、働き盛りな男性が戦争で亡くなり、女性がめいっぱい働いてた時代でもあります。
    夫が亡くなり、友人が経営する料亭で中居として働き、女手一つで大学まで行かせてくれた母が心中した。その死の真相を探るために、主人公の十希子は英語教師を辞めて母が務めた料亭で働き始めます。
    心中事件の娘ということでの、十希子へバッシングが凄まじい。まだマスコミを整えるような時代ではなかったし、プライバシーなんて言葉もなかったもんなぁ。
    序盤から結構重めな上に、女性に求められる貞操観念と偏見が煩わしい時代だったのだと感じる描写が、あまり楽しくはないです。
    最終的に新聞記者とタッグを組み、糸魚川の愛人になって罪を暴いたけど、終わりの充実感はなかったかも。
    料亭が舞台だけど、料理描写はあんまりないのは残念ですが、まぁ、美味しい料理が数々出てくるようじゃシリアスな話にならないですからね(´-ω-`)
    山口恵以子さんのお話は、本当に女性が魅力的で強い。しかも中年層〜年配な女性ほど素敵なものだから、昭和初期のしんどい時期を乗り越えた女性の強さをすごくわかってる作家さんなのかなぁと思います。
    続編が書かれるような終わり方ではないですが、きっとこの後の十希子は、悩める女性の話を聞いてくれて、滋味深いホッコリ料理を食べれる、優しい癒しの小料理屋とかを開くのじゃないかしら?と期待してしまいます。
    美味しいを期待すると少々違いますが、山口恵以子さんならではな女性の魅力が滲み出た昭和感どっぷりの小説です。

  • 作家読み。山口氏(の人生)が好き。

    やさしい語り口、ゆるい設定、一気に読めます。
    「この時代、この感じ。(山口氏お得意な感じ)」
    が好きであれば、そこそこ楽しいと思います。
    んー・・・
    「テレビの単発2時間ドラマ」な感じです。

    今回のは
    ラストが好みではありませんでしたが
    主人公のその後を読んでみたい、そんな物語でした。

  • 昭和30年、有名女子高の教師として働いていた十希子の元に、旅先で母が年下の男性と無理心中をはかったとの連絡が来る。
    十希子は結婚を控え、それを誰よりも楽しみにしていた母が無理心中なんてするはずがない。そう思った十希子は、母の死の真相を探ることにした。

    時代背景が好み。
    そして、大人しいお嬢さんがしたかかな女になっていく姿に魅了されました。

    事件の真相は、いつの時代も起こっている贈収賄絡み。保子の無念を思うとやりきれない気持ちになります。

    ラストは壮絶でしたが、その後の十希子が気になります。
    20年位あとの十希子の話が読んでみたいです。

  • ずっと昼ドラを見ているようだった。

    時は昭和30年。
    名門私立女子校で英語教師として働いている十希子が主人公。

    ある日、十希子の母が、汚職事件に関与していた商社の男と心中したという知らせが入り、その謎を解くため、十希子は母の勤めていた高級料亭で仲居として働き始める。

    料亭「千代菊」でスパイの様に真相を探る十希子の様子が絶えず脳内映像で動いていた。

    事件の真相は途中で大方予想が付いてしまうが、サスペンス要素に恋愛要素も加わりラストに向かっては怒涛の展開で飽きずに読めた。

    愛情と復讐、まんま昼ドラマの原作になりそうな作品。

  • 一気に読みました。
    山口先生の著書は、食堂のおばちゃんシリーズが一番好きだけれど。
    こういうミステリーもいいですね!
    ミステリーでも食べ物のことが登場するので、食べることが好きな私は読んでいて楽しいです。

  • 切ない…

  • これまで読んでいた山口さんの小説とは一味違う。こういうのも面白い。

  • 昭和30年。名門私立女子高で英語教師として
    働いていた十希子の母が、汚職事件に関与
    していた商社の男と心中したという。母は事件に
    巻き込まれたのか。謎を解くため、十希子は
    母の勤めていた高級料亭で仲居として働き始め…。

  • 21すっごく古典を読んでいるような気分。今では流行らないかも知れんけど主人公の覚悟が感じられてある意味スカッとした。フェミニストには不評やろうけど。202211-1(142)

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著者プロフィール

1958年、東京都江戸川区生まれ。早稲田大学文学部卒業。松竹シナリオ研究所で学び、脚本家を目指し、プロットライターとして活動。その後、丸の内新聞事業協同組合の社員食堂に勤務しながら、小説の執筆に取り組む。2007年、『邪剣始末』で作家デビュー。2013年、『月下上海』で第20回松本清張賞を受賞。その他の著書に「婚活食堂」「食堂のおばちゃん」「ゆうれい居酒屋」シリーズや、『風待心中』『ゆうれい居酒屋』『恋形見』『いつでも母と』、共著に『猿と猿回し』などがある。

「2023年 『婚活食堂9』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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