憲法問答

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  • Amazon.co.jp ・本 (304ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784198647063

作品紹介・あらすじ

憲法改正に関する議論は、これから国民単位で語られる重要なテーマ。ほかにも君が代問題、死刑制度の是非など、法にまつわる課題は山積している――。前大阪市長の橋下徹と、憲法学者の木村草太が繰り広げる「憲法問答」から、この国のあるべき姿、国際社会との協調においていかなる道を歩むべきなのかが浮かび上がってくる。10時間以上に及ぶ対談で白熱した議論は、対立構造や二元論を超えた、深みある“憲法論”となった。全国民必読の一冊!

感想・レビュー・書評

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  • ロザンの楽屋で、宇治原さんがおすすめしてたので。
    めっちゃおもしろい。

    ①憲法は極めて実務的で、国家権力をどう動かすのかを定めるものです。p35
    ⭐︎だから、家族は仲良くしなければならない、みたいなどうでもいいことは書いてはいけない。そういうことを書くと、家族が仲良く協力していないため、公的な補助は受けられません、のようなことが起こる。これがとてもわかりやすかった。
    そこからの2人の深堀りもまた面白い。 
    そもそも憲法は、国が守る義務。国民に押し付けるものではない。納税の義務とか教わっているから、どうしてもそういうものだという思いがありがちだけれど、そうではないらしい。

    ②ですから立憲というのは、絶対的に正しいものに常に行き着くことを保証するものではない。しかし立憲というものによって正しいものに行き着いたと「みなしていく」しかないんじやないかな。p99
    ⭐︎ルールに照らし合わせて、今のやり方が本当に正しいか考えるって視点、個人でも大切にしたいね。慣例だから、ってとき、よくあったりする。

  • 無秩序という悪を是正するため、主権国家権力を頑張って打ち立てた。今度はその国家を縛るために憲法が必要になった。この順番が大事。

    対談形式だが、お互い忖度なく、反対意見についても論点が分かりやすい。解釈論、実務面での実際性、実効性について、政治の現場を経験している橋下徹の論拠は明確である。

    しかし、日本語の解釈を巡った議論は憲法に限らず至る所で存在するが、その調整コストは計り知れない。言葉のニュアンスの違いがどこまで社会に変化を齎らすか。自衛隊を国防軍に表記変更した場合の社会変化のシミュレーションなど、別の観点に興味が向いた。認知社会における言葉の重要性、神話の大切さ、という所だろうか。

  • 面白かったけど、結構難しい。自分の勉強が足りない。
    橋下徹は責任と権力をセットに考えていることを終始一貫して主張していた、と思う。
    木村草太は、内心は色々思うこともあるけど、学者として法理論に忠実であろうという感じ?
    意見対立や共通点も沢山あって、良い議論本だったように思う。

  • ●橋本徹。東京では僕の無茶苦茶な様子ばかりが伝わっていると思いますが、自分なりに権力の適正行使を考え、手続きを踏んできたつもりなんです。間違っていることがあるかもしれない。ただし権力を使うための手続きはちゃんと踏んできました。
    ●慰安婦問題。戦争時いろんな国が日本と同じようなことをしていました。ところが今は欧米諸国が日本の慰安婦問題を特殊化し、それをスケープゴートにして、自らの責任を棚上げにしている。韓国だって同様のことをベトナムでやっていたことが明らかになっています。ただし世界でやっていたから日本も悪くないと言って正当化することは許されません。
    ●橋本氏は経済学出身。学生時代手形の不渡りをつかまされて、自分で訴訟を起こしたのがスタート。普通は憲法から習い始めるが、まずは手形法から入って、民事訴訟法、商法と勉強してから憲法を学んだ。 
    ●日本も最終的には自国を守るために軍を持つべきだと思っているのですが、嘘をつく政府やそれを見破れない国会議員に、軍事力は任せられない。
    ●何が正しいのかは人間ごときにわからないと言うこと。だからこそ仮に正しくない結論になったとしても、みんなに納得してもらうような手続きを政治家は踏むべきなのです。手続法の大切さ。
    ●憲法は国に義務を課すものであって、国民に義務を課すべきではない。
    ●形式的には府知事に人事権がありますが、実際の人事の過程では官僚が決めて、知事はそこにハンコを押すだけと言うのが通例だったわけですね。法律に基づかない慣例です。それこそ立憲じゃない。責任を取らないものが権力を行使する事は最悪です。
    ●今やっている曽根崎心中の脚本は昭和30年に書かれたもの。江戸時代のものではない。
    ●ふるさと納税は寄付者が地方自治体に寄付するものなので、直接寄付したい文化活動団体を指定できないのが原則。そこは工夫してできるようにした。でも文句を言っていた文楽を守る103人の会とかはふるさと納税してくれない(笑)
    ●民主主義。普通の有権者は日常生活で忙しくて、政策を吟味できるのはそれで飯を食っている暇な人ぐらい。吟味していけば行くほど、どの政党を選んでいいのか分からなくなります。だからだめなものを切り捨てるプロセスが大事。いい人を選ぶのではなく、だめなやつを辞めさせられるのが民主主義。

  • 私が買ったのは2021年のことで、どこかの書評か何かで良書と評されていたのを見かけて買った記憶。

    結果的に、大変ロジカルで、かつ現実論も充実していて、お互いの意見を交換し合っている、とても良い対談の書でした。

    多くの知らないことを対談を通して知れたし、
    一度に複数の見方・意見を知ることもできたし、
    それぞれの考え方が丁寧に綴られていて、
    最後は国民が決めるんだということも良く分かりました。

    橋下徹さんがこれまでやったことに不満がある人もいると思うけど、
    本書に関してはそのバイアスはかけずに素直に読んで、
    ロジックをしっかり理解するのがお得です。
    本書に書かれている橋下徹氏と、書かれていない橋下徹氏は、別物として扱う方がよくて、
    そこを一緒くたにしてしまってせっかくの知識の理解の妨げになってはもったいないし、橋下徹氏のいろんな側面が見られるのも意義あることと思います。

    物量的には数時間〜10時間くらいで読めるんじゃないかと。
    対談形式の口語体で読みやすい文体です。

  • 立憲とは何か、国家権力の適切な行使を実現するための憲法の重要性や手続き論の意義、9条の論点等、恥ずかしながら今まで余り理解が及んでなかった憲法の基礎知識に触れられたように思う。施政者として現実の問題に真剣勝負で取り組んできた橋本氏の熱量、憲法学者として丁寧な分析と思考を重ねてきた木村氏のロジック。お互いの相違点を明らかにしながら、それぞれの主張を熱く説きつつ、そこから気づきを得る姿勢には、議論のお手本として学ぶことが多かった。より憲法を身近な問題と考えられるようになったのも良かった。

  • 考えを述べ合うとはこういうことなのか、と納得。そして、憲法とは、かくも解釈の方法やそれを基に行動をおこすことに幅がでてくるものなのか、と驚愕。

  • 対立する意見を持っていても、相手の意見を聴いた上でその対論を述べることの重要さと、面白さを改めて教えてくれる一冊。

    橋下徹は、やろうとすることに賛否はあるだろうけど、やり方は基本的にフェアであろうとする。

    木村草太は軸足を現行憲法に置くことを前提としているけど、「現行憲法をただ変えなければ良い」という姿勢ではない。

    こういう議論を、積み重ねて行けば良いと思う。
    同じ意見の人ばかり集めたり、互いの意見は関係なしに自分の意見だけを言いっぱなしの討論番組や報道番組より、結論は出なくたって良いから、ちゃんとした議論を見せてくれないと、僕みたいな奴には、政策や法律の是非なんて、判断できないんだからさ。

  • 説明が上手い二人の対談なので、憲法という硬い話題でも分かりやすく話に入り込めた。それでも中盤難しくてあまり深く理解できなかったところもあったので、これから二回、三回と読んでいきたい

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著者プロフィール

大阪府立北野高等学校、早稲田大学政治経済学部卒業。1998年、橋下綜合法律事務所を開設。2008年に38歳で大阪府知事、2011年に42歳で大阪市長に就任。大阪府庁1万人、大阪市役所3万8000人の組織を動かし、絶対に実現不可能と言われた大阪都構想住民投票の実施や行政組織・財政改革などを成し遂げる。2015年、大阪市長を任期満了で退任。現在はテレビ出演、講演、執筆活動を中心に多方面で活動。
『実行力』『交渉力』『決断力』(以上、PHP新書)など著書多数。

「2023年 『折れない心 人間関係に悩まない生き方』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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