- Amazon.co.jp ・本 (262ページ)
- / ISBN・EAN: 9784198640422
作品紹介・あらすじ
至福の読書時間を約束します。乙川文学の新しい姿がここに!
昭和55年、弘之と悠子は、大学のキャンバスで出会う。翻訳家と同時通訳として言葉の海に漂い、二人は闘い、愛し合い、そしてすれ違う。数十年の歳月をかけて、切なく通い会う男と女。運命は苛酷で、哀しくやさしい。異なる言語を日本語に翻訳するせめぎ合い、そして、男と女の意表をつく、”ある愛のかたち”とは!? 二人が辿る人生の行く末は! 傑作恋愛小説。
感想・レビュー・書評
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初めて読む作家さん。静謐で無駄がなく、それでいて色香が漂う、美しい文章でした。
学生時に出会い、共に英語を学び、女は同時通訳、男は翻訳の道へ進む。お互い研鑽を積み、違う分野で活躍しながらも闘い、励ましあい、愛し、仕事ではその道のプロになるが、男女としての二人の間には不如意な出来事が重なる。
言語が主役のような内容なので、言葉について感覚的にも辞書的にも考えさせられることが多く、英語と日本語の違いや、訳者の苦悩や喜びなど、興味深く読みました。
昭和色豊かで、台詞や筋がややクサく感じることもあるけれど、どっぷりとこのお話の世界に浸りました。心を揺さぶられるラブストーリーでもあり、年代が割と近いことも手伝って、自らの経験と重ねあわせ、胸が苦しくなることも…。それほど文章に湿度があり、一字も読み飛ばすことが出来ない圧倒的なものがありました。
とても記憶の深いところに残る予感のする一冊でした。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
恋愛小説はあまり好きじゃないけど、この本は読めた。
よくある恋愛のはなしっていうわけではないけど、だれかひとりの人間をこんなにも見守ることができるって素晴らしいことだと思った。 -
翻訳家と同時通訳を通して、英語と日本語という言語の大海へ誘われる。そう訳すか、そこに悩むか、等興味が尽きなかった。大海原の航海に酔いしれているうちに、忘れていた話の筋書きに、全く以外な結末が。舟を編む、以来の大航海。
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男性が描く都合のいい女性が香るけど日本語が綺麗
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乙川優三郎さんという人は本当にすごいな。元々は時代劇ものの作者なんだろうけど、現代劇を書かせても右に出る人はそうはいないのではないかな。
太陽は気を失うという本で知って、まだそれからも二冊くらいしか読んでないけれど、もっと書いて欲しい。
にしても、この話、三十余年分を駆け足なんだけど、濃厚な文章で本当に濃密に描き切ってる。こういう主人公のような人生を送りたかったな。 -
言葉に人生をかけて真剣に向き合う2人がかっこよかった。
文章自体も丁寧で表現が美しく、1行1行じっくり味わいたくなる。