核を超える脅威 世界サイバー戦争  見えない軍拡が始まった

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  • Amazon.co.jp ・本 (324ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784198631406

作品紹介・あらすじ

見えない軍拡が始まった-中国、北朝鮮、ロシア…今や日本を囲むすべての国がサイバー部隊を増強している!その恐るべき実態を明かす。

感想・レビュー・書評

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  •  サイバー安全保障の重要性を説く本。著者の一人はレーガンから子ブッシュまでの政権に仕えた国防の専門家。核を超えるはちと言い過ぎ?
     DDoS攻撃,論理爆弾,厖大な量の情報窃盗,コンピュータネットワークに依存した現代社会は,サイバー攻撃に対してとても脆弱だ。特にアメリカはそう。中国のように,有事に即インターネットから遮断できるシステムになってないし,民間企業は政府の規制を嫌い,サイバー安保の足並みが揃わない。
     特に危ないのが電力網らしい。平時からマルウェアを忍ばせておいて,遠隔操作で送電線や発電機を破壊することも可能だという。サイバー戦争で狙われやすい国のインフラを,だれが守るのか,未だに政府と産業界は責任の押し付け合いをしている。スマートグリッドも考えもの?
     様々な理由から,サイバー軍縮も難しい。サイバー攻撃力を減らすことは事実上できず,行為を監視して制限することができるのみ。それにサイバー攻撃があったとしても,それを誰がやったのか突き止めることも困難だ。サイバー戦争は直接血を流すことはないが,インフラの破壊は経済・人命を損なう。
     サイバー攻撃を受けた側が,通常兵器で報復することも正当化されてしまうだろう。恐ろしい話だが,脅威をやや強調しがちな感じはする。仮想敵が思いのままにサイバー攻撃を仕掛けてくる感じの描写が続くし。でも,ちゃんと備えなければならないんだろうな。アメリカよりロシアや中国の方が有利かも。
     誤訳じゃないのかもしれないが,「動的兵器」という訳語が気になった。かなり頻出。「kinetic weapons」だと思うけど,要するにサイバー兵器でない通常の物理的破壊をもたらす兵器のことだろう。「動的」じゃわからないと思う。
     あと,本論と関係ないけど,「現代の”フライ・バイ・ワイヤ”式の飛行機においては、航空管制システムがフラップや補助翼、方向舵に信号を送る。」(p.239)の「航空管制システム」は誤訳。「管制」は「traffic control」の方でしょう…。

  • 2010年代、サイバーに関する危機感が希薄だった当時のアメリカに対してサイバーの脅威を啓蒙するために書かれたような本。
    アメリカは軍も社会もインターネット依存が高度に進んでいるにも関わらず、規制によるセキュリティ強化や、軍のネットワークのみならず社会全体のサイバー防衛が進んでいない一方、競争国はサイバー攻撃力と同時にサイバー防衛力を高め、もしくはサイバー脆弱性(依存性)を低くしており、サイバーでアメリカが不利な状況に置かれていると警鐘を鳴らす。
    最後に列挙される提言が現実的とはあまり思えないのだが、全体として、当時の政府高官としてアメリカのサイバーの実情を知った人の危機感を表している本として勉強になった。

  • ホワイトハウスで大統領補佐官まで勤めたサイバーセキュリティの専門家による、サイバー戦の実態と提言を述べたもの。サイバー戦を考えた時、米国がいかに脆弱かを強調している。サイバー戦の恐ろしさと対処の難しさを知った。空想的な映画の中の出来事のような描写があり、実際、サイバーではどのくらいのことまでできるのかを知りたい。印象的な記述を記す。
    「(2008年のDDOS攻撃で)グルジア人は国外のニュースや情報源とのアクセスを断たれ、国外への電子メールを送ることさえできなくなった」p29
    「サイバー活動に対するNSAと米軍の姿勢は改められるべきだった。海軍は他国の海軍のことしか頭になく、空軍は防空のことしか頭にない。陸軍は絶望的なほど的外れで、NSAの心根は情報収集機関のままなのだ」p55
    「サイバー司令部の使命には、国防総省とほかの一部の省庁を守ることも含まれているが、民間のインフラを防衛する計画は存在していない」p56
    「米軍に行動の自由を保障し、敵に同様の自由を持たせないために、サイバー空間における米軍の戦略的優越性確保が必要である」p57
    「もっとも技術的に発展した米国は、ネット回線を社会の隅々まで張りめぐらし、ネット回線に多くを依存する米国は、もっとも脆弱な国でもあるのだ」p183
    「模擬演習では、エスカレーション優位は、中国にとって正しい作戦だった。米国がサイバー攻撃の被害を受けやすく、攻撃拡大によってますます不利になるだけだったからだ。わかりやすく言えば、サイバー空間に石を投げるつもりなら、自分の家の窓ガラスが相手の家より少ないかどうか、防弾になっているかどうかを確認しておくほうがいい」p245
    「サイバー戦争は、先発者優位である」p253

  • 退屈でした。。。
    なので、3ヶ月くらいかけて、少しずつ。

    この手の著者の書く本はあまり理解ができないのです。

    読もうとしたきっかけは、とある情報セキュリティの本で紹介されていたからですが。

    8年以上前の状況がこれなんで、いまはどうなっているんだろうと思う。現実問題、企業も含め、サイバースパイはどれだけ広がってるんだろうかと、誰もわからないけど、知りたい。

  • 書かれていることが本当だとしたら,怖い世の中になっている。
    米国の視点で書かれているが,サイバー戦争について網羅的であり,役に立つ。翻訳版は改定前に基づいているのか,最後の章がない。

    翻訳の章のタイトルはかなりの意訳であるが,煽るタイトルになっていて,素人には良いかも。しかし翻訳に一部難があるのが残念。どうして用語集の部分を訳していないのか疑問。さらに索引も省略されているし。

    誤訳の一例:
    The Aurora test on the generator in Idaho was one such test.がどうして「アイダホの発電所でのオーロラテストは,その一例だった」になるのか?
    発電所でなく「発電機」だし,オーロラテストを調べればアイダホ国立研究所であることはすぐわかることなのに。訳者あとがきでPCを使っていると書いているのだから,ちゃんと調べたら。

    2013/04/27図書館から借用;05/02から読み始め;05/09朝の通勤電車で読了

  • サイバー戦争の現状についてのレポート。
    サイバー空間は陸、海、空、宇宙に次ぐ第五の戦場とされ低コストな割に効果がやたらと大きいのは昨日(2013年3月20日)からの韓国の例を見れば明らか。

    まさに「いま、そこにある危機」

  • (欲しい!)
    朝日新聞「再読」2012年11月17日

  • 資料ID:21101836
    請求記号:

  • サイバー戦争というタイトルどおり、実際に活用された事例や、今後の想定、現在の各国の対応状況など、現場の感じを持って書かれた両所だと思います。

  • サイバー戦争というと国家間の戦争のイメージがありますが、その舞台となるのはインターネット、私たちがよく使っているこのインフラを舞台に行われるものです。自分自身の端末がその戦争の道具に使われることもあり、日々の生活の中に”緊張感をもって情報端末を使用することが求められることが実感できる良書でした。

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