出発点―1979~1996

著者 :
  • 徳間書店
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  • Amazon.co.jp ・本 (584ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784198605414

作品紹介・あらすじ

アニメーション映画監督・宮崎駿の企画書・演出覚書・エッセイ、講演・対談等90本を収録。宮崎アニメの33年間。

感想・レビュー・書評

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  • 風立ちぬを観て久しぶりにジブリ熱が上がりに上がり、原画展に行き、DVDを買い、それでも飽き足らずDVD借りて観たりする毎日。
    そんななか本書も通勤中にちびちびと読んでいたのですが、とにかく重い。ひたすら重かった。

    ・アニメーションを作るということ
    ・しごとの周辺
    ・人
    ・本
    ・好きなこと
    ・対談
    ・企画書・演出覚書
    ・作品
    ・エロスの火花(高畑勲)

    どーんと、580P。ぎっしり。
    33年分、文章として残っているものを全部詰め込んだ感じ。
    映像ではなく、言葉で宮崎駿という人物が具体的にどう凄いのかがわかる本だと思いました。
    でも本人は絶対そんなつもりでこの本を出したわけではないと思うし、
    多分鈴木さんにそそのかされての事なんじゃないかなあなんて思ったり 笑。

    宮崎駿について一番手っ取り早く理解できるのは巻末に描かれたパクさんの文章で十分。そのくらい素晴らしいあとがきというか解説でありました。
    でもやっぱり宮さん自身が何を思って何がしたくて作品を作っているかとか、あの映画のあのキャラクターはどうして生まれたのかとか、そういう細かいことも含め、本文がとても興味深かったです。
    対談もえらい豪華だったし。批判もいっぱいしているけれど、理由が明確だし、なんというか、すべてにおいて信念の強いひとだなと。
    個人的に口だけのひと...言うだけで行動しない人が一番嫌いなんですが、宮さんの場合は言うけど、やる。
    今の日本は駄目だと言いながら、毎朝近所のゴミを拾い、子供のために映画を作る。
    正しいか間違ってるかは別として、私はすごく好感を持ちましたね。
    映画ではなく、宮崎駿と言う人間がさらにすきになりました。

    小学生の時、初めて映画館でナウシカを見たときの、強い衝撃。
    あの時の自分が何を感じ何を思ったのかはもう忘れてしまったけれど
    なんかすごいものを観たという感覚だけが残っている。
    それから数十年、いい歳した大人になってもジブリに夢中なんてきっと宮さんは良いことだとは思わないし。喜びもしない。
    だけど、72歳になってもアニメーションがやめられない宮さんと一緒で、私もやっぱりジブリ好きはやめられない。そう思いました。

    • takanatsuさん
      めぐさん、こんにちは。
      初めてコメントさせて頂きます。takanatsuと申します。
      いつもめぐさんのレビュを楽しみにしています。
      『出発点...
      めぐさん、こんにちは。
      初めてコメントさせて頂きます。takanatsuと申します。
      いつもめぐさんのレビュを楽しみにしています。
      『出発点―1979~1996』、めぐさんのレビュを読んで私も読みたくなってしまいました。
      「でもやっぱり宮さん自身が何を思って何がしたくて作品を作っているかとか、あの映画のあのキャラクターはどうして生まれたのかとか、そういう細かいことも含め、本文がとても興味深かったです。」
      とても内容の濃い本なのですね。
      「宮さん自身が何を思って何がしたくて作品を作っているか」、とても興味があります。
      「あの映画のあのキャラクターはどうして生まれたのか」、知りたいです。
      「風立ちぬ」の記憶が鮮明なうちに読みたいと思います。
      ありがとうございます。
      2013/08/23
    • うずまき猫さん
      takanatsuさん

      コメントありがとうございます。
      わたしもいつもtakanatsuさんのレビューを楽しみにしています。

      出発点、重...
      takanatsuさん

      コメントありがとうございます。
      わたしもいつもtakanatsuさんのレビューを楽しみにしています。

      出発点、重いですが本当におすすめです。
      1996年までの記録なのでもののけの企画までになりますが
      多分その後も宮さんの信念は変わっていないだろうなと思います。

      作品やキャラクターの設定や背景があそこまで緻密に練られてるなんて!とびっくりするし、作品を見直すのも楽しくなりますよ。
      ジブリ作品がお好きでしたらおすすめです。

      風立ちぬ...すごくよかったですよね~。
      2013/08/23
  • 図書館で借りた。
    厚くて読みきれずに返却期限がきて泣く泣く返却。
    宮崎駿のインタビューや対談、書いたものなどがまとめてある本。
    タイトルにある通り1996年までなので、「もののけ姫」の公開前までになる。
    私は「もののけ姫」以前までくらいの宮崎駿作品が割と好きなので、ちょうどよかった。
    「カリオストロの城」と「ラピュタ」が一番好きで、「ナウシカ」も好き(漫画版のナウシカの方がもっと好き)という感じなので。
    裏方ばなしが色々書いてあるので楽しく読んだ。
    またしばらくしたら借りてきて続きを読もうと思う。

    • 松子さん
      ももさん、おはようございます(^^)
      読みましたぁ〜!四日間ぐらいかけて読んだのですが毎日、涙涙で。
      やっぱりナウシカはいいですね!
      何回で...
      ももさん、おはようございます(^^)
      読みましたぁ〜!四日間ぐらいかけて読んだのですが毎日、涙涙で。
      やっぱりナウシカはいいですね!
      何回でも読みたくなる作品です☆
      2022/06/15
    • 松子さん
      あっ、ももさんのお名前、
      ありがとうございます♡
      今朝感想あげます♪
      あっ、ももさんのお名前、
      ありがとうございます♡
      今朝感想あげます♪
      2022/06/15
    • ももりんかさん
      はーい!
      はーい!
      2022/06/15
  • 本書は「宮さん」ことアニメーション映画監督・宮崎駿の書いたエッセイや企画書に演出覚書さらには司馬遼太郎らとの対談にくわえインタビュー等90本を収録したまさに「思想書」とも呼ぶべき一冊でございます。

    本書は宮崎駿監督が1979年から1996年まで綴ったエッセイや企画書、さらには演出の覚書や私淑する司馬遼太郎らなどの対談やインタビュー記事を90本にもわたって収録したまさに『思想書』とも言うべき膨大な記録となっていて、その内容のあまりの濃さに読み終えた後はしばらく放心状態になっておりました。

    具体的な作品に関してはスタジオジブリ製作前の「パンダコパンダ」や『アルプスの少女ハイジ』に始まってナウシカ、ラピュタ、紅の豚などの代表作に始まり「コクリコ坂から」についても触れてあって、「あぁ、この頃からあの企画は暖めてあったんだ」という思いと、後に「300日戦争」とも言われる息子・宮崎吾朗氏との相克の理由がなんとなくわかるような気がいたしました。

    さらに、解説ではパクさん(スタジオにいつも遅刻ギリギリに入ってきて水道水を飲みながらパンをパクパク食べていたことから命名)こと高畑勲監督による宮崎駿監督評もこれまた秀逸で、その中でも一番驚いたことはあのハードワークといわれるアニメーション製作をしている宮崎監督の『休息方法』とはなんと、スタジオの経営やスタッフの席替えなどの陣頭指揮、さらにはジブリ美術館の設計図を自ら引くなどの『別の仕事』が彼にとっては『休息』という普通の人が聞いたらド肝を抜かれそうな仰天エピソードが書かれてあって、表紙にも描かれているくわえタバコにギンギンの顔で机に向かっている自画像はまさに当時の筆者そのものなんだなぁと思いながらページをめくっておりました。

    この本を読んでいる途中、テレビで『風の谷のナウシカ』が再放送されており、結末はわかっていてもつい最後まで見ておりました。ここには、ナウシカ製作当時のウラ話や作品にこめたメッセージが当時のインタビューにこめられていて、同時進行していたマンガ版のナウシカとの兼ね合いや、二人三脚で歩んできた高畑勲監督をはじめとする製作スタッフとの緊張関係にわたるまで、本当にはじめて知るようなことがてんこ盛りの内容でした。

    そして、尊敬する司馬遼太郎との対談や、手塚治虫が他界したときの追悼メッセージに書かれた彼への『訣別』の思いなども収録されており、アニメーションを芸術の域にまで消化させた人間の生々しいまでの『息遣い』が収録された一冊であると思います。

  • 90本の記事。
    ・アニメーションを作るということ
    ・しごとの周辺
    ・人
    ・本
    ・好きなこと
    ・対談
    ・企画書・演出覚書
    ・作品
    という章立て、その中で編年体。
    目次が全然目次になっていないので、目次に発表年を書き込みして、それぞれの記事がどの作品の前後なのか照らし合わせて、ようやく各記事が腑に落ちる。
    というわけで続編「折り返し点」のような完全編年体のほうが好み。
    「ジブリの教科書」シリーズで引用されたもの多数。

    記事としては「コナン」後から始まるが、来歴を語るものもあるので、アニメーター時代から監督へ。
    作家性としては「深いニヒリズム」が熟成される過程そのもの。
    「もののけ姫」準備中まで。

    矛盾の塊、多面体、情熱の火柱。
    単純な感想としては、親の目線を含む、子供の視線、その混合が、いいんだなぁ。

  • その作品の殆どを観た「巨匠」宮崎駿の実像に迫る580ページの大書。図書館返却期限に急かされ、僅か一日半で読破した。
    いやー、オモシロかった!
    彼はクリエイターであると同時に、優れた評論家、批評家、思想家でもあるのだな。
    イマドキの映画やアニメの作り手には先ずいない、稀有な才能であることをあらためて再認識させられた好著。

  • 宮﨑駿の企画書・演出覚書・エッセイ・公演・対談等90本を収録。
    テーマごとに分かれていますが、時間軸も元々バラバラですので、気になるところから読み進めても大丈夫です。

    漫画版「風の谷のナウシカ」が好きで、なぜこんな漫画が描けるのだろうと、関連の本をいくつか読んでみましたが、これ一冊で良かったくらい内容は充実しています。

    しかしながら、これを読んでナウシカが理解できるかと言うと決してそうではありません。
    誰も理解できないから魅力があるのだと思いました。
    宮﨑駿という人は、よく言われるように矛盾を抱えたまま物を書く人ですし、自分の無意識から掬い上げてイメージを膨らます人なので、本人にもわかっていないことが多いからだと思います。
    とりあえず描いてみて、それを常に疑いつつあとでその意味に気付くということを繰り返しています。
    本人も言っていますが、どうしても「こうなっちゃう」のです。
    それは作者の自然や社会や戦争に対する膨大な知識も、幼少期に形成された感覚も、全てごちゃ混ぜになって一つの塊として生み出そうとしているからではないかと思いました。
    それだけの膨大なアイデアや思想を一本のストーリーに練り上げる創造力と画力は想像を絶します。
    連載といっても何度も休載していますし、1ページでもいいから続きを描いてくれという雑誌側の配慮があったことも奇跡的に良かったのだと思います。
    風の谷のナウシカは読む人によって、SFともとれますし、戦記物とも、環境問題とも、大河ドラマとも、旅行記とも、親子の話ともとることができます。

    そのせいもあってか、まとまりがないとも思われる宮﨑作品ですが、その根本には、残酷な現実世界の中で逞しく生きてほしいという願いがあります。
    その願いが、ご都合主義のラストにはせず、問題は簡単には解決しないけど、その中で助け合って良いも悪いも共有して生きていこうとする主人公たちに表れているのだと思います。

    しかしながら宮﨑駿のアニメ論が展開される一方で、この本の内容は宮﨑駿が自身の制作について語ることが殆どを占めていますので、側からみた宮﨑駿は、これまた全く違います。
    このことについては、押井守の「誰も語らなかったジブリを語ろう」を読むとまた違った視点から宮崎駿の制作をみることができるのでお勧めします。

  • 宮崎駿監督の対談集。
    読み切ることにとても時間が掛かってしまった。エッセイならまだしも、こうして受け手として読まれるために話されたものではないので、とても読みにくい。
    そして宮崎駿監督の人となりがなんとなく見えてくるような会話が多かった。監督の歴史、生活史、目指しているものと、描きたいことを代表作ナウシカからもののけ姫あたりまで網羅されている。ジブリ好きにはたまらない内容。

    企画書としての映画の概要もとても興味深く読めた。初めはきっと文章で書かれた簡単なあらすじ、メモ帳に残しておいた一節、あるいはイメージボードと呼ばれていた落書きのひとつが、ジブリの世界観を作りたらしめる細微となって積み重なっていくものなのかもしれない。

    それにしても紅の豚の「中年男性が夢見る映画」といわれていたのが面白かった。もちろん紅の豚のポルコは誰から見てもかっこいいのかもしれないが、確かに言われてみれば魔女の宅急便やトトロのように、子供対象ではないように感じていたので、合点が入った。少し難しいようでいて、とても単純な夢見ている部分を描かれているからこそ、ああして映画として魅力的なのかもしれない。

    ジブリファンの人からすれば宮崎駿監督の気難しさや天才肌な部分は有名なことなのかもしれないが、この本を読み、あるいはあとがきの高畑監督の言葉を添えられると、さらにその輪郭が明瞭になっていく。その姿勢からは、ジブリというスタジオで”漫画映画”から人々が夢見る形を商業として成り立たせなければならない、そんな矜持を垣間見ることができる。

  • 宮崎駿ってほんとにすごいんじゃないかと、今さらながら気がついて、彼の書いた文章や、言葉や、考え方に触れてみたくなって手に取ってみた本。
    これを読むと、宮崎駿がこの世界の動きや、人々の心の中をよくよく感じ取って作品を作っていることがよくわかる。
    また、彼の作品がそのために存在しているということもよく分かる。
    ジブリの作品が、宮崎駿の映画がなかったなら、日本は今よりもぐっと元気のない国だったんではないか、そう思えてくるほどだ。

    「伝えたいこと」「哲学」「世界を観る視線」そんなものがしっかりと彼の中に根を下ろしているにも関わらず、その映画は誰がみても楽しめるエンタテイメントなのだ。
    それが、本当にすごい。

    私がこの本を読んで分かったことは、私にはその世界をみる視点がないということ、その目を養うための訓練をずっとしてこなかったということだった。
    借り物はいやだ。
    私も、自分でこの世界をきちんとみてみたい、感じてみたい。
    それでないと、自分の人生を全うできない気がする。
    存分に生きられない気がする。

    勉強することは、そのために必要だったのだ。
    高校生のときとかに分かっていればなあとも思うけど、
    その時は分かんないんだよね。

  • 自分の根源

    エネルギーが湧くところを支えてくれる

    弱気になったときに叱咤激励してくれる

    幼いときから今までずっと

  • 10年以上前、父親と一緒に行ったジブリの原画展で買ったものを宮崎駿監督引退を機に本棚から引っ張り出して読んだ。

    冒頭の方で宮崎駿が作品をつくるに至る原体験を知ることが出来、ジブリ作品の主人公に少女が多いことの理由がわかる。

    全編に渡って感じた事は宮崎駿は職人であり、リアリズムの人であること。
    個人的にジブリ作品には、物語の展開に疑問を持つものがいくつかあるが、それも、監督よりアニメーターという仕事にこだわる宮崎駿のスタンス、仕事のやり方から窺い知れば理解できる。

    著名人との対談も多数収録されているが、中でも司馬遼太郎との対談で
    『もののけ姫』の舞台となった室町時代の農村の話やら当時の階級やら自然の話は、両人ともどれだけの知識量を持っているんだろうと感服する内容だった。

    後半には環境問題は自分が実際に身の回りの川を掃除したりした方がよっぽど気持ちが良いみたいな発言があるが、そこもまた実践を重んじており、宮崎駿自身のリアリズムを追求した作風と通ずるものがあって、説得力があった。

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著者プロフィール

アニメーション映画監督。1941年東京都生まれ。学習院大学政治経済学部卒業後、東映動画(現・東映アニメーション)入社。「ルパン三世 カリオストロの城」(1979)で劇場作品を初監督。1984年には「風の谷のナウシカ」を発表。1985年にスタジオジブリの設立に参加。「天空の城ラピュタ」(1986)、「となりのトトロ」(1988)、「魔女の宅急便」(1989)、「紅の豚」(1992)、「もののけ姫」(1997)、「千と千尋の神隠し」(2001)、「ハウルの動く城」(2004)、「崖の上のポニョ」(2008)、「風立ちぬ」(2013)を監督。現在は新作長編「君たちはどう生きるか」を制作中。著書に『シュナの旅』『出発点』『虫眼とアニ眼』(養老孟司氏との対談集)(以上、徳間書店)、『折り返し点』『トトロの住む家増補改訂版』『本へのとびら』(以上、岩波書店)『半藤一利と宮崎駿の腰ぬけ愛国談義』(文春ジブリ文庫)などがある。

「2021年 『小説 となりのトトロ』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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