- Amazon.co.jp ・本 (483ページ)
- / ISBN・EAN: 9784167918873
感想・レビュー・書評
-
美術館へ行きたくなった。絵画や彫刻など芸術作品を見ることは好きだったが、この作品を読んだので、作品の見方が変わるかもしれない。作家が作品を描いた場所やその時の状況について、想像を膨らませ、その作品から感じることを受け止められるといいな。作品を見るのではなく、作品そのものを感じる。そのような作品に出会えることが楽しみになった。原田マハさんの作品は初めてだったが、初めての感覚がたくさんあって、読んでいて楽しかった。別の作品も読んでみたい。
-
我慢出来なくて、この作品を読み終わらないうちに、上野の国立西洋美術館に行った!(笑)
タブローの横の解説の所に『松方コレクション』と書いてあるともちろん嬉しくなった
「ほんものを見たことがない日本の若者たちのために、ほんものの絵が見られる美術館を創りたい」
「素晴らしい美術館を持つ国は品格がある。戦争でなく平和を」
絵を一心に買い集めた男、松方幸次郎の思い
それに協力した男達の情熱
国立西洋美術館のいしずえ、松方コレクション誕生秘話である
小説で楽しみ、美術館で楽しみ、二度美味しいとても有意義な時間が過ごせた
原田マハさん、ありがとう!
-
ハッピーアワーさん
こんばんは。
この作品、私も だぁい好きです。
国立西洋美術館にすぐ行けるところにいらっしゃるのね。
い...ハッピーアワーさん
こんばんは。
この作品、私も だぁい好きです。
国立西洋美術館にすぐ行けるところにいらっしゃるのね。
いいなぁ☆彡
いつか行かなければと思いつつ、まだ行けてません。
マハさん読んで、実物を観て…。
最高の贅沢ですね。
ある意味、お名前の通りですね。素敵!
2023/04/04 -
yyさん
こんばんは
コメントありがとうございます
はい、おっしゃる通りハッピーアワーでした(^O^)
そして、読書の楽しみ方を考えるき...yyさん
こんばんは
コメントありがとうございます
はい、おっしゃる通りハッピーアワーでした(^O^)
そして、読書の楽しみ方を考えるきっかけになりました
美術の知識が薄いもので、原田マハさんの作品を読む前は、理解出来るのか少々不安になります
そして、yyさんのレビューも参考にさせてもらっています
読後は、知らない世界を覗けた感動と最後まで読めたという達成感あるので、また読みたいと思ってしまう。。。そんな繰り返しです2023/04/05
-
-
どうしてゴッホの作品が表紙になっているのか?と考えながらページをめくりました。(もちろん読んでいた中でしっかりと納得)
ゴッホやモネそしてその作品の素晴らしさについては、すでにマハさんの作品からかなり吸収できていたつもりでした。しかし、いやいやまだまだ。様々な角度でマハさんは楽しませてくれます。
本作品の主人公たち。松方幸次郎、田代雄一(矢代幸雄)、日置釭三郎という実在した人々を中心にしてストーリーを展開しています。日清戦争、日露戦争、第一次大戦を経てきた、まさしく江戸時代から現代へと向かう日本文化の成長の礎となる歴史の動きを感じることができました。
富国強兵を掲げながらも、絵画を初めとした文化が一般大衆に根付かなければならないということにこだわった当時の上流階級の選ばれし人々。まあ、作品に登場する人々は超上流階級の人々であり、市井の人ではない。少し眩しい憧れのようなものを感じてしまいました。
本作は「松方コレクション」が日本文化に与えている重みを感じさせてくれる作品でした。
国立西洋美術館の完成は第二次大戦後となったのだけれど、その前に絵画を中心とした様々な文化、当時の先進国の一般大衆の文化が日本にも入っていたとしたら、果たして第二次大戦に踏み込んだのだろうか?ふと、そんなことを考えてしまいました。
マハさんのおかげで、いろんなことを考えされられました。政治、経済、文化、戦争、人々の営み、、、さらに今では地政学ですかね?微妙なバランスは今も昔も変わらないですね。-
まいけるです。こんにちは。マハさんは世界史、美術、そして日本の歴史や政治にまで通じているんですね。
私は『楽園のカンヴァス』を手に取り、ルソ...まいけるです。こんにちは。マハさんは世界史、美術、そして日本の歴史や政治にまで通じているんですね。
私は『楽園のカンヴァス』を手に取り、ルソー作品に向き合ってます。2024/04/18
-
-
原田マハさんのアート系小説。松方幸次郎とその絵画コレクション、国立西洋美術館設立まで、時代にして1860年代〜1960年頃の話。これまで「松方幸次郎」という名前を知っている程度だったが、その人の歩んできた道、人となり、そしてどのような経緯で絵画を集めるようになったかが良く分かった。小説なのでもちろんフィクションの部分はあると思うが、現に西洋美術館が存在すること、松方の収集した絵画があることから、松方という人の熱い思いは実在していたと分かる。第2次世界大戦下にフランスで絵画コレクションを守り抜いた日本人、その後、松方の資産で購入した絵画を「没収」しようと試みた仏政府との交渉、さまざまな人の思いや力が西洋美術館や松方コレクションとなって現在につながっていることに感動せずにはいられない。松方がパリで絵画収集にあたっていた1920年頃の明るい雰囲気、その後、世界が2度目の大戦へと突き進み激動の時代になっていた様子が描かれており、手に汗握る場面もあった。現在もウクライナ侵攻で世界が混乱しているが、戦争さえなければ、松方コレクションは完全な形で日本にあったのだろうな、と有り得ない妄想をしてしまう。戦争がいかに負の影響ばかり与えるものかを改めて実感した。膨大な参考文献を用いて執筆された壮大で濃厚な一冊。
-
おもしろい!けど長くて読むのにすごく時間がかかってしまった。
自分的には1番気になっていた、「どうやってコレクションを寄贈返還にもちこんだか」がハイライト的な書き方になっていたのが残念だったので星3で。
他の部分はしつこいくらいじっくり書いてあるのに、最後はサクッと終わる。
史実を元にしているのは本当にすごい。時代背景などを踏まえると、どれだけ彼らのしたことが情熱に溢れ、タブローに翻弄されてきたかがわかる。
国立西洋美術館には企画展しか行ったことがなかったけど、常設展も近いうちに行かなきゃなぁ。 -
この小説を読むと、誰もが国立西洋美術館に行ってみたくなるようだ。松方コレクションを観るために。
松方コレクションの数奇な運命を、それに携わった人物たちとともに史実にフィクションを織り交ぜ、描いた壮大なアート小説である。
主人公は、実在の人物を仮名にした美術史家の田代雄一。
彼を中心に、松方幸次郎、文部省役員雨宮辰之助、総理の吉田茂、黒田清輝、田代の東京帝大時代の同級生成瀬正一、戦時中松方コレクションを守り抜いた日置釭三郎と彼の妻ジェルメンヌ、フランス関係では国立美術館総裁で返還交渉相手となるジョルジュ・サル、そしてコロード・モネ。錚々たるメンバーが登場する。
構成は、戦後の1953年6月、田代と雨宮が松方コレクションの返還交渉に赴いた場面から始まる。
その後、年代は戦前の1921年、1919年、さらに1866年まで遡り、再び1921年、1931年、1953年と来て、最後は1959年の上野公園国立西洋美術館と、めまぐるしい展開。一大叙事詩の感。
1919年の項では、翌年に松方幸次郎が海軍の福田中将からドイツが誇るUボートの最新型の設計図を密かに入手して欲しいとのスパイもどきの依頼を受ける挿話もある。
日本に美術館を作ろうと、絵画購入のため次々と画廊を訪ね歩く松方と田代。
人を介し、クロード・モネの邸宅への訪れ。
彼ら多彩な登場人物たちが様々な役割を演じ、繰り広げた物語は、彼らとともに読者も、遙かな旅をしてきたと思わせる読後感。
大磯吉田邸での項では、松方コレクションも絡む戦後の講和条約締結時の秘話も綴られる。フランス外相から返還の肯定的な返事を引き出した吉田の説得力と交渉術の巧みさは、現代の政治家に参照してもらいたいと思うが・・・
題名の「愚かものたち」は、もともと印象派の画家たちを批評した言葉だったとは。 -
「戦闘機でなく、絵画(タブロー)を。」今、本当に必要な言葉です。松方コレクションについては関連本も読みましたし、この脇役で出てくる田代は〇〇先生だったのかぁ!と解説を読んでビックリしました。うちの父が西洋美術館のために募金した、と言っていて「良いなぁ~そういうことやってみたかった」と時代が違うとは云え、羨ましく思いました。国立西洋美術館へまた行ってみたくなる作品です。
-
原田マハさんには「Bon travail!(いい仕事でした)」と言いたい。
松方幸次郎が、日本に美術館を作るべく、様々な「傑作」を買い付けて行った。
その〝松方コレクション〟は、戦後、個人の財産でありながら、日本が敗戦国となったことも影響し、フランス政府に接収されることとなる。
そこで〝松方コレクション〟を日本に持ち帰ろうと赴くのが、かつて松方と共に絵画を見て回った田代雄一であった。
現在の、「国立西洋美術館」が出来るまでのお話である。
これは、絵にまつわる物語というよりは、絵に魅入られた人々の物語と言える。
「戦闘機ではなく、絵画(タブロー)を。戦争ではなく、平和を。」
この台詞で、私は読もうと思った。
作中には、船や飛行機から戦艦や戦闘機といった、文明が戦争に利用される様子が描かれている。
松方の仕事は、そうした戦乱をうまくビジネスにする側面もある。
けれど、そこには感動や、声が出なくなるような衝撃は起こらなかった。
戦うことにおいては、実際的な役に立たない絵画を、人々は守り、広め、学ぼうとする。
人が人を感動させ、次なる作品を創造する。
壊すことよりも、遺すことに、価値があるのだということが伝わってきた。
今だからこそ、考える所のある作品だと思う。
同時にフィクションながらも、現存する場所に命を与えられたような気がして、国立西洋美術館行きたい!となった(笑) -
国立西洋美術館の礎である〝松方コレクション〟を取り戻す、歴史を描いた長篇。
原田マハさんはノンフィクションとフィクションの間を描くのかとても上手だと思う。史実に基づいて描かれている部分も多いのだろうけれど、人物の関係性や交わされる言葉…まるでその場を見て来たかのように錯覚してしまう。不思議な感覚が癖になる。
日本の美術館の歴史はここから始まったのだなぁ、と感慨深く読み終えた。
時間を戻すことは出来ないから、コロナ禍で、そして戦争で現存する芸術が失われないようにと同時に願った。
私も同じだけ、ヤンジュさんの優しくて前向きな感想を読み参考にさせ...
私も同じだけ、ヤンジュさんの優しくて前向きな感想を読み参考にさせていただいていますが、いつの間にか全部いいねしてしまっていたようなのでコメントに返させていただきます。
私も原田マハさんの描く世界に入るのが好きなので、『美しき愚かものたちのタブロー』も手持ちの本を読み終わったら、読みたいです。