スティール・キス 上 (文春文庫)

  • 文藝春秋
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  • Amazon.co.jp ・本 (399ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784167916015

作品紹介・あらすじ

四肢麻痺の名探偵ライム×殺人マシーン
科学捜査の天才リンカーン・ライム・シリーズ

従順な機械たちが、いきなり牙を剥く!
「みな考えろ。よく考えるんだ。
答えは必ず、現場にある」
―ーリンカーン・ライム

NYのショッピングセンターでエスカレーターが誤作動を起こし、通行人の男性を巻き込んだ! 刑事アメリアは必死に救助するが男は痛ましい死を遂げ、あげくに捜査中の犯人を取り逃がしてしまう。リンカーン・ライムに助けを借りたいが、彼は市警を辞めてしまっていた。一方のライムは、民事訴訟でこの事故を調査し始める―ー。(
下巻につづく)

感想・レビュー・書評

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  • ジェフリー・ディーヴァー『スティール・キス 上』文春文庫。

    リンカーン・ライム・シリーズ第12弾。

    NY市警察から依頼される事件捜査を辞めたリンカーン・ライムと刑事として難事件を追い続けるアメリア・サックスとの間に見えない深い溝が……

    今回は余りにも都合良すぎる展開のような気がする。リンカーンとアメリアを引き離したり、くっつけたりと忙しいね。二人の恋の行方よりもミステリーを存分に味わいたい。勿論、高いレベルの作品であることには間違いない。

    ショッピングセンターで殺人犯・未詳40号を後一歩のところまで追い詰めたアメリア・サックスはエスカレーター事故に巻き込まれた通行人の男性を救出しようとして、殺人犯に逃げられる。一方のリンカーン・ライムはエスカレーター事故で死亡した男性の民事訴訟のための調査を依頼される。やがて、アメリアが追う殺人犯とリンカーンが調査するエスカレーター事故とが一つの線でつながり……

    本体価格870円
    ★★★★

  • まだマジシャンがマジックの説明を
    し始めた感じ
    「まず、カードが何枚あるかここに並べます」の段階
    まだまだ序盤、感想は下巻で。

  •  リンカーン・ライム・シリーズの第12作は新機軸として、現代的過ぎる凶悪なディジタル犯罪を扱ったものである。現場に残された証拠を分析することで、犯罪者を追いつめてゆくリンカーン・ライムのアナログ的な科学捜査を特徴とする本シリーズも、ついに現代という奇妙な時代にタイム・スリップしてきたか、という印象の一作である。

     もっとも、序章における驚愕のエスカレーターの事故がディジタルの存在をすぐに感じさせるわけではない。ショッピングセンターで起こったエスカレーターの誤作動と、そこに立ち会い悲惨な犠牲者の姿を目撃することになったアメリア・サックス。最初からスプラッタな展開で始まる本作。眼を背けたくなる凄惨な事故現場。しかしこの誤作動は、事故ではなく嘲笑する殺人者による狂気の犯罪であるというもの。

     主人公のリンカーンより、アメリアと犯罪者との追跡と逃走、犯罪者の駆使するディジタル機器への仕掛けと、それらが誘発する思わぬ展開が見どころとなる。何故エスカレーターは落下したのか? 何故、アメリアの捜査する建物が火焔に包まれたのか? 久々のオープンなアクションとスケールの大きさ、そこにディジタル犯罪という新手の闇が加わることで、本シリーズとしては捜査側が最も攪乱される事件と言える一作である。

     誤作動を武器とする犯罪、という一点で連続する、捜査側としてもあまりに予想外の殺人が連続する。まったく予想もできないディジタル・ノイズにより、日頃便利と感じている家電製品や最新建築技術が、人を殺傷する武器と化す。本作は、世界に普及しなお進歩を遂げてゆくディジタル機械に対し警鐘を鳴らすものであり、我々が日頃便利と感じている生活のあれもこれもが、誤作動による思いもかけぬ危険な敵に変貌する有様を描いてゆく。ページを進めるにつれヒートアップしてゆく犯罪と、それを駆使する悪魔のような犯罪者を、ライムとサックスがどのように追いつめてゆくことができるか? 

     また本作では印象的なゲスト、ジュリエット・アーチャーが登場する。疫学研究者でありながら車いすでライムのラボにインターンとして日参するなかなかの切れ者アシスタントである。ライムのラボにライムとジュリエットの車いすが行き交うという科学捜査本部(?)の様子も本書では犯罪小説とは別個の読みどころとしてシリーズ作品ならではのアクセントも置かれている。ジェフリー・ディーヴァーのサービス精神が相変わらず光る。そう感じさせる作品である。

  • 元ニューヨーク市警の天才科学捜査官が、警察に協力して連続殺人鬼を追う『リンカーン・ライム』シリーズ第12作。下巻まで読了。

    警察に協力して、と言っても、今作の冒頭ではリンカーンは市警顧問を辞めており、パートナーとのアメリアとの衝突も描かれ、読んでいてどうにももどかしさが募る。

    今作は、微細証拠物件を追うミステリーとしてよりも、上記のリンカーンとアメリアとの関係を含む、登場人物同士の人間模様が主眼になっている印象。それでも十分に面白く、ラストにはカタルシスもあるけれど、ミステリーとしては物足りなさもある。

    とはいえ、ロン・セリットーが復活したときは想像していた以上に嬉しさを感じた。(ライムが言うように「ロン・セリットーか……あいつがいなくては世の中は殺風景になる」といったところ)

  • 感想は下巻

  •  リンカーンライム、シリーズ。

     デパートのエスカレーターに巻き込まれて男性が死亡する。事故かと思われたそれは、連続殺人の幕開きだった。

     ライムが、大学の教鞭をとっていて、へ、ってなるよ。
     まぁ、彼の考えもわからないでもないけど、やっぱりアメリアとしては、ねぇ。
     っていう、このぎくしゃくした感じが、うまい。
     「オクトーバー・リスト」の時も思ったけど、人の何気ない行動とか仕草を描いて、その人の心情や関係性を描くのがとんでもなく上手いのよね、ディーヴァーって。何なんだろう。メタファーとは違うけど、ちょっとそれみたいな、というか、匂いというか別の質感があるんだよね。

     ともあれ、犯人とライムたちの頭脳戦が始まる。
     毎度ながら、<今、そこにある危険>って感じに震える。

     私たちは、便利という果実と引き換えに、何を失おうとしているのだろう。

     そして、驚愕の…。
     ディーヴァーなので、びっくりさせられるのは毎度なのだけど、想像の斜め上いってました。
     参りました。

     でも、これは喪失の物語だったのだろうな、とぼんやり思うのであった。

  •  リンカーン・ライムシリーズ12冊目。ん、ちょっといつもと違う。ライムのタウンハウスで捜査陣が集まってがやがややるのが常だが、今回はひっそりと始まる。だいたいライムが捜査顧問を辞任して犯罪捜査から手を引いているではないか。やっているのは民事訴訟の手伝い。一方で、アメリアは例によって未詳という連続殺人犯を追っている。別行動だ。大けがをしたロン・セリットーは行方不明だし、いつもの顔ぶれではトムを除けばライム側に駆り出されたメル・クーパーとアメリア側にロナルド・プラスキーだけ。というのは作者のちょっとしたいたずらであって、すぐに2つの事件は融合して合同捜査ということになるのだが。して新たに車椅子の助手ジュリエット・アーチャーが加わる。あとはいつもの通り。でも驚くべきどんでん返しという点では本作はちょっと地味かな。読み手が慣れたせいもあるけど。あとIoTによるスマート機器の誤作動誘導と丸頭ハンマーやチェンソーなどの工具の組み合わせというのが違和感がある。サイドストーリーであるプラスキーの逸脱行動は中途半端だし、アメリアの元夫ニックが出所してどうこうというのも取ってつけた感が否めない。ああすべてはこうだったのかと得心させるラストを期待していたのに。

  • 元彼ウゼエ~~~
    セリットー氏よかったね(涙)
    スマートデバイス使うやつ。

  • (評価は下巻を読んでから)

  • 1ページ目からアメリアが登場!読みたくて読みたくて、でももったいなくて我慢してたので、もう名前が出た瞬間から帰ってきたー、とまず思いました。ところが、今回はかなりこれまでの作品と様子が違う。ライムが市警の顧問でなくなっている。このため、捜査もいつもと全く異なり、サックスはライムとは捜査せず、二人の会話もほとんどない。その代わり、サックスの元カレが登場。そして謎の行動のプラスキー。いろんな意味で今後、どうなるんだ?と気になりながら、楽しみな後半へ。

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