ミッドナイトスワン (文春文庫 う 37-1)

著者 :
  • 文藝春秋
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  • Amazon.co.jp ・本 (304ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784167915230

作品紹介・あらすじ

「新しい地図」として活躍中の草彅剛。そして、Netflix「全裸監督」が世界190カ国で同時配信され大反響を読んだ映画監督・内田英治。二人のタッグによる話題の映画『ミッドナイトスワン』を、内田監督自らが小説化。トランスジェンダーの“凪沙”(なぎさ)は故郷の広島を離れ東京、新宿を舞台に生きている。あるきっかけで親戚から預かった一人の少女と暮らす事になってしまった。母から愛を注がれずに生きてきた少女、一果(いちか)と出会ったことにより孤独の中で生きてきた凪沙の心に今までにない感情が芽生える。一人の少女との出会いにより凪沙に芽生えた自らの“性”の葛藤と、実感した事の無かった“母性”の自覚を描く、奇跡の物語。■草彅剛この脚本が人の愛、エネルギーにすごくあふれていて国境や性別などを超える力があって、皆さんに楽しんでいただけると思います。台本を読んだ時、とても感動し涙がとまらなかった。その時の気持ちを作品としてみせられたら。■内田英治監督人間は愛のためにどこまで自己を犠牲にすることが出来るのか?多様化が進むなか、普遍的な一つの愛の形としてトランスジェンダーと少女の関係を描いています。普通に存在する者たちの物語で、普通の娯楽映画として大いに楽しんでいただけたらと思います。

感想・レビュー・書評

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  •  本作は、内田英治さん監督・脚本の同名タイトル映画の、ご自身によるノベライズ版です。
     個人的に、原作→映画化の場合は、「映画は観ない派」ですが、本作は逆パターン‥。互いに補い合う部分があるのか、作者(監督)の意図も不明で‥。
     映画では、草彅剛さんが主演し、日本アカデミー主演男優賞を受賞‥。う〜ん、どうしましょう。(で、結局読んだんかい! 映画じゃないんかい!)

     日々体と心の葛藤を抱えるトランスジェンダー・凪沙と、親(実は親戚)の虐待を受け一時預かったバレエダンサーに憧れる少女・一果の物語です。
     凪沙と一果。この2人を結びつけたのは、世の中の生きにくさや孤独であり、そこにバレエという共通の希望が見えた時、運命が動き出します。

     著者は、この2人の姿を通して一つの家族愛の形を描こうとしたのかもしれませんが、後半の急展開とラストは、少々不完全燃焼の感が‥。
     感動とか、美しいとか、泣けたとかの凡庸な言葉の前に、個人的には切ない以外の何ものでもないなあ、という思いです。
     当事者でない立場から見た、「(可哀想な)トランスジェンダー像」が拭いきれません。これがリアルだとすれば考えるきっかけをもらったと言えるでしょうが、やるせなさだけが残るような‥。当事者は共感できるのでしょうか? LGBTは社会全体で考えていく必要がありますね。

  • はい!明けました!(人´∀`).☆.。.:*・゚
    明けましておめでとうございまーーーす⤴⤴⤴

    三が日、家でボーッとしながら読書を楽しみたいですが、そういう訳にもいかないですね…
    大人の事情がありますね(;^ω^)

    とりあえず、2024年一発目のレビューはコレだ!

    ジャジャ〜ン♪


    『ミッドナイトスワン』


    なぜこれかというと……、

    特に理由はナシ!
    たまたまタイミング的なものですw



    新宿のニューハーフショークラブで働くトランスジェンダーの凪沙

    母親から育児放棄・虐待をされた一果

    とあるきっかけで凪沙が親戚の一果を預かり生活を共にすることになる
    トランスジェンダーと虐待、孤独の中で生きてきたふたりはなかなか心を開くことができない

    しかし、一果の大好きなバレエと、凪沙が一果にそして自分自身に言った、「うちらみたいなんは、ずっと一人で生きて行かなきゃいけんけえ・・・ 強うならんといかんで」の一言がふたりの関係性に変化を与えていく

    一果との出会いにより凪沙に芽生えた自らの“性”の葛藤と、実感した事の無かった“母性”の自覚を描く涙の物語


    さぁ、2024年も読書楽しみまーす\(^o^)/
    みなさん今年一年もどうぞよろしくお願い致します!

    • mihiroさん
      一休さ〜ん*\(^o^)/*
      明けましたね〜!!今年も仲良くして下さい\♡︎/
      よろしくお願いします♪
      ミッドナイトスワン、2人は紛れもなく...
      一休さ〜ん*\(^o^)/*
      明けましたね〜!!今年も仲良くして下さい\♡︎/
      よろしくお願いします♪
      ミッドナイトスワン、2人は紛れもなく母娘でしたよね〜(TT)これ映画の方が好きでした(つ∀<。)テヘッ♪
      2024/01/02
    • 1Q84O1さん
      mihiroさーん!
      明けましたよ〜(^o^)/
      こちらこそよろしくお願いします!
      いろいろな母娘の形があるなと新年からちょっと涙しましたよ...
      mihiroさーん!
      明けましたよ〜(^o^)/
      こちらこそよろしくお願いします!
      いろいろな母娘の形があるなと新年からちょっと涙しましたよ(/_;)
      2024/01/03
    • 1Q84O1さん
      ほん3さん
      あけましておめでとうございます!
      こちらこそどうぞよろしくお願いします(≧▽≦)
      みなさん映画を見ている人は多いみたいですね
      私...
      ほん3さん
      あけましておめでとうございます!
      こちらこそどうぞよろしくお願いします(≧▽≦)
      みなさん映画を見ている人は多いみたいですね
      私は映画を見ていないので小説の方にしてみました(*´ω`*)
      2024/01/04
  • 久しぶりの小説。

    元になった映画が日本アカデミー賞を獲得したのを観て、読んでみようと思った。

    一気読み。

    私はトランスジェンダーではない。
    子供を欲しいと思ったこともない。
    虐待もされていない。
    諦めたくないものもない。
    だから、この小説に出てくる誰にも似ていない、のか?

    他者への共感とは、ときに優しい暴力ではないか、とたまに思う。
    それでも言いたくなる。
    あなたの気持ちは分かるよ、と。

    私にとって、小説を読む1番の悦びとは、登場人物とともに一喜一憂することだな、と再確認。
    つかの間、会うことのない「他者の人生」に寄り添うのだ。

    アカデミー賞で主演男優賞を獲得した草なぎ剛さんのスピーチ、素敵でした。
    内田監督も作品賞受賞、おめでとうございます。

    哀しくも美しい、純愛ドラマでした。

  • …泣いたぁ……

    普通に生きる事も
    ふつうに愛する事も
    子育ても同じで…

    【全てに正解はない】
    登場人物達にはまず 【自分を大事にしてほしい…】
    ジェンダーに対しても世間は昔よりは理解されてるのかもしれないけど、恐らくそれでも上部だけ…

    自分はジェンダーの人への偏見は無い方で、プロレス見てればジェンダーのレスラーもいるし、自分の好きなバンドのボーカルもジェンダー
    TVで面白く話してるIKKOさんもマツコさんも相当な苦労をしてきてるはず

    個人的にはジェンダーは個性だと思います
    男性も女性も経験してないことを知り
    表現力はずば抜けてると思いますけどね…

  • これって、紙の本の本棚ですよね(・_・;
    原作を読みたいと思いました。
    まだ、読んでないから個人的なレビューは
    原作読んでから書こうと思います。
    先に映画のDVDを観ました、まだ上映中なのか?
    映画検索出来ませんでした(・・;)

    映画作品とても良かったです!
    草彅くんも、娘役のオーディションで選ばれた
    服部樹咲ちゃんも…
    役柄についてだけでなく、生きにくいものの正体について考えさせられました。
    なりたいものになる、姿はそれを表してるだけで、
    不思議に感じた
    バレエの先生が、凪沙の姿を見て、
    「お母さん!」と一果の母として呼びかけたのは
    自然にそう見えたし、そう思ったからで、
    それが普通だと思えた。
    凪沙(草彅剛)が、そう呼ばれて
    テレて嬉しそうな笑みが印象的だった(о´∀`о)

    当たり前のことなのに…偏見持つことの方が偏見
    自分を女性だと感じ、女性として振る舞っていることに違和感はない…
    実際には男性なのかな?と思っても、本人が女性として生きているなら、自然にその人自身のありのままの姿として見えるんじゃないかな…?男でも女でも関係ないんじゃないかなって、ずっと思ってるけど…偏見を持つというより偏見を持って見ようという人は、いつも社会の中にいる。
    それは、トランスジェンダーに拘らず…差別したがる人は人生のあらゆる場面に登場する
    悲しい出来事だけで済ませないように、
    ひとつ、ひとつの人生を描いている作品
    レビューはまだ…と言いながら、感想を綴ってしまったけど(-。-;
    一果の友達のりんチャンが
    よっぽど、可哀想だと思う場面もあった…。

    映画は映画のいいところがある 映像の中で
    言葉や表情でこちら側に伝わるもの、
    しかし原作には、きっとまた違った
    伝わりきれなかった世界があるはず
    この映画は映画を見終わった後に原作も是非読みたいなぁと感じる作品だった。

    少し、あらまし抜粋
    草なぎ剛演じるトランスジェンダーの主人公と親の愛情を知らない少女の擬似親子的な愛の姿を描いた、「下衆の愛」の内田英治監督オリジナル脚本によるドラマ。故郷を離れ、新宿のニューハーフショークラブのステージに立つ、トランスジェンダーの凪沙。ある日、凪沙は養育費目当てで、少女・一果を預かることになる。常に社会の片隅に追いやられてきた凪沙、実の親の育児放棄によって孤独の中で生きてきた一果。そんな2人にかつてなかった感情が芽生え始める……。
    草なぎが主人公・凪沙役を、オーディションで抜擢された新人の服部樹咲が一果役を演じるほか、水川あさみ、真飛聖、田口トモロヲらが共演。
    第44回日本アカデミー賞で最優秀作品賞を受賞し、草なぎも最優秀主演男優賞を受賞した。


  • 話題になっていた映画「ミッドナイトスワン」
    気になったものの、田舎では鑑賞出来ない(まさかの上映なし)という不幸に見舞われ、本を読むことに。

    なんとなくあらすじは分かっていたつもりだったが、想像の上をいく悲しみの連鎖に心を掻きむしられた。純粋に何かを、誰かを大切にしたいと思う気持ちがこんなにも許されないなんて…。切ない。

    ラストシーンに現れた白鳥が、少女(一果)の絶望の中に灯る小さな、でも確かな希望でありますように。。

  • 以下、ネタバレ注意です。

    育児放棄に遭った少女一果が、広島から上京して預けられたのは、トランスジェンダーの親戚、凪沙だった。
    一果は人との関わりを諦め、凪沙は希望を諦めていた。そんな中、一果はかつて公園で習ったバレエをもう一度始めたいという願いを持つ。

    一果とは違い、恵まれた境遇にいながらも自分と同じ空虚さを漂わせるりんと出会い、一果が受け入れていく過程。そして、凪沙が一果の存在を認識し、抱きしめるシーンからは、加速度的に物語に嵌りこんでいった。

    不思議と、一果が満たされていくと、視点はどんどんと凪沙に移っていく。
    一果のために昼の世界に戻っていく凪沙から、「本当の自分」を知られることに怯える凪沙から、いつの間にか目が離せなくなっていた。

    男の人が女の人になりたいことを知っていたつもりでいた。
    男の人が母親になりたいという、そのことに私は気付いていなかった。

    その思いに触れて、泣いた。
    最後は泣かされていることにも腹が立って、どうしてこんな結末にしたんだと噛みつきたくなった。
    それくらい、納得したくない終わり方だった。
    これは、きっと誰にとっても「納得のいく物語」ではないのだ。

    本当は星なんて付けてやりたくないくらい、どうしようもない気持ちなのに、それでも凪沙と一果が一緒にいた時間が、りんが生きていた時間が、自分の中に跡を残した。


  • 内容紹介 (Amazonより)
    「新しい地図」として活躍中の草彅剛。
    そして、Netflix「全裸監督」が世界190カ国で同時配信され大反響を読んだ映画監督・内田英治。
    二人のタッグによる話題の映画『ミッドナイトスワン』を、内田監督自らが小説化。

    トランスジェンダーの“凪沙”(なぎさ)は故郷の広島を離れ東京、新宿を舞台に生きている。あるきっかけで親戚から預かった一人の少女と暮らす事になってしまった。母から愛を注がれずに生きてきた少女、一果(いちか)と出会ったことにより孤独の中で生きてきた凪沙の心に今までにない感情が芽生える。
    一人の少女との出会いにより凪沙に芽生えた自らの“性”の葛藤と、実感した事の無かった“母性”の自覚を描く、奇跡の物語。







    コロナ渦の中、8ヶ月ぶりに観に行った映画がとても良かったので 原作も読んでみることにしました。
    原作では映画では描かれていなかった部分が書かれてあり 映画の内容を思い出しながら読みました。
    凪沙はつよぽんが一果は服部樹咲ちゃんが 早織は水川あさみさんが実花は真飛聖さんが私の脳内に登場していました。
    ラストはとても悲しいのだけど この映画でアカデミー賞を受賞したつよぽんはジャニーズ事務所を退社したからこそ出来た役柄じゃないかなぁと感じました。
    同じ映画を何度も観る方ではないのですが この映画は音楽もマッチしていてとても素晴らしいので 私の中ではもう1度観たい映画の1つです。
    原作は読んだけど まだ映画は観ていないという方がいらっしゃったら ぜひ観て欲しいです。

  • 表紙になっている草彅くんの表情を見て是非映画を観たいなあという思いで本を先に読みましたが、悲しくて涙が止まらずに今頭がガンガンしています。
    こういう話だったか…。
    登場人物の誰もが愛おしいです。一果を虐待していた母親ですらきっと懸命に生き苦しんでいるのだと理解出来ました。
    男であることに違和感を覚え女になりたい。けれども年齢的にも幸せな未来が見えないような諦めの中で生きていた凪沙が、一果と出会い母親になりたいと願うようになる気持ちの動きが丁寧に描かれていて、流石の映画監督の内田さんの作品ですから場面の映像が心に浮かぶような気がしました。
    人を愛するということは崇高でそして悲しい。
    生きていくことは楽しくもないし、楽でもない。何か重いものを背負ってみんな生きていくんだと思いました。

  • 図書館でなんとなく見つけた。「あぁー。映画で見たかったけど見られなかったんだよなぁ」と借りて、、、。良かったーーーー。
    全てがどうでもよいと諦めていた一果を無心にしてくれたバレエ。それはいつしか自分の希望となり誰かの希望となる。
    弱い者は、哀しい。だからこそ強くなろうと生きてきた凪沙は、一果と出会い、自分の中の母性に気づき、さらに強くなろうとし、絶望の中で一果を思った。
    経済的には恵まれていたが、母の過度の期待や怪我、愛する友達が自分以上の才能を持っていることや自分の限界を知ったりんの思い。
    ちゃんと子育てしたいが思うようにできない早織。凪沙の一果を思う気持ちに、自分が母であると嫉妬するのも辛い。
    ラストは、ただただ泣きました。

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著者プロフィール

内田 英治(うちだ・えいじ)
リオデジャネイロ生まれ。週刊プレイボーイ記者を経て映画監督となる。2017年伊藤沙莉主演の映画「獣道」が多くの海外映画祭にて上映された。オリジナル脚本にこだわり、海外展開を視野に置いた映画作りを行っている。2019年にはNetflix「全裸監督」の脚本・監督を担当して大きな注目を集める。監督・脚本を務めた映画「ミッドナイトスワン」は日本アカデミー賞最優秀作品賞を受賞。同名の小説『ミッドナイトスワン』(文春文庫)の執筆も自ら手掛けた。最新作「異動辞令は音楽隊!」は2022年夏公開。

「2022年 『異動辞令は音楽隊!』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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