裏切りのホワイトカード 池袋ウエストゲートパークXIII (文春文庫 い 47-23)
- 文藝春秋 (2019年9月3日発売)
- Amazon.co.jp ・本 (300ページ)
- / ISBN・EAN: 9784167913441
作品紹介・あらすじ
快速IWGPシリーズ第13弾!真冬の池袋で、超高給短期バイトの情報が駆けめぐる。たった半日で報酬は10万円以上。怪しすぎる誘惑に若者たちは浮き足立つ。その裏に隠された目的は何なのか。そして、募集に使われた闇サイトの運営をめぐり、マコトのもとにはある財団から依頼が持ちこまれる―ー。(表題作「裏切りのホワイトカード」)ほかに、「滝野側炎上ドライバー」「上池袋ドラッグマザー」「東池袋スピリチュアル」の3篇を収録。巻末に掲載の作家・朝井リョウさんとの対談では、朝井さんから「『IWGP』はひとつの発明です!」と熱いコメントが。必読です!
感想・レビュー・書評
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前作に続き、初期の頃のスリリングな疾走感が戻ってきた。
シリーズものだから、マンネリは仕方ないかもしれない。
だが、このように往年の疾走感があれば、この先も読みたいと思ってしまうり詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
記録
好きなIWGPの13作目。
マコトもキングもゼロワンも
かっこいい大人だなぁ。
再婚相手の子供に暴力振るったり、
親がドラッグしてたり、
スピリチュアルな世界の話だったり、
カード詐欺の話だったりよく世界を見てないと
かけない話だよなぁ。 -
ゼロワンの恋?が新しい展開過ぎてニヤける。
巻末対談読んでて思うけど、13作目、よく続いてるシリーズだな。
時代のトピックスを題材にしてるから、あーこんな時代あったなって思えたりするのが好き。
最近のは当然そんなこと思わないけど、マコトがライン教えてとか言ってるのも新しくて好き(笑) -
例によって4篇を収めた一冊で、4篇各々が面白い。
今般の4篇…離婚せざるを得なくなってしまった男と、その息子や元妻が再婚しようとしていた男に関する顛末…母子家庭の中学3年生の娘が母親の行動に不信を抱いたことから起こる顛末…主人公の知り合いの妙な話しから起こった“霊能者”というような顛末…街の若者を巻き込む「不審な依頼」を巡る顛末…というような具合だ。
このシリーズでは、所謂「ハッピーエンド」と言い切れるのか、否かが微妙な感じがしないでもない篇が幾つも見受けられるような気がする。今般は、そうした「所謂“ハッピーエンド”と言い切れるのか、否か?」という感の篇が目立っているような気がする。が、同時に「無条件に愛する」とか「無条件に信じる」というような、「家族であるが故に」という以上でも以下でもない、或いは非常に尊い人と人との繋がりのようなことが感じられるような物語が在る…
市井の、特別な地位や立場という程でもない若者が、何やらのトラブルをどうにかすべく奔走してみるという様子を介して、「どうしてこういう時代になった?」、「本当にこういう感じで人々は幸せか?」、「こういう様子が“正しい”のか?“正しくない”でも構わないかもしれないが、納得し悪い?」というような、「人生を見詰める材料」というのか「“材料”になり得るかもしれない何か」を供してくれるような気もするという辺りが、酷く気に入っているシリーズだ。本書に所収の各篇でもそういう感じは変わらない。
偶々眼に留めた「傑作選」を契機に、実に好いシリーズに出会えたと思う。 -
どうも石田衣良氏は村上春樹いぢりがライフワークのようで。
もはや伝統芸とも言えるパターンとなっているなぁ。 -
その時々の時事ネタと、ブレないマコトとキングのキャラクターで、飽きずに(でも安心して)読める、ずっと好きなシリーズ。もちろん私はキングタカシ派です。カッコいい!今でも脳内再生は、長瀬くんと窪塚くん。
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相変わらず社会問題に即応したテーマの話が続くね。
交際相手の子どもへの暴力、ドラックにはまるオトナ、ホンモノと偽物のスピリチュアル、偽造カード詐欺。
三年前に書かれているのに、似たような事件が今でもリアルタイムで起きている。
読んでいると、ついつい長瀬智也と森下愛子が浮かんじゃうんだけど。 -
懐かしい面々のオンパレード! もう最終回、完結編かと思ったほど。
今回は暴力、強い仲間意識、緊迫した焦燥感のようなものは感じられませんでした。昔のIWGPは、引きこもりでさえヒリヒリしてた。
それでも★4なのは、この内容で満足している自分がいるから。ああ、マコトやタカシと一緒に自分も歳を重ねているんだなー。
巻末にある石田衣良と朝井リョウの対談も、かなり面白かったです。 -
IWGP最新作(注:文庫。2019年11月時点)。
気軽に楽しむエンタテイメント。
愛すべきワンパターン♪
【滝野川炎上ドライバー】
虐待された子供は、長じてから我が子を虐待…。
こんなシチュエーションを読んでも
「またこのパターンかよ」
とありふれたおハナシとしか感じられなくなってしまう現実社会が、やるせない。
【上池袋ドラッグマザー】
池袋の氷の王 の温度が下がる瞬間を読むのは、いつだって心地よい。母子家庭の悲劇に立ち上がるだなんて…王も人の子だってことね。
【東池袋スピリチュアル】
ゼロワンがこんなにも深く話に関わるのは、初めてだね。
嫌がらせ行為は部の先走りだったらしいけれど…一件落着で良かったね。
改めて、ネットって怖いなぁ、と。
……と、ワカバちゃんには、また出番が来ることがありそうな予感。
【裏切りのホワイトカード】
IWGPの中編(いつも、最後に入れられるおハナシ)は、やっpり読み応えあるね。長編1本に引き伸ばしても通用するような。
「格差社会」の拡大が騒がれている昨今であるが…
「生まれもっての頭脳」という、批判や制度の改正ではどうにもならない「格差」の存在が再認識させられるおハナシ。
「持てる者」と「持たざる者」とでは、天地が引っくり返ってもどうにもならない部分がある。
せめて本編のキーパソンのように、
"持てる者"が、「格差の拡大に抗おうとする心」を育める教育が、今の日本には必要なのかも知れない。
★4つ、8ポイント。
2019.11.15.新。 -
本から遠のいて久しい。ふと本に戻ろうと思った矢先に目に入ったのがこれ。読書再開にはもってこいの一冊。本作はシリーズ13作目。池袋を舞台にマコトが活躍するのはいつも通りだが何か物足りなさを感じた。それはきっと,焦りだとか葛藤のようなもの。それだけマコトも大人になったということだろうか・・・それはそれでちょっと寂しい。
あらすじ(背表紙より)
真冬の池袋で、超高給短期バイトの情報が駆けめぐる。たった半日で報酬は10万円以上。怪しすぎる誘惑に浮き足立つ若者たち。隠された目的は何なのか。そして、募集に使われた闇サイトの運営をめぐり、マコトのもとにはある財団から依頼が持ちこまれる―。表題作ほか3篇収録、快速IWGPシリーズ第13作。