デブを捨てに (文春文庫 ひ 29-1)

著者 :
  • 文藝春秋
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  • Amazon.co.jp ・本 (287ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784167913120

作品紹介・あらすじ

「うでとでぶどっちがいい」と聞かれ、でぶを選んだ俺は、“デブ”の若い女を、愛車のスパイダーに乗せ、北へと向かった……空前絶後、怒濤のロードノベルの表題作や、捨てた娘から三十五年ぶりに手紙をもらったおっさんに頼まれて、ついて行った先は、娘が嫁いだ大家族の家。そこでは、"ビックパピー"なる父親以下、大家族の密着テレビ番組が収録中で……(「マミーボコボコ」)など、シュールな設定、最悪の状況、そして乾いたユーモア。そして、クセになる疾走するような文体で、ドブの底にいる人々の泥沼の日常を描く。2019年夏、主演・藤原竜也、監督・蜷川実花による映画化で話題の大藪春彦賞、日本冒険作家大賞の受賞作『ダイナー〈Diner〉』、日本推理作家協会賞を受賞した『独白するユニバーサル横メルカトル』などで知られる奇才・平山夢明が繰り出す〈最悪劇場〉。泥沼に咲いた「美しい」人々の物語〈イエロートラッシュ〉シリーズ短編集。

感想・レビュー・書評

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  • ち、違います!
    松村邦洋さんのエッセイじゃありません。
    どう見てもそう見えても違います(笑)
     
    『独白するユニバーサル横メルカトル』以来の平山夢明さん。
    夢明さん……。
    名前はキレイなのに作品はあいかわらず凄かった。
    グロい。キツい。ツラい。三拍子です。
    血で血を洗う、ではなく、排泄物を吐しゃ物で洗うがごとし、の様相です。
    食事中の方、ごめんなさい<m(__)m>
    登場人物の九割九分がクズです。ろくでなしです。
    どれほどのろくでなしかというと、1話目の「いんちき小僧」の主人公は、1行目から公園で女にビンタをされています。空腹のあまり、コンビニで百円の森永のキャラメルを万引きしたからです。
    なんでせめておにぎりやパンや弁当でなく、キャラメル? しかもわざわざ森永の、とまで書くところが著者らしいところですね。
    コンビニの元横綱に似ている女店員は、警察なんかに突き出しても警察は甘いからダメと、公園でおもいきりビンタをかまします。
    おもしろいのはこのくだり、本筋にまったく関係ありません。
    主人公がどれほど情けないかを表しているだけです。
     
    全四話の短編集。
    いずれ劣らぬグロテスク。
    血と汚物と情けなさがぐちゃぐちゃにミックスされている物語なんですが、不思議と最後の数行にはいい香りがします。
    汚物の中に、その最奥に、目に見えないほどの小さな小さな花が咲いているようです。
    今回の平山夢明さんは、そんな感じでした。

    • megmilk999さん
      いや、ほんと私はいつ平山さんデビューできるのか。人様のレビューを見て読みたい気持ちは高まるのですが!まだ覚悟が足りんです。今年度中には!
      いや、ほんと私はいつ平山さんデビューできるのか。人様のレビューを見て読みたい気持ちは高まるのですが!まだ覚悟が足りんです。今年度中には!
      2022/09/11
    • 土瓶さん
      megmilk999さん。
      無理してはいけません。
      気力体力充実しているときを選んでください。
      できれば空腹のときを選ぶべきでしょう。
      満腹...
      megmilk999さん。
      無理してはいけません。
      気力体力充実しているときを選んでください。
      できれば空腹のときを選ぶべきでしょう。
      満腹状態でなにかの乗り物に揺られているときは厳禁です。
      リバースの危険があります(笑)
      2022/09/11
    • megmilk999さん
      空腹時で体力気力が満ちているときに、読んでみます!アドバイスありがとうございます。
      空腹時で体力気力が満ちているときに、読んでみます!アドバイスありがとうございます。
      2022/10/31
  • いつものように、ブックオフ100円コーナーをウロウロ。
    なんちゅうタイトルや!こんなタイトル付けてええの?放送禁止用語というか何というか…あかんやろ!

    …で!即ご購入!^^;

    何か身も蓋もないというか…何というか…
    の短編集4作品。
    ほんまに、デブ捨てに行くんかい!
    うんち巻いて、ヤクとして売るって…
    ビッグダディーのパロディかな?
    どれもこれも、うならされるわ。
    きっと人選ぶ作品なんやろな。私は選ばれた者か…一気読みやん!ほんま!

    解説に、平山さんは、身も蓋もない現実を身も蓋もなく書く天才だと。
    確かに…

  • ダークファンタジー
    いつも平山さんは、私の知らない世界に連れて行ってくれる。
    4つの短編が楽しめる本作。
    「顔が不自由で素敵な売女」とタイトル作品である「デブを捨てに」が楽しめた。

  • 最初は底辺の底辺、みたいなウシジマくんみたいのだったけど、段々と後半に向かって盛り上がるというか、救いのある話もある。ってウシジマくんもそーじゃねーか。
    まずはチョチョミにグッとくる。ドブスにしてハゲの風俗嬢というぶっ飛んだ設定にして最後までインパクト大で、最後のデブも含めて男の方はどうでも良いのばっかりで、女子力高すぎである。もう惚れたとかそういう次元ではないんだけど、何しろ記録より記憶というか、頭にこびりついて夢に出てうなされそうなやつらだけど、評論家風に言うなら、それがまた愛おしいというか、いや違う、やっぱり単なるゲテモノ料理に対する好奇心レベルだけど、まぁそういうの全部ひっくるめて、パネーす。

  • 這いつくばって生きる最下層の人々。
    生臭いのに、読む手が止まらない。中毒になる作品。出だしが秀逸。

  • 斬新な表紙とタイトル。穏やかなわけがない。登場人物は底辺かクズしかいない。清々しいなあ。人には勧めにくいけど面白いなあ。

    ■いんちき小僧
    クソで薬物を作って売りさばく話。なんくるないさ。

    ■マミーボコボコ
    テレビに出てくるような大家族ってこんな感じ?悪意まみれのストーリーとキラキラネームに笑う。

    ■顔が不自由で素敵な売女
    ハゲのチョチョミの話。正義面した復讐者にだんだんムカついてきたところからのチョチョミの一撃にスカッとする。

    ■デブを捨てに
    「うでとでぶどっちがいい」でデブを捨てに行く話。ところがなかなか捨てられないドタバタ珍道中。こんなにデブデブ連呼する話は初めて。健気で必死なデブを応援したくなってくる展開で、なぜか爽やかさを感じた。

  • 描写が生々しくてしんどくなることが多かったが話自体は面白く読めた。
    現代の落語っぽい印象。
    極限に過酷な状況におかれるなかでの少しの希望が書かれているように感じた。

  • テレビの大家族番組ってこんなんなのかなとか、
    過去に冒した罪への向き合い方とかテーマは凄く暗いのに、何故か読後そこまで暗い気持ちにはなりませんでした。

    ダークファンタジーであり、考えさせられるものかある書籍です。

  • ●『いんちき小僧』他作品にも見られる疑似家族の哀愁。
    ●『マミーボコボコ』大家族の闇。○○してる時だけ褒められるってのが妙にリアルでえぐい。
    ●『顔が不自由で~』「ムカつくから殺した」って事になるんだろうけど「殺されるほどムカつく奴」っていうのも少なからずいるのだろう。教師を煽って殴らせたガキとか。
    ●『デブを捨てに』白昼夢のようなゴタゴタデブロードムービー。デブ能力者。

  • ジャケ買いした本をやっと読んだ。
    グロい独特の世界観は相変わらずに、笑えるところ満載の短編集。
    底辺的な登場人物たちの奇天烈なストーリー。いやー面白かったなー。

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著者プロフィール

1961(昭和36)年、神奈川県川崎市生まれ。法政大学中退。デルモンテ平山名義でZ級ホラー映画のビデオ評論を手がけた後、1993年より本格的に執筆活動を開始。実話怪談のシリーズおよび、短編小説も多数発表。短編『独白するユニバーサル横メルカトル』(光文社文庫)により、2006年日本推理作家協会賞を受賞。2010年『ダイナー』(ポプラ文庫)で日本冒険小説協会大賞を受賞。最新刊は『俺が公園でペリカンにした話』(光文社)。

「2023年 『「狂い」の調教 違和感を捨てない勇気が正気を保つ』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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