西一番街ブラックバイト 池袋ウエストゲートパークXII (文春文庫 い 47-22)

著者 :
  • 文藝春秋
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  • Amazon.co.jp ・本 (321ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784167911317

作品紹介・あらすじ

400万部突破! 大人気シリーズ12弾池袋の雑居ビルで若者が飛びおり自殺を図る。彼は、急成長した飲食チェーン店の従業員だった。無能の烙印を押され、退職を強要された末にヤケになった若者。そして、次の犠牲者が――。耳障りのいい言葉で若者を洗脳し、つかい潰す“カリスマ経営者”。ブラック企業の闇に、マコトとタカシが斬りこむ!(表題作「西一番街ブラックバイト)。ほかに、アーティストのゆがんだ復習を描く「西池第二スクールギャラリー」、歯止めのきかないPV稼ぎの結末は……「ユーチューバー@芸術劇場」理想の顔に翻弄される女たちの悲劇「立教通り整形シンジケート」の3篇を収録。

感想・レビュー・書評

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  • シリーズ12作目である。
    毎度毎度、時事問題に鋭く突っ込むこの感覚というのは石田さんの持ち味だよなぁ。
    それ故に、このシリーズは文庫化されるのを待つとやや旬を外してしまうから困りもんだ。

  • IWGPが帰ってきた。前作,大人になってしまったマコトの変り様に落胆したものだが,本作が本当のIWGPだ。若者社会の闇をマコトとタカシが駆け抜ける。荒々しいが胸に沁みる物語。とても良かった。
    あらすじ(背表紙より)
    池袋の雑居ビルで若者が飛びおり自殺を図る。彼は急成長したチェーン店の従業員だった。無能の烙印を押され、退職を強要された末にヤケになった若者。そして、次の犠牲者が―。耳触りのいい言葉で若者を洗脳し、つかい潰すブラック企業の闇に、マコトとタカシが斬りこむ!表題作ほか3篇を収録のIWGPシリーズ第12作。

  • 安心して読める、水戸黄門的な一冊。

    初期のシリーズでは登場人物の特技とかパイプとかが生きて解決するものも多かったと思うんだけど、この巻はタカシだけだったなあ。
    ブラックバイトのダンゴとヤスとマサルくらいか。

    いまのマコトとわたしは同じ年くらい。
    夢みたいな技術や人脈だけじゃなくて、きちんと弁護士とか警察とか、警察みたいなキングタカシとか、大人のやり方も使うようになっているのが共感できる。

  • 久々にシリーズを図書館で借りて読んだ。
    タカシやマコトもスマホでラインとかする時代なんだなあーと時の流れを感じた。でも、やっぱり電話がいいね!
    相変わらずキングが元気そうで何よりです。

  • 目次
    ・西池第二スクールギャラリー
    ・ユーチューバー@芸術劇場
    ・立教通り整形シンジゲート
    ・西一番街ブラックバイト

    ユーチューバーや整形依存症など、相変わらず現代の闇を切りとるのが上手い。
    しかしそれはもう、池袋だけの問題ではなくなっている。
    日本全体が閉塞感に押しつぶされそうになりながらあがいていて、弱者にそのツケを払わせようとしているかのよう。

    今の子どもたちが憧れる職業、ユーチューバー。
    撮影しているか、編集しているか、企画を練っている。
    一日の自分の時間のほぼすべてをそれに捧げて、ようやくユーチューバーとして食べていけるようになったころ、運営から報酬額を一方的に切り下げられる。

    数年前に実際にこれが行われたのだとしたら、最近人気ユーチューバーがテレビに出るようになった理由もわかるというもの。
    一生懸命作ったものが評価されているのに、金銭的に報われないというのなら、ユーチューブの世界もあまり将来性はないのかもしれないなあ。

    そして表題作。
    「ブラックバイト」と言っているけど、これは「ブラック企業」の告発だ。

    ”ひとりの人としてあつかわれない。認められない。口でいうのはカンタンだが、そいつはでたらめに人の心を傷つけることだった。おれたちのまわりには、経済の原理だけで人を切る空気ができていないか。あんたやおれは誰でもいい人間なのだろうか。”

    過重労働、過剰な責任。
    なのに無謀なノルマがクリアできないと人格を否定される。
    「こんなこともできないお前には、この世に居場所なんかどこにもない」と面罵される。

    これは若者にだけ起こることではない。
    だから中高年の引きこもりが増えているのではないだろうか。
    会社にそこまでする権利があるのだろうか。

    労働力なんていくらでも補充できる。
    人口が減りつつある日本で、どうしてそんな傲慢なことができるのかわからない。
    人が人としてきちんと尊重される会社を、どうやって増やしていけるのか。
    それはマコトやタカシの仕事ではなく、今の大人たちが考えなければならないことのはずだ。

  • キングタカシ登場率高し。表題作は、キング誕生の続編としてもイカしてる。格好よすぎ。
    話としてはユーチューバーが面白かった。いまいち時代設定がよくわからないが、マコトもタカシもネット関連にはかなり弱い様子(マコトは大分昔からパソコンを持っているはずなのだが。)。やってることはアホの極み、そんなネタで皆が見るのか不明だし、なんの意味があるのかよくわからないが、カタのつけ方はIWGPらしくて良かった。
    とにかくタカシファンは読む価値あり。あと、マコトはちょっとタカシが好きすぎでは。どうしたのかと思った。

  • 行きがかり上全巻読んでる。マンネリといえばマンネリだけど、それなりに楽しめるレベルを維持しているところは流石。

  • 安定の面白さ。
    メイン登場人物の年齢がだいぶ高くなってきたからか、昔に比べての迫力やスリル感は減ったけれど、その分、人と人の繋がりが強くなったような気がする。

    安心のマンネリだから、結果最良の解決に行き着く事は分かっていても楽しめる。
    これってよくよく考えて見ると1冊になった時の構図が『東京バンドワゴン』と一緒なんだな。
    まあ、IWGPの方が先に書かれ出した作品だけれど。

    久しぶりの文庫化だからか、時事ネタがちょっと古い。
    それでもいまだに続いているネタも多く、IWGPは池袋を日本の縮図にした作品なんだなと思わされる。

    帯はなかなか。
    言葉もマコトが言いそうな言葉だし、赤と黒のコントラストもいいな。

    解説は、初めてのパターン。
    ほぼ作品についての話はしていない上に4章中の最後についてのみなのだけれど、この解説を読むとすごく考えさせられるし勉強になる。
    こういう解説もアリだな。



  • シリーズ12作目。
    今回のテーマはブラックバイト。前作の非正規雇用者に引き続き、若者の労働雇用環境について。
    ブラック企業も今じゃ当たり前のものに。
    政府は労働環境の働き方改善なんて言ってはいるが...
    ますます企業の利益を優先され、雇用環境の劣悪さは酷さを増すばかりだ。
    ここのところ、労働環境ネタが多いな。シリーズ初期のがわりと好みではあるが、好きなシリーズに変わりはないな。

  • この書き方は唯一無二で引き込まれます!

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著者プロフィール

1960年東京生まれ。成蹊大学卒業。代理店勤務、フリーのコピーライターなどを経て97年「池袋ウエストゲートパーク」でオール讀物推理小説新人賞を受賞しデビュー。2003年『4TEEN フォーティーン』で直木賞、06年『眠れぬ真珠』で島清恋愛文学賞、13年 『北斗 ある殺人者の回心』で中央公論文芸賞を受賞。他著書多数。

「2022年 『心心 東京の星、上海の月』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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