- Amazon.co.jp ・本 (274ページ)
- / ISBN・EAN: 9784167910808
感想・レビュー・書評
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時代設定は江戸中期、太平の世というあたりです。
その時代の下級武士達と妻とか妻候補とを絡めた人情味豊かな短編集。短編6編で、どの作品も文章が柔らかで、つつがなく、平和の中の武士達の葛藤を面白く読みました。心情は、現代の会社員にも通じるものがあります。
共通するのは、登場女性達の、強かさ。比べて、男性陣の穏やかさ。
「つまをめとらば」は、高齢にさしかかった男二人が、しばらくの間、同居の形を取り、案外心地良いね、という事になる。結局、同居は解消して、一人は女性のところに行く。最後は女に頼ってみることにする、らしい。追い出されないか心配になるわ。
「乳付」これが一番好きです。この作品だけ女性の立場から書かれていること。出産が今より厳しかった時代の、一族の育児の支え合いの様子が温かい。 -
第154回直木賞受賞作品
でも、自分には合わなかった(笑)
六編からなる短編です。
■ひともうらやむ
■つゆかせぎ
■乳付
■ひと夏
■逢対
■つまをめとらば
どれも男と女が絡んだ物語となっています。
表題の「つまをめとらば」
これ、ちょっと想定と違って面白い。
男同士のほうが楽?
現在の結婚問題にも通じるところがあるのかもと感じました。
一方、登場する女性
これまた力強い
やっぱり、男って駄目ね(笑) -
青山文平さん、初読。
気がつけば、時代小説をわりと読んでいる。
とは言っても、最近のエンタメ時代小説から入門(?)したためか、直木賞受賞作とあったので期待が大きすぎたのか…男性の作家さんが描く「つま」だからなのか、どこかしっくりこなかった。
ふーむ、という感じ。 -
時代小説の人情物、男性作家だったら青山文平さん。
どのお話も心に染み入る、六編中では「ひと夏」が特に良かった。 -
思い当たる心の動きに、わかるわかる、ああそうかもしれない…。
気に病むという言葉があるが、特にそのあたり、深くうなずきながら読んだ。
それぞれ、同窓会でもあればAさんがどうした、Bさんがどうしたと話題に出てきそうなお話。
時代も身分も飛び越えて身近で、筆致には軽やかさと人肌のぬくもりを感じた。
せつなさあり、おかしみあり。
味があった。好きだな。 -
江戸時代の町人や下級武士たちの生活をしみじみと描いた傑作。その時代に生きていた訳はないが、何故かそんな事もあるだろうなあと思わせる現代にも通じる6つの物語。表題作は隠居の身になった2人の共同生活の楽しさ、結婚への価値観など頷くことしきり。縁側に寝転んで読みたい気分になる。
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甘じょっぱい、ほろ苦いのような、
暖かさの中にちょっとスパイシーな酸味が溶けています。
(以下抜粋)
○乳の要るところに乳がなく、乳の要らぬところに乳がある。わたくしたちは乳付けで、その酷さに挑まなければなりません -
太平の世、江戸時代
下級武士たちの恋と友情、生活を描いた短編集
時代は変われど、男女の仲は同じ。
どの話もちょっと捻った終わり方が楽しい
ふわ~っとした読後感
他の作品はどうなんだろうか?これは、女性陣がお強い。
そして、史実すぎないところが、よろしねー。
他の作品はどうなんだろうか?これは、女性陣がお強い。
そして、史実すぎないところが、よろしねー。