ききがたり ときをためる暮らし (文春文庫 つ 24-1)

  • 文藝春秋
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  • Amazon.co.jp ・本 (240ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784167910068

感想・レビュー・書評

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  • 文春文庫のナツヨムの棚で、表紙の写真と帯に惹かれて手に取った1冊。
    ぱらぱらとページをめくると、手仕事を大切にする夫婦の暮らしをおさめた写真が目に入ります。

    ききがたり、ということで、お二人が聞き手の方に語りかける穏やかな口調が伝わってきます。
    土を触り、野菜や果物を育て、家のメンテナンスをして、機織りをして…。
    周囲に流されず、自分たちがよいと思った暮らしを自信をもって送ってこられていることがよくわかります。
    豊かに成熟した"身の丈に合った暮らし"だと思いました。

    お二人の距離感もちょうどよいのです。
    夫婦のあいだに意識的に適度な隙間をとっていて、お互いを個人として尊重している具合がすてきでした。
    夫婦であることのとてもよいお手本を見せていただいた思いで読了。

  • 2人合わせて171歳。懐しの田舎のおばあちゃんの暮らしをイメージしていたけど、全然古くさくなく、むしろ先進的な暮らしなのではと思った。とても憧れる。


    何より自分の感性を信じること。
    やりたくないことは無理にやらないこと。
    夫婦でもお互い寄りかからず、適度な距離感を保つこと。
    上の世代から受けた恩は次の世代に返すこと。
    新しいことも進んで学んで刺激を受けること。
    いつもご機嫌で可愛くいること。
    高価でも本物を選び、大切に使うこと。
    夫を信じて支えること。
    身体は食べたものでできているということ。

  • 愛知県春日井市の高蔵寺ニュータウンに住む建築家の津端修一さん、英子さん夫妻の日常の暮らしを聞き書きした本。2012年9月発行の単行本を文庫化したものなので、取材当時は修一さん86歳、英子さん83歳と推察される。注目される理由は、庭で家庭菜園と果樹を含む雑木林を育てながら、日常生活そのものを楽しむ暮らしを続けていることだ。この4年後にはドキュメンタリー映画「人生フルーツ」にもなった。歳を重ねるごとに人生がフルーツのように熟し美味しくなっていく様子がよく描かれている。野菜や果物はほぼ自給自足に近い。採れたそれらを英子さんが器用に調理し日々のおかずや菓子を作っていく。ともに、90歳で亡くなるまで、自活した。こんな暮らしができたらいいなぁと思う。ただ、真似が出来そうにないのは、ニュータウンとはいえ周囲の家の4倍近い約300坪の敷地があること。名古屋市中心部まで30〜40分のトカイナカで、これだけの土地を所有し自由に活用できる人は、そんなにいないと思う。同じことは出来ないので、津端さんとは違う形で自分らしく応用していきたい。

  • 本当に素敵なご夫婦。お二人共お互いを尊敬し、信用している上で、この生活が成り立っているのだと、改めて感じた。
    読んでいて、耳の痛い話もチラホラ…

    ・人工的に作られたプラスチック製のものは、どんどんみすぼらしくなっていく。
    ・いくら安全といっても、人間の都合ばかりを重視して、自然に逆らう暮らしはいいわけがない。
    ・自分の手で暮らしを見据えたストックをつくること。それが「ときをためる」ということ。
    ・ブルドーザーは、神様が人間に間違って与えた現代最大の凶器。
    ・献立はストックしてあるものから考えて、途中で足りなくなっても、次の買い物まで買い足すことはしない。何かで代用して、食べない。
    ・夫婦がいい関係でいるには、やはり、気づかいは必要。年をとってもね。

    お二人なりの哲学を感じた一冊だった。

  • 引退後のスローライフ

    ご夫婦のお上品さ(奥方は知多の造り酒屋、旦那さんは建築家・大学教授)もあり、ほんわかした感じ。

    戦後10年の頃に結婚、高度成長期には広島大学教授となり、広島・名古屋・東京を往復した忙しい生活から一転、定年後は名古屋の郊外で半農生活へ。


    ●モノにまつわる話
    (ともに奥方の発言部分)

    「物を買うときは次の世代に伝えられる、いいものを買いなさい。安ものは絶対買っちゃいけない」というのが実家の教えでした。


    結婚してからはヨットの支払いやなんかで、お金をほかに回す余裕なんてなくなりましたから、なおさら買うものは好きなもの、いいものを慎重に選ぶようになりましたよ。間に合わせのものではすませず、買えるまで気長に待つ。そう、ときをためる暮らしでね。

  • 「ベニシアの京都里山暮らし」という本で言及されていたつばた英子さん。建築家の夫妻が老後を愛知県の高蔵寺ニュータウンで自給自足のスローライフを送っていたという。

    土づくりから始まって果樹や畑、手作りの食品の数々についてだけでなく、愛知県の造り酒屋に生まれた英子さんが建築家に嫁ぎ、時には着物や宝石を質に入れやりくりしながら芸術家肌の夫を支えるという夫婦の歴史を描いた物語だった。
    一見優雅に見えても果敢に二人は人生の荒波を乗り切って行ったのだった。

  • ゆったり "暮らし" を楽しむのっていなあ
    今とは時代が違うから男尊女卑を感じ無くはないけれど、時代が異なればそれって当たり前なんだと思う。
    私はどんな風に暮らしていきたいんだろうな
    おばあちゃんになれるのかな、

  • 暮らしを楽しむ

    大事にしたい心だなと切に思った。

  • 憧れの暮らし。
    少しでもこんな暮らしに近づければなと思いました。
    お庭のことが一番気に入りましたが、キッチンのこと、旬や四季のことなどがそれぞれ美しい表現で書かれています。
    時短やコスパなんて言葉は出てきません。
    働いていると忘れてしまう"暮らし"をもう一度見つめ直していきたいです。
    だんだん美しくなる人生に向けて。

  • ほんとに素晴らしくすてきな憧れのご夫婦
    こんなふうにときをためる暮らしがしたい

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著者プロフィール

1928-2018年。愛知県半田の200年以上続く造り酒屋で育ち、50年、しゅういち氏と結婚。キッチンガーデナーとして大地に根ざしたていねいな暮らしを実践。夫婦の共著として『ききがたり ときをためる暮らし』(自然食通信社)『なつかしい未来のライフスタイル』『キラリと、おしゃれ』(ミネルヴァ書房)『ひでこさんのたからもの』(主婦と生活社)他がある。2018年6月、しゅういち氏のもとに逝く。前日までふだんの日常を過ごす。享年90歳。

「2016年 『ふたりから ひとり』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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