アンネの童話 (文春文庫 フ 1-5)

  • 文藝春秋
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  • Amazon.co.jp ・本 (224ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784167909918

作品紹介・あらすじ

『アンネの日記』(文春文庫刊)の著者アンネ・フランクがアムステルダムの隠れ家で綴った童話&エッセイ集に、国内外で絶大な人気を誇る酒井駒子の絵がカラーで新しく入りました。『アンネ・フランクの隠れ家からの物語集』というのが本書の原題ですが、極度に制限された生活の中で、書いているときだけがアンネが自由でいられた時間だったのでしょう。どの話にも、胸の奥から噴出するキラリと光るものがあります。一人の少女の、驚くほど豊かな感性……。『ぐりとぐら』で知られる中川李枝子の名訳と、酒井駒子が描く愛らしい絵、また小川洋子の解説とともに、ぜひアンネの童話の世界に足を踏み入れてみてください。可愛い装丁で生まれ変わったこの小さな絵本を、贈りものにもどうぞ。◎目次よりカーチェ 管理人の一家 エファの見た夢 パウラの飛行機旅行 カトリーン花売り娘 守護の天使 恐怖 かしこい小人 小熊のブラ―リーの冒険妖精 リーク ヨーケー キャディー (以上「アンネの童話」の章)おぼえている?――学校生活の思い出 のみ じゃがいも騒動 悪者中学校の最初の日 生物の授業 幾何の時間 下宿人 映画スターの夢日曜日 わたしの初めての記事 悪の巣 幸福 与えよおもしろいのは どの人? どうして? (以上、「アンネのエッセイ」の章)解説 日記帳からあふれ出る言葉たち(小川洋子)

感想・レビュー・書評

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  • アンネが日記とは別に隠れ家で書いていた童話とエッセイを集めた1冊。10代前半の女の子が書いたものとしては驚きの完成度!もちろん「???」という展開やオチのものもあるけれど、プロの作家でもない10代の女の子だもの、むしろその荒削り感が新鮮なものも。

    とくに「エファの見た夢」や「子熊のプラーリーの冒険」が素晴らしい。ぬいぐるみの子熊ブラーリーが外の世界を見たいと思って部屋を抜け出す「子熊のプラーリーの冒険」には酒井駒子さんの可愛らしい挿絵もついていて、外の世界を見たいというブラーリーの気持ちは隠れ家に閉じ込められているアンネ自身の気持ちが反映されているのだろうなと思うと切ない。

    「カトリーン」や「キャディー」の序盤には、理解のない母親との確執が現れている。とくに「キャディー」は、収録されている中では一番の長編で(途中で終わっているのでおそらく書き終わる前に連行されてしまったのかと)アンネ自身の私小説とも言えるかもしれない。骨折して入院というのはフィクションだけど病院から出られないのは隠れ家から出られないことと対応しているのだろうし、サナトリウムで出会う少年との対話は日記でペーターと語り合ったことをそのまま物語の中に落とし込んだろうだろうなと。

    「エファの見た夢」「妖精」「リーク」や、エッセイのほうの「与えよ」など、アンネがこうありたいと思う理想の人間像、良い人間、正しい人間になりたいという彼女の真っ直ぐな気持ちがとてもよく出ていて、なぜか宮沢賢治みたいだなと思った。自分だけの満足ではなく他者に与えること、みんなが少しずつ思いやりを持ちよって全員が幸せになる方法をアンネはいつも模索していたのかも。本当にアンネの言うとおりだなと思うことが沢山ありました。日記を読んだときも思ったけれど、アンネが生きていたら本当に素晴らしい作家になっただろうな。

    ※収録
    <アンネの童話>
    カーチェ/管理人の一家/エファの見た夢/パウラの飛行機旅行/カトリーン/花売り娘/守護の天使/恐怖/かしこい小人/子熊のプラーリーの冒険/妖精/リーク/ヨーケー/キャディー
    <アンネのエッセイ>
    おぼえている?―学校生活の思い出/のみ/じゃがいも騒動/悪者/中学校の最初の日/生物の授業/幾何の時間/下宿人/映画スターの夢/日曜日/わたしの初めての記事/悪の巣/幸福/与えよ/おもしろいのは、どの人?/どうして?
    解説:小川洋子

  • 『アンネの日記』のアンネ・フランクが、日記のほかに書き残していた童話&エッセイ集。
    解説の小川洋子さんに惹かれて読みました。

    少女らしい潔癖さと、それとは対照的に大人っぽい冷静な視点はやはり惜しまれる稀有な才能だったと思います。
    旅に出たり自然を眺めたり、祈ったりする話が多いのは、やはり自身の置かれた環境的なものが影響しているのかと思うと悲しいですね。
    ぜひ、アンネの日記とあわせて読んでほしいです。

  • アンネの日記を読んだ後にどんな物語を書いていたのかが気になり購入しました。

    アンネの日記を読んでからだと、より理解度が増した気がします。

    15歳くらいの子供かと思いきや時折ハッと気付かされる大人のような、そんな狭間をところどころ感じる文章でした。

    外の世界への憧れや想像力が溢れていました。

    挿絵が酒井駒子さんでくまのブラーリーがとっても可愛い!
    訳者はぐりとぐらなどでお馴染みの中川李枝子さん。
    あとがきも読み応えありました。

  • 真上には黒い雲が付き纏う。どうか足音よ近付かないで。少女は女性になり、しかしある時ふと気付くのです、すべては幻想で大人になれない少女だったことに。悲哀と愛と救いを綴りながら、来ることの無かった自由を信じていました。どんな苦しい環境下に置かれようとも、地に草に木に触れ自然を感じれば、私は幸福である。心の豊かさだけは誰にも奪われはしない。空を仰げることが何故こんなにも美しく、幸も不幸も感じられる私達にどうして涙が許されるのでしょう。私とこの子の何が違ったの?何処までも続く広くて青い空を見せたい、瞼を閉じ平和を願いました。

  • 「『アンネの日記』(文春文庫刊)の著者アンネ・フランクがアムステルダムの隠れ家で綴った童話&エッセイ集に、国内外で絶大な人気を誇る酒井駒子の絵がカラーで新しく入りました。『アンネ・フランクの隠れ家からの物語集』というのが本書の原題ですが、極度に制限された生活の中で、書いているときだけがアンネが自由でいられた時間だったのでしょう。どの話にも、胸の奥から噴出するキラリと光るものがあります。」

  • まだ読み始めたばかり。「へー? アンネ・フランクって、童話も書いてるんだー」くらいの興味で、図書館でかりる。
    読み始めてビックリ。「この人、凄くない?」
    エピソードを語る作者としての視点、発想力、どれを取っても何やら感じさせる。アンネフランクを知らなくても、例えば、現代のどこかの誰かが書いたにせよ、読んでて「あ、この作家って面白い!」と思わせる。
      ↓
    2月6日、読了。
    次は、「アンネの日記」に進みます。

  • あとがきの受け売りだけども「自然」に対するアンネの想いを考えながら読むと、本当に切ない。
    実際の出来事や思いではなく物語という形になっている分、より想いが強く感じられた気がしました。

  • アンネフランクの童話集。
    やはり才能あふれる女の子だったんですね。
    エッセイも面白かったです。

  • 酒井駒子めあてで読みはじめたのだけれど、あのアンネフランクが書いたのでなかったとしても、うれしく読める優しくて茶目っ気のあるお話。訳もよくて、少し前の時代の、済ました女の子の言葉という感じがこのましい。

  • 心温まる優しいお話。

    アンネの心の温かさが身に染みる。

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