銀翼のイカロス (文春文庫 い 64-8)

著者 :
  • 文藝春秋
4.31
  • (453)
  • (425)
  • (121)
  • (9)
  • (0)
本棚登録 : 4523
感想 : 264
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・本 (434ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784167909178

作品紹介・あらすじ

半沢直樹が帰ってきた! 今度の敵は政治家だ! 出向先から東京中央銀行本店に復帰した半沢直樹に頭取から大仕事が降ってきた。破綻寸前の航空会社、帝国航空の再建を担当せよというのだ。だが折しも政権が交替。新政権の国土交通大臣は野心にみちた女性閣僚は帝国航空再生タスクフォースを起ち上げ、半沢たちに巨額の債権放棄を要求してきた。 500億円もの借金の棒引きなんてとんでもない! だが相手が大臣ではさすがの半沢も容易に突破口を見いだせない。しかもなぜか銀行上層部も半沢の敵に回る。この一件のウラには何があるのか? かつて半沢と舌戦をくりひろげた「金融庁一の嫌われ者」、オネエ言葉の黒崎駿一の思惑もカラみ、銀行に隠された大きな闇も見え隠れする。 果たして半沢の運命やいかに? 痛快度100%、無敵のエンタメ小説「半沢シリーズ」第4作、待望の文庫化です!

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • 痛快さ。曲がらず、実直に仕事に尽くす。時に煙たがられることもある。それでも、何のための仕事なのか。誰のための仕事なのか。原点に返って、自らに問い、こたえをさがす。

  • R1.10.13 読了。

     半沢直樹は巨大航空会社の担当に。今度の敵は政治家、国交大臣、謎の再建弁護士、さらに銀行内部の旧T派の行員などなど。今回も半沢直樹の奮闘ぶり、同期入行組の友情、心強い上司達と未曾有の問題に立ち向かっていく。
    中野渡頭取、検査部の富岡部長代理がかっこよくて、こんな人たちと一緒に仕事できたらなあって、うらやましく思いました。今回もやはり文句なく面白かった。
     次回作も期待したい。

    ・「波風を立てず、長いものには巻かれろのことわざ通りに振る舞ったに違いない。だが、半沢はそうはしなかった。結論ありきの検討ではなく、白紙から検討を重ね、愚直なほど真っ直ぐに、唯一正しいと信じられる結論を導き出したのだ。」
    ・「たとえ相手が政治家だろうと、関係ない。この際、きっちり片を付けてやる。やられたら、倍返しだ。」
    ・「つまり自然の流れってものがある。因果応報が世の中の理だ。であれば、それに従うのが1番楽なんじゃないですか。欲を捨てれば、真実が見えてくる。たとえばオレみたいにね。悪いものは悪い。いいものはいい。要は、それだけのことなんです。」
    ・「物事の是非は、決断したときに決まるものではない。」
    ・「評価が定まるのは、常に後になってからだ。もしかしたら、間違っているかも知れない。だからこそ、いま自分が正しいと信じる選択をしなければならないと私は思う。決して後悔しないために。」

  • 池井戸潤『銀翼のイカロス』文春文庫。

    半沢直樹シリーズ第4作。貰い物の文庫本。シリーズの前3作は既読である。

    サラリーマンたる者、上司であろうが、政治家であろうが、物怖じせず、己れの信念に従い真っ直ぐに突き進む半沢直樹のような姿に憧れるものだ。とは言うものの現実では、なかなかそうはいかず、己れの信念と現実との大きなギャップに悶々とするのだ。そんなフラストレーションを晴らしてくれるのが、半沢直樹を主人公にしたこのシリーズである。半沢直樹が小説でもテレビドラマでも支持されるのは、こういう所なのだろう。

    東京中央銀行本店に復帰した半沢直樹は、頭取から破綻寸前の帝国航空の再建を任される。新政権の女性国土交通大臣、銀行上層部、帝国航空上層部と一筋縄ではいかない敵と対決する半沢直樹の運命や如何に……

    今回も様々な試練に立ち向かい、痛快で見事な決着を見せてくれた半沢直樹。世の中、こういう男ばかりなら、さぞや良い社会になるだろう。

    本体価格760円
    ★★★★★

  • 銀翼のイカロス 池井戸潤さん

    A.概要
    半沢シリーズの最終章。
    イカロスはギリシア神話の登場人物。
    飛翔能力を過信して自ら命を落とした青年である。
    ------------
    B.登場人物
    この小説には、
    1.銀行員
    2.航空会社
    3.政治家
    4.弁護士
    5.官僚
    の大きく 5種の登場人物がでてくる。
    いずれも共通しているのは、本人を動かしている「動機」(コア)が明確なことである。
    ------------
    C.仕事の裏側/動機、コア
    このコアは、
    ①幼少期をはじめとした自身の原体験
    ②上司をはじめとした外部から影響受けた原体験
    がベースとなっている。

    小説では、この原体験と動機/コアが5種の登場人物ごとに丁寧に描かれている。
    ------------
    D.半沢直樹シリーズから見える仕事術
    1.動機→2.環境認識→3.行動→4.結果○、×。

    主人公の半沢は、このサイクルを確実に回している。
    そして、4.で×ダメならば、次どうする?のリサイクルも回している。

    一方で、自身の能力を過信した場合、2.で誤り、さらに3.で他人任せ、または半端、そして4.でバイアスがかり、なんとかなるだろう、、、のサイクルも存在する。
    タイトルのイカロスのとおり、このタイプが登場することも見逃せない。


    能力を、己を知る。
    知るために、勉強して足らないをわかる。
    そんなことを感じる読書感となった。




  • 半沢直樹シリーズ4作目!
    いや〜今回もアクが強いキャラが暗躍してましたね。 最後は半沢直樹にやられてたけど(^^;; 黒崎も出てておもしろかったです笑  
    「やられたら、倍返しだ」はやはり名ゼリフ!!!!

  • 今度の半沢の敵は、政府です。
    まさに政治と金の話。

    半沢が担当する事になった帝国航空は、政府系の開発投資銀行をメーンバンクとする企業。
    OB企業年金問題等や赤字続きで再建計画通り進まず、政府系に守られている安心感からか、企業自体に危機感がない。
    そんな時、衆院選解散。
    政権交代し与党になった新政党の国交大臣白井により、帝国航空措置の為タスクフォースが発足される。

    今回は中野渡頭取の昔の話がちらりと出てきます。
    半沢も頭取も、自らの地位をかえりみず正しい事を貫く姿勢に毎回すっきりとした読後感です。
    正論だけじゃうまくいかない事も多い世の中で、半沢のように自分が信じて学んできた事を曲げないで生きていきたいなぁと認識させられるシリーズです。
    悪人への論破は読んでいて気持ちいいですね。^ ^

  • 半沢直樹シリーズの4作目?
    これまた会社の方にお借りした一冊。

    出向先から銀行に復帰した半沢は、破綻寸前の巨大航空会社を担当することに。
    そのタイミングで政権が交代し、新政権が政府主導の再建機関を発足させた。
    自主再建可能であるにもかかわらず、500億円もの借金を棒引きしろと無茶な話が持ち込まれる。
    何故こんな話が罷り通るのか?その裏に隠された銀行内部の闇とは!?

    半沢はこの窮地をどうやって切り抜けるのか!?


    サラリーマンにはたまらないですね!この半沢直樹さん!
    きっと誰でも経験したことがあるだろう社内の派閥や確執。正しいことも捻じ曲げられ、隠蔽されていく。

    「従うより、逆らうほうがずっと難しい。」

    という半沢の言葉にある通り、半沢のように立ち向かっていくことは容易ではない。

    なかなか自分たちが出来ないことを代弁してくれるからなのか??
    半沢人気がここまであるのも頷ける。

    あー!スッキリ!!爽快!!

  • やっぱり半沢直樹は最高。タスクフォース。JAL再建を思い出します。
    こちらも面白いが、TVになるとやっぱり面白さは倍増する。脚色強かったけど。

  • ちょっとお勉強チックなビジネス書や堅い本を読むことが多かったので、
    リフレッシュしたくて手に取りました。

    安定の池井戸さん。
    人気の半沢シリーズ第四弾。

    今回のテーマは、JALの再生を元ネタとする企業再生モノ。
    悪役が社外・社内で蠢き、半沢と対決します。
    色々と苦労するのですが、最後は正義が勝っちゃうという
    お決まりのパターンは安心感があります。
    読者もそれが分かっているので、
    いかに読者に「いくら何でも、今回の半沢は厳しそうだ…」と
    思わせるかが著者の見せ所なのですが、
    池井戸さんはこの難しいお題をしっかりこなしてくれます。

    個人的に勉強になったのは、
    今回は政治家も悪役として登場し、
    半沢と対決するのですが、
    政治家の視点をこの小説を通じて、
    疑似体験できたということでしょうか。

    この小説をきっかけに、実際のJALの再生にも興味が出てきました。
    こっちも合わせて読むと、池井戸さんの小説の奥深さが
    多面的に理解できそうな気がします。

    まぁ、そんな小賢しいことを考える必要もなく、
    面白い小説は、面白い、以上(で、よいと思います)。

    ■半沢シリーズ
    ・オレたちバブル入行組
    https://booklog.jp/users/noguri/archives/1/4167728028#comment

    ・オレたち花のバブル組
    https://booklog.jp/users/noguri/archives/1/4167728044#comment

    ・ロスジェネの逆襲
    https://booklog.jp/users/noguri/archives/1/4167904381#comment

    ・半沢直樹 アルルカンと道化師
    https://booklog.jp/users/noguri/archives/1/4065330718#comment

  • 半沢シリーズ4巻、政治家の動向が今注目されている中での本当に正しいことをする大振る舞いが痛快でした。世の中で悪いとされていることを解釈を変えて、「世のため人のため」にを思ってしまう人は小説以外にも存在すると思う。 権力を手に入れた人は手放したくないための行動ってこうゆうふうに見えるのかと考えるとテレビで見る政治家が、、、そうでない政治家を応援しよう

全264件中 1 - 10件を表示

著者プロフィール

1963年岐阜県生まれ。慶應義塾大学卒。98年『果つる底なき』で第44回江戸川乱歩賞を受賞し作家デビュー。2010年『鉄の骨』で第31回吉川英治文学新人賞を、11年『下町ロケット』で第145回直木賞を、’20年に第2回野間出版文化賞を受賞。主な作品に、「半沢直樹」シリーズ(『オレたちバブル入行組』『オレたち花のバブル組』『ロスジェネの逆襲』『銀翼のイカロス』『アルルカンと道化師』)、「下町ロケット」シリーズ(『下町ロケット』『ガウディ計画』『ゴースト』『ヤタガラス』)、『空飛ぶタイヤ』『七つの会議』『陸王』『アキラとあきら』『民王』『民王 シベリアの陰謀』『不祥事』『花咲舞が黙ってない』『ルーズヴェルト・ゲーム』『シャイロックの子供たち』『ノーサイド・ゲーム』『ハヤブサ消防団』などがある。

「2023年 『新装版 BT’63(下)』 で使われていた紹介文から引用しています。」

池井戸潤の作品

この本を読んでいる人は、こんな本も本棚に登録しています。

有効な左矢印 無効な左矢印
宮部みゆき
米澤 穂信
朝井 リョウ
有効な右矢印 無効な右矢印
  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×