荒野 (文春文庫 さ 50-8)

著者 :
  • 文藝春秋
3.93
  • (15)
  • (30)
  • (13)
  • (3)
  • (0)
本棚登録 : 452
感想 : 26
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・本 (538ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784167908454

作品紹介・あらすじ

山野内荒野、14歳。まだ、恋はしてない。……たぶん。鎌倉で小説家の父と暮らす少女・荒野。「好き」ってどういうことか、まだよくわからない。でも、中学入学の日、電車内で見知らぬ少年に窮地を救われたことをきっかけに、彼女に少しずつ変化が起き始める。少女から、大人へ――荒野の4年間を瑞々しく描き出した、たまらなくいとおしい恋愛“以前”小説。全1冊の合本・新装版。カバーイラスト:岸田メル

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • 1人の女の子が大人の女になっていくお話。
    懐かしいく感じる部分もあったり、親の立場として寂しく感じる部分もあり、不思議でリアルなお話でした。

  • 14年ぶりの再読。女の出入りの激しい恋愛小説家を父に持つ山野内荒野の12歳から16歳までの物語。
    以前読んだときにはあまり気にならなかった義母や「ばあや」に目が行く。
    荒野の過剰なまでのピュアさの根源。「女」であること、「女」になることへの拒絶、「変化」がもたらす「喪失」への恐怖。
    義母容子の「普通の女」であり続ける力のもたらす救い。

  • 鎌倉の季節の移り変わりとともに、成長していく少女の物語。

    かつて少女だった大人にも読んでもらいたいけれど、今まさに少女である子にも読んでもらいたい。

    これを読んだら、遥か未来の大人の自分を、荒野のように、少女のあなたがすっと見るのだろうな。

  • 大人に憧れを抱きつつも、まだ子どもでいたいような気持ちは痛いほどよくわかる。制服を着ている間は守られているような無敵な気持ちになれていた。

    荒野は一人称を自分の名前で呼んでいる。実は私もかなり上の年齢まで自分のことを自分の名前呼びしていた。今でも恥ずかしながら、家族や気を許した人の前ではぽろっと一人称が名前になってしまうことがある。それが幼稚だと言うことも理解していて、「私」に切り替えないといけないと分かっていても、一人称を変えてしまったら、自分が一気に大人に近づいてしまいそうで、大人になることへの最後の抵抗のように自分を名前で呼んでいたいのだと思う。

    思春期の少女の繊細な心の動きが美しく、的確に描かれていて、(恋愛パート以外は)まるで自分の物語みたいに感じた。

  • 尊い。

    キャラクターが活き活きと、そしてしっとりしているところや、思春期特有の心の成長を描きつつ、だらしなかったりさっぱりしていたりガッツリしている大人の描写もあってみたり、なにより一つ一つ選びぬかれた言葉がとても心地よかった。

    桜庭さんの本はまだあまり読んでいないけれど、この作者の日本語選びはとても好きになりました。

  • 少女から大人へ…12歳から16歳、最も多感なお年頃。荒野の4年間を瑞々しく描き出した
    この上なくいとおしい、恋愛“以前”小説。はい全くその通り、この上なくいとおしい!
    ピュアでかわいくて…荒野を見ているだけで(桜庭さんの書いた通りに読んでいるだけで)
    涙が浮かぶのはなぜだろう。桜庭さんの描く少女達は生々しいまでの魅力に溢れています。
    傷付きやすくて儚く繊細、青臭い色気、少女ならではの透明感、汚れる前の白さ柔らかさ…
    色んなタイプの子それぞれ本当に魅力的。桜庭さんの中にも“女の子”がいるんだろうな
    だからこんなに私の中の“女の子”が刺激されるんだろう。新装版合本、買って良かった!

  • 知らなかった人たちの青春についての本

  • 良かったーーーー!青春の甘酸っぱさを追体験できて、非常に良かった。読みやすいし面白かった。桜庭一樹さんの本、思い出補正も込みで、大好き!❤︎

  • とにかく自分には合わなかった。
    なんとか読んだけど、長い割に特に心に響くものはなかった。
    本作では思春期の女の子の心の揺れや成長が主に書かれているが、主人公にリアリティーを感じなかった。わざとらしいというか、あざといというか…恋愛シミュレーションゲームに出てくるような作られた理想の女の子という気がした。
    主人公だけではなく、この作品には一人も好きだなと思う魅力的な登場人物がいなかった。
    特に描かれている大人には気持ち悪く感じた。出てくる大人がお前もかってくらいみんな恋愛脳でフワフワ地に足がついていない。いや、いくつになっても恋愛はしたらいいと思うが自分の中の倫理観とかけは離れている恋愛至上主義っぷりや自己中心的な振る舞いにはただただ引いた。
    また、ストーリーも出てくるワード(ずっこけた、アベック、女の子のに向かって口笛を吹く男、ちぇっなど)も古くさくて読んでいて引っかかる点が多く読み進めるのが苦痛だった。

  • きゅんオブきゅん、ザ青春、甘酸っぱいとはこのこと。眩しすぎたし、口元がずっと緩みっぱなし。

全26件中 1 - 10件を表示

著者プロフィール

1971年島根県生まれ。99年、ファミ通エンタテインメント大賞小説部門佳作を受賞しデビュー。2007年『赤朽葉家の伝説』で日本推理作家協会賞、08年『私の男』で直木賞を受賞。著書『少女を埋める』他多数

「2023年 『彼女が言わなかったすべてのこと』 で使われていた紹介文から引用しています。」

桜庭一樹の作品

この本を読んでいる人は、こんな本も本棚に登録しています。

有効な左矢印 無効な左矢印
米澤 穂信
恩田 陸
辻村 深月
有効な右矢印 無効な右矢印
  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×