名画と読むイエス・キリストの物語 (文春文庫 な 58-5)

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  • 文藝春秋
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  • Amazon.co.jp ・本 (242ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784167907563

感想・レビュー・書評

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  • かなりわかりやすいです。
    イエス・キリストとは何をした人(?)だったのか?

    ミッション系出身なので、あーそういえばそうだったという感じ。
    名画と一緒にだと楽しめるのだと知った。

  • 切なくて孤独なキリストのお話だった。
    何度も奇跡を起こしたにも関わらず、誰にも信じてもらえず。神の言葉も、理解してもらえず。
    周りにいる弟子たちも例外なく、彼が復活するまで信じられなかった。
    それだけ「信仰」とは難しい。
    人間の世界は、何も変わっていない。

  • 西洋絵画を楽しむために、新約聖書のイエス・キリストの生涯を名画とともにめぐる本。

    当時の世相の解説の中にイエス・キリストの生き様がドラマティックに語られている。
    中野さんによっていくつもの名シーンがさらに印象的なものになっており、『あ、聞いたことのあるシーンはそういうことからだったのか』と理解することができた。
    クリスチャンでもなく、聖書を読んだこともない私としては、さまざまな登場人物がこんなにも人間くさい思いを抱いて苦悩し、悲しみ、また希望を持ち、生きていたのか、と驚きの連続だった。

    キリストを弾劾した者たちや使徒の思惑や心理は、今現在の人の思考と何ら変わっておらず…普遍的なものであろうことがわかる。

    表紙のベラスケス描くキリストの磔刑図は、悲しさがそこかしこに存在しているものの、ただただ美しい。

  • 西洋絵画の背景にごく当たり前に控えるキリスト教。この世界宗教は、日本人にはわかりづらいところがある。そこで、絵画の背景を読み解いてきた著者が、日本人の西洋絵画理解の難敵キリスト教、特にその神の子とされるイエスを解説する。

    とまぁ、そんな一冊でした。
    中野京子さんの著作は今回が初めてです。
    平易にイエスの一生を辿っていてわかりやすい内容でした。

    読みながら遠藤周作みたいだなぁと思っていたら巻末に主要文献としてまっさきに挙げられていたのが遠藤周作「イエスの生涯」で、ですよねー、と納得。
    ただ個人的には遠藤周作の「イエスの生涯」には思い入れがあるのでちょっと複雑。

    「イエスの生涯」って、日本人であると同時に基督者である遠藤周作が、彼の信仰と、そして信じながらも信じきれないという、その葛藤のなかで決死の思いで辿りついた彼の「祈り」の吐露だと思うのですよ。なので、あとがきで開口一番「わたしはクリスチャンではありません」とあっさり断言できるかたが、あれをまるで史実のように、聖書の一般的な解釈のように読んで、そしてまたまるで事実かのように、種明かしかのように語って聞かせていることにものすごい違和感を覚えました。

    もちろん挙げられている文献は「イエスの生涯」だけではなく、総合的に読んだうえでその着地点だったのだとは思いますが…(「ふしぎなキリスト教」も挙がっていて、こちらも「ですよね、わかる」となりました)。

    全体としてはとても楽しい読書でした。
    もう少し絵画の具体的な見どころ説明が入っていたらよかったな~と思いながらも、今回は絵画の解説ではなく、絵画の背景に流れるキリスト教の世界観の解説ということなので、絵画の解説は著者の別の著作に期待します。

    (巻末の末盛氏の解説、もうちょっとこう…もうちょっとこう! とむずむずしました)

  • 読みやすくわかりやすい本だった。1点1点の絵の解説というより、イエス・キリストの物語の挿絵に名画が使われているという感じで読み進めやすかった。
    取り上げられているエピソードは知っていることが多かったが、それを画家はどう描いたか、その背景としてそれを描かれたころには、一般的にどのようにとらえられていたのか、どのように解釈されていたのか、そういった面も伺うことができたのも面白かった。
    加えて、地図が載っていたのも興味深かった。実在の場所で実際にあったこととして、イエスの生涯が伝えられているということが実感できた。
    それと同じ場面を、別の画家が描くと描き方も変わるというのも面白い。たとえば「最後の晩餐」もレオナルド・ダ・ヴィンチとドメニコ・ギルランダイオで配置や描き方が違う。こういう比較をもっと観たい。

  • 2016/12/04
    ダンブラウンの天使と悪魔を読み終えて、キリスト教のことがものすごく知りたくなって、聖書を読もうかと思って手にとってみたら、難しすぎて買うのを断念!そして代わりに選んだのがこの本。キリストの生い立ちが名画とともに分かりやすく物語のように紡がれていて、1日で読めた。キリスト教をどうこうという前に、キリストの生い立ちは物語としておもしろい。って書いちゃうと語弊があるか…でも、これを読んで日本がいかに恵まれている環境にあるか思い知らされた。過酷な状況下に置かれた人々にとって、慈愛に満ちたキリストの教えは唯一の救いだったのだろう。もちろんいろんな解釈があるだろうから、これからも宗教関連の本や映画を読んで理解を深めたい。

  • 元々宗教には興味があったんだけど、絵を見るようになって宗教画について知りたくなった。これはイエスが誰と何しているところ、という解説を読んでもピンとこないので、ざっくり聖書を勉強しようと思い、あれこれ手を出しては挫折し、たどりついたのがこれ。
    何しろ絵を見るためのイエスの物語なので、私のニーズにどんぴしゃだったし、中野先生のムダのない語り口がとても気持ちいい。
    先生自身が書いておられるように絵を理解するための手助けなので、批判はあるかもしれないけど、入口としてはとてもいい本だと思う。

  • 時代背景や時系列が分かりやすかったです。
    十二使徒が普通の人間すぎて、最後の最後までキリストが一人ぼっちというのが。。なんか悲しいです。
    知ってるようで知らない。
    知らないことを知る。
    すごく読んでて楽しくも、面白くも、悲しくもある良い本でした。
    再読します。

  • キリストの生涯を絵画を通じて解説してあってよかった

  • 絵画に興味が湧いた時、家にあった一冊。
    絵画に関する知識が得られるかと思いきや、キリストの生涯をまとめた本だった。

    この本は素晴らしく研究されていて、絵画だけでなく、地理的なこと、気候的なことまで解説されている。
    この著者も指摘しているところだが、新約聖書では各福音書で物語が断片的に記述されており、イエスの一生として考えると矛盾していることも含め非常に複雑である。それがこのように、すっきりと、しかもカラーの名画とともに楽しく学べるというのは素晴らしい。

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著者プロフィール

早稲田大学、明治大学、洗足学園大学で非常勤講師。専攻は19世紀ドイツ文学、オペラ、バロック美術。日本ペンクラブ会員。著書に『情熱の女流「昆虫画家」——メーリアン』(講談社)、『恋に死す』(清流出版社)、『かくも罪深きオペラ』『紙幣は語る』(洋泉社)、『オペラで楽しむ名作文学』(さえら書房)など。訳書に『巨匠のデッサンシリーズ——ゴヤ』(岩崎美術社)、『訴えてやる!——ドイツ隣人間訴訟戦争』(未来社)など。

「2003年 『オペラの18世紀』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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