新装版 無名仮名人名簿 (文春文庫) (文春文庫 む 1-27)

著者 :
  • 文藝春秋
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  • Amazon.co.jp ・本 (320ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784167905156

作品紹介・あらすじ

転校した鹿児島の小学校で貧しい同級生から丼いっぱいの壺漬をご馳走してもらった思い出。「女がひとりで小料理屋に入り、カウンターに座ってお銚子を頼むのは、ひとりで海外旅行に出掛けるぐらいの度胸がいる」が、働く女の甲斐性だからとカウンターに座ったある夜の出会い。「女はね、女に靴を磨かせるようになっちゃおしまいだよ」と呟いた銀座の靴磨きのおばさんの、ふと目にした休日の光景。乗物や劇場の席とりが不得手な筆者に、「待ってたら、席なんかひとつもないのよ。あんた、女の幸せ、とり逃すよ」と檄を飛ばした女友達……なにげない日常や仕事先で出会った人々や出来事を鋭くも温かい観察眼とユーモアで綴る。大いにうなずき、笑いながら涙が出てくる不朽の名エッセイ集。解説/篠崎絵里子

感想・レビュー・書評

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  • 向田邦子エッセイ集。
    昔の言葉遣いをさりげなく盛り込んであります。時代の匂い、人間臭さや、息遣いを感じられます。日本語とは素晴らしいものであると感じさせられます。
    付箋をつけながら、何回も読み返し、生き方、考えかたに感心させられます。

  • エッセイって、その時代の香りがするなあと思う。月並みな感想だけど(笑)

    決して特別な内容ではないのだけれど、どこかヌケていて気安い感じがした。
    また、家族の話にも触れることが出来て、私としては新たな発見があり、良かった。

    「民主主義の辛いところは、多数決ということである。
    このままでゆくと、日本はいずれ横書きの国になる。
    週刊誌も新聞も、区役所の戸籍謄本もみな横になる。縦書きは、神主さんの読む祝詞ぐらいになってしまう。」

    「戦前の日本人は、今みたいに笑わなかった。
    特に男は、先生や父親は笑わなかった。
    昔の武士は「男は年に片頬」。一年に片頬でフンと笑えば沢山だといったそうだが、それほどではないにしろ、大の男が、理由もないのに笑えるかというところがあった。」

    向田邦子の目は、鋭い。

  • 温かくて人間味溢れる文章がとても好き

  • 小説の文庫本は、シナリオをもとに他の作家が小説化したものが多いが、この本に収録されているエッセイは、手を加えられていない向田邦子の文章ゆえ、人柄、豪快な性格にして繊細な観察眼がしのばれる。

  • 読み途中だけどめっちゃ面白いよ。1章ごとに泣きたくなる。

  • ユーモラスでくすっと笑える。
    毎編、終わり方が気が利いている。

  • 悲しみや苦しみはその時耐えきれないほど傷ついたり忘れたくなるほど忌みはばかる。そんな辛い記憶も時を経て振り返ると、おかしみを感じてしまうのはなぜだろう。人間の喜怒哀楽は全て滑稽であり愛おしく、快活な筆者の言葉が私たちの生活に人情という調味料を注いでくれる。時に度が過ぎても美味になってしまう件を肴にまずは一献。

  • 穏やかで身近で、それでいて背筋の伸びる本。

  • 向田さんの出会った人のことが書かれているエッセイ集。
    面白かったのは「転向」というタイトルのお話。
    凝り性の友人がいて、一つのものに凝りだすとそれ以外は絶対に認めず周りにも強要する。でも何かの折にその欠点を認めるとあっさりとまた次のものに転向して凝り出す。あ〜こんな人、私の周りにもいるなと可笑しくなった。まあ人間、少なからず誰しもこう言った所は持ち合わせているでしょうが。
    時代を感じるのは「お取替え」という話な中で、35歳くらいの女性を中年と表現していること。
    今なら35歳なんてまだ若いお姉さんに近いが、この当時だと中年だったんだなあと驚いた。

  • 日常や仕事で出会った何気ない出来事を綴りながら、ウィットに富んだ見解と毒気があり笑いもあるエッセイの数々。時を経ても古びない名エッセイ集。

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著者プロフィール

向田邦子(むこうだ・くにこ)
1929年、東京生まれ。脚本家、エッセイスト、小説家。実践女子専門学校国語科卒業後、記者を経て脚本の世界へ。代表作に「七人の孫」「寺内貫太郎一家」「阿修羅のごとく」。1980年、「花の名前」などで第83回直木賞受賞。おもな著書に『父の詫び状』『思い出トランプ』『あ・うん』。1981年、飛行機事故で急逝。

「2021年 『向田邦子シナリオ集 昭和の人間ドラマ』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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