代官山コールドケース (文春文庫 さ 43-7)

著者 :
  • 文藝春秋
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  • Amazon.co.jp ・本 (509ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784167905057

作品紹介・あらすじ

ドラマ化決定! 巨匠の警察小説大作!神奈川県警より先に、しかも隠密に17年前の代官山で起きた女性殺しを解決せよ。警察小説の巨匠の『地層捜査』シリーズ第二弾。

感想・レビュー・書評

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  • 佐々木譲は好きな作家の一人だ。
    とくに警察小説が大好きで、佐々木譲が書いた・・・というだけで内容を知らないまま購入してしまうこともある。
    奇をてらった設定や派手な展開があるわけではない。
    けれど、臨場感に満ちている展開や人物描写はいつも読みごたえがあって楽しい。

    水戸部と朝香が再調査のために声に出して過去の捜査報告書を読む場面。
    はっきりと言葉として出すことで、より事件の悲惨さや矛盾点が浮かびあがってくる。
    情報共有のための方法ではあっても、当時の状況がわかりやすく伝わってきた。
    犯人と目され自殺したと思われていた風見。
    もしも神奈川県警が当時の現場に残されていた遺留DNAとの一致を発見していなければ、再捜査がされることはなかった。
    現実の事件でもあり得るかもしれないと思わせる展開は、うそ寒さを感じさせる。
    警視庁の面目が傷つけられる可能性がなければ、誰も振り返りもしない終わった事件のままだっただろう。
    事件が起きれば犯人を捜し、逮捕し、法的機関へと身柄を引き渡す。
    それが警察の役割だ。
    けれど、そこには思い込みや勘違い。
    もしかしたら意図的な間違いだって起こるかもしれない。
    警察と事件絡みで関わりを持てば、その人の人生が大きく変わってしまうことだって実際にはあるだろう。
    警察側からしたらほんの小さなミスでも、誰かの一生を左右するような影響を与えることだってある。
    時間的な制約もある。
    物的証拠も17年も経ってしまえば新たな発見はない。
    追い詰められた中で水戸部と朝香はひとつずつ当時の報告書に基づいた捜査を開始する。
    刑事としての心情。
    女性としての性犯罪者への怒り。
    警察官もまたひとりの人間なのだと思えるところもいい。
    地道な捜査から徐々に事件のすべてが浮かび上がってくる過程もいい。
    長編だけれど長さを感じさせない、読みごたえのある物語だった。

  • 安定の佐々木譲。
    ほぼ一気読みの勢いで読破。

    シリーズ第2段。
    懸念だった前作の決着にもちゃんと触れられていて安堵。
    主要登場人物のキャラ立ちも十分に色づいてきて、シリーズモノとして軌道に乗り始める予感あり。次作にも期待

  • 水戸部裕、中島翔太、時田悟の三者の視点から事件の核心に迫っていきます。
    代官山と日暮里、川崎の事件が1つの線で繋がっていくのはとても面白かった。
    ドラマでも観ましたが、設定が随分違いました。
    どちらも面白い。

  • 『地層捜査』に続く地誌小説ともいえる、特命捜査対策室の水戸部警部補が主人公の第2弾。
    第1弾の新宿荒木町に続き、またも水戸部は事件現場の代官山界隈を歩きに歩きまくる。
    読み手もつい、東京都区分地図を片手に、水戸部の後を追ってしまう。
    今回課せられた捜査は、新たに川崎で起きた事件との関連が疑われる17年前の女店員殺害事件。一方、西日暮里で起きた別の殺害事件を捜査する刑事は、17年前の事件に関わっていた時田警部補。
    それぞれの捜査が交互に綴られて、やがて収斂する。
    『地層…』が単線型に対し、こちらは複線型ともいえる構成になっており、読者にとっては、よりスリリングに楽しめる作品ではないだろうか。

  • 圧倒的に不利な状況でも、一人ひとり自分のできる範囲でベストを尽くした結果、一気に事件の様相が変わり収束するさまが心地よい作品です

  • 佐々木譲さんの小説はスピード感がすごい
    この小説も3日くらいで事件を解決
    面白くって、平日に読むと必ず寝不足になる
    そして、今回も寝不足のまま出社2日

  • 時効が撤廃された殺人事件、文字通りのコールドケースを追う刑事を描いた作品。

    とはいえ、この作品で扱われている事件は、素直なコールドケースでは無かったですね。警視庁と神奈川県警のライバル意識は、一般に知られるほどに有名な話ですが、この作品の背景には、過去警視庁が解決したとして扱った事件には、実は真犯人が居ることが見えてきて、そのうえ、事件を当初操作したのは今の警視庁幹部であるので大っぴらに再捜査できないという、必要以上に複雑なw背景になっています。

    とはいえ、そこら辺の状況は置いておいて、過去と現在が実は密接に絡み合ってくることが浮かび上がってきて、事件は解決へと進むのですが、中々面白かったです。

    このシリーズ、これで終わりなのかなぁ。続きが読みたい。

  • 昨年末、約15年振り?に代官山に行ったところなので、なんとなく親近感を持ちつつ読めた。地名がたくさん出てくるけれど、位置関係などすぐに思い浮かべられるほど代官山に詳しくないので、前作の文庫版と同様、地図を入れてくれたら良かったのに、と思った。

  • 2016/4/20 500ぺージも苦もなく読めた。佐々木譲さんの刑事ものは好きです。★4の上

  • 著者の”ユニット”が非常に良かったのでこれも読んでみた。本書も一歩一歩謎が解かれていくに巻き込まれます。代官山のことを想像しながら読みました。表紙のデザインもすごくおしゃれ。

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著者プロフィール

1950年北海道生まれ。79年「鉄騎兵、跳んだ」でオール讀物新人賞を受賞しデビュー。90年『エトロフ発緊急電』で山本周五郎賞、日本推理作家協会賞を、2002年『武揚伝』で新田次郎文学賞、10年『廃墟に乞う』で直木賞、16年に日本ミステリー文学大賞を受賞。他に『抵抗都市』『帝国の弔砲』など著書多数。

「2022年 『闇の聖域』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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