知の教室 教養は最強の武器である (文春文庫 さ 52-5)

著者 :
  • 文藝春秋
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  • Amazon.co.jp ・本 (479ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784167904272

作品紹介・あらすじ

混迷の時代を生きる全ての人々へ歴史に学べ。情報を吟味せよ。幅広い知見と深い思索から編み出された万人に贈るサバイバルの知恵。外交官時代の秀逸な論文も収録。

感想・レビュー・書評

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  • 知とは方法だ。良くも悪くも、知は人を動かし、世界を動かす
    知―教養は、最強の武器だ。インテリジェンスの最前線にいた著書が、世界を伍していくための、知の方法論を展開してくれる。
    血のにおいがする情報、ぎりぎりの知的な戦いを行うための武器を手にするためのガイダンスです

    すぐに役に立つような情報は、寿命が短い 何の役にも立たないように見える教養こそが、中長期的な視点からは、役に立つ
    量をこなすには、時間を有効に使わなければならないし、ものすごく集中しなければならない
    記憶の定着率を上げるには物事を連関させて憶えるのが効果的です
    話の要点に際して1つ2つと折って数えておく。すると、聴取のあとでもテーマの数が思い出され、そこからシーンをよみがえらせることができる
    脳はエネルギー源としてブドウ糖しか利用できません。

    本はとにかく汚して読め
    ・まず、最初に大事なことは、読まなくてもいい本をはじき出すことです
    ・熟読すべき本を読むときに用意するのは、シャーペン、消しゴム、ノートの3種の神器、熟読の方法は、3回読むことです

    ノートは1冊にまとめよ すべてを1冊に集約することが大事です。読んだ本の抜き書き、スケジュール、日誌、語学の練習問題と解答などなど。とにかく、記録、仕事、学習に関することすべてを1冊のノートに記すのです

    情報:インフォメーションには、誤情報:ミスインフォメーション と ニセ情報:ディスインフォメーションが含まれている
    インテリジェンスにおいて、真理は細部に潜んでいる

    上に行きたかったら、新聞をよめ
    やはり、数学的思考力がある人は最終的に強い
    知ったかぶりをしないこと、素直にそれって、どういうことですかと聞いてみることです、そして後できっちり調べることです
    本は、紙版がいい。それは、折目をつけたり、書き込みをしたり、汚く、読めるのから。
    本は、最後までページをめくってみるのがいい。そうしておくと、以外に記憶にのこるので

    教養人として、ここまで得られればいいという見切りをもっておくことも必要
    これからの、日本人は外にでていくしかない。そのとき、情報や思考力を持っていなかったらどうしようもない。そこで振り落とされないための武器が、新聞を読むことであり、数学や歴史を勉強することなんです。
    インテリジェンズの世界で信頼関係をつくるための3つの方法。①一緒に女遊びをする、②一緒に糞をする、③一緒にメシを食う
    失敗しても、裏切られても、淡々と敵とつきあうことがインテリジェンス屋に求められる国際スタンダードです。
    情報を集めるのがインテリジェンスの本分ではなく、敵と取引することが本来の仕事といえる

    性悪説にもとづいて、相手を利用することだけを徹底的に考えている。だからこそ、ぎりぎりの信頼関係が生まれるわけです。
    話す力とつけるためには、逆説的ですが、読む力をつけることだ
    結局、筋を通した選択をした方が、死ぬときに満足できるのではないかと思ってからです
    リーダシップの要諦は2つ 1つは天分、もう一つは、現実主義である
    もっとも、リーダの資質が問われるのは危機や有事の際です

    危機を切り抜けるための英知は、やはり、歴史に求めざるをえない ⇒ 歴史を学べ
    知見を広げ、感覚を磨く機会は、なにも読者だけではない、賢い人に会って刺激をうけてもいいわけです
    新しい教養って、なんだろうと考えると、疑いをもって、簡単に納得したりだまられたりしないための体力なんじゃないかという気がします
    永田町の用語で、お人よしとは、間抜けということだ。
    知は総力戦、知は生きる手段である

    かって仲間を告発したものが、その後ものすごい惨めな生活をするのを見てますから
    法と掟の違い、仲間を裏切らないのが掟
    政治的指導者を評価する際に重要なことは、その指導者の施策が次世代以降に継承されたかどうかというのが基準です。
    ローマ帝国の自由と寛容、蛮族でさえも、兵役の義務を果たせば、ローマ市民として取り入れる懐の深さがあったんですね。こうした帝国は珍しいですよ
    この黒猫は黒い、あの白犬は白いというのが分析だ。これに対して、この黒猫は賢い、あの白猫は愚かだ というのは、主語からは導かれない判断だ。これを総合という

    事実、中国はまぎれもない帝国主義国家だと思います。宣伝戦や反日デモなどの経済的圧力などを駆使して、近隣国家の権益を収奪するというソフトな新帝国主義を実践しているだけです。

    知の教室 教養は最強の武器である
    文春文庫 さ-52-5

    目次

    まえがき
    【第1講座】佐藤優の知的技術のヒント
    【第2講座】情報を拾う、情報を使う
    【第3講座】知をビジネスに取り込む
    【第4講座】知の幹を作る最低限の読書
    【第5講座】武器としての教養を蓄える
    【第6講座】佐藤優式・闘い方を学ぶ
    【第7講座】対話のテクニックを磨く
    【第8講座】分析力を鍛える――国際情勢篇
    【第9講座】分析力ケーススタディ――ロシア読解篇
    【第10講座】佐藤優の実戦ライブゼミ
    佐藤優「知の年表」
    あとがき
    登場者紹介
    初出一覧

    著:佐藤 優

    ISBN:9784167904272
    出版社:文藝春秋
    判型:文庫
    ページ数:480ページ
    定価:850円(本体)
    発売日:2015年08月10日第1刷
    発売日:2015年08月30日第2刷

  • 2015/8/4 メトロ書店御影クラッセ店にて購入。
    2018/4/1〜4/8

    佐藤優氏の作家10周年記念出版。
    全10講座からなるが、ベースにあるのは、「教養」。大学から教養教育が消え、実学志向が強まっているが、そのことが日本人を劣化させているような気がして仕方ない。成果主義が強まって、どこもかしこも、成果、成果であるが、短絡的なことだけでは、長期的なヴィジョンを持てないだろう。昔の教養に戻る必要は無いと思うが、新しい時代の教養教育が必要だと思う。

  • 「何の役にも立たないように見える教養こそが、中長期的視点からは役に立つのだ」という観点から書かれた「がっついたビジネスパーソンや学生を念頭に置いた実践書」というのが、本書の立ち位置

    内容は大きく「知的技術、情報、ビジネス、読書、教養、闘う、対話、分析」の8項目について、対談を中心にまとめられている
    対談なので、話の流れでこの8項目以外の話題にも触れたりしているため、印象として少しぼんやりとした感じにはなっているが、そういう主題以外の部分も含めおもしろかった

  • 外交官を辞めて専業作家となった著者が、これまでに発表してきた論文、エッセイ、対談、座談会などを集めた本です。

    10の「講座」と銘打たれた章で構成されており、著者の知的関心のひろがりをうかがうことのできる内容になっています。塩野七生の『ローマ人の物語』の完結を受けておこなわれた、著者と塩野、そしてイスラム思想の専門家である池内恵の鼎談は、興味深く読みました。塩野自身がみずからの著作における「史観」を語っているところも興味深かったのですが、キリスト教とローマとの関係について著者が塩野とは異なる立場に立ちながらも、キリスト教のうちから一神教的価値観を乗り越える動きが現われていることに触れて、現代の国際政治の課題にまで説きおよんでいるところは、いかにも著者らしい歴史の「使い方」が示されているように感じました。

    ほかにも、ホリエモンとの対談で検察との戦いかたについて語っているところや、マンガ家の伊藤潤二との対談でマンガという表現の可能性について考察を展開しているところなど、興味を惹かれる内容が含まれていて、おおむねおもしろく読むことができました。。

  • ロシアに関する話など面白かった。

  • 対話のテクニック、闘い方、武器としての教養。様々な切り口で、その分野に適したオススメ本も紹介しながらゲストとの対話を盛り上げる。そういえば、ホリエモンと佐藤優が対談しているのは、本著で初めて見た。そうした観点でも楽しめた一冊。ただ、ちょっと残念というか仕方ない事ながら、全てのテーマが外交官時代の経験に導かれ、ロシアトークに終始する事である。佐藤優はいつもこれなので、最近少しだけ食傷気味な感はある。

  • "個人のファンダメンタルズ、基礎をどのように構築すべきか、いわゆる教養をどのように身に着けるかの論考。
    常に知性を磨き続ける努力を習慣づけることに尽きる。"

  • 18/7/3読了。

    難しかった、、、

  • 「知識0からの佐藤優入門」といった趣き。対談や寸評等をごった煮的に詰め込んだ内容で、どれから手にとっていいのか分かりかねていた私のような者には、まさに僥倖であった。ロシアの政治事情や聖書の活用法等、気になる部分に付箋を貼って読んでみたら、けっこうな数になった。折に触れてちょいちょい読み返すことだろう……

  • 深い洞察。

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著者プロフィール

1960年1月18日、東京都生まれ。1985年同志社大学大学院神学研究科修了 (神学修士)。1985年に外務省入省。英国、ロシアなどに勤務。2002年5月に鈴木宗男事件に連座し、2009年6月に執行猶予付き有罪確定。2013年6月に執行猶予期間を満了し、刑の言い渡しが効力を失った。『国家の罠―外務省のラスプーチンと呼ばれて―』(新潮社)、『自壊する帝国』(新潮社)、『交渉術』(文藝春秋)などの作品がある。

「2023年 『三人の女 二〇世紀の春 』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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