死のドレスを花婿に (文春文庫 ル 6-2)

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  • Amazon.co.jp ・本 (388ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784167903565

作品紹介・あらすじ

『その女アレックス』の原点となる恐怖のイヤミス狂気に駆られて逃亡するソフィー。聡明だった彼女はなぜ全てを失ったのか。悪夢の果てに明らかになる戦慄の悪意とは。驚愕の傑作。

感想・レビュー・書評

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  • 紹介文に『その女アレックス』の原点とあるがまさしくその通りでありました

    話のシステムが『その女アレックス』の原形ですよね
    章が変わるごとに衝撃の真実が明らかとなり見えてる世界をガラっと変えられる
    大掛かりな仕掛け
    そして最後に明かされるタイトルの意味

    そしてこの作品の肝は犯人が持つ徹底的に理不尽な動機ですよね
    もう終始一貫して気持ち悪くて赦せない
    だけど最後に罰せられても特に爽快な感じにもさせられない
    これで良かったんかな〜?って気にさせるあたりも『その女アレックス』に通じるところでした

  • 悪夢に苦しめされて眠れず、何でもすぐに忘れてしまう。思いもよらぬミスをする。幸せなキャリアウーマンだったソフィーは記憶にない奇行を繰りかえし、おぞましい汚名を着せられて逃亡する。
    転落して行く女性の軌跡を追うサスペンス小説。


    一章は最近気鬱や物忘れ、放心状態などの症状に悩まされているソフィーという女性の姿を描いており、ある日目が覚めると、ソフィーがベビーシッターをしている家庭の子どもが首を絞められて死んでいる。記憶がないうちに自分がやってしまったのかと逃亡するのですが、その先々でも次々と死体が転がる事に。ソフィーは狂気と不安に苛まれながらも身分を偽って生きるためある事を計画します。

    そこから2章となるのですが、そこでまたがらりとストーリーを取り巻く風景が変わり、おぞましいたくらみが明らかになっていく……。
    常人の理解の範疇を超えた動機と偏執的な行為に、気分の悪さを覚える事請け合いです。全編通してぞわぞわとした不快感がありました。

    裏表紙のストーリー説明で『その女アレックス』の原点、と紹介されていましたが確かに似た所があるように感じます。
    読み進めるにつれ、被害者と加害者が目まぐるしく入れ替わっていくような構成が最たる部分で、どうにもすっきりしないラストなども。

    狂気と正気の境を考えさせられます。
    イヤミスなど好きだったらおすすめです。

  • 『そのおんなアレックス』の原点と言われるだけあって、全体的なイメージはよく似ている。
    主人公のソフィーのイメージが、最初、ぼんやりとしていて掴めなかったと思っているうちにどんどん変容していく感じが。
    構成も面白い。
    『その女アレックス』を読み返したくなった。

  • ソフィーの目の前に転がる男児の無残な死体。ああ、私はついに人を殺してしまった…
    ベストセラー『その女アレックス』の原点。

    自身の狂気に怯えて涙を流すソフィーの導入部分からずっと目が離せません。フランス発の極上のイヤミスは必見!

  • 期待どおり!ホラー映画を観ているようだった。おすすめします。

  • 「その女アレックス」と比較したが故の☆3つであり、本作も読み応え十分。

    ソフィーとフランツの心理戦は読んでいてしんどくなる程に。

    ストーカーってこんな風に相手(被害者)の肉体、精神、人間関係等を破壊出来るって事に恐怖を覚える。

    説明
    内容紹介
    『その女アレックス』の原点となる恐怖のイヤミス

    狂気に駆られて逃亡するソフィー。聡明だった彼女はなぜ全てを失ったのか。悪夢の果てに明らかになる戦慄の悪意とは。驚愕の傑作。
    内容(「BOOK」データベースより)
    『その女アレックス』の原点となる恐怖のイヤミス

    狂気に駆られて逃亡するソフィー。聡明だった彼女はなぜ全てを失ったのか。悪夢の果てに明らかになる戦慄の悪意とは。
    ソフィーは怯えていた。かつては優秀なキャリアウーマンだった彼女には秘密があった。ときに奇行を起こし、そのことをまるで記憶していないのだ。そのせいでソフィーは職も地位も失ったのだった。自分は正気を失ったのか。恐怖を抱えながらも、高名な政治家の家でベビーシッターをつとめるソフィーだったが、ある日、決定的な悲劇が訪れ、彼女は恐慌にかられて逃亡を開始した。自分は人を殺したのか? 自分は狂気に捕らわれてしまったのではないのか? そんな彼女をずっと見つめるフランツ。彼の暗い歩みとソフィーの狂気の逃亡が交差するとき、おそるべき罠が全貌を明らかにする!
    底知れぬ狂気と悪意が織りなす恐怖の犯罪計画。驚愕の四部構成の最後に浮かび上がるのは恐怖の肖像――
    あなたの心を凍らせる衝撃と恐怖の傑作サスペンス。
    著者略歴 (「BOOK著者紹介情報」より)
    ルメートル,ピエール
    1951年、パリに生まれる。教職を経て、2006年、カミーユ・ヴェルーヴェン警部シリーズ第1作Travail soign´eで作家デビュー。同作でコニャック・ミステリ大賞ほか4つのミステリ賞を受賞。シリーズ第2作『その女アレックス』は、イギリス推理作家協会賞を受賞したほか、日本で「このミステリーがすごい!」など4つのミステリーランキングで1位となり、ベストセラーとなった

    吉田/恒雄
    1947(昭和22)年、千葉県生まれ。市川高校卒、フランス文学翻訳家(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)

  • 2020年7月10日読了。

    ベビーシッターとして働くソフィー・デュゲ。
    日々、淡々と仕事をこなす彼女だったが、最近自分がした覚えのない行動をしていたり、物忘れが激しい事を気にかけている。
    例えば、図書館に本を返しに行かなければと思った時にはもう返してあったり、
    買った物をどこに置いたか分からなくなったり、車を停めた場所が分からなくなったり。
    それと同時に母親と夫を亡くした辛い過去を引きずり苦しんでいる事もあり、精神的にも肉体的にも疲弊していた。

    疲れ切ったソフィーは、雇い主のジェルヴェ夫人の「泊まっていったら?」という言葉に甘えてその日は眠りについた。

    目を覚ました時、目の前にはソフィーが世話をしている6歳の男の子・レオの無残な死体が転がっていた。
    首にはソフィーの靴紐で絞められた痕が…
    『眠っている間に私が夢遊病者のように殺してしまったのだろうか…』

    しかし、目が覚めた時に死体が転がっていた事はこれが初めてではなかった…


    カミーユ・ヴェルーヴェン警部シリーズぶりの久々ルメートル作品。
    物語は4部構成になっていて、
    1部はソフィーの身に起きている事態や行動を追い、謎が多い。
    2部からフランツという男が現れ、急展開。
    3、4部の後半は語り手が目まぐるしく変わり、騙し騙されで先が気になり一気読み。

    ラストの後味の悪さ。
    もはや誰が悪なのか分からなかった。

    カミーユシリーズとは訳者が違っていることもあり、最初少し読み辛さみたいなものを感じたけど、なんだかんだそこはルメートル。
    やっぱり面白かった。

  • 最後まで読むとタイトルの意味が分かる。
    メイン2人による腹の探り合いは緊張感が走って読んでいてドキドキした。目には目を歯には歯をな感じの動機で犯罪が行われていくのに、折り重なる犯罪の尻尾も掴めないフランス警察どうなってるの?という疑問は残った。完全犯罪で終わるラストなので余計なものはいらないと言ってしまえばそうなのかもしれない。
    ラストの結末は個人的にスッキリした。ソフィーお前もなかなか狂気だな笑

  • ルメートルの単発作品。
    ニューロティックなスリラー小説。
    起承転結が綺麗に決まっている。
    魅力的な謎を提示し、読者の興味を引き付ける。
    ストーリー的には、土曜ワイドや火曜サスペンスにありそうかな笑

    以下ネタバレ

    ソフィーの章…いわゆる謎の発端部分。ソフィーは記憶の無いままに殺人を犯しているのか?どんどん追い詰められ、ついには逃亡生活を経て打開策として別人として生活を始めるまで。

    フランツの章…前の章で描写されていたソフィーの異常行動の種明かし。フランツのソフィーに対する悪意を日記体で、短いセンテンスで描写する。底の知れぬ悪意と、不明瞭な動機が緊迫感を生む。

    フランツとソフィーの章…ソフィーの記憶障害の謎が明かされ、フランツの動機も明らかにされていく中で進行する復讐。同時に自分の身に起きた数々の悲劇の真相をしったソフィーも反撃の準備を進める。

    ソフィーとフランツの章…ついにソフィーは反撃の機会を掴み、攻守逆転する。フランツは亡き母の診療記録を盗みだし母から自分が疎まれていた事を知り、一挙に精神を病む。更にソフィーによる薬物投与も重なり、母親同様にウェディングドレスを身にまとい自殺を遂げ、莫大な遺産はソフィーが相続する。
    最後の一捻りが、フランツにショックを与え、気力を失わせた母親の診療記録は、ソフィーの父親が偽造したものである事が明かされる。なんとも言い難い読後感と余韻を残す。

  • ほんと私この人の本好き。まじでおもろい。
    始めは読んでるこっちもすごく気分が悪くなる。不安で、体調も悪い気がしてすごく引きずられる。
    そんであとはいつもの感じ。わあ面白い続き気になる気付いたら朝!!
    最高!

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