無菌病棟より愛をこめて (文春文庫 か 33-5)

著者 :
  • 文藝春秋
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  • Amazon.co.jp ・本 (366ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784167901905

作品紹介・あらすじ

愛してくれる人たちがいるから、死なないように頑張ろう急性白血病の宣告を受け仕事も家族も放り出しての緊急入院、抗癌剤治療、骨髄移植。人気ミステリ作家が綴る涙と笑いに満ちた闘病記。

感想・レビュー・書評

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  •  この作品は加納朋子さん自身の闘病記ということで、それだけは知ってて手にしました。2010年の6月に急性骨髄性白血病との診断を受けられ、入院し化学療法と放射線治療を受けられ、骨髄移植を経て退院される約半年に渡る入院生活の日記、そしてドナーとなられた弟さんの手記も収められています。

     読んでみて、加納朋子さんのことがますます好きになりました。この作品を読まなければ知りえなかった、加納朋子さんの“人となり”がよくわかります。辛い辛い闘病生活、抗がん剤の副作用で食欲が低下し嘔吐し、脱毛し、発熱やその他の諸症状…でもいつも明るいんですよね!苦しい中でも、髪の量のことで俳優の竹中直人さんや歌舞伎俳優の海老蔵さんと張り合ってみたり、美と健康を常に意識してストレッチや軽い運動をできるときにはされていたり、コミックを愛読していたり(それも大量に!)…なんか、いい感じ!!私だったら…きっと悲観的なっちゃうだろうなぁ…。

     そして、家族もいいですよね!ご主人が同じく作家の貫井徳郎さんなんですね…おふたりの会話からあったかいものを感じました。貫井徳郎さんの作品も、いつか、きっと読んでみようとも思いました。そして、ドナーになった弟さんを含め兄弟とお父様、そして息子さん…お友達も、みんないい人なんですよね!いい人のところにはいい人が集まるのかも…。この時の経験が、この先に出された作品にも活かされてるんじゃなかな…。これからもステキな作品を執筆してほしいです。

    • かなさん
      本とコさん、お返事が遅くなってしまいすみません!
      そうなんです…私の本棚、実はコンプしている作家さん
      いないんじゃないかなぁ(^-^;
      ...
      本とコさん、お返事が遅くなってしまいすみません!
      そうなんです…私の本棚、実はコンプしている作家さん
      いないんじゃないかなぁ(^-^;
      読みたいときに読みたい本を読む、
      それでいいんですよ、ね(*^^)v
      2024/02/24
    • NO Book & Coffee  NO LIFEさん
      いろんな読み方があっていいですよね。
      私も、典型的な「風の吹くまま気の向くまま」です(^^)
      いろんな読み方があっていいですよね。
      私も、典型的な「風の吹くまま気の向くまま」です(^^)
      2024/02/24
    • かなさん
      本とコさん、コンプしたい作家さんもいるけれど、
      まぁ…それはおいおい…
      というか、できないかもしれないけれど
      でも、それでいいんですよ...
      本とコさん、コンプしたい作家さんもいるけれど、
      まぁ…それはおいおい…
      というか、できないかもしれないけれど
      でも、それでいいんですよねぇ!
      ちょっと元気になった気がします。
      ありがとうございます(^-^)
      2024/02/24
  •  本書は、著者自身による白血病闘病記です。
     病名発覚までの経緯→化学療法→骨髄移植と、過酷な入院生活の内容は、ともすると気が重い読書体験になるかも、と思いながら読み進めました。
     ところが、意外にもそういう感覚になりませんでした。ここが著者のねらいであり、本書の肝であると思います。
     例えば、教授の他を引き連れた回診を、「大名行列」「白い巨塔」、一時退院を「仮出所」などと揶揄したり、抗癌剤による抜け毛のため、我が家の法律として「ハゲ」禁止等の言葉狩りを実施したりと、真面目で懸命な軽口がポンポン出てくるのです。また、加納さんのアニメ好きオタ主婦(自称)ぶりも垣間見え、クスッと笑える箇所満載です。
     前向きな病への姿勢は、読み手に勇気を与えてくれるはずで、当事者だからこその体験に裏打ちされた言葉の重みがあります。
     これらは、数多の病気に関する知識、全て公開している自身のデータ、あれば便利なグッズ等々、当事者の方にとっては大変参考になるであろう情報につながります。
     追記として、血縁ドナーとなった加納さんの弟によるドナー日記。〝すごい〟の一言です。冷静で詳細な記録に、「最強の弟さんですね」と言いたくなります。
     「白血病患者へのエール」に満ちあふれた、温かい闘病記でした。

  • 最初、本の中身を知った時(著者の闘病記)「ええっ〜!」と驚きでした。 多作ではないものの、コツコツ、コンスタントに本を出されているイメージがありまさか重病にかかっているとは。

    病気が発覚するまでの、普通の生活からちょっといつもと違う→結構違う→受診。検査。診断。
    そんなドラマみたいな事が…と。(本書でも似たようなくだりあり)本当にごく普通の生活を送っていたところに病気発見の衝撃(というかその信じられなさ)が伝わってきて身につまされた。小学生とはいえまだまだ小さい子どもがいる著書には辛かっただろうと思う。

    こういった病気の初期からの闘病生活が細かく描かれている。

    本当に治って良かった。

    闘病中は、辛いこともあったりの記載もあるけれど、全体としては、明るい著書の性格が感じられて駒ちゃんを思い出しながら読んでいた。

  • 加納先生の闘病記。
    ページを開くと、色々な心情に引き込まれた。
    生きることの偶然さ、生きることの幸せ、生きることの必要さなど考えさせられた…

    自分だけはそうならないと思い込んでいるだけ! もっと謙虚に楽しく真摯に!

    加納先生の活躍をこれからも楽しみにしてます。


    ぜひ〜

  • 胸がいっぱい。
    読み終わって表紙を眺めて意味がわかって、もう…
    このタイトルと表紙がこの本のやさしさ全てをあらわしている。

    何冊か読んだことのある加納さん。
    ご自身の白血病の闘病記なんだけど、加納さんの明るさや強さ、
    何より生まれ持った素敵な可愛らしさが本からすごくすごく伝わって、
    その加納さんがぼろっと泣いちゃったり弱音を吐いたりするだけで私はぼろぼろ泣いてしまっていた。
    なんて強いんだろう。
    いや、本当は書けなかったことの方が多いのかもしれない。
    それでもこうやって悲槍感だけじゃなく心がほわんとあったかくなれるのは、ただただ加納さんの人柄というか、やさしさなんだと思う。
    すごいなあ。本当にすごい。
    周りの方々もみんな素敵でおちゃめだ。やさしい。
    愛ってこういうことを言うんだ。

    加納さんの性格が母に似てるから余計にくるものがあったなあ。。
    お元気になられて、本当によかった。

  • 久しぶりにいい本に出会いました。
    小説ではなく、作者本人の白血病との闘病生活を綴った本です。
    さすが作家さんと言うべきか、時系列順に書かれた日記は分かりやすく、白血病という病気がどんなもので、闘病中どんなことが大変でどんなことに救われたのかユーモアを交えつつありありと伝わりました。
    クスッと笑えるような言葉が混ざっていたり、闘病中でも良いことを沢山みつけよう!と先生は心がけていたり、加納先生の日記は明るく記されていましたが、実際は記載以上に大変な毎日だったと勝手に想像しています。大変な治療を乗り越えた加納先生や先生の周りの親戚の方々、病院の先生や看護師の方々などは本当にすごいと感じました。
    この本を読んで1番思ったことは健康って素晴らしいんだなということです。当たり前ですが、当たり前こそ貴重なのだと実感しました。
    幸い、私は今のところ健康です。時々自分の情けなさに鬱っぽくなることはあります。でも、この本を思い出すと、私は健康なんだ、まだまだ頑張れるだろと踏ん張れるような気がします。

  • <閲覧スタッフより>
    ミステリー作家加納朋子氏自身の急性白血病闘病記。病気の発覚から化学療法、骨髄移植と過酷な治療、入院生活が描かれています。でも、彼女の文章は非常に明るく家族や友人、医療従事者との会話に思わず笑ってしまう場面も多いです。健康な時には特に気にならないかと思いますが、病気になり身体も心も弱くなってる患者にとって周りの言葉ってとっても大切なんだなと思いました。


    --------------------------------------
    所在記号:916||カノ
    資料番号:35005821
    --------------------------------------

  • 大好きな作家、加納朋子さんが白血病を乗り越えて今も執筆活動をされていることを心から嬉しく思います。

  • すごく救われた本。
    この本を書いてくれたことにただただ感謝。

  • 突然の病。本書で著者夫妻が言うようにひと昔前ならドラマでよく見た病気。でもその治療がどのようなものか、骨髄移植は知ってても実際どんなことをするのか知っている人は当然中々いない。こんなに詳しい闘病記、しかも移植ドナーの記録まで読めるなんて!最初の頃はユーモア溢れる表現も多くてちょっと吹き出すこともありましたが、読み進むに連れて深刻な内容になり、読みながら何度も何度も涙を堪えました。著者が昨年も新作を発表されたと知り、お元気そうで嬉しいです。

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著者プロフィール

1966年福岡県生まれ。’92年『ななつのこ』で第3回鮎川哲也賞を受賞して作家デビュー。’95年に『ガラスの麒麟』で第48回日本推理作家協会賞(短編および連作短編集部門)、2008年『レインレイン・ボウ』で第1回京都水無月大賞を受賞。著書に『掌の中の小鳥』『ささら さや』『モノレールねこ』『ぐるぐる猿と歌う鳥』『少年少女飛行倶楽部』『七人の敵がいる』『トオリヌケ キンシ』『カーテンコール!』『いつかの岸辺に跳ねていく』『二百十番館にようこそ』などがある。

「2021年 『ガラスの麒麟 新装版』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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