イタリア語通訳狂想曲 シモネッタのアマルコルド (文春文庫 た 56-6)
- 文藝春秋 (2014年7月10日発売)
- Amazon.co.jp ・本 (219ページ)
- / ISBN・EAN: 9784167901516
作品紹介・あらすじ
通訳人生40年の艶笑喜劇!アマルコルド(私は覚えている)――数々の修羅場や誤訳、そして温かなイタリアの 人々を。通訳人生40年を振り返り、日本、イタリア、言葉の粋について綴る人気エッセイ。
感想・レビュー・書評
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自慢話や上から目線での語り口は気になったものの、興味深い話題も多くまぁまぁ面白かった。
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「なぜ日本の部屋には家具がないのか」というイタリア人からの素朴な質問への回答から始まる、イタリアと日本の文化的な違いの考察がとても面白かったです。
他にも価値観や物の言い方の違いに由来する通訳の苦労話が盛りだくさん。各章数ページの短さなので、気楽に楽しめます。 -
通訳者のエッセイというと故・米原万里氏の「不実な美女か貞淑な醜女か」や「魔女の1ダース」が絶品であった。
その米原氏がタイトルにまでしたシモネッタ嬢、イタリア語通訳の田丸氏、 超優秀な1人息子さまの自慢話本(自分の容姿自慢付き)あたりはヤリ過ぎであったが、本書は本業関係モノ。
安定の通訳エピソード、といったところでしょうか。
初出はnhk のイタリア語講座のテキストらしい。
時代の流れとともに外国語をあやつる人が増えたことと、英語やスペイン語といった話者の多い言語に集約されてきていることで、 イタリア語通訳需要が減ってきていること:それだけでなく、通訳と依頼者の関わりも淡白になってきていることなど、切ない内容も多い。
グローバル化にともなって世界は近くなるどころか、人間関係はどんどん希薄になっているのかもしれないと感じさせられる。
その一方で、脳の働きに関する専門家学会の通訳のエピソードなどは、やはりユニバーサルな学問を研究するには日頃から英語ベースでやらないと、言葉のギャップを越えきれないのではないか?と考えさせられた。
そのためには、やはり研究にたずさわるような層は高校卒業時の英語力がもっと強固でないと....などなどと.......
やはり専門家の現場の話は興味深い。
田丸さん、まだまだご活躍ください。 -
通訳者の酸いも甘いも余すことなく書かれているのですが、伝え方が面白くて思わず何度も笑ってしまいました。通訳者になるためには、語学が出来るだけではなく、双方の文化を熟知し、母語にも長けていないと本物の通訳者と言えないのだな・・と。言われてみればその通りなのですが、世間一般には語学が出来る人=通訳が出来ると思われている節があると思うので、ハッとしました。
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記録
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単行本で一度読んだのだけれど、忘れている部分は面白く読めたし、覚えている話はもう一度読みたい話だったので、結局通読してしまいました。また3年後くらいに読むと面白いかも。
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イタリア語のシモネッタの6冊目(文春文庫で)エッセイは、いつもの通り切れが良く楽しく笑わせてくれる。しかし、いつにまして哀感とタメ息の量が多いような気がする。この本が、通訳生活40年の白鳥の歌とならないようにを祈りたい。
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【通訳人生40年の艶笑喜劇!】通訳人生40年を振り返り「日本」「イタリア」そして「人を結ぶ言葉の粋」について考察するちょっと過激でユーモラスなエッセイ集。
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ブログに掲載しました。http://boketen.seesaa.net/article/402936985.html米原万里の戦友にして「イタリア語通訳界の大横綱」米原万里が2006年になくなってもう8年がすぎた。『不実な美女か貞淑な醜女(ブス)か』(文春文庫)という、通訳をめぐる考察はいまも忘れられない。その米原万理が「シモネッタ・ドッジ」というあだ名を献上し、「イタリア語通訳界の大横綱」と称えたのが田丸公美子。
田丸の処女エッセイ『パーネ・アモーレ』(文春文庫)は「笑いをとる」という点では米原にまさっていた。 -
ガイドは「知らない」と言ってはいけない。通訳はわからない言葉があっても止まってはいけない。なんて度胸を要する大変な仕事なんだろうと思った。通訳業のウラ話の数々。自分も通訳をする時、田丸さんのプロ意識を見習いたい。