新装版 霊長類ヒト科動物図鑑 (文春文庫) (文春文庫 む 1-26)

著者 :
  • 文藝春秋
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感想 : 40
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  • Amazon.co.jp ・本 (334ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784167901417

作品紹介・あらすじ

これぞエッセイ! 達人の筆が冴える傑作ぞろいすぐれた人間観察を筆にのせ、人々の素顔を捉えて絶賛を博した著者が、最も脂ののりきった時期に遺した傑作揃いのエッセイ集。

感想・レビュー・書評

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  • 人間というのは滑稽で、ちょっと悲しい生き物だ。
    そして、なんて愛おしいのだろう。


    このエッセイは40年以上前に書かれたもので、昭和の暮らしぶりが伺える。
    向田さんが幼少期の頃のエピソードもある。
    生活スタイルは随分違う気がするが、人間の中身はあまり変わっていないようだ。


    全52篇の中から少し紹介すると…

    「寸劇」
    来客の抱えている風呂敷包みの中身が気になって仕方ない。
    決まり文句をいい、月並みな挨拶を繰り返しながらの名演技。
    向田さん、うまいこと言うなぁ。
    クスッと笑える。

    「浮気」
    大きなスーパーで買った食材を持って、馴染みの店の前を通る後ろめたさ。
    美容院の浮気…
    分かる、分かる。共感。

    「泣き虫」
    お父様が亡くなった時のエピソード。
    たった数行の文章に泣かされてしまった。



    向田さんの観察力はすごいなぁ。
    ユーモアに溢れる軽快な文章は、時折読み返したくなる一冊。


    こちらの作品は、shukawabestさんのレビューを読ませて頂き、素敵なエッセイだなぁと手に取りました。
    ありがとうございます!!

    • shukawabestさん
      読んでいただきありがとうございます。誰もが経験するような一瞬の感情の機微を文章にした素晴らしいエッセイだと感じました。歳をとっても、細やかな...
      読んでいただきありがとうございます。誰もが経験するような一瞬の感情の機微を文章にした素晴らしいエッセイだと感じました。歳をとっても、細やかな感情を感じとれる人間でありたいなと思っています。
      僕もまた、aoi-soraさんの本棚から読んでいきたいなと思っています。今後もよろしくお願いします。
      2024/03/10
    • aoi-soraさん
      shukawabestさん
      向田邦子さんの作品を読むきっかけを、ありがとうございます♪
      エッセイは繰り返し読めていいですね
      図書館で借りよう...
      shukawabestさん
      向田邦子さんの作品を読むきっかけを、ありがとうございます♪
      エッセイは繰り返し読めていいですね
      図書館で借りようとパラパラ見たら、手元に置きたい気がしたので本屋へ行って買っちゃいました。
      正解でしたよ~^⁠_⁠^
      2024/03/10
    • shukawabestさん
      買われましたか。
      僕にとっても手元に置きたいエッセイなのですが、ブクログ始めてから、「いい!」と感じる小説やエッセイが多すぎて多すぎて・・・...
      買われましたか。
      僕にとっても手元に置きたいエッセイなのですが、ブクログ始めてから、「いい!」と感じる小説やエッセイが多すぎて多すぎて・・・。熱が冷めるまで間を置くようにしています。
      2024/03/10
  • 最近購入した本 3冊|向田邦子さんのエッセイと、小説2作 | LEE
    https://lee.hpplus.jp/100nintai/2340517/

    文春文庫『霊長類ヒト科動物図鑑』向田邦子 | 文庫 - 文藝春秋BOOKS
    https://books.bunshun.jp/ud/book/num/9784167901417

  • いい。

    僕の親の世代、僕が子供の頃、今、そして、不透明で先が読めない未来を照らしてくれているようなエッセイ。

    僕より40年近く上の世代で、40年以上前に書かれている。

    時代は移り変わろうと、変わらない「人の頭の中」というのもある、ということを、向田邦子さんは自身の苦い体験や失敗談をもって、読む人を笑わせたり、なるほど、と唸らせたりしてくれている。

    昨日(元旦)から読み始めたこのエッセイ。

    これからの僕に光を与えてくれる気がする。

    このエッセイは、向田さんが飛行機事故で亡くなってから1ヶ月後に刊行された。

    生きていたら、その先もどんなに素晴らしい脚本やエッセイを生み出せたことだろう。

    とても地味だが、それぞれが普遍的な光を放つエッセイ集。

    • aoi-soraさん
      shukawabestさん、こんばんは〜

      同級生の経営するバーがあるなんて!!
      いいなー
      羨ましいです(⁠•⁠ө⁠•⁠)⁠♡
      そして本との...
      shukawabestさん、こんばんは〜

      同級生の経営するバーがあるなんて!!
      いいなー
      羨ましいです(⁠•⁠ө⁠•⁠)⁠♡
      そして本との出会いがあって…
      最高ですね^⁠_⁠^

      「ランチ酒」に出てくるお店は実在するようですよ
      楽しんで下さい♪
      2024/01/05
    • shukawabestさん
      ありがとうございます。
      手元に届いたら、楽しみながら読もうと思います。
      ありがとうございます。
      手元に届いたら、楽しみながら読もうと思います。
      2024/01/06
    • aoi-soraさん
      おはようございます♪
      初・向田邦子作品、読みました
      手元において置きたい本になりました
      ありがとうございます(⁠ ⁠ꈍ⁠ᴗ⁠ꈍ⁠)
      おはようございます♪
      初・向田邦子作品、読みました
      手元において置きたい本になりました
      ありがとうございます(⁠ ⁠ꈍ⁠ᴗ⁠ꈍ⁠)
      2024/03/09
  • 向田邦子さんの本は2冊目。
    前に読んだ本より向田さんのことを身近に感じることが出来たような気がする。
    くすりと笑ってしまう話が多い。
    とても可愛い人だという印象。心が和む。

    「霊長類ヒト科」というざっくりした分類が素敵だ。
    「人間」よりも「霊長類ヒト科」という呼び方の方が同じ種族感が増すような気がする。
    「霊長類ヒト科」には得意なことも苦手なこともあるのだ。
    善意もあれば悪意もある。計算もある。誠意もある。
    飾らず力まず、自然な自分でいられたらどんなにいいだろうと思うような時、誰かを羨ましく思ってしまう時、この本をまた開きたいと思う。
    そうすればいろいろと考えて空回ってしまう自分を肯定出来る気がするから。
    笑って泣いて、怒って、決してきれいじゃない感情にまみれて生きることを受け入れられる気がする。
    「霊長類ヒト科」はそういう生き物なのだろうから。

  • これは、すべてのエッセイの原点ですね。向田邦子さんの文は、人間臭さに満ちていて、読んで良かったと、心底思える。涙あり笑いあり。
    『無敵艦隊』『味噌カツ』は特に面白かった。

  • 向田邦子の本はこれが初めて

    事象を観察して、的確な言葉で表現し、
    ユーモアと鋭さを兼ね備えた文章に
    ぐいぐい引き込まれた

    「西洋火事」の、“「火事だろ」か「火事じゃねえかな」”のくだりは笑いが止まらなかったし

    「少年」の、使用人の少年が、自分が引き受ける現実の理不尽さへの怒りをあらわに木を蹴る描写は、だった1週間の滞在でここまで少年の人生を立体的に捉えてすごいなと思う

    面白かった

  • 向田さんの本を読むと、私は私でいいんだなって思える。

    人は、どんなにかっこつけても、かっこ悪い。
    弱くて、醜い感情をたくさん持ってて、後ろめたさを抱えて生きてる。
    向田さんの本は、人のそんな部分をちゃんと書いてくれる。
    向田さんの本の中には、かっこつけてない、そのまんまの人間がつまってる。


    私はかっこつけだ。
    ても、どんなに澄まして歩いても、こける。ガムやうんこを踏む。
    分かったようなことを言ってみせるけど、心の中は汚い感情でぐちゃぐちゃだ。後ろめたさをたくさん持ってる。

    たまにおしゃれをしてみても、歯にゴマがついてることだってある。

    かっこつけても、様にならない。
    それが、私。


    向田さんと同じ、11月生まれの私。
    それだけで、私にも何か書けそうな気がしてしまう。
    私は、単純すぎる。

    嫉妬するほどの観察力と文才を持つ向田さんに、憧れる。

    でも、どんなに憧れても妬んでも、私は彼女にはなれない。
    悔しいけど。

    かっこがつかない私でも、私は私でいいんだよ。

  • 最後のエッセイ集
    ヒコーキ怖い
    お父さんに傘を届ける話はこちらに収録されていた(知った顔)

  • 向田さんと言えば飛行機事故が思い出されるが、このエッセイ集の中でも、「ヒコウキ」というエッセイがあり色々思い返されてしまう。
    最終の「1番病」というのの最後に、本当に怖いのは2番の人ではないかとある。1番は、軍旗を持って格好よく飛び出すが、タマに当たって壮烈な戦死を遂げる率が高そうだ。競輪でも、先頭切る選手は風圧でバテてしまう。最後に笑うのは、二番手につえておいて、土壇場で追い抜く人ではないだろうか。というのが面白い。

  • S 56年単行本刊。霊長類ヒト科=人間の観察が秀逸なエッセイ集。著者本人も大雑把でそそっかしい感じがチャーミングである。魅力的な人間性の陰で毒づく様子も素敵である。

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著者プロフィール

向田邦子(むこうだ・くにこ)
1929年、東京生まれ。脚本家、エッセイスト、小説家。実践女子専門学校国語科卒業後、記者を経て脚本の世界へ。代表作に「七人の孫」「寺内貫太郎一家」「阿修羅のごとく」。1980年、「花の名前」などで第83回直木賞受賞。おもな著書に『父の詫び状』『思い出トランプ』『あ・うん』。1981年、飛行機事故で急逝。

「2021年 『向田邦子シナリオ集 昭和の人間ドラマ』 で使われていた紹介文から引用しています。」

向田邦子の作品

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