赤絵そうめん とびきり屋見立て帖 (文春文庫 や 38-5)

著者 :
  • 文藝春秋
3.74
  • (9)
  • (29)
  • (17)
  • (2)
  • (1)
本棚登録 : 146
感想 : 18
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・本 (304ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784167901172

作品紹介・あらすじ

追悼――故山本兼一氏が手しおにかけた感動のシリーズ坂本龍馬から持ちかけられた赤絵の鉢の商い。「とびきり屋」真之介がとった秘策とは? 夫婦の智恵と心意気に胸躍るシリーズ第3弾。

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • 幕末の京都で道具屋〈とびきり屋〉を営む真之介・ゆず夫婦が目利きと機転で様々な困難を乗り越えるシリーズ第三作。

    今回は赤絵の巻。
    食欲のない孫のため、孫が好きな赤絵の鉢でそうめんを食べさせたいと願う大店の隠居。
    五十鉢もの万暦赤絵買付を巡っての横槍と駆け引きの顛末。
    泣き唐子の夢から始まる、赤絵の鉢が繋ぐ不思議な商い話。
    など、六話。

    いまだゆずに未練を抱く若宗匠の意外な一面を知る一方で、相変わらずの嫌がらせもある。
    しかし今回もゆずのアイデアで乗り切る。これで若宗匠も一応の区切りは付いただろうか。
    ゆずの父で真之介の元主人、老舗道具屋の店主・善右衛門もやっと商人としての真之介を認めてくれたようだ。

    作家の山本さんの道具に関する知識の広さ深さに感心する。道具屋はこれだけの見識知識に加えて目利きや商売上の駆け引きも出来なければやっていけない。大変な商いだ。
    道具そのものには値段はない。買う人、売る人、値付けをする人の評価で変わっていく。
    だからこそやろうと思えば悪どいことはいくらでも出来る。
    しかし真之介・ゆず夫婦は『きれいな商売』を心掛けているし何より道具に対する愛や敬う心があるのが良い。道具も大切に扱っている。
    同様に彼らは店の人間たちにも茶道を教えたり任せられるところはやらせたり、大事にしている。

    私には道具の善し悪しは分からないし目利きなんて全く出来ない。壬生浪の芹沢以下だ。
    しかし道具で和ませたり気持ちを伝えたり、それが相手に伝わるのは良いなと思った。

    今回も坂本龍馬に桂小五郎、近藤勇など幕末の有名人たちが次々出て来る。最後に芹沢の暴走があり今日の町がますます物騒になって心配になる。

  • ゆずと真之介の夫婦愛に心がホッとするこのシリーズ。
    今回は、赤絵を巡って夫婦が奮闘する連作6篇。
    それにしても、次から次へと披歴される茶器や掛け軸など、著者の骨董に対する造詣の深さに圧倒されながら、ただ読み進むばかりだった。
    著者の急逝により、このシリーズもあと一冊を残すのみだというのは、重ね重ねも残念・・・

  • 幕末京都の道具屋「とびきり屋」
    シリーズ三作目です。

    表題作の「赤絵そうめん」のほか5つの連作。
    真之介とゆず夫婦のはんなり人情話も、これまでの中で
    いちばん心が温まりました♪

    道具ひとつひとつの深い知識とこだわり。そして茶の心。
    真之介やゆず、そのほかの登場人物たちから語られながら
    そのむこう側からは、著者さんご自身の知識の奥深さがみえてくるようです。

  • 若宗匠、嫌なヤツと思っていたけれど、なんだか私と趣味が合いそうな感じ(--;)可愛いところもあって憎めないヤツになってきた(^^;)幕末の不穏な空気が漂ってきて大丈夫かな?と不安になる終わり方だったけれど、真之介とゆずの目利きと勝負強さで乗り気っていってほしい!まだまだ読み続けていたいけれど、後一冊で終わりなんですね(T-T)

  • 赤絵そうめん/しょんべん吉左衛門/からこ夢幻/笑う髑髏(しゃれこうべ)/うつろ花/虹の橋

    前作が、時代のせいもあってちょっときな臭くなってきて不安だったのですが、今回また、ええ話たくさん読めました。
    しかし、芹沢という名前が出て来ると、うわ~招かれざる客来た!という気分になります。
    あと、若宗匠…これも、坊ちゃんの赤シャツポジションというか、それ以上の味出してますね、さぶいぼたちますわ。

    若夫婦の道具屋が、父親世代の大店とは違う、自分たちの商いのやり方で、お客さんたちに認められて行くのが、読んでいて気持ちいいです。

  • とびきり屋見立て帖シリーズ第3弾。

    道具屋夫婦のモノに対する愛着や、無理難題を解決しようとする姿など、前作よりもほんわか感がパワーアップしている気がする。
    幕末のあわただしくなってきた京都で夫婦がどのように過ごすのか、続きが気になる。

    著者の山本兼一さんが亡くなられたことを本当に残念に思います。

  • 「道具屋」という商売を通してその時代に生きていた人の価値観が垣間見えた。
    たかが道具されど道具。
    政治的な要素も絡んでいるせいか、今以上に品物の目利きが求められていたように感じる。
    店として良いものを揃えるのはもちろん、取り扱う店主の心持ちがいかに大切かが印象深かった。

  • このシリーズの良さは,少し目利きのまさったゆずの人柄と機知だと思う.色々なお道具の薀蓄がまた楽しい.いけ好かないと思っていた若宗匠も,案外可愛いところがあるとわかって,なんだかホッとした.ただ心配なのは幕末に向かってのきな臭い空気だ.

  • 幕末の京都で道具屋「とびきり屋」を営む若夫婦・真之介とゆず。ある日、坂本龍馬から赤絵の鉢の商いを持ちかけられるのだが…。真之介の秘策の冴えわたる表題作、若宗匠からある大事な品を取り返すために夫婦で奮闘する「うつろ花」ほか、珠玉の6編を収録。京商人の心意気に胸躍る人気シリーズ第3弾。

  • 京ことばの人の嫌い方が面白い

全18件中 1 - 10件を表示

著者プロフィール

歴史・時代小説作家。1956年京都生まれ。同志社大学文学部を卒業後、出版社勤務を経てフリーのライターとなる。88年「信長を撃つ」で作家デビュー。99年「弾正の鷹」で小説NON短編時代小説賞、2001年『火天の城』で松本清張賞、09年『利休にたずねよ』で第140回直木賞を受賞。

「2022年 『夫婦商売 時代小説アンソロジー』 で使われていた紹介文から引用しています。」

山本兼一の作品

この本を読んでいる人は、こんな本も本棚に登録しています。

有効な左矢印 無効な左矢印
有効な右矢印 無効な右矢印
  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×