龍馬史 (文春文庫 い 87-1)

著者 :
  • 文藝春秋
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  • Amazon.co.jp ・本 (231ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784167858018

作品紹介・あらすじ

坂本龍馬を斬ったのは誰か? 黒幕は誰か? 幕末最大のミステリーに気鋭の歴史家・磯田道史氏が挑みました。新撰組か紀州藩か、はたまた薩摩藩か? 様々な説が唱えられてきましたが、史料の丹念な読解と巧みな推理によって、ついに謎が解かれました。論争に終止符を打つ画期的論考です。「龍馬は一日にしてならず」。合理的でカラっとした性格、そして既成の枠にとらわれない自由な発想。そんな龍馬を生み出したのは、お金で武士の身分を買った土佐の豪商の家でした。坂本龍馬という破格の人物が出現した背景にも迫ります。

感想・レビュー・書評

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  • 坂本龍馬に関する本は星の数ほどあるけれど、分かっている事実をこうも客観的に列挙して論考を重ねた本はあまり見られなく貴重。説得力を持ってぐいぐい迫ってきます。

  • 坂本龍馬の生涯を追いながら、幕末の社会、経済、政治を解説した1冊。最近、テレビなどでもよく見る著者だが、史実を丁寧に押さえつつ歴史を解説してくれるので納得がいく。また、史実を踏まえたうえで、時には大胆にご自身の考え方を述べるのもとても分かりやすい。
    本書でも、龍馬を美化しすぎず、淡々と史実にのっとって、彼の行動やその業績を評価している。龍馬暗殺についても、黒幕なしと断言するその分析に、納得感がある。

  •  龍馬の生涯を語れば、幕末史の生きた教科書となる。龍馬を巡る謎に歴史家が挑む。

     若かりし頃、小説の影響で熱烈な龍馬ファンになって以来、最近は、やはりあれは所詮小説だからと少し冷めてきたいたので、この作品を読んで、改めて龍馬の魅力を感じることができました。

     龍馬の手紙を始め、数々の史料をもとに語っていく龍馬像は、小説とは違った冷静な視点で龍馬に迫ることができました。

     龍馬暗殺の真犯人説も説得力があり、自分もこの著者の考え方に納得しました。

     自分の中で龍馬の存在がまた少し大きくなりました。

  • 1〜2時間で読了できる軽い読み物。ですます調は少し気になるけど、史料に丹念にあたり、従来の説にプラスアルファの視点を組み込むのは著者ならでは。爽やかな青年像だけではない、多面的な龍馬が浮き彫りになります。

  • 坂本龍馬の人気は絶大で、まるで英雄扱いですね。

    それは司馬遼太郎の小説【龍馬が行く】が多大な影響を与えているようです。(読んでいませんが(^^ゞ)

    彼は過大評価されすぎているのじゃないかというのが、ぼくの感覚です。

    彼が評価される実績は:

    1)薩長同盟を仲介した

    2)大政奉還を実現させた

    3)船中八策によって新政府の青写真を描いた

    でしょうが、彼が独自に編み出したのではなく、受け売りだったというほうが正しいのです。

    それより、彼が主導したのではなく、そういう方向に上手く利用されたとぼくは勘ぐっています。

    だって、彼ほどフットワークが良く、各方面との顔が利く人物はとても利用価値があったからです。

    こういうことを言うと、龍馬フリークから総攻撃されてしまうでしょうが、使い走り、あるいはメッセンジャーボーイだったんじゃないかと思うのです。

    ・・・・・・・・

    磯田道史先生は流石にそこまで言わないけれど、坂本竜馬という人物の評価のされ方はちょっと違うのではないかとこの本で書いています。

    まさしくぼくと同意見・・・・と心強く思ったのですが、そこはそれ歴史の専門家ですから、そんな言い方はしません。

    それより、彼を評価すべき点は、ういう政治思想ではなく、海運ビジネスに於いてだと喝破しているのです。

    これには流石脱帽しました。

    海運といえば、彼が興した亀山社中という商社兼海運会社兼個人海軍ですが、磯田氏はこれを「薩摩のダミー会社」と評するのです。

    これは上手い表現です。

    龍馬は尊皇攘夷を主張する(下級)武士であるよりも、優れたビジネスマンとしての才能を評価すべきというのです。

    これは、まさに目から鱗で、ぼくが漠然と感じていた胡散臭い龍馬像をきれいに取り払ってくれました。

    ・・・・・・・・

    幕末から明治維新に至る過程はとても複雑で理解しにくいものです。

    ここで、龍馬という人物に着目して、彼の動きを追いかけていくと、複雑だった構図がすっきり理解できるのではないかという意図でこの本は書かれています



    その意図は、かなり成功しているといえるでしょう。

    明治維新に関わった多くの人物を繋げるのに、龍馬ほど適任はいないからです。

    ただ、残念なことは龍馬は大政奉還後にすぐ暗殺されてしまい、その後の維新の推移を語る語り部にはなれなかったことです。

    そこで磯田先生、龍馬暗殺の推移を微に入り細に入り、ほぼ本の半分を費やして書いてしまいます。

    まさに、歴史オタクの面目躍如といったところでしょうか。

    これは本としては、余計だった。

    まあ、前回読んだ「素顔の西郷隆盛」と同じように、テーマを絞って書く本が面白い。

    これからも、トリビア集みたいな手抜きの本を書くより、磯田ならではの切り口の本を期待したい。

  • 表面を撫でるような読後感
    刺さるものがなかった❗

  • 面白かった。最初に龍馬の人となりを手紙を通じて解説し、その後時代背景をなぞり、クライマックスの犯人探になる。犯人探しは非常に納得できる内容で読んで良かったと思う。

  • 磯田先生の本は
    歴史上の人物や事柄に
    本当に深い愛があって
    ぐいぐい読んでしまう
    面白かった

    主人の本棚から拝借

  • 【貸出状況・配架場所はこちらから確認できます】
    https://lib-opac.bunri-u.ac.jp/opac/volume/743391

  • 20220405

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著者プロフィール

磯田道史
1970年、岡山県生まれ。慶應義塾大学大学院文学研究科博士課程修了。博士(史学)。茨城大学准教授、静岡文化芸術大学教授などを経て、2016年4月より国際日本文化研究センター准教授。『武士の家計簿』(新潮新書、新潮ドキュメント賞受賞)、『無私の日本人』(文春文庫)、『天災から日本史を読みなおす』(中公新書、日本エッセイストクラブ賞受賞)など著書多数。

「2022年 『日本史を暴く』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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